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2008年5月 アーカイブ

2008年5月 7日

証券貸借

証券貸借(しょうけんたいしゃく)とは、供給不足状態にある株式を機関投資家などが貸し出すこと。株券貸付などとも呼ばれる。

貸付対象となる株式の需給逼迫度合いに応じて貸付により機関投資家が受け取る金額は異なる。日本では、不足株数を証券金融会社が入札形式で調達する。この証券貸借による入札価格が品貸料となる。

証券取引所

証券取引所(しょうけんとりひきじょ:Stock Exchange)とは取引所会員が集合し証券の売買をおこなう立会場やコンピュータを通じた競売市場のこと。

資本経済の発展に欠かすことができない資金の調達および資本運用が効率的に行えるように株式や債券などの売買を取引所に集中させることにより流動性を確保し安定した価格の形成を図ることが証券取引所の目的である。証券取引所を通じた売買は一般投資家(取引所会員証券会社以外の投資家)が証券取引所で直接売買を行うことはできず、会員証券会社を通じて取引を行う委託売買が行われる。
日本国内では、「東京証券取引所」「名古屋証券取引所」「大阪証券取引所」「福岡証券取引所」「札幌証券取引所」「ジャスダック証券取引所」が存在する。海外では、「ニューヨーク証券取引所」「ロンドン証券取引所」が有名であり、東京証券取引所と合わせて、世界三大証券取引所とも呼ばれる。

上場

上場(じょうじょう)とは、株式や債券などの有価証券などを証券取引所において売買可能とすることをさす。株式を証券取引所に上場する場合を株式公開(IPO)とも呼ぶ。

通常は、上場基準(株式の上場と取引開始を前提として取引所が設定する各種条件)を満たした場合のみ上場が可能となる。東京証券取引所の一部や二部に上場する場合は一部上場、二部上場といったふうに呼ばれる。

スワップ

スワップ(Swap)とは金利や為替リスクを解消する目的で取引者同士が行うキャッシュフローの交換のことをさす。

近年では、FX(外国為替証拠金取引)が個人投資家を含めて活発に行われており、この外国為替証拠金取引でもスワップという言葉は用いられる。

この場合はスワップは為替における金利差の交換という意味となり、高金利通貨買い・低金利通貨売りを行っている場合は、その金利差がポジションの買い手に対して売り手より支払われることになる。逆に、低金利通貨買い・高金利通貨売りを行っている場合は、ポジションの売り手に対してスワップポイントを支払う必要がある。

清算機関

清算機関(せいさんきかん)とは、市場取引を清算する機関のこと。クリアリング機構とも呼ばれる。清算を行うだけでなく、契約の履行も保証する。

政治的リスク

政治的リスク(せいじてきりすく:Political Risk)とは、政情が不安定な国に対して投資するリスクのこと。カントリーリスクともほぼ同義。投資先の国の政治の混乱などにより投資資金の回収が困難化したり、価値が下落するリスク。

セキュリタイゼーション

セキュリタイゼーション(Securitization)とは、多数の債権や資産を一まとめにして、それらを担保とした標準的な証券を作り出すこと。日本語では証券化とも呼ばれる。

セキュリタイゼーションを行うことにより、証券化された証券は一般的な証券として取引が可能となる。

ゼロクーポン債

ゼロクーポン債(Zero Coupon Bond)とは、クーポン(利子)がつかない代わりに額面よりもディスカウントされた価格で発行される債券の一種。割引債とも呼ばれる。

発行価格と償還価格の差額がキャピタルゲインとして得られる。ゼロクーポン債の場合、金利変動(下落)局面であってもより低い金利で再投資を行わなければならないといいうリスクを回避することができる。

全米証券業協会

全米証券業協会(ぜんべいしょうけんぎょうきょうかい)とはNASDと呼ばれる、米国の証券ブローカーやディーラーが所属する協会のこと。NASD(National Association of Securities Dealers)。

主に会員の倫理的な行動基準を定める自主規制機関である。日本にも同様の団体として日本証券業協会がある。

相対強度指数

相対強度指数(そうたいきょうどしすう)とは、相場のテクニカル分析において用いられるオシレーターの一種。RSIのこと。

⇔RSI

底値

底値(そこね)とは、相場における最低の価格のこと。対義語は天井。相場が下げきった時の価格のことをさす。

ソブリン債

ソブリン債(Sovereign Issue)とは、政府系機関により発行された債券または保証をつけている債券の総称。政府系機関が保証していれば全てソブリン債であるが、一般的には高格付けの政府が保証している債券をさすことが多い。単純に「ソブリン」と呼ぶこともある。

日本においては、こうした高格付けの政府保証債券をまとめた投資信託が数多く設定されている。

ちなみに、類似語として「ソブリンシーリング」という言葉があるがこれは、各国の企業の信用格付けは原則的にその国の格付けを上限とするという意味である。

損益計算書

損益計算書(そんえきけいさんしょ:Profit and Loss Account)とは、P/Lとも表記される企業の計算書類の一つ。「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」と並んで企業の財務分析における重要な決算書類である。

損益計算書では、一定期間における企業の収入と支出を全て要約している。

2008年5月 8日

デットエクイティスワップ

デットエクイティスワップ(Debt for Equity Swap)とは、債務(Debt)を株式(Equity)に交換(Swap)するという金融手法のことを指す。債務の株式化とも呼ばれる。頭文字をとり、DESとも表記されることがある。

通常、デットエクイティスワップは、債権者が債務者の債務回収が難しいと判断した場合に債権を株式に交換することにより主に経営再建を図る方法とされる。従来は銀行法により大口債権者である銀行が事業会社の株式を5%以上保有することは銀行法や独占禁止法により禁止されていたが、銀行法の改正により平成11年より経営再建を図る場合には金融庁の承認により事業会社の株式の5%超を保有することが許可されたことから、デットエクイティスワップの利用が活発化してきている。

このほか、民間での利用以外にも債務国が対外債務を自国通貨にて買戻し、海外の債権者がその資金をもとに、債務国企業に投資するといった手法もデットエクイティスワップ(DES)の一種とされる。

第三者割当増資

第三者割当増資(だいさんしゃわりあてぞうし)とは、企業における資本調達方法の一種。特定の第三者に対して新株を引き受ける権利を与える増資法の一種。企業の株主資本を充実させ財務内容を健全化することができる。
特定の第三者ではなく、広く多数の投資家に対して募集を行う場合は「公募増資」と呼ばれる。

一般的に、第三者割当増資は未上場企業の資金調達で行われる他、企業同士がお互いに第三者割当増資を行うことにより資本関係を持ち、連携した企業活動を行うために行われることもある。
また、敵対的買収の対象となった会社が買収企業の持ち株比率を低下させるために、買収防衛策の一環として、ホワイトナイトに対して第三者割当増資を行う場合もある。

ただし、第三者割当増資は既存の株主に対しては持株比率が低下する上、適正でない価格で第三者割当増資が行われた場合は、既存株主が不利益を被る可能性もあるため、発行手続きは会社法により一定の基準が決められている。新株を第三者に対して「特に有利な価格」で発行する場合には発行会社は株主総会においてその理由を開示した上で特別決議を行う必要がある。

貸借対照表

貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう:Balance Sheet)とは、B/L、バランスシートとも表記される企業の財務諸表の一種。損益計算書やキャッシュフロー計算書とならび、企業の財務状況を把握する上で重要な計算書の一種である。

企業が株主や監督官庁に対して作成する。資産と債務、資本の状況を示した会計報告書であり、企業が保有する資産の状況と資産取得に必要とした資金繰りにおいて特定時期(通常は決算期)における状況を提供するものである。

ダウ理論

ダウ理論(Dow Theory)とは、チャールズ・ダウの株式動向に関する考え方を示す用語。ダウ工業株平均指数(DJIA)などに応用した。現在でも多くのテクニカル分析理論の基礎として広く利用されている。

ダウ理論は大きく以下の要素により構成されれている。

1.平均は全てを織り込む
2.トレンドは「主要トレンド」「二次的トレンド」「小トレンド」の三種類で構成される
3.主要トレンドは3段階で構成される
4.トレンドの転換は確実なシグナルが出るまで継続される

ダウンサイジング

ダウンサイジング(Downsizing)とは、企業における組織の規模をスリム化することを指す。通常は従業員の解雇を含んだリストラ・レイオフのことを指す。

多国籍企業

多国籍企業(たこくせききぎょう:Multinational)とは、本籍地以外の複数の国において商業活動を行う企業のことを指す。

建て玉

建て玉(たてぎょく)とは、特定の金融商品の持ち高のこと。買いと売りの残高を指す。ポジションとも呼ばれる。また、未決済の金融残高のことを指す場合もある。単に玉(ぎょく)と表現されることもある。

チャイニーズウォール

チャイニーズウォール(Chinese Wall)とは、投資銀行内のディーリング部門・ファンドマネジメント部門・コーポレートファイナンス部門における部門間において部門間での情報のやり取りを防ぐための規定のこと。

例えば、コーポレートファイナンス部門がある企業に対して買収提案を行うような場合、その情報がディーリング部門に流されると、不適切な株式等の売買が行われる可能性があるため、これらの部門間での情報のやり取りを規制する規定のこと。
こうしたやり取りを行うことは国によって違いもあるが、一般的には違法行為として処罰の対象となる。

チャネルライン

チャネルライン(Channel Line)とは、相場における高値と安値のそれぞれを結んだ線のこと。チャート上をお互いに並行して並ぶ。

チャネルラインを相場が突き破る動きを見せた場合は、突き抜けた方向への新しいトレンドを見せるというのがチャート分析の基本となる。

直接利回り

直接利回り(ちょくせつりまわり)とは、債券保有者が得る収入指標の一つ。直接利回りを求める方法は、債券保有による年間のクーポン収入を債券の市場価格で割ることで計算できる。流通市場で債券を購入する場合は必ずしも額面で購入するわけではないため表面利率とは異なるのが一般的である。

ただし、発行市場で購入した債券の場合、通常は「表面利率=直接利回り」となる。

「直接利回り=1年間のクーポン収入÷債券の取得価格」

なお、直接利回りの場合、満期時における取得価格と額面価格との間の償還差益(差損)を考慮していない。たとえば額面100円の債券を95円で購入している場合、満期時には額面との差額である5円が利息とは別にもらえることになるがこの点が考慮されていない。

この取得価格との満期時の償還価格との差までを考慮した利回り計算を「最終利回り」と呼ぶ。

帳簿価格

帳簿価格(ちょうぼかかく:Book Price)とは、企業の貸借対照表(バランスシート)に記載されている購入当初の資産価値のことを指す。簿価とも呼ばれる。

例えば、ある土地を購入した場合、その購入価格が通常帳簿価格となる。従来まで、不動産などの有形固定資産は取得時の取得原価=帳簿価格として利用されてきた。
しかし、土地バブル以後の土地価格の急落等により、ゆがんだ帳簿価格が、その企業の貸借対照表(バランスシート)を分かりにくくしているという点から減損会計が導入された。

減損会計では帳簿価格(簿価)に比べて現在の時価が著しく減少している場合、その差額を損失として計上し、帳簿価格を調整する必要があるというものである。

追加証拠金

追加証拠金(ついかしょうこきん)とは、信用取引口座の残高が委託証拠金の最低限度を下回った場合に証券会社などが取引相手に対して請求する追加の保証金のこと。追証、追加維持証拠金などとも呼ばれる。

ディーラー

ディーラー(Dealer)とは金融商品の取引を行い、自己資金をもってポジション(建て玉)を取る個人または企業のことを指す。証券会社や銀行・保険会社の自己売買部門もディーラーに含まれる。

定期預金

定期預金(ていきよきん)とは、商業銀行に対して一定期間預け入れが行われている預金のこと。あらかじめ定めた期間銀行に預けておくことで普通預金よりも高い金利を預金者は得ることができる。銀行総合口座を開設した場合は普通預金とこの定期預金の両方の口座が一つになった通帳を受け取る。

あらかじめ定められた満期日まで原則として預金者は払い戻し請求ができない(期間満了前に引き出す場合は通常よりも低い金利が適用される)。単利のものと複利のものがある。また、満期期間については1ヵ月程度のごく短期のものから、10年もの長期に及ぶものまである。基本的に、期間が長期間になるほど定期預金の金利(利息)も大きくなるが、市場動向などによっては長期と短期の定期預金の金利水準が逆転する場合もある。

預金の種類と一覧
・普通預金
・定期預金
・積立預金
・当座預金
・外貨預金
・仕組預金

当座預金

当座預金(とうざよきん)とは、預金者が小切手や手形の支払などの決済をすることを目的とした口座のこと。決済預金とも呼ばれる。預金に伴う金利は付かない。ペイオフの対象外預金であるため、近年は本来の決済預金としての目的だけでなく、保護のための預金としても利用されることがある。

日本では、金融機関が破綻した場合(ペイオフ)、保護される預金額は1000万円とその利息までとされているが、決済性預金である当座預金は全額保護の対象となる。近年は企業間においても手形や小切手での決済が少なくなったことから、利用が減少している。

当座預金の残高が不足して小切手や手形の支払ができない場合「不渡り」となり、不渡りが2回行われる銀行からの借り入れなどが事実上不可能になり、企業経営を行うことができなくなる。当座借越契約を結んでいる場合は契約金額内であれば、借り入れを行うことができる。


当座預金口座と審査
当座預金は小切手や手形を通じた信用決済取引になるので、口座開設においては金融機関において審査がある。金融機関によって審査内容は異なるが、会社の実態、過去の取引実績、事業状況、決算、手形取引の必要性、代表者審査など多岐にわたります。
意外と当座預金口座の開設は難しいので、当座預金口座を作りたいのであればその銀行での実績を積むことが重要となる。
一般的には都市銀行など規模が大きい銀行ほど厳しく、地域密着型で規模が小さい銀行ほど審査が緩やかであるとされる。


預金の種類と一覧
・普通預金
・定期預金
・積立預金
・当座預金
・外貨預金
・仕組預金

普通預金

普通預金(ふつうよきん)とは、いつでも自由に預け入れや引き出しが可能で元本が保証されている預金口座のこと。現金自動預け払い機(ATM)で取引ができる。原則として銀行総合口座を開設した場合、預けた資金はこの普通預金となる。

なお、銀行総合口座を開設した場合は、普通預金と定期預金の二つが一つになった通帳を受け取ることになる。
普通預金の金利については、毎日の最終残高に対して変動金利で利息が付き、利払いは半年に一度行われる。いつでも自由に引き出すことができるという流動性の高さから、他の定期預金などと比較して金利(利息)自体は低く設定されている。

預金の種類と一覧
・普通預金
・定期預金
・積立預金
・当座預金
・外貨預金
・仕組預金

ディスインフレ

ディスインフレ(Disinflation)とは、インフレ率が低下することを指す。ディスインフレーションの略で、物価上昇率が低くなり、インフレが抑えられている状態。

インフレーションの状態からは脱却してるが、デフレーション(デフレ)にはいたっていないという状態。

2008年5月 9日

ディスカウント

ディスカウント(Discount)とは、一般的にはある商品が正規価格よりも割引された価格で取引されていることを指す。金融商品におけるディスカウントも同様で、基準となる市場価格よりも安い価格で取引されることを意味する。

例えば、株式の新規発行などに伴い公募が行われるときなどは、市場価格よりも数%安い価格で取引を行うことができるといった例などがある。外国為替市場においてはフォワードレートがスポットレートを下回る差額のことを指す。プレミアムの対義語。

デイトレーダー

デイトレーダー(Day Treaders)とは、自己資金で売買を行うが一日の取引時間においてポジション(建て玉)を決済するトレーダー(投資家)の総称。一日に何度も株式や為替などを売買して利ざやを稼ぐ投資方法を行う投資家。

繰り延べクーポン債

繰り延べクーポン債(くりのべくーぽんさい)とは、ディファード債とも呼ばれる債券の一種。当初数年間クーポンの支払が実施されず満期日に一括してその分の支払が行われる。キャッシュフロー発生を先延ばしすることで、税金の繰り延べが可能となる。

敵対的買収

敵対的買収(てきたいてきばいしゅう:Hostile Takeover)とは、対象となる企業の経営陣の同意を得ていない買収行為のことを総称して指す。

なお、敵対的買収といってもその買収内容がめちゃくちゃというわけではなく、あくまでも被買収企業の経営陣が同意していない場合を敵対的買収と呼び、買収提案内容自体は有益なものである場合も多い。敵対的買収の内容としては、同意を得ないでTOB(株式公開買い付け)を行い、買収の際に買い手となる企業が一定の条件で対象企業の株式を一般投資家から募ったり、市場内外で該当する企業の株式を秘密裏に買い集めたりすることが多い。

こうした敵対的買収に対して被買収企業は、ホワイトナイトと呼ばれる第三者に対して第三者割当増資を実施したり、ポイズンピル条項の発動による株式の希薄化を実施したりと敵対的買収から身を守るための買収防衛策を講じる場合もある。

出来高

出来高(できだか:Trading Volume)とは、特定の期間内において売買された証券の数などを示す。株式の場合は株数であり、先物取引の場合は枚で表現される。

通常出来高が多い証券などは売買が活発に行われていると見ることができ、流動性が保たれていると見ることができる。株式の場合は極端に出来高が少ない株式は証券取引所が定める規定により上場廃止となる場合もある。
一般的に、株式などの出来高はその株価と高い相関性があるとされており、ボリュームレシオといったテクニカル分析手法はこの出来高に注目したチャート分析の一種である。

上場廃止

上場廃止(じょうじょうはいし)とは、証券取引所において公開されている株式について、証券取引所が上場不適格と判断して投資家保護の観点から取引所での公開取引を終了することを指す。なお、証券取引所が判断する以外にも当該企業が自己の判断で上場廃止を選ぶ場合もある。

日本における上場廃止が行われる流れとしては、通常当該株式を監理銘柄(旧監理ポスト)または整理銘柄(旧整理ポスト)に指定した上で一定期間取引を実行させ、その後実際に上場廃止となるものである。

監理銘柄)
監理銘柄とは、ある株式が上場廃止基準に抵触する恐れがある場合に指定される。なお、監理銘柄に指定された株式が必ず上場廃止になるというわけではなく、監理銘柄指定が解除される場合もある。

整理銘柄)
整理銘柄とは、実際に上場廃止が決定した株式を一定期間、投資家に周知させるための専用区分。上場廃止日までの一ヶ月間整理銘柄として取引が継続され売買を行うことができる(但し、信用取引を行うことはできない)。

デフレ(デフレーション)

デフレーション(Deflation)とは、デフレともよばれ物価が継続的に下落する経済状況のことを指す。インフレーション(インフレ)の対義語。貨幣価値の上昇も意味する。

経済における需要と供給のバランスが崩れる(需要が供給を下回ること)が主なデフレ(デフレーション)の原因といわれる。この需要が供給を下回ることにより生産者の利益が減少し続けることによる新たなデフレ圧力を生むことをデフレスパイラルと呼ぶ。

デューデリジェンス

デューデリジェンス(Due Diligence)とは、デューデリとも略され、投資家や証券会社、銀行などが投資や融資を行う際に、投資対象となる企業の事業や経営の実態・内容について事実確認を行う作業のことを指す。

デューデリジェンスは大きく「ビジネス」「ファイナンシャル」「リーガル」の三つで構成されており、それぞれ以下のような調査が行われる。

1.ビジネスデューデリジェンス
企業の組織、生産、研究開発活動調査などが適正に行われているかの調査

2.ファイナンシャルデューデリジェンス
企業の財務諸表および過去の財務諸表(バランスシート・損益計算書・キャッシュフロー計算書)の精査ならびに、オフバランス資産(簿外資産)の調査。

3.リーガルデューデリジェンス
登記事項の確認、現在当該企業が締結している重要な契約および履行状態の確認、係争事件などの有無の調査。

デリバティブ

デリバティブ(Derivatives)とは、先物やオプション、スワップといった金融派生商品のことを指す。金融派生商品は現物資産を原資産としてその価値の一部を現物資産価値に負っていることからそう呼ばれる。

デリバティブは基礎となる原資産の変数により相対的な価値が決められるような金融商品を指し、原則的には実物資産の取引をおこなう者が将来にわたる価格変動を担保(ヘッジ)するためにおこなわれる契約の一種であった。
しかし、現在ではデリバティブが高いレバレッジ効果(小額資金で多額の原資産を売買したときと同様の経済的な利益(損失)を享受できる)があることから、投資や投機としても幅広く取引されており、現在では、原資産の売買高(出来高)よりも多くの出来高がある金融デリバティブ商品も多い。

デリバティブ取引を分類すると以下のような商品群に分類できる。

・先物取引
将来の期日に特定商品(モノ・有価証券・指標等)を一定の価格、一定の数量で売買する取引。リスクヘッジのための取引としても利用されるが、場合によっては、投機目的とされる場合もある。

・スワップ取引
あらかじめ定めた条件により、将来の一定期間キャッシュフローを交換(スワップ)する取引のこと。金利スワップ、通貨・為替スワップ、クレジットデフォルトスワップ、エクイティスワップなどのさまざまな種類がある。

・オプション取引
ある原資産をあらかじめ定めた一定の日(期間)で一定の価格で取引できる権利を売買する取引のこと。

2008年5月12日

転換社債

転換社債(Convertible Bond)とは、社債の一種で事前に設定された転換価格において発行企業の株式に転換することができる株式。一般的な転換価格は株式の平均価格にプレミアム分が上乗せされた形で設定されることが多い。頭文字からCBとも表記される。正式名称は転換社債型新株予約権付社債。

転換社債は、普通社債とはことなり、株式に転換することができるという特徴があることから、一般社債と比べてクーポン(金利)は低く設定されるのが通常である。また、転換価額を株価変動に応じて上下に修正できる特約が付いたものとしては一般的に、MSCB(転換価格修正条項付き転換社債)と呼ばれる。

ROEC

ROEC(Return on Capital Employed)とは、投下資本利益率とも呼ばれ、株主が利用できる全ての調達資金からのリターン(収益)を示す指標。営業利益を投下資本で割ることにより計算することができる。

投機

投機(とうき:Speculation)とは、金融市場で大きな利益を見込み、大きなリスクを取ること。短期的な価格変動いより利ざやを得ようとする好意であり、商取引可能なものであれば全てが投機の可能性となる。

投資適格債

投資適格債(とうしてきかくさい)とは、信用格付会社によりBBBやBaa以上の信用格付けを得ている債券のことを指す。格付けがおこなわれた段階ではデフォルトのリスクが想定されていない債券のこと。

信用格付け会社にはムーディーズやS&P(スタンダード&プアーズ)などが代表的。なお、投資適格債よりも下の格付けの債券を投機的格付債と呼ぶ。

当座比率

当座比率(とうざひりつ)とは、企業の短期債務の返済能力を示す指標。当座比率が高い企業ほど、手元流動性が高いと判断することができる。企業の流動資産と流動負債の割合により計算される。

当座比率は短期での資金化が可能な資産「現金・預金」「受取手形」「売掛金」「有価証券(一時所有)」の合計値が当たる。(計算方法によってはこの金額から貸倒引当金を控除する場合もある。

当座比率の計算方法としては、上記で示した流動資産から在庫を差し引き、流動負債で割ることにより計算できる。同じような企業の短期債務を図る指標としては流動比率があるが、当座比率は流動比率よりもさらに厳格で、必ずしも在庫が迅速に換金することができないということを考慮して流動資産から在庫を除いている。

2008年5月13日

毒薬条項

毒薬条項(どくやくじょうこう)とは、ポイズンピルとも呼ばれる買収防衛策の一種。企業買収の標的となった企業がとる行動で、買収が成功した場合は株式を大幅にディスカウントした価格で第三者に付与したり、企業年金基金などに長期的なコミットメントを負う約束をしたりすること。

取引の一時停止

取引の一時停止とは、重要な発表などを前に企業が自主的または証券取引所の指示に基づき株式の取引を一時的に停止することを指す。主に企業合併のニュースが流れた際などにおこなわれることが多い。

トリプルA

トリプルA(AAA/Aaa)とは、格付会社であるスタンダード&プアーズ社やムーディーズ社などが付与する格付けにおいて最上級の格付けであることを指す。

内部収益率

内部収益率(ないぶしゅうえきりつ)とは、キャッシュフローの規模やタイミングなどを考慮した投資収益の計算方法の一種。IRRと表記されることもある。

現在投資をする金額と将来得られるであろうキャッシュフローの現在価値が等しくなるように計算される収益率のこと。

現在価値

現在価値(げんざいかち)とは、発生時期が異なる貨幣価値を比較可能にするために将来の価値を一定の割引率を用いて現在時点に割り戻した価値のこと。現在割引価値、割引現在価値とも呼ばれる。

例えば、今日渡される100万円と10年後に渡される100万円はその価値が等価ではないことが感覚的にもわかるように、将来的な貨幣価値を算出するためにはそれぞれを現在価値に直すことが重要となる。現在価値に修正することにより発生の時期が違う貨幣価値を同じ見方で比較することができる。

仮に、割引率を5%とする際、1年後の100万円は現在の100万/1.05となり、95万2400円となる。この95万2400円は1年後の100万円の「現在価値(現在割引価値)」というように呼ばれる。
具体的な計算は下記の計算式により求められる。

現在割引価値=将来価値/利回り^期数

ちなみに、将来の価格を割る利回りのことを「割引率」とも呼ぶ。この割引率の計算は通常「金利」が当てはめられるが、計算の対象によってはこれに「リスク」を計算する場合がある。

現在価値という概念は機会損失に伴うによる賠償金額の算定やDCFに基づく収益還元法など広く用いられる。

二重上場

二重上場(にじゅうじょうじょう)とは、二箇所以上の証券取引所に上場している企業のことを指す。

日経平均

日経平均(にっけいへいきん)とは、日本経済新聞社が決定している東京証券取引所の株価を反映した代表的な指数のこと。

一般に、日経平均と呼ぶ場合は、日経225種平均(NIKKEI225)を指す場合がほとんどである。名前の通り、東京証券取引所の第1部に上場している銘柄の内売買が活発で市場流動性の高い225銘柄に対してダウ修正を施して単純算術平均により算出したもの。

日経平均の先物は大阪やシンガポール、シカゴで取引されている。特に、ニューヨーク取引時間と連動するシカゴでの日経平均の先物の動向は翌日の東京株式市場の市況動向に対しても大きな影響を与えることが多い。

デュアルカレンシー債

デュアルカレンシー債(Dual Currency Bond)とは、二重通貨建て債券とも呼ばれる債券の一種。利払いは特定通貨でおこなわれるが、元本償還は米ドルなどの他通貨でおこなわれるといったもの。

通常、デュアルカレンシー債は同時期発行の債券よりも利払いがよいのが一般的であるが、投資家は償還時に他通貨で償還されることから為替リスクを負うことになる。発行体が償還通貨を保有していない場合も発行通貨建ての債務をかかえる企業に対して保証された為替レートを通貨スワップ取引に利用することができる。

値洗い

値洗い(ねあらい:Mark to Market)とは当日の終値を基にしてポジションやポートフォリオを評価替えして潜在的な利益や潜在的な損失を価値に反映させることを指す。時価評価ともいう。

所得税

所得税(しょとくぜい:Income Tax)とは、所得に対して担税力を見出して課税する税金の一種。広義には法人税や住民税、事業税、個人所得税などが該当する。

日本における個人所得税は、1月1日から同年12月31日までの一年間に生じた個人の所得に対して課税される国税を指す。日本の個人所得税は原則総合課税による累進課税であり、全ての所得を一括して合計し、底に対して税率を掛けるというのが原則であるが、実際には大きく、「利子所得」「配当所得」「不動産所得」「事業所得」「給与所得」「退職所得」「山林所得」「譲渡所得」「一時所得」「雑所得」の10種類の所得に分類されており、それぞれで所得の計算方法が異なる。

消費税

消費税(しょうひぜい)とは、VAT(Value Added Tax)の一種で消費(付加価値)に対して担税力を求める概念の税金の一種。

消費税は、所得に応じて累進課税を採用する所得税とは異なり、消費全体に対して課税させることから、比較的低所得者層ほど所得に占める消費税の負担割合が大きいという逆進性をもっていることから、それらの層に対して不公平感がある一方で、同一の財やサービスを消費すれば所得に関係なく税負担をすることになるため、公平性は高いともいえる。

累進課税

累進課税(るいしんかぜい)とは、日本の所得課税において採用されている課税方式。高額所得者ほどより高い税率が課されるという課税方式の一つとなっており、所得課税としては世界的にも一般的な方法となっている。一般的には、超過累進課税が採用されている。

日本の所得税、超過累進課税という方式を採用しており、一定の金額ごとに異なる税率が定められている。そのため、所得金額による税額の逆転は起こらない。
超過累進課税制度においては基準金額を超えた部分に対してその税率が課されることになる。例えば、所得100万円までは10%、所得200万円までは20%、所得500万円までは30%という超過累進課税による所得税が設定されていた場合で所得額が500万円の場合、

100万円までの部分は10%のため、100×10%=10万円
200万円までの部分は20%のため、(200-100)×20%=20万円
500万円までの部分は30%のため、(500-200)×30%=90万円

となり、この人が納めるべき所得税額は、10+20+90=120万円
最終的な税率は120万円÷500万円=24%となり、このケースでの税率は24%ということになる。

累進課税は高所得者ほど担税力(税金を負担する能力)が高く、かつ税金による低所得者への所得再分配効果による課税の公平(垂直的公平)を達成するための手段として、日本だけでなく先進国では広く採用されている概念である。

日本においては総合課税の対象となる所得がこの累進課税の形態をとっている。一方で、申告分離課税や源泉分離課税の対象となっている株式の配当金、譲渡益(売買益)、預金の金利、一部の先物取引による利益などは分離課税の対象となり、一律の税率で課税されている。これを「申告分離課税」と呼ぶ。

垂直的公平

垂直的公平(すいちょくてきこうへい)とは、課税による所得再分配を考える上での重要な用語。高所得者から低所得者へ所得を再分配(一般的には税制・社会保障がその役割を担う)することにより縦のラインでの公平を達成するという考え方。

所得税等における累進課税はこの垂直的公平を達成するための重要な手段とされており、水平的公平とならび課税における重要な概念の一つ。

水平的公平

水平的公平(すいへいてきこうへい)とは、課税における重要な概念の一つ。垂直的公平とならび、課税の公平性を期すための考え方で、等しい担税力に対しては等しい課税をおこなうという考え方である。

課税の三原則

課税の三原則(かぜいのさんげんそく)とは、税金という社会維持のために強制的に徴収されるものであるからこそ、原則に従い誰もが納得できる形で構成されなければならないという考え方の基、「公平」「中立」「簡素」の三つの原則により構成されるべきという考え方。

公平
垂直的公平と水平的公平に代表される。特定の人が有利になったり、不利になったりしない公平な課税でなくてはならないと言う考え方。

中立
税制により特定個人や企業に対して優遇したり、重い負担を求めたりせず、経済活動に対して中立を保つべきという考え方。特定の税制の存在により企業や個人の経済的活動に対して恣意的な行動を求めてはいけないという考え方。

簡素
税制は誰でもよくわかり、経費がかからない手法により徴収されなくてはならないという考え方。

総合課税

総合課税(そうごうかぜい)とは、複数の所得をまとめて総合的に課税するという所得税の課税方式の一種。対義語として二元的所得税などが挙げられる。日本では、原則総合課税が採用されているが、利子所得に対する源泉分離課税や、株式の配当所得や譲渡所得に対する申告分離課税など現実的には完全な総合課税は達成されていない。

総合課税においては、すべての所得を合算してそれに対して税率がかけられて納税額が決定される。日本では、累進税率により所得が増加するほど税率がアップする仕組みとなっている。累進税率は超過累進課税という方式により、一定額を超えた部分に対してそれぞれの税率がかかるようになっている。

たとえば、
100万円まで:10%
300万円まで:20%
600万円まで:30%
それ以上:40%

以上のような税率で超過累進課税が課せられている場合、年間の所得額が700万円の場合の課税額は
100万円×10%+200万円×20%+300万円×30%+100万円×40%で計算され、納税額(課税額)は180万円となる。

源泉分離課税

源泉分離課税(げんせんぶんりかぜい)とは、所得税において利子所得などに対しておこなわれている課税形態の一種。総合課税とは別勘定で税額を計算して、納税者は申告することなく所得から自動的に徴収される税金のこと。

分離課税の一種で、銀行における利子などが代表的。利子所得の場合、所得がある個人が申告する義務はなく、銀行側が税金分をあらかじめ源泉徴収して、銀行が納税している。このほかにも上場株式の配当金、証券会社の特定口座において源泉徴収ありを選択した場合の株式譲渡益、投資信託の収益分配金などが源泉分離課税の対象となる代表的な所得である。

源泉分離課税の場合、源泉分離課税の対象となる所得額がいくらであっても総合課税の対象となる所得の累進課税における税率などには影響を及ぼさない。

なお、同じ分離課税の中でも申告が必要な分離課税を申告分離課税と呼ぶ。この場合、所得から自動的には徴収されていないので、後日確定申告を行い納税する必要がある。

申告分離課税

申告分離課税(しんこくぶんりかぜい)とは分離課税の一種で、総合課税の勘定とは別に課税される税金であり、確定申告の段階で、他の所得と合算せず、分離して課税する制度をいう。源泉徴収課税と異なり、所得が発生した時点では所得から天引きされない。

現在、申告分離課税の対象となっている所得の代表例としては株式の売買益が挙げられる(証券会社に特定口座を開設している場合は、源泉分離課税も選択可)。このほか、退職所得、山林所得、譲渡所得の内で不動産売買に関するもの、雑所得の内で先物取引によるものなどが申告分離課税の対象となっている。
また、為替取引のFX(外国為替証拠金取引)はくりっく365や大証FXといった取引所取引による所得も申告分離課税となっている。
※2012年より、FX取引はすべて申告分離課税化。先物取引等との損益通算が可能。

申告分離課税は「分離」と名前がついているとおり、他の所得とは合算されず別枠で計算される。なお、同じ分離課税の中でも申告をしなくても良い方式を源泉分離課税と呼ぶ。

利子所得

利子所得(りししょとく)とは、所得税における所得区分の一つ。公社債および預貯金の利子・利息、投資信託の収益の分配に係る所得の事を指す。

利子所得は所得税の中でも源泉分離課税が適用され、総合課税の対象外となっている。一般個人にもなじみの深い所得の一種。

配当所得

配当所得(はいとうしょとく)とは、所得税における課税所得区分のひとつであり、法人から受け取る利益・剰余金の配当、特定目的信託の収益分配に係る所得のことを指す。

配当所得は所得税法上は総合課税の対象であるが、租税特別措置法の規定により源泉徴収され、小額配当の場合の申告不要制度や上場株式の配当に関する課税の特例制度が設けられており、一般的には源泉分離課税がおこなわれているといえる。

不動産所得

不動産所得(ふどうさんしょとく)とは、所得税における所得区分のひとつであり、不動産や不動産上に存在する権利、船舶・航空機の貸付などによる所得を指す。ただし、事業所得又は譲渡所得に該当する所得は含まない。

不動産所得と事業所得は密接なつながりがあり、実際に当該所得が事業所得なのか不動産所得なのかの判定が困難な場合があり、現在では個別の実情に合わせた判断がおこなわれている。大きくは、どれだけ勤労性があるかが焦点となり、人的役務の提供が賃貸と一体となっておこなわれている場合は事業所得に該当し、そうでない場合は不動産所得に該当すると判断されるのが通例である。

アパート経営やマンション投資のように不動産に投資をしてインカムゲインを得る場合の取扱いについてであるが、事業的規模の算定には下記の外形基準がもいちられることが多い。下記のいずれかを満たす場合は不動産所得としてではなく、事業所得として認められる。

1.独立した部屋数(室数)が10室以上であること
2.独立家屋が5棟以上であること

事業所得

事業所得(じぎょうしょとく)とは、所得税における課税所得区分のひとつ。農業・漁業・製造業・卸売業・サービス業・その他政令で定める事業により生じる所得を指す。

事業所得となる金額はその年の事業所得にかかる総収入金額から必要経費を控除した金額となり、青色申告者はさらに青色申告特別控除を控除することができる。事業所得は他の総合課税の対象となる所得と合算して累進課税による総合課税がおおなわれる。ただし、事業所得において一定の要件を満たす場合は、平均課税による税額計算の特例が認められる。

給与所得

給与所得(きゅうよしょとく)とは、所得税における課税所得区分の一つ。棒給・給料・賃金・賞与ならびにこれらの性質を有する給与に対して係る所得を指す。

税額の計算は総合課税の対象となり、給与収入から給与所得控除を差し引いた額について課税がおこなわれる。給与所得控除は実際に必要とされた必要経費の額ではなく、給与の収入金額に応じて計算される概算経費控除である。

退職所得

退職所得(たいしょくしょとく)とは、所得税における課税所得区分のひとつ。退職手当、恩給、その他退職により一時に受け取る給与およびこの性質を有する給与に係る所得を指す。

退職所得は給与所得と同様に勤労性所得の一種ではあるが、給与所得とは異なり一年という年度による所得ではなく、長期間の勤労に対する一括後払いという性質を有すること、また退職所得を得たものにとっては、退職所得が退職後の生活設計における原資となるべき所得であることから、担税力が低いとみなされており、課税上の配慮がされており給与所得よりも税率・税額の両面で優遇されている。

山林所得

山林所得(さんりんしょとく)とは、所得税における課税所得区分のひとつ。山林の伐採や譲渡による所得を指す。

山林所得は所得類型的には事業所得と類しており資産性所得と勤労性所得の結合した所得であるが、山林の場合、生育して伐採するまでの期間が長期間にわたることから、一般的な事業所得とは異なることから、事業所得とは別に山林所得という類型が設けられている。

譲渡所得

譲渡所得(じょうとしょとく)とは、所得税における課税所得区分のひとつ。資産の譲渡による所得を指す。原則総合課税の対象ではあるが、一定の譲渡に関しては申告分離課税が採用されている。

譲渡所得の内、土地・建物について5年以内か5年超により税率が異なっており、上場株式の売買については年数に関係せずに一律課税されている。これら、土地建物の売買および株式の売買については、申告分離課税となっている。
ただし、上場株式の売買については証券会社に特定口座を開設している場合に限り源泉分離課税とすることが認められている。

譲渡所得は資産性の所得であり、損益を出すタイミングを個人が自由に操作できることから、総合課税とすることにより恣意的に損失を計上することで他の所得の所得税回避に用いられる可能性があることから、分離課税の対象とされている。なお、一部の欧米諸国では、譲渡所得などの資産性所得と勤労性所得を分離した二元的所得税を採用する国もある。

一時所得

一時所得(いちじしょとく)とは、所得税における課税所得区分のひとつ。利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得以外の所得のうち、非営利を目的とした非継続的行為による所得を指し、資産性所得でも勤労性所得でもないものを指す。

一時所得しての代表的なものとしては、くじや懸賞による商品や賞金、公営競技(競馬・競輪など)の払戻金・生命保険金の一時金・遺失物の取得による報労金などがその対象となる。

一時所得の計算方法は、若干独自であり、総収入金額からその収入を得るために支出した金額を控除し、さらに年間最高50万円の特別控除額を差し引いた金額を1/2にした金額が課税対象となり、この所得額が総合課税の対象となる。

雑所得

雑所得(ざつしょとく)とは、所得税における課税所得区分のひとつ。利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得のいずれにも該当しない所得を指す。

雑所得のうち、最も一般的なのは公的年金や恩給が挙げられる。これらの公的年金や恩給については、収入金額から公的年金所得控除を差し引いた額が課税対象となり、これ以外の所得がある場合は、雑所得となる収入-必要経費を差し引いた額が雑所得となる。

なお、上記の二つが両方ともある場合であっても、それぞれ別に計算して合算して計算することになる。雑所得については一年間の雑所得が20万円を超えた場合申告義務が生じる。
裏を返せば、一年間の雑所得(経費控除後の金額)が20万円以下の場合は申告が不要となっている。

担税力

担税力(たんぜいりょく)とは、その名前の通りどれだけの税金を負担する力があるか、ということを指す租税用語。租税を負担するものが社会的に是認できる目的を妨げられることなく、租税を支払える能力のこと。

例えば、同じ所得500万円であったとしても、一人暮らしをしている家計と、子供2人と妻を抱える家計では、租税を負担することができる能力に差があるのは明白である。生活費だけを見ても後者の方が必要となる経費(食費や住居費、教育費など)は大きいことから、同じ500万円の所得であっても担税力は異なると解釈される。
このため、担税力の違いを考慮するために存在するのが所得税の場合は配偶者控除などの制度が設けられていると解釈することができる。

2008年5月14日

ネイキッドポジション

ネイキッドポジション(Naked Position)とは、ヘッジをおこなっていない状態のロングポジションまたはショートポジションのことを指す。

名前の通り「裸のポジション(建て玉)」ということになります。

値幅制限

値幅制限(ねはばせいげん)とは、一日における取引で容認されている上下の値動きの幅のこと。証券取引所などが設定するものでこれを超えると売買停止となる。通常は前日の最終決済価格(終値)をベースに決められる。

値幅制限一杯に価格が変動している状態をストップ高またはストップ安と呼ぶ。サーキットブレーカーの一種である。

配当金

配当金(はいとうきん:Dividend)とは、企業の税引き後利益のうち株主に対して分配される部分のこと。通常取締役会で配当額および支払時期を仮決定し、それを株主が定時株主総会において承認する流れとなる。単に「配当」と呼ばれることもある。

なお、株式における配当以外にも「配当金」という言葉は用いられるが、ここでは、株主に対する利益の配当金について説明するものとする。

株主が株式会社があげた利益や内部留保において利益配当請求権に基づいて受け取ることができる利益の分配金のことを指す。一般的には、現金によるものが多いが、場合によっては株式によってなされることもある(株式配当など)。企業製品などの現物支給(株主優待など)は配当には含まれない。基本的に、1株に対して○円という形で株主総会において承認された金額が支払われる。

関連キーワード

・増配
配当金の金額が前回よりも多くなること。

・復配
これまで配当していなかった会社(無配)が配当金を払うようになること。

・減配
配当金の金額が前回よりも小さくなること。

・無配
配当金が支払われなくなること。

株主優待

株主優待(かぶぬしゆうたい)とは、企業が株主に対して品物やサービスなどを提供する制度のこと。株主優待として提供されるものは当該企業の製品やサービスであることが多いが、それ以外にも商品券や金券などで支給される場合もある。

2008年現在では、上場企業のうち1000社程度がこの株主優待制度を設けており、上場企業の25%以上の比率にあたる。株式持合いの解消などの動きから企業も、個人投資家を安定株主とするための施策の一環とされる。また、株主優待を提供して自社製品・サービスに対する認知度を高め、株主自身にお客さんとなってもらうという目的がある会社も多い。

株主優待は配当とは異なり、株主総会で議決を得る必要は無く取締役会の決議によりその内容を変更することができる。人気の株主優待を行っていた企業が株主優待制度を廃止・改悪した際などは大きく株価が下がることもあるので、株主優待だけを目的とした投資にはリスクもある。

配当利回り

配当利回り(はいとうりまわり:Dividend Yield)とは、株式投資により得られる収益の指標として広く用いられる指標の一つ。株価に対する年間配当の比率のこと。

たとえば取得時点の株価が1,000円で、1株あたりの配当金の金額が40円という場合、40÷1000=0.04となり、配当利回りは4%となる。

株価の割高、割安を判定する指標としても用いられるが、当該企業の今後の資本政策などにより大きく変わるため、配当利回りだけで株価の割高・割安を判定することはできない。例えば、今後の投資のために内部留保を多くおこなう企業はその分配当にまわされる利益が減少することから配当利回りは低くなる。しかし、こうした企業は将来的にはより多くの収益を獲得することができるようになり、結果的に株価が上昇し、株主にとって結果的にプラスになるという場合もある。

DDM

DDM(Dividend Discount Model)とは、配当割引モデルのこと。普通株式の適正価値を将来的に予測することができるキャッシュフローの現在価値の合計であるという考え方に基づく株価分析モデルの一種。

債券の評価法との比較が容易であることが特徴で、予想される株式配当を適切な比率にてディスカウントすることにより求めることができる。

バイナリーオプション

バイナリーオプション(Binary Option)とはオプションの一種で、満了日を含むオプションの権利行使期間内において、原資産があらかじめ定められた価格に到達した時点で決められた金額の支払がおこなわれるもの。デジタルオプションとも呼ばれる。

原資産が一定の価格に到達した時点で一定の価値を持ち、そうでない場合は無価値のオプションのこと。要するにオールオアナッシングのオプション取引で、一定の条件を満たした場合には一定の利益が得られう物の、それを満たせない場合は一定のオプション料の支払いが必要となるというもの。
つまり、投資の段階で最大利益と最大損失が確定するというタイプのオプションとなる。

最近では、FX取引(外国為替証拠金取引)の分野においてこのバイナリーオプションを利用したサービスが増加傾向にある。

売買一任勘定

売買一任勘定(ばいばいいちにんかんじょう)とは、口座の保有者である顧客から売買に関する裁量権を委託された金融機関が顧客の代理人として資産を運用することを指す。

なお、売買一任勘定による全面的な委託を受けるに当たっては当該投資顧問会社などがそれをおこなうにふさわしいかの免許を取得することが要件とされている。ラップ口座とも呼ばれることがあり、請け負った金融機関は投資家から預かった資産の運用について全面的(または部分的)に運用を委託される。
ただし、売買一任勘定(またはラップ口座)において損失が出た場合、そのリスクはすべて運用者ではなく、運用を委託した投資家が負うことになる。

端株取引

端株取引(はかぶとりひき)とは、証券取引所などで取引されている標準的な売買単位に満たない株式の売買の事を指す。通常、証券取引所を通じて売買することはできず主に、証券会社が相対にて買取をおこなったりする。

パッシブ運用

パッシブ運用(Passive Management)とは、特定の市場またはセクターの構成を再現して、それらに直接投資した際のリスクおよびリターンを同一にすることを主眼に置いた運用方法のこと。インデックス運用とも呼ばれる。対義語はアクティブ運用。

バリアーオプション

バリアーオプション(Barrier Option)とは、オプション取引の一種で、原資産の価格が事前に設定されている「バリア」という水準に達した時点で権利が発生(または消滅)するものを指す。エキゾチックオプションの一種。ほかに「バイナリーオプション」というものがある。

シンジケート団

シンジケート団(しんじけーとだん)とは略してシ団とも呼ばれる、債券の発行に責任を持つ金融機関の集団の事。シンジケート団は債券発行リスクを共有し、総額を扱いやすい金額に小分けすることを目的としている。

日本において以前は新規発行の国債を引き受ける組織を指したが、2006年に廃止されている。シンジケート団は新規発行の有価証券の募集や売り出しのキャパシティを増大させ巨額の有価証券を消化するために組織されており、金融機関にとってもシンジケート団を組むことにより、1機関あたりの融資額が少なく済むようにリスクを分散することができる。

有価証券の発行以外にも、同一の条件や契約に基づき、大企業などが複数の金融機関から資金調達することをシンジケートローンと呼ぶ。

Bid

Bid(ビッド)とは、マーケットメイカーが提示する証券や金融商品、為替の買値のこと。Bidは買値と訳されるが、これはマーケットメイカー(金融機関等)にとっての意味となるので、投資家とマーケットメイカーが取引する際、Bid(ビッド)は売値となる。

要するにビッドレート120円と提示された場合は、当該マーケットメーカーは今なら当該金融商品を120円で買いますよ、と宣言しているという意味であり、投資家は当該マーケットメーカーに対して金融商品を120円で「売る」ことができるという意味になる。対義語はAsk(アスク)。

Ask

Ask(アスク)とは、マーケットメイカーが提示する証券や金融商品、為替の売値のこと。Askは売値と訳されるがこれはマーケットメイカー(証券会社・銀行など)側から見た意味となるので、投資家とマーケットメイカーが直接取引きする際、Ask(アスク)は買値となる。

つまり、アスクレート120円とマーケットメーカーが提示している場合、当該マーケットメーカーは当該金融商品を120円で売りますよと宣言しているということになり、投資家はマーケットメーカーに対して金融商品を120円で「買う」ことができるという意味になる。対義語はBid(ビット)。

マーケットメーカー

マーケットメーカー(Market Maker)とは、個別の金融機関(または複数の金融機関)がAsk(売値)とBid(買値)を提示していつでも取引に応じる者のことを指す。なお、マーケットメイカーによる価格形成が行われる市場を「クオートドリブン市場」と呼び、この価格決定方式のことを「マーケットメイク方式」と呼ぶ。

マーケットメーカーが活躍する市場としては、日本におけるジャスダック市場(店頭市場)においては4社以上の証券会社がそれぞれ、AskとBidを出しながら取引をおこなうマーケットメイク銘柄(MM銘柄)などが代表的。

このほか、近年取引者が増加している外国為替証拠金取引においては、従来投資家と取引業者の相対取引(店頭取引)であったFX取引を「くりっく365」と呼ばれる取引所取引にて取引する際は、マーケットメーカーが提示する価格によるマーケットメイク方式となっている。

Pips

Pips(ピップ)とは、値動きのことを指し、通常、Pips(ピップ)やPoint(ポイント単位)にて表現される。通常ピップはポイントとほぼ同義で使用される。取引可能な最小レートのことをさす。FX(外国為替証拠金取引)なおでよく使われる言葉である。

1pipsは取引可能な最小レート(単位)である。例えば、日本円と米ドルの為替レートは1ドル=100円24銭といったように表示されるが、この場合は1銭が1pipsとなる。
なぜ、わざわざ1pipsという言葉で表現されるのかというと、FXなどの場合には円対外貨の取引だけではなく、外貨対外貨による取引もあるためである。

例えば、FX取引では、米ドルと豪ドルの取引をすることも可能である。この場合の最低取引単位は0.0001となる。この単位をわざわざ説明するのは面倒なため、それぞれの最低取引単位をPipsで表現している。

また、一般的な用例としては○pipsの利益を得た、あと×pips下がったら損切りするなどというように使われることが多い。

2008年5月15日

標準偏差

標準偏差(ひょうじゅんへんさ)とは、統計学における手法で複数の値の中において個別の値が中間値(または平均値)と比較してどの程度の違いがあるかを計測するもので、リスク要因を分析する手段として利用される。

相場で使われるボラティリティもこの標準偏差で分析されるもので、どの程度の価格の幅があるのかを示す。投資における「リスク」というものは、価格のぶれ幅のことを指し、標準偏差の大きさ=リスクの大きさと考えても良い。

標準偏差の計算方法は以下のとおり

たとえば、ある投資信託の将来の期待収益率がすべて同じ確率で+10%、+50%、+60%になると想定されているとする。このリターンの算術平均は40となる。
この平均値とそれぞれの数字における差のことを「偏差」と呼ぶ。例では、10-40=-30(1)、50-40=10(2)、60-40=20(3)となる。

当然偏差の合計はゼロとなるため、偏差を2乗してすべてプラスとして考える。(-30)2=900、102=100、202=400この合計値は1400となる。さらに、その数字を偏差の数である「3」で割ることで求められる467のことを「分散」と呼ぶ。
この分散値は、2乗して計算したものであるため、467の平方根(ルート)をとることで、数字は21.61(%)となる。

この21.61(%)がこの投資信託の標準偏差(リスクのばらつき)となり、この運用商品は21.6%の価格変動リスクがある運用と考えることができる。

こうした標準偏差の考え方は「シャープレシオ」など資産運用のリスク管理の手法などにも用いられる。

フィボナッチ数列

フィボナッチ数列(Fibonacci Numbers)とは、13世紀の数学者レオナルド・フィボナッチが発見した数列で、2つの連続した数の和が次に上位にくる数値に等しいというもの。

最初の4つの数字の後は、どの数もその上位の数に対する比が0.618に近づく。自然界の多くの事象がこのフィボナッチ数列により求められる黄金比に類するとされており、相場のテクニカル分析においても目標値などを計算するにあたって利用されることがある。

テクニカル分析の一つである「エリオット波動理論」もこのフィボナッチ数列が利用されている。

複利(複利効果)

複利(ふくり:Compound Interest)とは、元金に再投資された利息分を加えたものに付く利息のこと。例えば、1年複利の場合は金利計算が年に一回おこなわれ、翌1年後には、当初の元金に対して1年前に付与された金利分に対しても利子が付く。

いわゆる「雪だるま式」とも呼ばれ、利息に対して利息が付いていくことで加速度的に資産(負債)が増加することを複利効果と呼ぶ。

複利という考え方は資産運用など様々な運用で重要な考え方である。例えば、100万円の元金を30年間金利5%で運用した場合、単利と複利(1年複利とする)では以下のように運用成績が異なる。

単利の場合
100万円+(100万円×0.05×30)=250万円(元利)

複利の場合
100万円×(1.05)30=432.19万円(元利)

複利効果は利回り(利息・利子)が大きいほど、運用期間が長くなるほどその効果は大きくなっていく。資産運用においては利回りと時間が大切であるといわれるのはこの複利効果から導き出されている。

一方で、複利効果は負の側面で働くこともある。代表的なのが借金に対する複利効果である。通常多くの借入金(キャッシングやローン、住宅ローンなど)も基本的に複利となる。こちらも借入利息と借入期間が長いほど総返済額は大きくなる。


複利効果を示すものとして代表的なものに「72の法則」というものがある。これは、複利で計算するとき、元本が2倍になる際に必要な年数を計算することができる法則である。

計算は単純でこの72を「任意の数字」で割ったときに示される「答え」のうち、「任意の数字=利率」、「答え=必要な年数」となる。例えば、利率4%で資産運用をする場合、72/4=18年、つまり、毎年4%で運用したら18年かけて資産が2倍になるというものである。

単利

単利(たんり)とは、金利計算において金利分の再投資リターンを考慮しないものを指す。対義語は複利。一般的に、債券のなどの金利は再投資されないため、単利で示される。

普通株

普通株(ふつうかぶ:Common Stock)とは、株式会社に対する出資者の所有権を示す証券の一種。所有者のことを株主と呼び、株主総会で決定された配当を受ける権利の他、株主総会での発言権、議決権などを有する。

また、出資企業が倒産した場合には残っている財産(残余財産)を請求する権利を有する。一般的には普通株1株に対して1票の議決権を持ち、企業経営陣の選出や承認をおこなう。企業が発行する株式の中でも最も一般的なものであり、証券取引所などで取引される株式はこの普通株である。

なお、普通株以外の株式の種類としては「優先株」「劣後株」などが挙げられる。

普通社債

普通社債(ふつうしゃさい:Bukket Bond)とは、特別な権利や条項が付帯しない社債のこと。確定利子が支払われ満期には全額が償還される。年1回ないしは2回の利払い(金利の支払)がおこなわれる。

ブラックショールズモデル

ブラックショールズモデルとは、ヨーロピアンオプションにいて広く利用されるオプションの価格評価モデルのこと。ブラックショールズ式(方程式)などとも呼ばれる。1973年にフィッシャーブラックとマイロンショールズにより提唱された。

いわゆる編微分方程式のkとで、ブラックショールズモデルはヨーロピアンコール(プット)およびのオプションプレミアムを計算するモデルで、現在の金融工学の先駆け的な考え方であるといわれる。

不良債権

不良債権(ふりょうさいけん:Bad Debt)とは、金利支払や元本返済が滞っている債権のことを指す。一事、日本でも不良債権問題と騒がれ銀行の経営危機問題にまで発展した。

不良債権を保有する場合、債権の第三者への売却、貸し倒れ引当金を元にした償却をおこなうのが一般的である。近年では、デットエクイティスワップなどの手法を用いて経営再建を図るケースもある。

プレースメント

プレースメントとは、新株の発行を私募(しぼ)形式によりおこなう方法を指す。一般的には個人投資家向けではなく、機関投資家に対して直接おこなわれる。

パリティ

パリティ(Parity)とは、等価である状態のことを指す。為替市場においては、通貨の交換レートが公式な指標価格と同じであるということを意味する。また、債券取引においては、転換社債(CB)の株価÷転換価格×100で示される。

例えばCBの転換価格が500円で現在の株価が500円の場合、500÷500×100=100となり、パリティは債券額面と同様になる。これが、株価が上昇して800円になった場合、800÷500×100=160となり、パリティが債券額面よりも60%上昇したことになる。

ベーシスポイント

ベーシスポイント(Basisi Point)とは、1%の100分の1、つまり0.01%のことを指す。長期金利や公定歩合などの変動があった場合などに、40ベーシスポイントの変動(0.4%の変動)というように用いる。

ペーパーカンパニー

ペーパーカンパニー(Shell Company)とは、法人登記はされているものの営業活動をおこなっていない企業のことを指す。なお、ペーパーカンパニーという呼び名は和製英語であり、英語ではShell Companyと表現する。

一般的には、節税や悪徳商法などのダミー会社として用いられることがあり、主に海外にて法人登記をおこなっているケースが多い。

なお、法人持ち株会社は事実上営業活動をおこなっていないケースもあるが、法律で認められている法人持ち株会社はここでいうペーパーカンパニーには該当しない。また、過去に営業をおこなってはいたが、業績悪化などの諸事情により現在は営業をおこなっていない会社のことは休眠会社と呼ばれ区別される。

ヘッジ取引

ヘッジ取引(Hedging)とは、様々なリスクを最小化することを目的とした取引や行動の事を指す。例えば、輸出企業が為替の変動による営業上のリスクをヘッジするために、通貨オプションを購入(為替予約)する場合などが挙げられる。

このほかにも、企業規模が大きくなるほど様々なリスクがあり、例えばパン製造業者の場合は小麦価格の変動が事業場の大きなリスクとなるため、先物取引やオプション取引により小麦価格変動リスクを低減させたり、航空会社が原油価格の変動に対してオプションを購入する場合などが挙げられる。こうしたヘッジ戦略を実行する主体のことをヘッジャーと呼ぶ。リスクヘッジのための取引。
また、FX(外国為替証拠金取引)におけるカバー取引なども代表的なヘッジ取引の一つである。

ヘッジファンド

ヘッジファンド(Hedge Funds)とは、投機性の高い投資戦略をおこなうファンドのこと。不特定多数の出資者からお金を集めるのではなく、借入金または、私慕にて資金を集めて運用をおこなうことが多い。

ポートフォリオは極めて高いレバレッジを示す場合もあり、高いリスクをとり高いリターンの獲得を目標としている。多くの資産を持つ富裕層やごく限られた一部の資産を投機性の高い投資にて運用する大規模な機関投資家などが挙げられる。

ヘッジファンドにおける投資スタイルはそれぞれのファンド運用者により様々であるが、マーケットニュートラル戦略やロングショート戦略などが代表的なヘッジファンドの投資戦略として知られている。
また、投資対象は株式や為替、債券、指数といった通貨や有価証券でけでなく、コモディティ(商品)、不動産など多岐にわたる。

レバレッジ

レバレッジ(Leverage)とは、テコという意味で、レバレッジ取引は少ない資産で多くの取引をおこなうことを指す。通常は倍数で表現しレバレッジ4倍という場合は資産100万円で400万円分の投資をおこなっているという意味になる。

要するに、レバレッジという考え方は「てこの原理」であり、てこを使うことで重い物をすくない力で持ち上げることができるようにレバレッジを使うことで少ない自己資本で大きな資本を動かせるという意味になる。株式投資における信用取引やオプション取引、外国為替取引におけるFX(外国為替証拠金取引)などがレバレッジを用いた取引の代表的存在として挙げられる。

ただし、高いレバレッジを取るということはそれだけ大きなリスクを負うことになる。
例えば、レバレッジ10倍の取引をおこなうということは、投資対象の価格が10%マイナス方向に動くだけで投資した全ての資産が無くなるという意味になり、高いレバレッジをとる場合はその分ハイリスク・ハイリターンの取引となる。

ヘッジファンドなどはこのレバレッジ取引を最大限に活用し極めて高いレバレッジによる高いリターン確保を目的としている。

ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタル(Venture Capital)とは、初期段階にある今後の成長が見込める小規模企業に対して投資をする資金(またはファンド)のことを指す。こうしたベンチャー企業に対して投資をする主体のことエンジェルとも呼ぶ。

保護主義

保護主義(ほごしゅぎ:Protectionism)とは国内産業を保護する目的で輸入品に対して高い関税を掛ける国の主義の事を指す。関税以外にも輸入制限や輸出補助金なども保護主義の国で多く用いられる方法である。

ボトムアップ

ボトムアップ(Bottom Up)とは、投資の戦略の一つで、主に個別銘柄の選別をおこなう投資法のこと。または、経済全体の動きではなく、個別企業の動向を分析して投資をおこなう手法のこと。トップダウンの対義語。ボトムアップアプローチとも呼ばれる。

ボリンジャーバンド

ボリンジャーバンド(Bollinger Bands)とは、テクニカル分析に用いられる手法。終値の移動平均線の上下に線を書き込む事で表現される。相場のボラティリティを示すチャートのこと。

価格のボラティリティに連動して幅が大きくなったり小さくなったりする。株価が落ち着いているときは幅が狭く、価格が乱高下するなどボラティリティが大きくなったときは幅が広くなる。

ボリンジャーバンドでは、中心線と上下に1σ、2σ、3σで示される合計7本の線で構成される。それぞれは以下の標準偏差により計算されている。(3σは用いられないこともある)
「-1σ」-「+1σ」の間に値が存在する確率は68.3%
「-2σ」-「+2σ」の間に値が存在する確率は95.5%
「-3σ」-「+3σ」の間に値が存在する確率は99.7%

一般的には、2σに注目されることが多く、相場の多くはこの範囲に収まっており、+圏にいる場合は上昇トレンド、-圏にいる場合は下落トレンド、2σの幅を超えた場合は買われすぎ(売られすぎ)などのようにボリンジャーバンドを用いて分析をおこなうことができる。

また、ボリンジャーバンドにおける線の幅が狭くなると相場は停滞期を迎えており、プラスまたはマイナスの2σをブレイクした方向に相場が展開していくなどのように分析をおこなう場合もある。

終値

終値(おわりね)とは、一日の取引時間における最終価格の事を指す。なお、引け値がない場合はザラ場中で最後につけた価格が終値となる。ローソク足における足を構成する要素の一つ。

後場における取引終了価格。始値、高値、安値、終値の4つを指して4本足とも呼ぶ。

始値

始値(はじめね)とは、一日の取引時間(立会時間)の内で最初につけた値段のことを指す。ローソク足の足を構成する一つ。前場における寄り付きの株価を指す。寄り付き値と呼ばれることもある。

寄付時点で値が付かなかった場合(特別気配時)には、ザラ場で初めて付いた値段が始値となる。なお始値、高値、安値、終値の4つを指して4本足とも呼ぶ。

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