トータルリターン通知制度とは投資信託投資において、投資した投信の元本増減と分配金による受け取り額を合計した損益(トータルリターン)を投資家に対してわかりやすく通知するための制度のこと。投資信託の中でも毎月分配型投資信託などは、毎月分配金を出すが、これが事実上のたこ足配当となっているケースが多く、事実上の「元本の払い戻し」となっているケースが多く、投資家の損益理解が難解となっているためこの制度が設けられることになった。
なお、対象となる投資信託は平成26年12月1日以降に取得した投資信託に限られる予定である。
たとえば、投資した時の個別元本が9000円の投資信託があり、この投資信託が年500円の分配金を出したとする。期末における基準価額が8800円の場合、この投資信託に投資をした投資家が受け取った500円の分配金のうち、200円は元本の払い戻しにすぎない。
そのため、税務上も「特別分配金」として扱われ、課税されない代わりに投資家の個別元本(取得価額)から特別分配金分が控除される。
そのため、この投資家の取得価額は9000円から8800円に引き下げられることになる。
このような形で投資信託の取得価格と分配金としてのリターンがあいまいになっており、元本損益と分配金損益が非常に分かりにくい。
そこで、トータルリターン通知制度では、元本の損益(未実現損益)と過去に受けとった配当金の額の両方からリターンを計算し投資家に通知するように求めている。