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2013年7月 アーカイブ

2013年7月11日

法人企業統計

法人企業統計(ほうじんきぎょうとうけい)とは、財務省が企業実態を調査するために行う統計。全国の営利法人等を対象としたもので、すべての規模を対象とする標本抽出となっているが、資本金が5億円以上の企業はすべてが調査対象となっている。

年次別調査は毎年9月、4半期別調査は3月、6月、9月、12月に発表される。法人企業統計は今後の景気動向を見る上での重要な統計の一つとされる。
調査結果は財務省の総合政策研究所のホームページからダウンロードが可能(無料)。

ESOP

ESOP(Employee Stock Ownership Plan)とは、従業員による株式保有計画のこと。イーソップ、イソップと呼ばれる。企業が従業員のために拠出する株式給付制度を指す。米国では退職金、年金制度として利用されている。基本的には退職するまで引き出すことができない確定拠出型退職金制度となっている。

日本でも「日本版ESOP」というような名前で近年、注目を集めているが税制や法律の違いなどによって内容的には異なるものとなっている。
日本版ESOPと呼ばれるものの多くは従業員持株制度の延長となっている。

日本版ESOP

日本版ESOPとは、米国で行われている「ESOP(Employee Stock Ownership Plan)」の日本版であるが、明確な定義や法整備などは存在していない。企業が自社株を保有する金融スキームの一種ととらえられている。そのため、日本版ESOPといっても複数のスキーム、方法が存在している。

まず、一つ目は米国と同様に確定拠出型退職金制度に近い制度。こちらが会社が資金を拠出して自社株を購入しそれを従業員に積立するというもの。もう一つは「従業員持株制度」の延長線にあるもの。こちらは企業が自社株をプールしておき、それを将来従業員持株会に売却するというものとなっている。

ESOPは企業が自社株を保有することができるため、株価対策の一環や敵対的買収に対して備えるという意味合いもある。また、従業員が株主となることから、従業員の労働インセンティブの向上、安定株主作りという意義もあるとされている。

行動経済学

行動経済学(こうどうけいざいがく:Behavioral economics)とは、すべての人が合理的に動くという従来の経済学の前提ではなく、現実の人間による実験等を通じて人がどのような選択を行い、その結果どのようなことになるのかを研究する経済学の一種。

古典的経済学では、合理的経済人(ホモ・エコノミクス)と呼ばれる自己利益に従って行動する完全に合理的な存在をモデルとしてきたが、現実には合理的でもない。行動経済学では、現実に生きる人間の行動を対象として研究されている。

行動経済学の代表的な理論として「プロスペクト理論(不確実性下における 意思決定モデル)」が知られている。ファイナンス理論への応用となる行動ファイナンス、ゲーム理論との融合、脳科学(神経科学)と連携した神経経済学なども研究されている。

不労所得

不労所得(ふろうしょとく:unearned income)とは、労働の対価として受け取るのではない所得のことを指す。働かなくても得られる収入という意味で用いられる。債券や預金、株などの利子や配当といったインカムゲインや株や不動産などの売買によるキャピタルゲインなどがある。資産性、権利性の強い所得全般。

あくまでも労働の対価ではない。というだけで実際に動く必要がない(寝ていても収入がある)という意味ではない。不動産の大家は賃料収入という不労所得を得られるが、そのためのリスク(不動産の値下がりリスクなど)を負っており、ノーリスクということではない。
また、株の投資というケースでも投資銘柄の分析や情報収集などを行う必要がある。

最近では、インターネットを活用した広告収入(アフィリエイト収入)なども不労所得としてあげられることが多い。その一方で、ノーリスク、元手不要、働く必要がない不労所得というのは大抵が詐欺または悪徳商法であるケースが多いので注意すること。不労所得というキーワードは魅力的に聞こえるためこのような詐欺事案でも多用される傾向がある。

2013年7月16日

単独上場

単独上場(たんどくじょうじょう)とは、特定の証券取引所にのみ上場している会社や上場方法のことを指す。一般に単独上場という場合、日本の中心的な証券取引所である東京証券取引所に上場することなく、他の証券取引所に上場しているケースを指す。

2013年7月には大阪証券取引所の現物株式が東京証券取引所に統合されることを受けて、大阪証券取引所1部、2部、ジャスダックに単独上場する1100社が東京証券取引所に統合された。

日本の証券取引所
・東京証券取引所
・大阪証券取引所
・名古屋証券取引所
・福岡証券取引所
・札幌証券取引所

2013年7月17日

個別競争売買

個別競争売買(こべつきょうそうばいばい)とは、株式市場におけるザラ場時間中での取引方法の一つ。取引所に出されている売買注文の中から「最も低い呼び値の売り注文」と「最も高い呼び値の買い注文」とが合致する場合にその株価で売買を成立させるというもの。

株価の決定方法として一般的であり、ザラ場方式、ザラ場寄せ、オークション方式などとも呼ばれる。出された注文は価格優先の原則>時間優先の原則によって順番に成立することになる。

2013年7月18日

シャドーバンキング

シャドーバンキング(Shadow Banking)とは影の銀行、影の銀行システムとも呼ばれるもので、通常の銀行ではない金融機関が行う金融仲介を指す。非合法な地下金融を指す場合もあるが、それ以外にも企業間の少額融資、質、私募、ヘッジファンドなどを指す場合もある。

監督機関の目が届きにくいため、金融当局が貸出等に関する実態を把握することが困難である。そのためシャドーバンキングが問題化することがある。

過去の事例ではサブプライム問題が表面化する前において欧米の金融機関がシャドーバンキングを通じて多額の資金調達等を行ったことが問題の一因になったともされた。
2013年には、中国において貸出債権、債券を小口化した理財商品などがシャドーバンキングとして問題化している。

2013年7月25日

金融事故

金融事故(きんゆうじこ)とは、一般に銀行やクレジットカード、キャッシングなどの利用でお金を借りた場合などでその返済が行われなかった、または大幅に遅延したことを指す。また、それに伴う個人信用情報機関への異動情報の登録のことを指す場合もある。

金融事故(信用情報機関への異動情報の登録)のことを「ブラックリスト登録」などと呼ばれることもあるが、正式な表現ではない。

たとえば、クレジットカードやキャッシングなどの支払い日に残高不足で支払いができないことが続くと、金融機関(カード会社、信販会社など)は信用情報機関に正常に返済ができなかったという事実(事故情報)を登録する。この登録された内容は個人信用情報機関を通じて金融機関は参照することができる。

これが登録されると多くの金融機関は与信に対して保守的となり、新規のクレジットカード作成や住宅ローンなどの与信において審査否決される可能性が高くなる。

なお、この登録は未納状態の解消から5年間は保存されるため、金融事故が発生すると以後5年間は新規のローンなどが組めなくなる。

個人信用情報機関

個人信用情報機関(こじんしんようじょうほうきかん)とは、個人のクレジットやローンに伴う信用情報を管理するための機関。信用情報を情報機関を通じて管理することで、金融機関による適切な与信や審査が行えるようにするのが目的。

個人のクレジット取引やローン取引の利用状況などは個人信用情報機関によって管理されている。金融機関はクレジットカードの申し込みやローン申込などがると、この個人信用情報機関から申込者の情報を検索して、審査の対象としている。

その結果、過去に事故情報(金融事故)などがあれば審査上、極めて重大なマイナス事項となる。

現在のところ、日本には
・CIC(カード会社など)
・KSC(銀行)
・JICC(消費者金融など)
という三つの指定個人信用情報機関が存在する。これらはそれぞれの間でも情報の共有を行っており、それぞれの間で金融事故が登録されていればどこからでも参照されることになる。

ちなみに、このような信用情報は極めて重要なプライバシー情報であるが、クレジットカードやカードローン、住宅ローンなどの与信が絡む取引を金融機関と行う場合は、個人信用情報機関の情報を参考にする旨、また情報を登録する旨が記載されており、同意しないとカードなどは作れないのが現状である。

機関保証

機関保証(きかんほしょう)とは、融資などを受ける際にその融資の保証を保証機関や保証会社などが行うこと。融資において保証人や連帯保証人が必要なケースでそれらを用意できない場合などに利用される。機関保証を利用する場合、保証機関や保証会社に対して保証料を支払う必要がある。

債務者の返済ができなかった場合などは保証機関が肩代わりして債権者に弁済(代位弁済)する。
この場合、債権は従来の債権者から保証機関に移り、保証機関は債務者に対して返済を請求することになり、債務者にとって債務が無くなることはない。

クレジットカードやキャッシング(カードローン)などは通常無保証なので機関保証は行われないが、住宅ローンなどは求められるケースが多い。
また、奨学金(日本学生支援機構)の利用などにおいても連帯保証人などを用意できない場合には機関保証を行う必要がある。

2013年7月30日

名義預金

名義預金(めいぎよきん)とは、形式上、配偶者や子供、孫などの名義で作られている銀行口座およびその預金であるが、収入や入金の敬意などから考えて、実質的には名義人のものではない預金口座のことを指す。

親族等から名義を借りているに過ぎない預金口座のこと。ペイオフが実施された場合、名義預金とされた場合は真の所有者の名義で名寄せされることになる。

たとえば、ある銀行が破綻したとする。その銀行に夫、妻、子2名の名義でそれぞれ1000万円ずつの預金をしていたとする。そのとき、妻や子が無収入であり真の所有者は夫とされた場合、夫名義の預金は4000万円と判断され、1000万円+その利息を超えた部分はペイオフによってカットされる可能性がある。

また、相続時の税金(相続税)の場合も名義預金が指摘される場合がある。真の所有者が死亡し、形式上の名義人の預金があるとされた場合、それらの預金はすべて故人の相続財産(遺産)とみなされ、相続税が計算される。

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