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2015年2月 アーカイブ

2015年2月 4日

VaR(Value at Risk)

VaR(Value at Risk:バリューアットリスク)はリスクを分析する時に利用される統計的手法の一つ。現在保有している資産の予想最大損失額を計算するための指標となる。現在保有しているポートフォリオを一定期間保有するとした時に、市場が変動することでどの程度の損失を被る可能性があるかを計算したもの。

過去のデータをもとに予想変動率(ボラティリティ)を求め、そこから計算することができる。日常のリスク管理手法としては有用な一方で、ブラックマンデー、リーマンショック、東日本大震災といったような異常事態(いわゆるテールリスク)は想定されていないため、VaRだけでは不十分となる。このような異常時のリスク管理としては「ストレステスト」などが代表的なリスク管理手法となる。

テール(国債用語)

テールとは、国債の入札時における平均落札価格と最低落札価格の差のことを示す。テールが短いほど人気が高い(良い入札)とされる。テール10銭というよう表現された場合は、平均落札価格と最低落札価格との間に10銭の開きがあることを意味する。
入札業者は、平均落札価格よりも低い価格で落札することができればその分が収益として計上される。

VaRショック

VaRショック(Value at Risk Shock)とは、国債暴落に伴う金融混乱のこと。2003年6月に発生した東京債券市場における売りが売りを呼ぶ展開による国債価格の下落(金利上昇)のことを指すのが一般的。2003年当時、長期金利は当時最低となる0.43%を付けていたが、投資家が長期国債の購入を控えたことをきっかけにして価格が下落。これに伴い、リスク管理の観点から売りが拡大して当時2カ月余りで長期金利が1%程度上昇することとなった。これをVaRショックと呼ぶ。

金融機関はVaR(Value at Risk)と呼ばれる過去の価格変動(ボラティリティ)に基づいて、最大リスクを予想するリスク管理手法をとっているが、国債価格のボラティリティが高まると、最大リスクが拡大することになる。リスクが拡大するとリスク資産を減らすこと(売却すること)でそのリスクを縮小する必要が生じる。

多くの金融機関がVaRによるリスク管理手法をとっていたため、国債価格の下落でリスクが拡大すると一つの金融機関だけでなく、他の金融機関も同様の行動をとることになり、売りが売りを呼ぶ展開となった。

テールリスク

テールリスク(Tail Risk)とは、発生する確率は低いものの発生する可能性がある暴落・暴騰のリスクのことを指す。暴騰(急騰)も含まれるが、一般的にテールリスクと言う場合には、異常事態として発生する可能性がある巨額損失リスクのことを指すのが多い。

一般に、価格変動リスクは市場の値動きは騰落率のばらつきを示す標準偏差の大きさで計算される。価格変動のバラつきは正規分布になると仮定した場合、「平均値±標準偏差」の間に68.27%の確率で収まり、「平均値±2標準偏差」の間に95.45%、「平均値±3標準偏差」の間に99.73%の確率で収まるという計算になる。
このような計算に基づいてリスク管理を行う。3標準偏差を超えて変動する確率はほとんど起こらないため、それを超えたリスク管理を行う必要は小さい。

ただし、発生する確率が低いというだけで発生しないというわけではない。
50年に1度、100年に1度などと表現されるようなマーケットに大きな影響を与える大きな変動を指す。こうしたテールリスクは事前予想が難しいことや発生時の影響が甚大となる

2015年2月 6日

バリュー平均法

バリュー平均法とは、積立投資による投資方法のひとつ。ドルコスト平均法を応用したもの。まず、投資における最終的な資産形成額を目標値として定め、その目標に対して定期的に現在の積立状況を見直す投資方法。目標よりも上回っていれば運用資産を一部売却し、下回っていれば追加購入する形を取る。

ドルコスト平均法を「高い時は少ししか買わず、安い時に沢山買う」という運用方針だとすれば、バリュー平均法は「高い時はほんの少ししか買わず、安い時はもっと沢山買う」という運用方針になる。

たとえば、半年後に60万円の資産をAという投資商品を購入することで作ろうとして積立投資をするケースを想定する。1カ月当たり10万円が標準的な積立額になる。
上記のケースでバリュー平均法による運用をシミュレートすると下記のようになる。

  Aの時価 投資前の積立額(数量) 投資行動 投資後資産額
1カ月後 100円 0万円(0口) 1000口の買い(100,000円分) 10万円
2カ月後 95円 95,000円(1000口) 1105口の買い(105,000円分) 20万円
3カ月後 92円 193,660円(2105口) 1156口の買い(106,340円分) 30万円
4カ月後 96円 313,056円(3261口) 906口の買い(86944円分) 40万円
5カ月後 94円 391,698円(4167口) 1152口の買い(108,302円) 50万円
6カ月後 100円 531,900円円(5319口) 681口の買い(68,100円) 60万円

毎月その月の目標額に達成するように購入額を調整する投資方法となる。
結果として半年間で投資したお金は574686円で最終資産は600000円となり、運用益は25314円となる。

このバリュー平均法は、前述の通り高い時はほんの少ししか買わず、安い時はもっとたくさん買うという逆張りの運用法となる。このバリュー平均法のリスクとしては価格下落時の投資額増大があげられる。

ドルコスト平均法の場合は投資額は毎月一定だが、バリュー平均法の場合、価格が下がるにつれて投資額が大きくなってしまう。
上記も例でも、最大で10万8302円の投資が必要になっている。運用期間が長期化した場合や価格が大きく下落した場合、当初予定額よりもはるかに大きな拠出額が必要になるケースもあり、万能と言うわけではない。

2015年2月12日

統合報告書

統合報告書(とうごうほうこくしょ)とは、企業が株主に開示する情報の一つで財務情報と非財務情報を一つにまとめた報告書。業績を始めとした財務情報はもちろん、社会貢献、環境に対する取り組みなどをまとめたもの。2014年には導入する上場企業が100社を超えた。

企業が長期にわたって継続し、繁栄、成長するためには短期的な利益だけでなく、社会への貢献や長期的視点での育成などの稼ぐ力以外の要素に注目する必要があるという考え方から産まれたもの。特にリーマンショックなどを経て経営の短期志向の反省の意もある。

統合報告書には、代表者(社長)からのメッセージ、企業理念、事業と社会貢献、研究開発、CSR活動、労働環境に対する取り組み、コーポレートガバナンスなどが盛り込まれる。

近年では、投資対象を考える時、収益性だけではなくESGは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(統治・ガバナンス)などに優れた企業に投資をする「ESG投資」なども注目されている。今後も統合報告書を導入する企業は増加するものと考えられる。

2015年2月18日

優待利回り

優待利回り(株主優待利回り)とは、企業が株主向けに提供している「株主優待」から得らえる利益を利回りとして計算したもの。優待価値÷投資時金額×100で計算することができる。株主優待の中には金銭評価がしづらいものもあるがそうしたものはオークション等での実勢価格を基に計算することが多い。

類似の指標として企業の配当金をベースに計算した「配当利回り」がある。
優待利回りは企業によっても大きな差があり、中には10%を超えるような利回りのある会社もあり、東証一部上場企業の平均配当利回り(2014年)は1.45%と比較して高い企業も多い。

理由としては金銭による優待ではなく、あくまでも自社サービスの無料利用券(優遇券)などであるため、企業の実質的な負担は小さく済む、個人株主作りのための必要経費としてとらえている、広告宣伝の一環として考えているといったことなども企業が株主優待に積極的な理由といえる。

なお、この優待利回りと配当利回りを合計したものを実質利回り、総合利回りなどと読んだりすることもある。

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