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財政収支に関するQ&A

財政収支に関する質問情報を掲載しています。用語解説については「財政収支」をご覧ください。

2009年10月14日 Q.質問
2008年か2009年の財政収支の中で,社会補償基金がGDP比で何%か教えて下さい。

2009年10月29日 A.回答
我が国における社会保障基金の貯蓄投資差額は1991年度にGDP比で 3.81%となっており、我が国全体の貯蓄投資差額とほぼ同額であった。この黒字ゆえに「日本には内需拡大のために財政出動する余地がある」と海外から主張されてきた。 国民経済計算上の一般政府部門には中央政府・地方政府の勘定と社会保障基金の勘定が便宜的にひとくくりに計上されている。それぞれの部門間には地方交付税交付金や国庫負担を通じた資金の流れがある。ただ、両者は財政運営上の基本的観点が異なっている。中央政府や地方政府が財政出動すべきか否か、あるいは財政出動の余地があるか否かは社会保障基金の黒字や赤字とは基本的に関係がない。社会保障基金が仮に赤字であっても中央政府や地方政府が財政出動すべきときがある。それは財政政策そのものであり、社会保障基金の黒字・赤字と切り離して議論すべきである。 社会保障基金の黒字は主に厚生年金及び厚生年金基金の収支差額から生じている。厚生年金は1995年度末には132兆円の積立金を有する。それだからといって厚生年金は積立方式に基づいて財政運営されているわけではない。厚生年金など公的年金の財政は事実上、賦課方式に基づいて運営されている。賦課方式下の公的年金が積立金を保有する理由は主として2つある。第1は、互いに隣りあう世代の年金負担の高低をなだらかにすること、第2は、貯蓄不足経済下において強制貯蓄を通じ資本蓄積を図ることである。人口構造の高齢化が進行する場合、第1の理由はその分だけ強まる。 日本は現在、高齢化の途上にあり、公的年金の収支が黒字になり積立金が年々増えていくことにはしかるべき理由がある。ちなみにL.コトリコフの「世代会計」の立場からみると、各年度単位では黒字であっても社会保障基金は逆に莫大な負債を抱えているとも言いうる。 1994年に厚生省から発表された年金財政の長期見通しに基づいた試算によると、厚生年金本体の収支は遅くとも今後20年以内に赤字に転じる。ただし厚生年金・国民年金・厚生年金基金を合わせると、その収支が今後赤字となることは予測されていない。1994年の年金改正により年金保険料の引き上げスピードを従来より速めることになったが、それは結果的に厚生年金本体の赤字転落の時期を改正前より10年ほど先送りすることにつながった。 年金保険料の引き上げは事実上、実質的かつ逆進的な増税を意味する一方、企業経営者にとっては賃上げと同じ効果を持つ。景気対策や国内経済の成長維持の観点からみて、政府は慎重な対応を迫られよう。ただし欧米諸国と比べると日本の年金保険料水準は必ずしも高くなく、水準を引き上げる余地があることは否定できない。 厚生年金本体の収支赤字は、厚生年金基金の代行給付部分に関わる積立金を厚生年金本体の財政とプールしたり、国庫負担の割合を高めることによっても回避できる。年金保険料をどう引き上げていくかという問題は、代行給付に関わる積立金の取り扱い方や国庫負担のあり方等を含めてさらに総合的に検討される必要がある。 さらに言えば社会保障基金の黒字は将来の経済成長を促進するように使われるべきである。それを全額国債購入に充て、政府最終消費支出を賄うための財源とするようなアメリカ流の活用法が必ずしも賢明であるとは言えない。
 

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