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2014年8月 アーカイブ

2014年8月18日

プロスペクト理論

プロスペクト理論というのは行動経済学における理論の一つ。不確実性下における意思決定モデルとも呼ばれる。人は基準値よりプラスではリスクを回避したくなり、逆に基準値よりもマイナスの状況ではリスクを選好しようとするというもの。

たとえば、株式投資であれば取得価格(基準値)よりも株価が高い状況であれば、なるべく早く利益確定をしたいと考えるようになり、株価が取得価格よりも低い状態であればリスクをとろうという動きをするというもの。

<<第1のパターン>>
200円の取得価格で購入した株がすでに300円になっている。このままだと80%の確率で360円になるが、20%の確率で200円に戻ってしまうというケース。
(期待値は238円)


<<第2のパターン>>
200円の取得価格で購入した株が100円にまで下落している。このまま投資を継続すれば30%の確率で200円に戻すが70%の確率でゼロになってしまうというケース。
(期待値は60円)

上記の場合、第1のパターンでは投資中止を、第2のパターンでは投資継続を選ぶ投資家が多い。経済合理的に考えれば期待値に出る通り第1パターンでは継続、第2パターンでは終了を選ぶべきである。
こうした非合理な行動を「損失回避性」と呼ぶ。

2014年8月27日

空き家率

空き家率(あきやりつ)とは、総住宅数に占めている空き家(誰も住んでいない家)の割合のことを指す。総住宅戸数の供給に対して空家の件数は増加傾向にあり、平成25年の総務省調査では、総住宅戸数6063万戸に対して空き家数は820万戸の13.5%となっている。

地域差もあり、同調査における別荘等を除いた空き家率では山梨県の 17.2%が最も高く,次いで四国4県がいずれも16%台後半と高い水準になっている。一方で 宮城県9.1%、沖縄県9.8%と低く、山形県、埼玉県、神奈川県、東京都はいずれも10%台となっている。

(追記)
総務相が2019年4月26日に発表した空き家率はさらに上昇し13.6%(846万戸)となった。空き家のうち347万戸は、賃貸や売却用以外で長期にわたって不在の住宅や取り壊し予定の住宅だとされる。

スチュワードシップコード

スチュワードシップコード(stewardship code)とは、金融機関(機関投資家)が投資先企業に対するコーポレートガバナンスへの取り組みのあるべき姿を示した指針のことを指す。リーマンショック後のイギリス(英国企業財務報告評議会)で2010年に策定された。

日本においても2014年2月に金融庁「日本版スチュワードシップコードに関する有識者検討会」が日本版スチュワードシップコードを公表した。

1.機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

2.機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

3.機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。

4.機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである。

5.機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。

6.機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである。

7.機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである

※金融庁PDF(責任ある機関投資家」の諸原則)より抜粋。

ダークプール

ダークプール(Dark Pool)とは、証券取引所などを介さずに投資家の売買注文を証券会社が社内で付け合わせる取引のこと。主に外資系証券会社が行っている。取引内容が外部から分かりにくいため「ダークプール」と呼ばれる。

証券会社からすれば取引所を介さないため手数料を省くことができるほか、取引所よりも細かい指値(たとえば1円単位ではなく10銭単位といった具合)で取引ができることなどが受けて取引が増えている。

その一方で市場外取引の拡大によって市場による価格形成メカニズムが害されるという意見やそもそものダークプールでの提示の透明性なども問題視されている。

報酬比例部分

報酬比例部分(ほうしゅうひれいぶぶん)とは、厚生年金において加入中の報酬額や加入期間によって受け取れる年金額が変わる部分のことを指す。たとえば、サラリーマンの厚生年金保険料は「等級」によって保険料が変動する。収入が多い人ほどより多くの保険料を支払うが、その分は報酬比例部分として将来受け取れる年金額が増額される形になる。

なお、熟年離婚などにおける年金分割においては分割される部分はこの「報酬比例部分」が対象となる。

リスク許容度

リスク許容度とはどれだけのリスクをとることができるのかという範囲のこと。資産運用や投資においては運用によって少なからず「リスク」が存在する。高いリターンを狙うのであればそれなりのリスクが求められる。

リスク許容度はそれぞれの投資家がどれほどのリスクをとることができるのか?という幅を指すが、これについては投資知識・経験、投資期間、年齢、収入の額や安定性、保有する資産の大きさなどによっても大きく変わる。そのため、一律にリスク許容度を規定することは不可能である。

一般的には年齢が若く、収入が高く安定しており、資産額が大きく、投資知識や経験が豊富な人ほどリスク許容度は高くなる。ただし、心理的な部分も多分に存在する。リスクをとっているとニューヨークマーケットが気になって夜も眠れないというのであれば、それはリスクの取り過ぎであると言えよう。

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