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2009年10月 アーカイブ

2009年10月 2日

不渡り

不渡り(ふわたり)とは、支払い期日が定められている手形や小切手の支払いが当座預金の残高不足等により応じられないことを指す。こうして不渡りになった手形や小切手を「不渡手形・不渡小切手」などと呼ぶ。

不渡りの理由は大きく3つあるが、当座預金の残高不足による理由である「第1号不渡り」のことを基本的には不渡りと呼ぶ。半年間の間に不渡りが2度生じた場合、以後2年間すべての金融機関において当座取引等が禁止されてしまうことから、不渡りを出した会社は通常経営を継続することができなくなる。なお、不渡りを2度出したことにより、会計上は黒字であっても倒産することを「黒字倒産」と呼ぶ。

2009年10月 8日

減損会計

減損会計(げんそんかいけい)とは、固定資産の収益性の低下により投資が回収できないということが分かったとき、帳簿価格を減額して、その時点で資産価値を実税価格に修正するという企業会計の方法のこと。国際会計基準では98年から規定を定め、日本では2006年に固定資産における減損会計を義務付けている。

処理の方法としては、固定資産の価値が、簿価と比較して50%以上下回った場合の他、資産から生まれるはずの損益が3期連続で赤字見込みの場合などに処理を行わなければならないとされている。なお、実際に貸借対照表(バランスシート)に価値の減価分を反映させる手続きを減損処理とも言う。

リスクプレミアム

リスクプレミアム(Risk Premium)とは、株式投資などリスクのある投資に対して、投資家がそのリスク分に対して求める超過収益(上乗せ利益)のことを指す。リスクに応じて期待する上乗せ収益とも言い換えることができる。

例えば、投資において銀行預金の預金金利が1%であるに対して、リスクのある株式投資の1年間の運用成果が1%で同じであれば、合理的投資家は全て銀行預金に預金することになる。
これは、預金よりも株式の方が株価の変動などにより価格下落のリスクがあるためで、上記の例では株式投資がリスクに見合わない投資となるためである。
投資家が各投資商品に対して求める収益性を「期待収益率」と呼ぶが、この期待収益率は投資商品のリスクが大きいほど、大きくなる。これは期待収益率にリスクプレミアムが上乗せされているからと考えることができる。

なお、上記の例でリスクの低い資産の例として銀行預金を挙げたが、日本で無リスク資産における利回りとしては「コールレート(無担保コール翌日物金利)」が代表的で、アメリカでは「財務省短期証券(トレジャリービル)金利」が利用されることが多い。
なお、こうしたレートのことを「リスクフリーレート」と呼ぶ。

ちなみに、リスクプレミアムは様々な場面で利用される。例えば、銀行における貸付時の短期プライムレートは最も信用度の高いお客さん向けの金利であり、それよりも信用リスクの高い顧客に対してはより高い金利での貸付を要求する。
また、銀行預金よりも審査の緩いキャッシングや、カードローンの場合には銀行で貸付を受ける場合よりも金利が高いのはその分のリスクプレミアムが上乗せされているためである。

ほかにも債券においても信用格付に応じて債券のクーポンレート(利回り)が異なっているのもそれぞれの信用リスクに対するリスクプレミアムである。

住宅ローンなどにおいても同じようなことが言え、変動金利よりも固定金利のほうがローン金利が高く設定されているのは、固定金利を選択された場合銀行側は将来にわたっての金利変動リスクを負うことになるためであり、固定金利と変動金利の金利差はリスクプレミアムである。

2009年10月 9日

信託財産留保額

信託財産留保額(しんたくざいさんりゅうほがく)とは、投資信託における手数料の一つ。ファンド契約期間中に解約されると、ファンド側は現金を用意してその投資家に支払う必要がある。この場合、ファンドは取引証券会社に売却手数料を支払う。そのコストは解約する投資家に負担してもらうというが基本的な考え方。いわゆる中途解約ペナルティ。

ただし、信託財産留保額については、ファンドにより様々である。例えば、途中解約をした場合は必ず留保額が必要になるものから、購入後一定期間内の解約は信託財産留保額が必要になるがその後は無料になるもの、また、そもそも信託財産留保額の設定がないファンドもある。
一般的な信託財産留保額の手数料コストは預けている資金の0.3%~0.5%程度が主流となっている。

例えば、MMFの場合には購入から1ヵ月(30日)以内の解約が行われた場合には信託財産留保額として1万口あたり10円(10万円につき10円:0.1%)がかかるようになっているが、それ以降の解約についてはいつしても信託財産留保額はかからない。
また、MRFの場合は信託財産留保額はそもそも設定されていない(短期解約が前提となっている商品のため)。

信託報酬

信託報酬(しんたくほうしゅう)とは、投資信託における手数料コストの一つ。ファンドの運用に関する手数料で、投資信託の基準価額に対して一定の率としてファンドの資産から自動的に差し引かれる手数料。投資信託運用会社への運用報酬、受託銀行の管理報酬、販売会社(証券会社)の販売代行業務に対する報酬の三つが含まれている。

信託報酬はファンドごとそれぞれに定められており、一般的にファンドの内容がよりアクティブ・複雑であるほどコストが高く、逆にインデックスファンドやMMFのようなファンドのコストは安い。信託報酬の額は年率で計算され、日割り計算により毎日控除される。

例えば、基準価額が10,000円のファンドがあり、このファンドの信託報酬が年5%の場合、1日あたりの利率は約0.0136%となり(およそ1.36円)、この信託報酬額が、翌日の基準価額から控除される。

フラット35

フラット35とは、旧住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)が民間金融機関と提携して開発した住宅ローンサービスの名称。公庫融資に変わる住宅ローンとして最長35年の固定金利住宅ローンサービスである。証券化という手法を用いている。

フラット35では、ローンを組む人のローン債券を集めて、それを証券化(アセットバック証券・不動産担保証券)して、投資家に販売することでローンの受託者である金融機関のリスクを分散させた商品となっている。
一方利用者にとっては、低金利かつ長期固定金利での安定した住宅ローンを受けることができる。

2009年10月13日

仕組預金

仕組預金(しくみよきん)とは、普通の預金に様々な金融工学に基づくデリバティブを付与した預金のひとつ。しくみ自体は「仕組債」と類似しているが、債券ではなく、銀行預金としてサービスが提供されることに違いがある。

デリバティブ(金融派生商品)を組み合わせることにより通常の預金よりも高い利息を受け取ることができるものの、元本割れリスクをはじめとした様々なリスクを預金者は負うことになる。なお、預金者が負うリスク自体は仕組預金により異なる。
「預金」という名前がついているため、リスクが低い運用商品のように感じるかもしれないが、仕組預金の種類によっては大きな損失が発生するリスクもあるため、仕組預金といえどもひとつの投資商品としてリスクを把握しておく必要があるだろう。
なお、原則として途中解約をすることはできず、満期前に解約した場合はほとんどの場合で元本割れとなる。

預金の種類と一覧
・普通預金
・定期預金
・積立預金
・当座預金
・外貨預金
・仕組預金

毎月分配型ファンド

毎月分配型ファンド(まいつきぶんぱいがたふぁんど)とは、投資信託の中でも、分配金の支払いが毎月行われるタイプの投資信託のことを指す。主に金利収入を目的とした外国債券に対して投資を行うタイプの投資信託が多く、09年において人気の高い毎月分配型投資信託としては「グローバルソブリンオープン(略称:グロソブ)が代表的。

金利収入(分配金収入)を毎月得ることができるものの、こうした毎月分配型投資信託の場合、分配金の支払いが実質上、純資産の払い戻し担っているケースも多いので商品の見極めをしっかりと行う必要がある。

2009年10月14日

ネット専業銀行

ネット専業銀行とは、銀行サービスのほぼすべてをオンライン(インターネット)上で完結させる銀行のこと。明確な定義はないが、基本的に預金者向けの店舗は持たず、インターネット上やコンビニATMなどを通じて入出金サービスや振込みサービス等を提供する。ネット銀行、ネットバンクと呼ばれることもある。

店舗(支店)を持たないことで、必要となる人件費や地代・家賃などを抑えることによりコストダウンが可能で、それにより預金金利を従来型銀行と比較して高くしたり、振込み手数料等を割安にしたりして一般的な都市銀行、地方銀行との差別化を図り、利用者の拡大を図っている。

インターネットを通じた銀行取引のことを「ネットバンキング(オンラインバンキング)」とよび、最近では都市銀行や大手の地方銀行を中心にインターネットを使った銀行サービスの提供も始まっている。中には、ネット専業銀行とほとんど変わらないほど手数料の安さや金利の高さをうたう普通銀行も像会傾向にある。

なお、金融庁ではこうしたネット専業銀行、ネットバンク、ネット銀行について「新たな形態の銀行」として分類している。なお、新たな形態の銀行の第1号は2000年9月26日に事業免許を取得した「ジャパンネット銀行」である。

個人向け国債

個人向け国債(こじんむけこくさい)とは、日本の財務省が発行する国債(国の借金)の一種。名前の通り、個人を対象として発行している者で、個人以外(法人や金融機関)などが購入することはできない。09年現在、10年満期のものと5年満期の二種類がある。

10年満期の個人向け国債は変動金利で、現在のところ長期金利(10年国債の市場金利)から0.8%を差し引いた金利となっている。さらに、金利水準については半年ごとに見直しが行われるようになっており、市場金利が上昇すれば受け取る金利が増えて、逆に市場金利が下落すれば受け取る金利が減るようになっている。
一方で、5年満期の個人向け国債は固定金利となっており、発行時点の金利が満期まで延長される。

個人向け国債と普通の国債の違いとして個人向け国債の場合、国が買い取り制度を設けている点に大きな違いがある。個人向け国債は10年債の場合発行から1年、5年債の場合発行から2年を経過することで、投資家の側から解約を請求することができるようになっており、市場金利の変動等による債券価格の元本割れリスクが無い。
(ただし10年満期の国債は過去2回分、5年満期の国債は過去4回分の金利相当から20%の源泉分離所得税を控除した額がペナルティとして差し引かれることになる)

※2012年4月以降販売分については、国債の途中解約時のペナルティが統一される。

MSCB

MSCB(Moving Strike Convertible Bond)とは、転換社債の一種で、一般には下方修正条項付き転換社債と呼ばれる。下方修正という名前が付くとおり、株価が下がると、社債の転換価格が下方修正されるという仕組みとなっている。

例えば、通常のCB(転換社債)の場合、転換価格は固定である。例えば転換価格が500円とするとCBの所有者は、その社債を額面に対して500円で株式と転換することができる。仮に、債券額面が1億円の場合、20万株と交換することができるようになっている。これは、仮に市場株価が400円になっても転換価格は500円のままなので、このCBで交換可能な株数は20万株のままである。
一方で、MSCBの場合、転換価格が株価が下がることで一緒に下がるように設計されているCBである。そのため、仮に株価が400円になった場合、転換価格も500円から400円に下方修正される。その場合、株価が400円になったときの転換株数は25万株になる。

基本的に、債券の引き受け手にはリスクが極めて小さい商品であり、一般には業績の良くない企業が発行することが多い。株価下落が、株式の希薄化を招くため、既存株主にとっては一般に不利に働く債券である。

2009年10月15日

外貨MMF

外貨MMF(がいかえむえむえふ)とは、Money Market Fand(マネーマーケットファンド)と呼ばれる投資信託の一種。元本を維持し、分配金を得ることを目的としたファンドで、短期の優良企業・政府等が発行する債券に対して中心に投資をしている。

原則として元本保証商品ではないが、元本の安全性は高い商品といえる。外貨MMFは外国為替別に販売されており、大手の証券会社などが運用しており、09年現在において過去に1度も外貨ベースで元本割れをしていない。外貨預金やFX(外国為替証拠金取引)と比較されることが多い商品。

土日以外ならいつでも売買可能で、売買益が生じても非課税など税制面でも有利な商品である。

会社四季報

会社四季報(かいしゃしきほう)とは、東洋経済社が年に4回発売している日本の上場企業に関するハンドブック。昔から投資家必携の書籍として重宝されている。上場企業の状況に関する近況コメント、株主構成、財務データ、財務諸表、業績予想などが、一社一社記者がそれぞれの企業を訪問調査してコメントしている。

最近ではネット専業証券会社などを中心にインターネット上で会社四季報の情報が提供されている。略して「四季報」と呼ばれることが多い。類似の書籍として日本経済新聞社が販売している「日経会社情報」やダイヤモンド社の株データブックなどがある。

2009年10月16日

優良体割引(健康体割引)

優良体割引(ゆうりょうたいわりびき)とは、生命保険契約においてリスクが低いと判断された人に対して、保険料(死亡保険料)が割引される制度のこと。健康体割引と呼ばれることもある。特に喫煙に関しては、非喫煙者割引と言われることもある。

生命保険会社が定めている健康体基準を満たしている場合に、一般の保険料よりも多くの割引を受けることができるもの。多くは喫煙(非喫煙者)、BMI(体重)、血圧、など様々な基準がある。こうした基準を満たした場合、「優良体・健康体」とされて通常よりも生命保険料が割り引かれることになる。
なお、この場合の健康体とは、健康に関するリスクが統計的に低いとされる基準のことで、現在の健康状態により変化するわけではない。

基本的に、望ましいことではないが健康体として加入した後に、保険会社が定める健康体の基準から外れた場合でも健康体割引(優良体割引)は継続される。なお、健康体以外の集団を「標準体」「標準下体」と呼ぶ。標準下体とされる場合はハイリスク集団として生命保険の保険料が割増されることになる。
自動車保険でたとえると等級の高さのようなものである。

定期保険

定期保険(ていきほけん)とは、終身保険・養老保険と並び生命保険における最も基本的な保険の一つ。中でも最も基本的な保険であり、保険料を支払う期間中だけ保険対象となるという保険である。いわゆる掛け捨て型と呼ばれる保険。

定期保険とは、ある定められた期間だけ保険がかかる定期の保険である。そのため、保険料は他の終身保険や養老保険と比較して最も安い保険料となる。保険料はその人の死亡リスクの大きさにより決定され、基本的に加入時の年齢が高いほど、加入期間が長いほど保険料は高くなる。

基本的には、小額の保険料支払いで大きな保障を得ることができるため、他の終身保険とセットで使われたり、一時的な保険として利用されることが多い。
一方、定期保険の場合基本的に支払っている保険料は全てそのときの保証のために使われるため、解約時の解約返戻金はほぼ0円となる。

終身保険

終身保険(しゅうしんほけん)とは、定期保険、養老保険と並ぶ生命保険の基本的な商品の一つ。一定の払い込み期間まで保険料を支払うと、後は死亡するまで保証が継続するという生命保険。死亡するまで=終身のため終身保険と呼ばれる。

終身保険は例えば、60歳を払い込み終了日とした場合、60歳まで保険料を支払うことで、以後の保険料は不要になるという保険です。保険のシステムを見てみると、払い込み終了日までのその後の保険料相当分を上乗せして支払っていくことで保証が得られる。そのため、保険料はそのときまでの保証となる定期保険と比較して高いのが一般的。基本的には死亡時に必要な最低額の保証を目的として、不足分は定期保険とするケースが多い。
基本的に、将来分の保険料を前払いをしているため、途中解約をすると解約返戻金を受け取ることも可能である。保証と貯蓄性を併せ持つ保険の一つである。

養老保険

養老保険(ようろうほけん)とは、定期保険、終身保険とならび生命保険の基本的な商品の一つ。生命保険の中で最も貯蓄性を重視した保険となっており、満期時に死亡保険金と同額の満期金を受け取ることができるという保険である。

なお、定期保険・終身保険・養老保険の三つの生命保険の中では最も保険料が高くなる。一方で満期時には満期保険金として死亡保険金と同額の保険金が支払われ、この金額はこれまでの支払い保険料総額よりも高くなるため、貯蓄商品として紹介されることが多い。
もちろん、死亡保険もセットであるため、契約期間の初期に死亡した場合でも保険金は満額給付される。一方で、保険料に占める貯蓄部分の割合が高いため、保険料はかなりの高額となる。一方、と仲介役時の解約返戻金返戻率は最も高い。

2009年10月17日

日経会社情報

日経会社情報(にっけいかいしゃじょうほう)とは、日本経済新聞社が年に4回発行している雑誌で、日本の証券取引所に上場している企業を図鑑のようにまとめたハンドブックのこと。会社四季報と並び、投資家必携の本とされている。

国内市場全企業の基本情報の他、株価データ、業績動向、財務データなどを掲載している。基本的な見方や内容については「会社四季報」とほとんど変わらない。

コンビニATM

コンビニATMとは、コンビニエンスストアなどに設置されているATMのことをさす。コンビニATMの出現により従来までの金融機関の店舗にあるATMと比べて営業時間などの面でメリットがある。一方で、小銭(硬貨)の利用が制限されたり、一回の取り扱い金額が小さいなどのデメリットもある。

多くの場合、コンビニATMの利用には手数料がかかるが、この手数料を銀行側が負担することで、預金者の利便性を向上させ、預金者獲得(口座獲得)につなげている銀行も多い(特にネット専業銀行などでこの動きは顕著である)。
2009年現在において主要なコンビニATMとして「セブン銀行ATM(セブンイレブン内)」「ローソンATM(ローソン内)」「イーネット(ファミリーマート・サークルKサンクス・ポプラ)」などが代表的なコンビニATMとして稼動している。
ちなみに、日本初のコンビニATMはイーネットが設置した共同ATMであり、1999年10月8日である。

2009年10月18日

クロスレート

クロスレートとは、インターバンク市場において通常米ドルベースで計算される為替レートをドルを介さない為替レートに換算するための方法。多通貨間の為替レートのことを指し、たとえば米ドルを介さない、日本円とオーストラリアドルの為替レートを「円・米ドル」のレートと「オーストラリアドル・米ドル」の二つの為替レートから計算する手法をさす。

米ドルを中間に置くことで、他の通貨の為替レートを計算するもので、A(日本円)、B(米ドル)、C(他の国の通貨)という場合

A=B
C=B
A=C

という流れで、A(日本円)とC(他の国の通貨)のレートを計算する手法である。多くの場合は、縦軸と横軸にそれぞれの通貨を並べて、マトリクス上に取引レートを示す方法が主流である。

具体的なクロスレートの計算方法は以下のようにして計算される。

1.米ドルと他の通貨の為替レートを計算する。
米ドル:日本円=1:0.0111
米ドル:ユーロ=1:1.2000
米ドル:豪ドル=1:0.8263

2.それぞれの通貨をクロス計算する
円:ユーロ=0.0111:1.2000=1:108.10
円:豪ドル=0.0111:0.8263=1:74.44
ユーロ:豪ドル=1.2000:0.8263=1:0.6885

ドルコスト平均法

ドルコスト平均法とは、市場商品への代表的な投資方法のひとつ。値動きがある商品を一定期間ごとに同じ「金額」を購入(投資)していく方法のこと。同じ「数量」を積み立てていく場合よりも取得原価を低くすることができる。定額購入法とも呼ばれる。

ドルコスト平均法は、外貨預金、外貨MMF、自社株積立、株式累積投資、金投資(純金積立)、投資信託など幅広い投資において利用される。原則としてある一定の金額単位で購入できるものであればすべてに応用可能である。

たとえば、毎月1万円ずつを投資していくとする。値動きがある商品の場合、値段が高くなったときは少量しか買えないが、値段が安くなったときは多くの数量を買うことになる。つまり、高いときはあまり買わず、安いときにたくさん買うということが自動的に可能となり、結果として投資金額の平均が安くなるという投資法である。

ドルコスト法のメリットは前述のとおり、平均取得価格を下げることができるというものであるが、一方で、取引コストが高くなる場合や値段が右肩上がりの商品の場合はいたずらに取得原価を引き上げてしまうというデメリットもある。

2009年10月19日

分別管理

分別管理(ぶんべつかんり)とは、証券会社が顧客投資家からの預かり資産と自己(自社)の資産とを明確に区分して管理することにより、万が一証券会社が破綻した場合であっても、投資家の資産が保護される仕組みのことをさす。

法的には、平成10年の金融システム改革法の施行に伴い、証券会社が2001年より証券会社の自己資産と投資家からの預かり資産を明確に分類して保管することが義務付けられた。

分別管理の流れとしては、まず投資家から預かった資金を証券会社は信託銀行と信託契約を結び預かっている顧客資産を管理分別してさせる。これにより財産権は信託銀行に移行することになり、万が一証券会社が破綻した場合であっても。信託財産分については、証券会社の自己資産とは分離して考えられ、債権者から差し押さえを受けることなく、投資家に返される。

一方で、分別管理されていなかった場合、仮に投資家の資産が残されていたとしても、債権者は場合によってはこの財産を差し押さえすることが可能となってしまう。こうしたことから投資家を守るための仕組みが「分別管理」である。100%分別管理が行われていれば、投資家の資産は完全に保護されることになる。

なお、一部のFX(外国為替証拠金取引業者)は、分別管理を信託保全と呼び場合もあるが、内容的には分別管理と同じである。

2009年10月21日

日経テレコン21

日経テレコン21とは、日本経済新聞社が提供する日経新聞データベースサービス。会員制の情報サイトで、リアルタイムなニュース速報の他、過去30年分の新聞記事を検索可能なデータベース機能、日経平均等の株価情報までを総合的に提供する。

月額8,400円の有料サービスとなっているが、一部の証券会社・ネット証券では日経テレコン21を無料で提供している。

日経テレコン21の基本的な機能
記事検索機能
・日経各紙(日本経済新聞・日経産業新聞・日経MJ・日経ヴェリタス)
・一般紙、専門紙(約90紙)
・日経BP社雑誌、ビジネス誌、専門誌(約80誌)
・年鑑・白書・書籍など

企業データベース
・日経会社プロフィル
・日経財務情報
・東京商工リサーチ 企業情報、財務情報
・帝国データバンク

などの情報がインターネット上で検索可能である。

絶対収益運用

絶対収益運用(ぜったいしゅうえきうんよう)とは、投資信託における運用方針の一つ。インデックス運用(パッシブ運用)やアクティブ運用など他の運用方針があくまでもベンチマークに対する収益性を評価するのに対して、絶対額でのプラスを目指す運用方針のこと。

例えば、ベンチマークが日経平均の場合、日経平均が-5%のパフォーマンスだった場合、そのファンドがインデックス運用方針であれば、そのファンドの成果目標(期待収益率)も-5%となる。アクティブ運用の場合であれば-5%よりもよければ目標を達成となる。

一方で投資信託に投資をしている投資家から見れば、マイナスであることに変わりは無い。絶対収益運用というのは、あくまでも絶対額としてプラスを目指すという運用方針であり、ベンチマーク(指数)がどれだけ下がろうとも、0%よりも高い収益を目指すことを基本としている。

ただし、絶対収益運用というのは、絶対に収益をあげることを保証するというものではないので注意。一般には高度な金融工学(デリバティブ等)を活用したファンドであることが多いため、相応のリスクはある。

ベンチマーク

ベンチマーク(benchmark)とは、投資信託等の運用において、その運用目標となる指数のことを指す。日本株に投資をする場合はTOPIXや日経平均株価などが代表的。パッシブ運用の場合は、ベンチマークと同水準、アクティブ運用の場合はベンチマーク以上の成果を挙げることを目標としている。

たとえば、日経平均株価をベンチマークとした場合、日経平均が年間に+10%とする。
この場合、ファンドの運用成果が+5%であった場合、運用成果は絶対的な基準で見ればプラスだが、ベンチマークよりも小さい。こういう場合、このファンドは一般に運用失敗といわれる。
一方で、日経平均が年間に-10%であった場合に、ファンドの運用成果が-5%であった場合、成果上はマイナスであるが、ベンチマークよりは運用成果が上であるため、運用は成功とみなされる。

投資信託の中でもベンチマークを設定しないファンドを「絶対収益型ファンド」と呼ぶ。こうしたファンドの場合には、ベンチマークは前年のプラス○%というように設定されていることが多い。

なお、投資、金融や資産運用以外でもベンチマークという言葉は広く用いられる。こうした場合は何らかの目標設定や基準、水準といった用法で使われることが多い。

ちなみに、投資信託における代表的なベンチマークとしては以下のようなものがある。

国内債券
NOMURA-BPI(ボンド・パフォーマンス・インデックス)

国内株式
TOPIX(東証株価指数)、日経平均株価(日経225)

外国債券
ソロモン・ブラザーズ世界国債インデックス(現:シティグループ世界国債インデックス)、シティグループ米国国債インデックス

外国株式
ナスダック総合指数(ハイテク)、ダウ平均株価、MSCI世界株式インデックス

2009年10月22日

団体信用生命保険

団体信用生命保険(だんたいしんようせいめいほけん)とは、住宅ローンを組む際に加入する生命保険。この保険への加入を住宅ローン審査の用件としている金融機関も多い。加入者(ローン契約者)が死亡した場合、債権者である金融機関にローン残債分の死亡保険金が支払われるというもの。

ローン会社(金融機関)にとっては、ローンの不良債権化を防止するとうメリットがあるほか、加入者の遺族にとっても多くの場合、ローン契約者は世帯主であることが多いことから、団体信用生命保険により住宅ローン債務がゼロになることは保障ともなる。

最近では一部の地方銀行、ネット専業銀行などで団体信用生命保険に、休業補償をつけたり、がん特約をするものも販売されており、多様化の様相を見せている。

変動金利

変動金利(へんどうきんり)とは、その名前の通り金利が変動することを指す。多くの場合は預金や債券などの金利や、住宅ローン等の返済金利のことを指す場合が多い。一般的には、市場金利の変動により金利水準が変動することを言う。

対義語は「固定金利」であり、変動金利の場合は市場金利が変化することにより受け取る金利(または支払う金利)が変わってくるものである。

例えば、住宅ローンの金利の場合、「変動金利」ではローンの返済額が市場金利の変動により変わってくることになるなる。市場金利が上昇すると、ローン総額に対する利息の支払額が大きくなるため、返済額も大きくなってしまう。逆に市場金利が下がると、ローン返済額も小さくなる。

固定金利

固定金利(こていきんり)とは、支払う(または受け取る)金利水準が固定された契約に基づき、預金・債券・住宅ローン・借入などを行うこと。受け取る場合にも支払う場合でも共通して利用される。

対義語は「変動金利」。契約期間中は固定的な金利が支払われる(支払う)ことになる。
例えば、定期預金や一般的な社債(国債)などの利払いは通常契約時の固定金利で支払われることになっている(逆に、普通預金や個人向け国債などは変動金利)。

金利が固定されているため、支払う金利(または受け取る金利)は同額と成り将来予測がしやすいという特徴がある。例えば、住宅ローンの場合固定金利で契約している場合には将来金利が上昇した場合も現在の金利が適用される(フラット35など)。
一方で、将来金利が下落した場合であっても固定の金利で支払う必要があるため、その場合は損をすることになる。

繰上返済

繰上返済(くりあげへんさい)とは、一般に住宅ローンにおいてローンを早期に返済するために、通常の返済額に上乗せをして返済をすることを指す。繰上返済をすることで、ローンの返済総額を抑制することができる。

繰上返済には大きく「期間短縮型」と「返済額軽減型」の二種類が用意されている。期間短縮型は繰上返済分を返済期限を短くするために用いる。
そのため、以後のローン返済額は変わらないが、当初の契約期間よりも早くローンの支払いを終えることができる。一方で、返済額軽減型の場合繰上返済により毎月の返済額を減らすことができる。ただし返済期間は変わらない。

期間短縮型
・毎月の返済額は変わらない繰上返済の方法
・支払額の総額削減効果は高い

返済額軽減型
・繰上返済以後の返済額が軽減される
・支払額の総額削減効果は低い

2009年10月23日

カバー取引

カバー取引とは、相対取引の金融取引において、取引の引き受け手がリスク回避のために行うヘッジ取引で、引き受けた注文と同じ注文を別の金融機関に対して行うことを指す。カバー取引を行うことで、金融取引業者がリスクヘッジをすることができる。

例えば、FX(外国為替証拠金取引)のような店頭取引(相対取引)が行われる場合、顧客の利益=業者の損失、顧客の損失=業者の利益となりそれぞれの取引が利益相反関係となる。
こうしたリスクを業者が負ってしまうと、場合によっては大きな損失をこうむることになってしまう。そのため、取引業者がこうしたリスクをヘッジするために、自らも別の金融機関や市場に対して顧客と同じ注文を出すことでそのリスクをカバーする取引を「カバー取引」と呼ぶ。

以下ではFX取引による、カバー取引について言及する。

FX(外国為替証拠金取引)の場合、取引業者は顧客から1万ドルの米ドル買い、日本円の売りの注文を受けたとする(1ドル=100円)。この場合、為替レートが変動し、1ドルが110円になったとして、顧客の投資家がこのポジションを解消した場合、相対取引であるため、業者はこの投資家に対して10万円を支払わなければならない。

こうした場合、FX取引業者は銀行(メガバンク等の大規模銀行)に対して同じ顧客投資家と同じ注文(1ドル=100円で1万米ドル買い)をしておけば、この投資家が110円でポジションを解消した場合は、投資家への支払い10万円、カバー取引で購入していたドルの売却益10万円ということで、リスクが0になる。
逆に為替が円高にふれたとしても顧客投資家の損失分(業者にとっては利益)で銀行から買い付けたカバー取引分の損失をヘッジすることができる。

このような相対取引では、業者側がどの程度カバー取引をしているかが安心の目安ともいえる。

上記では、FX取引業者の利益は0になるが、実際には顧客投資家から手数料やスプレッドなどで収益を得ている。

リスクヘッジ

リスクヘッジ(Risk Hedge)とは、様々な起こりうるリスクを回避したり、その大きさを軽減するように工夫することを指す。ちなみに「ヘッジ」というだけでも同じ意味を指す。具体的にはヘッジ取引により将来のリスク低減、分散投資によるリスクの低減などが代表的。
リスクマネジメントとも呼ばれる。

ちなみに、「ヘッジ」とは「回避」という意味がある。

なお、金融取引だけでなく、ビジネス一般用語として用いられる。
例えば将来の勤め先の業績悪化による解雇というリスクに対して、そのリスクをヘッジするために資格を取得して自身の価値を向上させることもリスクヘッジの一つである。

リスクとは「不確実性」という意味であり、将来どうなるか分からないということに対し、特にマイナスの意味をもつ事態・事由に対してその不可実性低減のための行動がリスクヘッジとなる。

金融取引の分野ではリスクヘッジには以下のようなものが挙げられる。
リスクヘッジの例
・景気敏感株だけでなく、ディフェンシブ株にも投資をする。
・投資する通貨を米ドルだけでなく、ユーロにも投資をする(通貨分散)。
・株式の買いと指数の空売りを組み合わせる。(マーケットニュートラル)
・為替レートの変動に備え先物取引でヘッジをする。
・パン屋さんが、小麦価格の変動に備え先渡取引(フォワード取引)をする
・死亡リスクに備えて生命保険に加入する
・病気や怪我のリスクに備えて医療保険に加入する

実際にはリスクには様々な種類があり、それぞれのリスクを完全にコントロールすることは不可能である。また、資産運用、投資といいった観点からはリスクをヘッジしすぎるということはヘッジにかかるコストで収益性が損なわれてしまう。

例えば、為替リスクを負いたくないが為に為替予約によりリスクヘッジをした場合、為替レートが不利になった場合のリスクは負わないで済む代わりに、為替レートが自分にとって有利な方向に動いた場合のリターンも放棄することになる。
さらには通常、こうしたリスクヘッジ取引にはそれなりの手数料コストも必要となってしまう。極端にリスクヘッジをしすぎた投資はもはや投資としての意味が無いリターンにまで下落することも考えられる。

投資によるリターンはリスクとの間でトレードオフ(二律背反)な関係にあることは言うまでもない。

マーケットニュートラル

マーケットニュートラルとは、ヘッジファンドなどにおける代表的な投資手法の一つ。マーケット(市場)に対してニュートラル(中立)となるような投資方法のことを指し、市場の変動に影響を受けない投資法のこと。ロングショート戦略とも呼ばれる。

代表的なマーケットニュートラル戦略として株式市場の例で説明をする。

例えば、銀行セクターにおいて、割高だと判断したA銀行と割安だと判断しているB銀行があるとする。通常なら、B銀行の株式を買えばいいのだが、市場全体(例えば日経平均など)が下げた場合は当然B銀行の株価も下がってしまう。
このリスクに対応するため、割高であるA銀行の株式を空売りして(ショートポジションを持つ)、割安なB銀行の株式を同数量購入する(ロングポジションを持つ)。

こうすることで、市場が下げた場合はA銀行もB銀行も株価も下がるが、A銀行を空売りしていることで、下げたときのリスクを回避できる。一方市場が上げた場合はB銀行の値上がり分でA銀行の損失をカバーすることができる。いわゆるヘッジ取引ともなり、リスクヘッジの代表的な手法である。

一方A銀行は割高、B銀行は割安であるため、A銀行と比較してB銀行の株価は相対的に高くなるため、その割安分の利益だけを得ることができるというものである。
このように、日経平均などの市場(マーケット)の影響を受けない(受けにくい)ことから、こうした取引をマーケットニュートラルと呼ぶ。

コモディティ

コモディティ(commodity)とは、商品先物取引所などで取引される「商品」のこと。商品といっても「goods(製品)」ではなく、原油やガスなどのエネルギー、金・銀・プラチナなどの貴金属、小麦・大豆・とうもろこしなどの穀物、銅・アルミといった非鉄金属などのことを指す。

これらは世界の商品取引所で先物取引が行われている。また、ETFやETNなどとしても投資商品が開発されている。

こうした実物資産に対して投資をすることを「コモディティ投資」と呼んだり、こうしたものに投資をしている投資信託を「コモディティ投信(コモディティファンド)」と呼んだりする。投資商品としての特徴はインフレに強いという面が挙げられる。

従来は先物取引やオプション取引でしか個人投資家はコモディティ市場に参加することができず、ハイリスク商品と捉えられているが、最近では小額でも取引可能なETF(上場投信)としてもこうしたコモディティ投資商品が存在しており、個人投資家にも身近な存在となりつつある。
たとえば、日本でもニューヨーク原油(WTI)に連動するETFが09年8月に大証(大阪証券取引所)で上場している。また、同月に東証(東京証券取引所)では、金・銀・プラチナ・パラジウムなどの先物価格と連動するETFが上場している。
こうした流れから、近年ではコモディティに対する個人投資家の投資意欲も向上している。なお、投資する場合は株式などと同様に証券会社を通じて取引するのが一般的である。

また、実物への投資が必要となるETFではコモディティの中でも農作物などへの投資ができなかったが、ETNを通じて投資が可能となる。

「コモディティ」別の用例
ちなみに、別の用例として商品や製品などの「普遍化」「一般化」という意味でも使われることがある。ビジネス用語としてはこちらの方の意味で使われることが多い。
例)○○のコモディティ化

WTI

WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)とは、アメリカのテキサス州で産生されている原油のこと。世界で産出されている原油のたった1~2%の量しかないが、世界における原油価格の指標とされる。ニューヨーク原油とも呼ばれる。

そもそもWTIとは、テキサス州で産生される原油という意味だが、多くの場合はこのWTIがニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されているWTI先物価格のことを指す。現在WTIはNYMEXにおける主力の取引商品であり、また世界の原油価格における指標ともされている。

日本でもこのWTI先物価格に連動するコモディティETF(上場投信)が大阪証券取引所に上場しており、個人投資家も投資可能である。

差金決済

差金決済(さきんけっさい)とは、直接の現金の受け渡しを行わずに反対売買による差金で決済をする取引のことをさす。たとえば、証拠金を預託して直接原資産の買い付けを行わないFX取引やCFD取引、先物取引などは差金決済が行われる。

一方で、株式投資(現物株投資)の場合差金決済を行うことは禁止されている。たとえば100万円を証券会社に預けておき、銘柄Aを60万円分購入し、当日のうちに売却したとする。さらに、もう一度同じ銘柄を60万円購入するとすると、受け渡し日である3営業日後には120万円の買い付け代金が必要になることになり、これは差金決済とみなされる。
ただし、銘柄Aを60万円分購入し、売却。その後銘柄Bを購入する場合はループ取引といわれ差金決済には当たらない。

仲値

仲値(なかね)とは、銀行用語ではTTMとも呼ばれるもので、為替レートにおいてTTBとTTSの中間値のことで、銀行側の外貨交換手数料をかける前の値段で為替レートの基準レートとされる。公表仲値、公表仲値レートなどとも呼ばれる。

銀行においてはほとんどの銀行が自行の公表仲値を設定しており、外貨預金等の取引レートの基準となっている。ただし、FX取引(外国為替証拠金取引)の場合は仲値が公示されることはなく、BidレートとOfferレートの二本値が公示される。

2009年10月25日

ETF(上場投信)

ETF(上場投信)とは、ETF(Exchange Traded Fund)という投資信託の一種。日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などの株価指数に連動するように、株式が組み入れられている投資信託で、上場投信と呼ばれるように、証券取引所に上場され普通の株式と同じように売買できる。

正式名称は「指数連動型上場投資信託」であるが、多くの場合はETF、または上場投信と呼ばれる。日本だけでなく、海外でも多くの株価指数などがETFとして売買されている。日本の証券会社でも一部のネット証券などでは海外ETFへの投資が可能なため、たとえばダウ工業平均のETFを購入すれば米国株式市場に投資することが可能である。

ETF(上場投信)の場合信託報酬は0.2%程度と安い上、各企業から出される配当金についてもETFの収益分配金として当該ETFに投資をしている投資家に分配される。(ただし、株主優待などを受けることはできず、株主総会への出席もできない)
貸借銘柄に指定されれているETFであれば、空売りをすることも可能であるため、市場に対してショートポジションを持つことも可能である。

最近では、株価指数だけでなく、WTI(原油価格)や金・銀・プラチナといったコモディティ(商品)価格に対するETFも上場しており売買可能である。

貸借銘柄

貸借銘柄(たいしゃくめいがら)とは、証券取引所による銘柄指定のひとつで、制度信用取引において空売りが可能とされている銘柄のことをさす。個別銘柄はもちろん、ETF(上場投信)の一部も貸借銘柄に指定されている。証券金融会社が資金・株券の融通を行う。

投資家が空売りをするとき、証券会社が当該株式を投資家に貸し出すが、証券会社がその株式を用意できない場合、証券金融会社と呼ばれる会社から株券を調達する。この証券金融会社が株券の融通が可能な銘柄を貸借銘柄とする。
一般には、信用取引が可能な銘柄というように捕らえられている。

なお、貸借銘柄については、証券金融会社における融資の残高(買い残と売り残)が公表されており、株式の取引における需給状況として活用されることが多い。

しかし、貸借銘柄においても、過度に空売りが集中した場合で証券金融会社でさえその株式を調達できない場合、空売りが禁止(売り禁)されたり、他の大株主から株券を調達したりする。
他の株主から株券を調達した場合、そのコストは株式の売り手(空売りをしている投資家)が負担することになる。このコストを「逆日歩・品貸料」と呼ぶ。

2009年10月26日

経済成長率

経済成長率(けいざいせいちょうりつ:economy's growth)とは、一国における経済規模が殿程度拡大したのかを示す割合のこと。多くの場合はGDP(国内総生産)の増加率により表される。

GDPの伸び率を計算する際にその値を名目値(絶対的な金額ベース)とするか実質値(インフレ率を考慮した伸び率)とするかにより名目経済成長率と実質経済成長率に分類される。1年単位での比較のほか、四半期ベース(3ヵ月ごと)における前期比成長率なども利用される。

直接金融

直接金融(ちょくせつきんゆう)とは、借り手と貸し手が直接資金を融通する方法を指す。代表的な直接金融の手段としては、債券や株式などの有価証券を企業や自治体などが発行することで、資金を直接投資家から調達する金融形態をさす。

この際、直接金融では、借り手の信用リスクについてはすべてを貸し手が持つことになる。例えば、株式として企業に投資家が出資をした場合、株の値下がりによる損失や企業が破綻等による株式価値の低下は投資家が負担する。債券の場合も同様に発行体がデフォルト(債務不履行)をおこした場合のリスクはすべて投資家が負担することになる。

直接金融を担う金融機関としては証券会社が挙げられる。証券会社は企業と投資家の間に入り、仲介することを基本とする。

直接金融の対義語は「間接金融」でこちらは銀行を主体とした金銭の融通となる。

間接金融

間接金融(かんせつきんゆう)とは、資金の融通において「銀行」が仲介することで、資金の借り手と貸し手を結びつけるシステムのことを指す。融通におけるリスクは銀行側が負担し、その収益の一部を金利などとして預金者(投資家)に還元する。

間接金融においては、リスクの担い手は銀行となっており、直接金融のように投資家(資金の貸し手)が信用リスク等を負担する必要は無い。一方で、間接金融の場合は銀行という仲介業者が間に入ることにより投資の収益に対して中間マージンが生じてしまうため、リターンは直接金融(株や債券)として投資をするよりも低くなってしまう。
つまり、預金者にとってはローリスク・ローリターンの運用先となる。

間接金融のメリットとしては、個人投資家などが直接企業に対して投資をするよりも、銀行が投資先を判断することによって産業を優先的に育成することが可能となる。戦後の高度経済成長期においては、成長分野の企業に銀行を通じて資金を融通したことも大きく経済成長を支えた功績がある。(間接金融による貸し手は、直接金融下における安定株主よりも安定的な支配者として企業活動を支えてきた)

しかし、その後90年代バブル経済の崩壊から背景は大きく変化。企業間の株の持ち合いが崩れたことによる「物言う株主」の登場などにより企業側としても株主重視の姿勢を打ち出す必要が出てきた。その後の日本版金融ビッグバンなどの影響もあり、日本においても証券会社を中心とした直接金融が台頭するようになった。

2009年10月27日

学資保険

学資保険(がくしほけん)とは生命保険の一種。こども保険(子供保険)と呼ばれることもある。子供の将来の教育資金となることを目的に保険料を支払うことで満期時に満期保険金が受け取れる。また保険加入期間に両親に万が一があれば、様々な保障を受けることができる点などが特徴。

学資保険はもともと郵便局(かんぽ生命)が最初に売り出した保険で、現在でも大きなシェアを持っている。最近では他の生保会社も多くの学資保険を販売しておりそれぞれでやや特徴が異なる。

大きな特徴としては以下のようなものが多い。

・満期時には満期保険金がもらえる。
・保険加入期間中に両親に万が一があれば保険金が発生し子供の就学費用等に利用できる。
・子供に万が一があった場合の医療保障や死亡保険。

貯蓄性が高い保険が多く保険の返戻率(満期保険金)も100%を超えるものが多い。一方保障や特約を厚くしたものについては返戻率が100%を下回るものもあるので注意が必要。

返戻率

返戻率(へんれいりつ)とは、生命保険等の保険契約を途中解約した場合や、満期を迎えた場合の満期保険金を受け取る金額が、これまでに支払った保険料に対して何%あるのかを示すもの。通常は百分率(%)であらわされる。

例えば、養老保険において100万円を保険料として支払い、満期保険金が120万円という場合、返戻率は120%となる。通常返戻率が100%を越える保険については貯蓄性が高い保険といわれる。
一方で掛け捨て型である定期保険の場合は、保険契約満了時=保障終了となるので、満期時の返戻金は0円なので返戻率は0%となる。(その分保険料は安い)

なお、返戻率という言葉は満期時だけでなく、生命保険の途中解約時にも利用される。保険契約を途中で解約する場合は、それまでに支払った保険料のうち、積立部分が解約返戻金として支払われる。
なおその場合「定期保険(ほぼ0)<終身保険<養老保険」の順に返戻率は大きくなる。

解約返戻金

解約返戻金(かいやくへんれいきん)とは、生命保険契約を満期前で解約した場合に戻ってくる積立部分(責任準備金)のこと。保険会社によっては解約払戻金などとも呼ばれることもある。保険の加入期間が長いほど、保険の貯蓄性が高いほど、解約返戻金の額は大きくなるのが一般的。

保険の保険料というものは、加入者が死亡した場合などの保険料として利用されるが、その一部は終身保険における払い込み期間満了後の保障のため、養老保険における満期保険金のために積立が行われている。(この積立額を責任準備金と呼ぶ)
なお、定期保険の場合は保険料のほとんどが死亡保険料であり、将来への積立部分はほとんどないため、基本的に解約返戻金は生じない。

この責任準備金が解約返戻金における原資となる。なお、保険加入期間が長いほど解約返戻金の額(返戻率)が上がるのは、契約当初は契約に係るコストがあるためで、期間が長くなるほど契約コストが平準化されることにより返戻率がアップする。
(また、責任準備金は変額保険を除き、予定利率により運用されるのでその運用益もプラスされている)

流動性リスク

流動性(りゅうどうせい)とは、経済学的には、投資商品などがいかに換金しやすいか(交換しやすいか)を表す言葉。流動性が高いという場合は換金性が高いという意味になる。例えばすぐに現金化ができる普通預金は流動性が高いが、土地や不動産など換金まで時間がかかる投資商品は流動性が低いと表現される。

投資において流動性とはリスクの一つでもある。例えば、株式投資を考えた場合、流動性が低いというのは、出来高のない銘柄である。出来高がないということは、自分が希望する価格で売り注文を出しても買い手が中々現れないということになり、無理に現金化しようとすると、希望価格よりも低い価格でしか現金化ができない。
安全資産である銀行の定期預金も同様で、たとえば満期前に無理やり解約する場合にはペナルティ金利が適用されることになり、本来出れば受け取ることができた普通預金金利とペナルティ金利との差額が事実上の損失として発生していることになる。

つまり、流動性が低い投資商品は無理に換金しようとする場合には損失が発生してしまうということになる。また、流動性が低すぎる場合には換金すらできないということもありえるため、投資をする場合にはこの流動性リスクについても十分に考慮する必要がある。

分散投資

分散投資(ぶんさんとうし:diversification)とは、投資におけるリスクヘッジの一つ。投資の対象、時間、種類を分散させることによりそれぞれが持つリスクを分散させることでリスクを低減させるための投資手法のこと。

分散投資を実行することにより、価格の大幅な変動等により投資資金が大幅に損失を受けるリスクが低減する。その効果は分散の度合いを貯めるほど高くなる。
分散投資は前述の通り対象の分散、時間の分散、種類の分散に分類される。

・対象の分散
株式投資等において1社に集中して投資した場合、その会社が不祥事などにより打撃を受けた場合大きなダメージを受ける。しかし、1社だけでなく、業界全体に投資をしたり、複数の会社に投資をすることでそうしたリスクを低減するという分散投資の方法。投資信託などは小額の資金でも対象の分散が可能な投資商品である。

・時間の分散
投資をする時期を分散させることにより、価格変動を均一化することで、高値づかみを避ける分散投資の方法。代表的な時間分散に「ドルコスト平均法」による分散投資がある。

・種類の分散
例えば、株式投資と債券投資といったように、投資する種類自体を分散させる方法。それぞれの投資対象の相関性が低いほど分散効果は高まる。例えば、株式と債券は価格に逆相関性があるといわれているため、種類の分散としてはかなり適している。

一方で、分散投資のデメリットとしてはリスクを分散させることにより、大幅な価格変動を抑えることにより結果としてリターン自体も分散させてしまうことになるという点が挙げられる。また、個人で分散投資をしようとすると、投資に必要な資金が大規模になる他、証券会社等に支払う取引手数料も大きくなる傾向がある。

2009年10月28日

インカムゲイン

インカムゲイン(Income Gain)とは、資産を保有することによりその資産から生み出される収益のことを指す。代表的なインカムゲインとして銀行預金における金利(利息)や債券投資におけるクーポン、投資信託の収益分配金、株式投資における配当金(+株主優待)、不動産保有による賃料収入などが挙げられる。

基本的に、資産を持ち続けることにより入る収入のことで、値上がり益であるキャピタルゲインと同時に考えるべきである。

例えば、株式投資などはインカムゲインとキャピタルゲインの両方を狙うことができる投資財であるに対して、銀行預金の場合は原則インカムゲインのみである。この場合、インカムゲインのみでの投資商品の比較は成り立たず、「インカムゲイン」+「キャピタルゲイン(キャピタルロス)」の両方を組み合わせたトータルリターンで比較する必要がある。

トータルリターン

トータルリターンとは、投資において「インカムゲイン」に「キャピタルゲイン(キャピタルロス)」を加えたもので、投資における収益が正味いくらなのかを判断するための指標である。

インカムゲインとは、投資における金利・配当・賃料収入など資産を保持することにより得られる収入。一方、キャピタルゲイン(ロス)とは、その資産に投資をしたことによる資産価格の変動利益(損失)を指す。

例えば、ある投資信託に投資をしたとして、当時の基準価額が10,000円のファンドに投資をして、1年後の基準価額が9,600円にまで下落。収益分配金が1,000円だった場合、トータルリターンはインカムゲインの1,000円+(9600円-10000円)=600円となり、トータルリターンは600円(6%)となる。

このように、多くの投資商品の場合は「価格の変動」と「金利・配当収入」という二つの収入があるため、それぞれを組み合わせて投資の成果を補足する必要がある。この考えがトータルリターンである。

収益分配金

収益分配金(しゅうえきぶんぱいきん)とは、投資信託におけるインカムゲインの一種。ファンドの運用を通じて得られた利益を投資家に対して還元する際の収入のこと。株式投資における配当金に近い。

投資信託では、投資家から預かった資金を運用にまわしているが、この運用における成果についても当然に投資家に分配することになる。この分配金のことを収益分配金と呼ぶ。(ファンドによっては単に「分配金」とすることもある)

ファンドがあげた利益はその都度、投資信託の基準価額にも反映されているが、それを年に1回~数回投資家に対して直接現金で支給することがある。これが収益分配金となる。なお、分配金を支払った場合ファンドの基準価額は当然その配当分減少することになる。

ファンドの中には、収益分配金を出さずに基準価額の値上がりを目的とするものもあれば、収益分配金を安定して出すことを目的にするものもある(毎月分配型ファンドなど)。

なお、日本における所得税制上、現在の基準価額が個別元本(投資家が購入した取得原価)を下回る額の範囲は「特別分配金」、それ以上の部分は「普通分配金」として区分されている。
さらに、公社債投信の分配金は「利子所得」。株式投信の分配金は「配当所得」に分類される。これは、公社債投信の投資先は債券のみであるため利子に、株式投信の場合は株式にも投資しているため配当にあたるからとされている。

基準価額

基準価額(きじゅんかがく)とは、投資信託における純資産を口数で割ったもの。投資信託を購入したり、売却したりする際の基準となる価格の事を指す。例えば、1億円の純資産を持つファンドの発行口数が1万口の場合、基準価額は10000円となる。

基準価額はファンドが持つ純資産の合計であり、概ね以下のようなもので構成されている

ファンドの純資産=(保有する資産の時価+利息や配当金などの収入)-(売買にかかる手数料コスト+信託報酬などのコスト+借入金がある場合はその支払利息等)

なお、新聞などに投資信託の価格として掲載されているのはこの基準価額である。多くの投資信託では、投資信託を設定当初の基準価額が10000円になるように設定されていることが多い。
また、投資家がファンドを購入した際の時価を「個別元本」と呼ぶ。個別元本に手数料を加えたもの、および追加型投資信託を複数回にわたって購入した場合の平均値を「取得価額」と呼ぶ。

個別元本

個別元本(こべつがんぽん)とは、投資家が投資信託を購入した時点での基準価額の事を指す。ファンドの取得原価のようなもの。なお、個別元本には取得にかかったコスト(手数料等)は加味されない。

個別元本は追加型投信を購入した場合など複数回にわけて購入した場合でも自身が購入した取得原価を示すために用いられる。(全体での取得原価・手数料を加味したものは「取得価額」で示される)

税法上は同一ファンドの基準価額と個別元本の差がキャピタルゲイン(キャピタルロス)にあたるものとされる。なお、ロスが生じている場合に同ファンドから収益分配金が出た場合は、元本の払い戻しとみなされ、その差額の範囲は非課税となる。

取得価額

取得価額(しゅとくかがく)とは、ある投資商品等の取得に要した価格(取得原価)に対して、手数料や税金(消費税等)を加えたもの。なお、複数回に分けて購入した場合はそれを押しなべて計算することになる。

例えば、投資信託に投資した場合、基準価額の平均値(個別元本)にこのファンドの買い付けに当たって必要となった手数料を加えたものである。

2009年10月29日

ファイアーウォール規制

ファイアーウォール規制とは、金融機関において部門と部門の交流等を意図的に遮断する規制のことを差う。代表的なファイアーウォール規制として、銀行による証券業務の禁止などが挙げられる。2009年6月には、このファイアーウォール規制が一部緩和された。

この規制緩和により役員や社員が、銀行、証券、保険会社の間で兼務することが可能になった。また、顧客の同意なしに取引先企業の情報を共有できるようになった。(09年6月のファイアーウォール規制の金輪までは禁止事項)

しかし、一方的なファイアーウォール規制の緩和は銀行の優越的な地位の乱用や利益相反などを招くとして、一部の証券業界からは反対の声も挙がっている。たとえば、銀行が融資の回収を急ぐために当該企業に株式を新たに発行させて資金を集め、その資金を融資の回収にまわさせるなどが懸念される。

高金利通貨

高金利通貨(こうきんりつうか)とはいわゆる政策金利が他の国の通貨と比較して高い国のことをさす。高金利か低金利であるかについてはあくまでも自国の通貨との比較になるため、現在の日本の金利水準と比較すると多くの国が高金利通貨となる。

2009年段階にいて、高金利通貨として代表的なのがオセアニア通貨(豪ドル・NZドル)が代表的である。このほかにも、トルコ(リラ)、南アフリカ(ランド)、イギリス(イギリスポンド)などが高金利通貨として取引されている。
(リーマンショック以後急速な景気悪化により各国の政策金利の引き下げが続いている。イギリスポンドの政策金利は09年8月現在0.5%となり低金利通貨となっている。)

外国為替投資をする際など、高金利通貨に対して日本の個人投資家からの人気が高いが以下の点には留意しておく必要がある。

まず、全ての高金利通貨国ではないが、政治基盤や経済基盤が脆弱な国はあっという間に為替レートが大きく変動するリスクがあること。
これは過去のアジア危機(アジア通貨危機)などの例からも明らかであり。為替レートは平常時は安定していることが多くボラティリティも低いケースが見られても、何らかの事態により大きく変動することがある。

次に、金利というものは変動するということ。例えば、米ドルは2007年ころまでは5%近い政策金利水準でだったが、リーマンショック以後大きく政策金利を引き下げており1%を切る水準となり、現在では低金利通貨の仲間入りを果たしている。

政策金利

政策金利(せいさくきんり:bank rate)とは、各国の中央銀行が普通銀行に対して融資をする際の金利のことを指す。中央銀行による金融政策の一つとされており、好景気時には金利を高く設定し過度な景気の行き過ぎやインフレを抑え、不景気時には金利を低く設定して景気刺激する。

その国の通貨におけるベースとなる金利の一つであり日本の場合は無担保コール翌日物金利が政策金利となる(以前は公定歩合としていた)。現在は民間銀行の金利が完全に自由化されているため、公定歩合による金利操作を行うことはできず、無担保コール翌日物市場という短期金融市場に直接日銀(日本銀行)が介入することにより短期金利を操作している。

ちなみに、現在も公定歩合は残っているがこれは短期金融市場における金利の上限として機能しており、政策金利ではない。(現在の名称は「基準割引率および基準貸付利率」)

各国通貨の政策金利の名称

  • 無担保コール翌日物(日本)
  • フェデラルファンド金利(米ドル)
  • ユーロ市場調整金利(ユーロ)
  • イギリスレポ金利(イギリスポンド)
  • スイス3か月物LIBOR誘導目標(スイスフラン)
  • カナダ翌日物金利誘導目標(カナダドル)
  • オーストラリア政策金利(豪ドル)
  • 南アフリカレポ金利(南アフリカランド)
  • ロシアリファイナンス金利(ルーブル)
  • トルコ中央銀行ONDEPO(トルコリラ)
  • メキシコオーバーナイト金利(メキシコペソ)

タンス株

タンス株とは、企業が発行している株券のうち、個人の自宅などに保管されているものを言う。2009年1月には、上場企業の株券についてはペーパレス化(電子化)されており、紙ベースでのタンス株に経済的な価値はないものとされている。

一方で、株券の電子化が行われるまでに自宅に保管されている株券については証券会社等に預けるように勧告されていたものの、まだ多くの株券がタンス株として提出されていない。
提出されていないからといって株主としての権利を失うわけではないが、売却がすぐにできない。また、売却までに時間や多くの手続きが必要になるなどの問題がある。

自宅に株券をまだ持っている方は、早めに信託銀行等に相談し、電子化対応をするよう証券業界は勧奨している。(実際に、タンス株を保有している場合取引の際に不都合が多いため、証券会社で電子化に対応しておくことをお勧めする)

なお、タンス株と類義の言葉として「タンス預金」という言葉がある。これは株券ではなく、現金を銀行に預けることなく保有しているという意味である。

タンス預金

タンス預金(たんすよきん)とは、銀行等の金融機関に預けることなく自宅に保管されている現金のこと。必ずしもタンスに入れてあることが要件ではない。2008年には日本銀行がタンス預金に対する調査報告を行っており、これによるとおよそ30兆円がタンス預金として自宅に眠っていると報告している。

ゼロサムゲーム

ゼロサムゲームとは、経済学における「ゲーム理論」と呼ばれる経済理論における用語。参加者の得点と失点の総和(サム)が0(ゼロ)になるゲームのことをさす。対戦者同士が一定の得点を争いあうようなゲームなどが代表的である。ゼロ和とも呼ばれる。

例えば、2人のプレイヤーが参加するゲームでそれぞれが1,000円ずつを出し合って、ゲームの勝者が出し合った資金を総取りするようなゲームが挙げられる。(この場合は勝者2,000円、敗者0円となり、当初の資金の合計額である2,000円と変化がない)
対して、総和がプラスとなるゲームを「プラスサムゲーム」、マイナスとなるゲームを「マイナスサムゲーム」とも呼ぶ。(またはまとめて非ゼロサムゲームと呼ぶこともある)

投資においては市場が拡大しない市場は、ゼロサムゲームとなる。たとえば代表的な資産運用市場において「株式市場」は非ゼロサムゲームである。これは株価が上昇することにより新たな価値が創造される一方、株価の下落により価値が減少するためである。
一方で、外国為替取引は、価値同士の相対的な取引となり、一方の為替レートがあがるのであれば一方は必ず下がることになるため、為替取引はゼロサムゲームとなる。

株式投資の場合
株式投資の場合、ある株式に対する需要が高まれば、その分株価は上昇する。例えば、日本企業の時価総額は買いたいと思う人が増えれば株価が上がり、その結果時価総額(価値全体)は上昇することになる。一方売りたい人が多くなれば時価総額は下落する。
このため、株式相場において、市場全体の大きさが変動することになるため、非ゼロ和(非ゼロサムゲーム)市場であるといえる。

外国為替取引の場合
外国為替取引の場合、例えば米ドルの価値と日本円の価値はそれぞれの相対的な価値で計算される。米ドルと日本円においてそれぞれが上昇する、円高・ドル高ということはありえない(相対評価のため)。円高になればドル安を意味し、円安になればドル高を意味する。
こうした外国為替相場においては、市場全体での取引される金額が増加した場合でも市場全体の価値が上昇することはありえない。そのため外国為替取引市場はゼロ和(ゼロサムゲーム)市場であるといえる。

ちなみに、上記の例では仲介業者(胴元)による手数料を考慮していない。例えば、ゲーム自体はゼロサムであっても、ゲームにおいて手数料を仲介業者が取る場合にはその手数料分だけ市場の総和は小さくなる。そのため、最終的にはマイナスサムゲーム(得点と失点の総和がマイナス)となることもある。

2009年10月30日

ペイオフ

ペイオフ(Pay Off)とは、金融機関が破綻した場合に預金者を保護するために金融機関が加入している「預金保険機構」が、預金者を保護するための制度のこと。ペイオフの対象商品を銀行等に預けている場合、預金保険制度に基づき一定額が保護される。

金融機関とは、国内に本店のある銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫などの事を指す。(農協・農林中金・漁協などは預金保険機構に加入していないためペイオフの対象外だが、別に「農水産業協同組合貯金保険機構」に加入しており、ほぼ同様の制度がとられている)

現行の制度では、個人や法人などが一つの金融機関につき、預金者一人1000万円までの元本とその利息を保護している。ただし、当座預金など利息の付かない決済性預金についてはその全額が保護される。

なお、1000万円を越える部分については破綻した金融機関の残された財産の分量に応じて変わってくる。そのため、仮に2000万円の預金があり、銀行が破綻した場合であっても必ず1000万円までしか保証されないというわけではなく、破綻した銀行の財産を処分して残りがあった場合には、ペイオフの限度額である1000万円を超えた部分であっても戻ってくる場合がある。

ペイオフと無関係に保護される預金商品
・決済性預金(無金利などの条件がある)

ペイオフの対象となる商品
・普通預金
・定期預金
・定期積立預金
・その他元本補填契約がある金銭信託

ペイオフの対象外となる商品
・外貨預金
・譲渡性預金(CD)

外貨預金についてはペイオフの除外となっている点に注意が必要である。そのため銀行で外貨預金をする場合には銀行自体の健全性も一つのリスクと考えられる。(一方同じ外貨商品である外貨MMFは投資信託の一種であるため完全に保護される)

また、最近個人に人気なのが個人用の決済性預金である。決済性預金とは当座預金のように通常は企業が手形決済するための口座であるが、決済性預金の場合にはペイオフの対象外として全額が保護の対象となるので、一部の資金が普通預金などから決済性預金に移動している。
また、銀行側もこうしたニーズをくみとり、個人向け決済性預金などのサービスを開始している。

なお、上記には記載していないが「仕組預金(デリバティブ預金)」については、その内容により異なるためそれぞれの仕組預金の商品説明書などを参照すること。また、銀行に投資信託などの有価証券を預けている場合、有価証券は「分別管理」されているため別口で保護される。

マージンコール

マージンコール(Margin Call)とは、追証(追加証拠金)のこと。信用取引、FX取引(外国為替証拠金取引)、など元本以上の投資が可能な取引において、委託証拠金(委託保証金)の額が相場変動等により不足した場合に、証拠金(保証金)の増額をすること、または増額要求のことをさす。

日本では、FX取引やCFD取引といった差金決済取引において用いられることが多く、株式投資における信用取引においては日本語で追証(または追加証拠金)と呼ばれることのほうが多い。

CFD

CFD(Contract For Difference)とは、差金決済取引のこと。ヨーロッパにおいては株式取引の中でも多くのシェアを占めているという取引方法。証拠金を取引業者に預けて、株式、株価指数、債券、コモディティなど幅広い投資商品に差金決済により投資ができる。

広義には、外国為替証拠金取引(FX取引)についても為替のCFD取引であるといえる。日本では、2005年に「ひまわり証券」がはじめてサービスとして提供している。FX取引の場合とは異なり、取引業者は為替以外にも投資家に提供する様々な取引商品に対してカバー取引を行う必要がある。

差金決済取引であるため、取引業者に証拠金を預託し、実際の現物(原資産)の売買は行わずに、売買の差額による差金のみを取引する。たとえば、ある株式を100万円で購入し、120万円で売却する場合、現物株取引の場合は、100万円が移動し、それを120万円で売ることで20万円の利益が得られるが、CFD取引の場合は、100万円で買うというポジションを持ち、それを120万円で決済するだけで、実際に動くのは20万円の差金のみである。

CFD取引のメリットは単一の商品で、世界中の株式、株価指数、コモディティ、債券、為替など幅広い商品に対してアクセスが可能であることが挙げられる。
一方で、デメリットとして取り扱い業者がまだ少ないこと。仕組がやや複雑であることなどが挙げられる。

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