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2009年12月 アーカイブ

2009年12月 1日

新株予約権

新株予約権(しんかぶよやくけん)とは、その権利を行使することで、当該企業の株式の交付を受けることができる権利を指す。ワラントとも呼ばれる。株式を特定の価格で購入できるコールオプションとも換言できる。従来まで、転換社債権、新株引受権、ストックオプションなど様々な言葉で表現されたが、これらを総称する場合に新株予約権と呼ぶ。
2002年の商法改正、2006年の会社法施行により自由度の高い制度となった。

新株予約権は取締役会の決議により発行することが可能で、無償での割当だけでなく、有償での発行も可能となっている。新株予約権を無償提供することでストックオプションによるインセンティブ付きの報酬制度を作ることができる。
このほかにも、有償で新株予約権を発行することによる資金調達(会社法の施行に伴い、純資産として計上)や、敵対的買収に対するポイズンピル(毒薬条項)としての新株予約権の付与、借入金として転換社債型新株予約権付社債(CB)の発行など様々な用途に持ちいられる。

株主

株主(かぶぬし:stockholder)とは、ある会社の株式を保有する所有者のこと。出資者とも呼ばれる。株式会社のオーナーとして株主平等の原則に基づき、持ち株数に応じた権利を持つ。株主としての権利を主張する為には会社の株主名簿に記載されていることが必要である。

ただし、黄金株、優先株など種類株が導入されている株式会社の場合は、種類株を持つ株主の権利が増幅されたり制限されたりすることになる。

株主に関する派生用語として、所有株数が多い株主を「大株主(明確な定義はない)」、最も多くの株を保有する株主を「筆頭株主」、市場で株式を売買しない同属企業や関連会社、協力企業、取締役などを「安定株主」、対して市場で売買する「浮動株主」など様々な呼び名がある。

株主は企業のオーナーとして、会社があげた利益について配当(含、株主優待)という形で利益還元を受ける他、株主総会に出席し決議に参加することにより会社の経営に参加することもできる。
難しく表現すると株主には「自益権」と「共益権」という二つの権利を持つ。

自益権
剰余金配当請求権、利益配当請求権、残余財産分配請求権、新株引受権、株式買取請求権など、投資家(株主)自らの利益と絡む権利のこと。株主個人の利益となる権利。

共益権
株主総会議決権、株主代表訴訟提起権、差止請求権、少数株主権など会社の事業について事業を辞めさせたり、必要書類の開示、経営者に対する責任追及などの権利。株主個人の利益ではなく、会社全体の利益のために株主がとることができる権利のこと。

利益配当請求権

利益配当請求権(りえきはいとうせいきゅうけん)とは、企業の株主が持つ自益権の一つ。株を所有する企業に対して、利益を配当金として分配するように請求することができる権利のことをさす。会社法では「剰余金の配当を受ける権利」とされている。

ただし、企業は必ず配当金を出す必要があるわけではなく、利益が無い場合(またはあっても内部留保として将来の成長の為に残しておく場合)もある。
配当については、取締役会において配当の有無、金額を決めてそれを株主総会において承認してもらうことにより正式に決定される。

なお、株主優待については利益配当請求権の範疇ではないと解釈される。

2009年12月 2日

デットファイナンス

デットファイナンス(Debt finance)とは、貸借対照表における「負債の部」に対する資金調達の事を指す。対義語は「エクイティファイナンス(資本の部)」。一般的には、銀行からの借り入れ(借入金)や一般の社債(債券)の発行によるファイナンスのことを指す。

なお、社債の中でも転換社債(転換社債型新株予約権付社債)については、発行後株式に転換されることがあるため、原則としてエクイティファイナンスに含まれる。

社債

社債(しゃさい:Bond)とは、企業が発行する債券の一つ。要するに会社が行う借金のこと。仕組み自体は国債と変わらない。発行体が民間企業の場合を社債と呼ぶ。(国であれば国債、地方自治体なら地方債と呼ばれる。)

満期日までの間は利子が支払われ(割引債形式の場合は支払われない)、満期日には額面金額で償還(払い戻し)が行われます。

社債には様々な種類がある。中でも以下のようなものが代表的である。
・普通社債
・転換社債(CB:転換社債型新株予約権付社債)
・他社株転換社債(EB)
・劣後債
・割引債

種類株

種類株(しゅるいかぶ)とは、普通株式と比較して様々な権利が付与されたり制限されたりしている特殊な株式のことを指す。代表的な種類株としては「優先株」があり、議決権がない代わりに、配当金が優先して受けられるなど特徴がある。

このほかにも、劣後株(後配株)、黄金株なども種類株として扱われる。

劣後債

劣後債(れつごさい:Subordinated bond)とは、一般の債券よりも債務の弁済順位が低く設定されている債券の事を指す。通常の債券よりもリスクが高くなるため、支払う利息は通常、普通債券よりも高く設定される。

劣後債を企業が発行するメリットとしては、債務の弁済順位が低いことから、性質として借入金というよりも自己資本に近い性質となる。購入者側の立場(投資家サイド)から見ると発行体の信用リスクがより大きくなるものの受け取ることができる利息が増加するため、発行体の信用格付けなどがより重要となる。

割引債

割引債(わりびきさい:Zero coupon bond)とは、ゼロクーポン債とも呼ばれる債券の一種。利払いがない代わりに発行時に、額面金額よりも割り引いた金額で発行され、償還時には額面で払い戻される。つまり、額面と発行金額の差が実質的な利息となる。対義語は利付債。

たとえば、額面100円に対して、95円で発行された債券があるとする。この債券は償還期限には額面100円で償還されることになるので、当初の95円と100円との差が利子相当分となる。
利付債の場合、半年ごとにクーポンが支払われるため短利運用となるが、割引債の場合は当初から満期までの複利で計算された割引率が計算されることになる。

そのため、同一時期に同一条件で発行される利付債と割引債の場合、割引債の方が最終利回りは高くなるのが一般的である。

自益権

自益権(じえきけん)とは、株主の持つ権利の、利益配当請求権(配当金を受け取る権利)や残余財産分配権(会社清算時の分配分の受け取り権)など株主自身が経済的な利益を得ることができる権利のこと。対義語は「共益権」。

共益権

共益権(きょうえきけん)とは、株主の持つ権利の一つ。会社の利益や株主全体に対して影響を及ぼす権利のことで、経営に対する参加権のことを指す。議決権や株主提案権、解散請求権などが挙げられる。対義語は「自益権」。

劣後株

劣後株(れつごかぶ)とは、普通株よりも配当や残余財産分配権が制限されている株式のことを指す。後配株(こうはいかぶ)とも呼ばれる。優先株の反対の意味を持つ。種類株の一種だが、基本的に引き受けてにメリットがない株式であるため、一般的には経営者などに対して発行されることが多い。

日本で劣後株が発行されているケースはきわめてまれであり、個人投資家に対して発行されることはまずない。既存株主の利益を損ないたくないが、資金調達を行わなければならない際などに発行される。

2009年12月 7日

再投資

再投資(さいとうし:Reinvestment)とは、投資信託用語の一つ。投資信託においてその運用資産を収益分配金として投資家に分配するのではなく、ファンド内部に留保しておくことにより、資産を再投資したのと同じ効果が得られることを指す。
また、分配した上で自動的に同じ投資信託を購入する場合も同様に再投資と呼ぶ。

例えば、基準価額が10,000円のファンドが10%の利益をあげ1年後に11,000円になっていた場合、収益分配金として資金が分配されなければ、増加した1,000円分の基準価額も翌1年間にわたり運用されたことになる。仮に、このファンドが翌年も10%の利益を上げたとする。
収益分配金を支払ったファンドは10,000円×10%=1,000円の利益となるが、分配金を支払わなかったファンドは11,000円×10%=1,100円の利益が発生することになる。このように、再投資を行うファンドの場合、運用期間中複利効果を得ることができる。

内部者登録

内部者登録(ないぶしゃとうろく)とは、証券取引法により禁止されている「インサイダー取引」を防止するために、証券会社(ネット証券)に口座を開設する際に、上場企業(その関連会社)に勤めている、顧問弁護士や税理士であるなど、会社の重要事項を知る立場にある場合、その事実についての登録を行うこと。

内部者登録をしておくと、その企業の内部者として当たる企業の株を購入しようとする場合にアラート(注意)が表示されるなどして確認を求められる。基本的には、証券会社限りの扱いとなるため、内部者登録を行ったからといって、その情報が外部に渡ることはないが、インサイダー取引が疑われる場合などは、その情報が当局(証券取引等監視委員会など)に提供されることもある。

証券取引等監視委員会

証券取引等監視委員会(しょうけんとりひきとうかんしいんかい:Secureities and Exchange Surveillance Commission)とは、金融庁における審議会の一つ。略称として「SEC」と称されることが多い。証券取引、金融先物取引などの監視を行う組織。

金融商品取引法などに基づいて、証券会社等の金融商品取引業者に対する立ち入り調査や犯罪などの調査、証券取引の公正さを確保するための各種行政処分勧告、告発などを行う。

仕手株

仕手株(してかぶ)とは仕手筋が利益を得るために利用する株式銘柄のこと。投機的な取引の取引対象となりやすい株式銘柄のことで、一般的な特徴としては低位株かつ、貸借銘柄(空売りが可能)であり、材料感がある(優良企業よりも比較的問題がある)銘柄が多い。

資産担保証券

資産担保証券(しさんたんぽしょうけん:Asset Backed Securities)とは、アセットバック証券(ABS)とも呼ばれる有価証券のこと。キャッシュフローを生み出す資産を担保として発行する証券で、売掛債権、住宅ローン、自動車ローンなどのABSが発行されている。

資産担保証券を組成する場合、SPC(特別目的会社)に対して企業等が持つ資産を売却し、SPCがその資産を裏づけにした証券を発行する。

特別目的会社

特別目的会社(とくべつもくてきがいしゃ:Specific Purpose Company:SPC)とは、資産の流動化に関する法律に基づき設立される法人のこと。特定目的会社と表記される場合もある。

一般には、仕組債や資産担保証券(ABS)を発行する際に利用される。企業や金融機関などが持つ債権などを本体から分離して、特別目的会社(SPC)を使い有価証券を発行して、資金調達する場合に利用されることが多い。

2009年12月 8日

無リスク資産

無リスク資産(むりすくしさん)とは、元本が保証された安全資産のこと。一般的には国債が通貨ベースでの無リスク資産とみなされる。無リスク資産から得られる利回りはノーリスクで得られる運用益となるため、リスク資産の比較にも用いられる。

現代ポートフォリオ理論においては、よく短期国債の利回りがリスクフリー資産(無リスク資産)の利回りの代理変数として持ちいられる。

無リスク資産でリスク資産を分析する場合は、無リスク資産の利回りが例えば3%であるのに対して、株式投資で得られる期待収益率が2%という場合、株式投資によるリスクを抱えながら期待収益率が低いため
、株式投資をするのはやめておくなどの投資行動が導き出される。
また、投資信託の収益性分析に用いられるシャープレシオなどでもこうした無リスク資産と投資信託の運用成果が比較されたりと、様々な投資分析に利用される。

2009年12月 9日

預金保険制度

預金保険制度(よきんほけんせいど)とは、金融機関に預金をした場合、1金融機関につき、1預金者あたり、元本1000万円とその利息分の預金債権が預金保険法に基づき保護される制度のこと。保険という名前がついているが預金者が保険料を負担するわけではない。ペイオフ(預金保護制度)の一つ。

預金保険制度の対象となる金融機関は銀行法に基づく銀行が対象となる。ただし日本国外の銀行については当然保護の対象外となる。ただし、銀行に預金されている預金の中でも、外貨預金については預金保険制度の対象外となっている。(投資信託などの有価証券も対象外だが、投資信託などの有価証券は銀行の財産とは分別管理されているため、破綻の影響は受けない)

なお、預金額が1000万円を超過した場合については、破綻した銀行の財政状況により払い戻される金額が異なってくる。ただし、(1)無利息 (2)要求払い (3)決済サービスの提供という3要件を満たす当座預金、決済用普通預金などの預金を「決済用預金」と呼び、決済性預金についてはその全額が保護の対象となる。
このため、近年ではペイオフ対策として個人でも決済用預金に預金をする人も増えている。

預金保険機構

預金保険機構(よきんほけんきこう)とは、Deposit Insurance Corporation(DIC)とも呼ばれる機関。政府、日本銀行(日銀)、民間金融機関の出資により設立されており、ペイオフ(預金保険制度)などの預金者保護、金融整理管財人としての金融機関管理などを業務とする。

アメリカ合衆国における連邦預金保険公社をモデルケースに設立されており、預金保険制度については1金融機関あたり、1預金者に対して1000万円までの元本とその利息が保護されるようになっている。

また、振り込め詐欺の被害拡大に伴い、「振り込め詐欺救済法」が08年6月に施行され、この法律では金融機関は振り込め詐欺に用いられた口座を凍結でき、預金保険機構はその口座の中から詐欺に用いられたとみるべき相当の理由のある口座情報を公告する。

外貨預金

外貨預金(がいかよきん)とは、その名前の通り外国通貨で預金をすること。銀行が扱っている運用商品の一つ。たとえば、米ドルで外貨預金をする場合、通常日本円を米ドルに交換し、その後その米ドルのまま銀行に預金することを外貨預金と呼ぶ。

金利水準はそれぞれの外国為替に連動することになるため、日本が低金利でアメリカが高金利である場合などは米ドルで外貨預金することで金利差による利益を得ることができる場合がある。一方で、為替レートは日々変動するため為替レートが円高に進行した場合は為替差損(為替レートの変動による損失)が発生するリスクもある(為替リスク)。

近年ではネットバンク(ネット専業銀行)を中心に有利な手数料体系での外貨預金を提供しているところもある。ただし、外貨預金はペイオフ(預金保険制度)の対象外商品であるため、外貨預金をしている銀行が破綻した場合、状況によっては資産が保護されない可能性もある。

預金の種類と一覧
・普通預金
・定期預金
・積立預金
・当座預金
・外貨預金
・仕組預金

為替レート

為替レート(かわせれーと:Exchange Rate)とは、外国為替取引におけるそれぞれの通貨間の取引レート(交換比率)のこと。近代における通貨は各国の政府または中央銀行が発行し、法的な裏づけを与えられて利用されるが、その効果が及ぶのは自国内のみであるため、他国での取引をする際はその国の通貨お用立てる必要がある。この際の通貨間の交換比率を決定するものが為替レートとなる。

なお、為替レートが一定の値に固定されているものを「固定相場制」、為替レートがそれぞれの国の経済状況・需給などにより変動するものを「変動相場制」と呼ぶ。現在はほとんどの先進国においては「変動相場制」が採用されている。

為替レートは、それぞれの国の間で計算をするとその数は非常に多くなる。そのため、現在は米ドルを中心とした「クロスレート」という方法で為替レートは計算されている。
これはある国と別の国の為替レートを計算する際、それぞれの国の間でレートを決めるのではなく、米ドルとの交換レートを元に計算する方法である。詳細は「クロスレート」の項目を参照。

2009年12月10日

後配株

後配株(こうはいかぶ)とは種類株の一つ。優先株とは反対に、残余財産や配当金を受け取る権利が普通株よりも遅れる株式のことを指す。劣後株と呼ばれることもある。一般的にこの株を持つメリットは投資家にはないため、一般に発行されることはまずない。

多くの場合は経営陣や発起人などに普通株式で増資をすることができない場合などに資金調達の一環として行われるのが通常である。

2009年12月11日

ノックイン価格

ノックイン価格とは、日経リンク債、日経ノックイン債、他社株転換条項付社債(EB債)などの仕組債に設定されているトリガー価格の一つ。あらかじめ設定されているノックイン価格に日経平均株価などの指数が一度でも到達した場合に、通常は投資した元本よりも低い価格で債券が償還される条項が付いている。バリアとも呼ばれる。

こうしたノックイン価格に日経平均株価などがふれることを「ノックインする」などと呼ばれる。こうしたノックインが行われると、当然投資家は投資した資金以下の金額で償還されるため損失をこうむることになる。

通常こうしたノックイン条項が付帯されている債券は通常の債券よりも利回りが高く設定されているので、こうした日経平均等の指数がノックイン価格に触れた場合の元本毀損リスクを抱えるかわりに高い金利を得ることができる運用商品である。

日経リンク債

日経リンク債(にっけいりんくさい)とは、日経平均株価にリンクする債券のことで、仕組債の一つ。日経平均株価の水準が債券の利率や償還価格(償還率)に影響を与える債券。事前に指定した価格(ノックイン価格・バリア)に日経平均が触れた場合に債券の条件が大きく変化する。

日経リンク債は大きく「ノックイン条項型」と「ノックアウト型」に分類される。

ノックイン条項型は、日経リンク債が、当初定めた期間中にあらかじめ定めている「ノックイン価格」に一度でもタッチ(ふれた)場合、償還額が日経平均株価に連動するもの。通常ノックイン価格にタッチした場合は償還率が大きく減少する。一度もタッチしない場合は、元本が100%償還される。このタイプの日経リンク債を「日経ノックイン債」と呼ぶ。

対して、ノックアウト型は当初定めた一定期間ごとに期限前償還判定日が設定され、その時点でノックイン価格以上であれば元本が100%で期限前償還される。ノックイン価格に達しない場合については、そのノックアウト型リンク債がリンクしている株式等で償還される。

EB債

EB債(Exchangable Bond)とは、他社株転換条項付債券とも呼ばれる仕組債の一種。仕組みは債券と同じだが、一定のトリガー価格にある特定の株式や指数の株価が触れてしまうと、早期に現金で償還されたり、全く別の株式として償還されたりする条項が付帯している債券のこと。

大きくノックインプット売り型、ノックアウトプット売り型の二種類がある。それぞれ、債券に株式のプットオプションの売りを加えたデリバティブ商品となっており、投資家は基本的に株式の値上がり益を放棄する変わりに債券として高い金利を得る。一方で一定額以上の株式の値下がりリスクをEB債に投資した投資家が負う事になる。

プットオプションの売りとは、プットオプション(一定の価格で売る権利)であり、その権利を売っているわけである。つまり、EB債の場合ある株式を一定の数量、一定の価格で売る権利を取引相手である証券会社に売っていることになる。(つまり、一定価格で証券会社から買わなければならない)

プットオプションは売ることで、一定のオプション料を受け取ることができ、このオプション料がEB債の利回り向上分である。一方でプットオプションの売り手は、プットオプションのオプション価格以下に原資産(この場合は特定銘柄の株)がなった場合、証券会社はプットを宣言して、EB債を購入している投資家に、ある特定銘柄をオプション価格で購入するように権利行使が可能となるものである。

トリガー価格

トリガー価格(Trigger Price)とは、相場が予め指定している価格にタッチした場合に事前に指定しておいたある条項が執行される取引における価格のこと。日経リンク債などにおけるノックイン価格やEB債におけるノックアウト価格などが含まれる。

トリガーとは引き金という意味で、特殊な条項の執行の引き金となる価格という意味でトリガー価格と呼ばれる。仕組債や仕組預金などで利用される用語。

オプション料

オプション料(おぷしょんりょう)とは、プレミアムとも呼ばれる。オプション取引においてオプションの買い手が売り手に対して支払うもので、売り手はオプション料を受け取る代わりに、買い手から権利行使の申し出があった場合その行使に応じなければならない義務を負う。

内容は、コールオプション・プットオプションともに共通である。オプション料の金額については以下のような様々な要因により変動する。

(1):時間
オプション取引の公式間が長いほどオプション料も当然高くなる。これは、長期間になるほどオプションの買い手が権利行使できる期間が長くなるためである。

(2):原資産のボラティリティの大きさ
オプション取引の対象となっている原資産のボラティリティ(価格変動の幅・標準偏差)が大きいほど、オプションの売り手のリスクが大きくなるためオプション料は高くなる。

(3):権利行使の金額
権利行使が可能となる金額が、現在の価格から近いほどオプション料は高くなり、離れるほど安くなる。これは原資産の価格が現状に近ければすぐに行使され損失が出やすくなるのに対して、現在の価格から離れているほど、その価格に到達するリスクが小さくなるためである。

(4):オプションのタイプ
権利行使がいつでも可能なアメリカンオプションほとオプション料は高く、権利行使が満期日のみのヨーロピアンオプションはオプション料が安くなる。

ヨーロピアンオプション

ヨーロピアンオプション(Europian Option)とは、オプション取引においてオプションの買い手が売り手に対してオプションの権利行使が可能なのが満期日のみというタイプの取引。ヨーロピアンタイプオプションとも呼ばれる。対義語はいつでも行使可能なアメリカンオプション。

満期日のみの権利行使が可能なため、アメリカンオプションと比較してオプション取引のプレミアム(オプション料)は安い。ヨーロピアンオプションのプライシングは「ブラックショールズモデル」が用いられる。
日本では、日経225オプション取引などはこのヨーロピアンオプションとなっている。

ちなみに、満期日以外に決済したい場合には、オプション市場で反対売買することで売却が可能となっている。

アメリカンオプション

アメリカンオプション(American Option)とは、オプション取引においてオプションの買い手が売り手に対して期間中であればいつでも権利行使が可能なタイプのオプション取引を指す。アメリカンタイプオプションとも呼ばれる。対義語はヨーロピアンオプション。

権利行使がいつでもできるという買い手にメリットがあるため、オプション料(プレミアム)はヨーロピアンオプションと比べて高くなる。日本では一部先物オプションに利用されているが、プライシングが困難なため、あまり用いられていない。

2009年12月14日

価格変動リスク

価格変動リスク(Price fluctuation risk)とは、投資対象の価格(市場価格)が変動することによるリスク。価格変動リスクが大きい投資商品ほど、値動き(ボラティリティ)が大きい投資商品といえる。一般には元本保証商品は価格変動リスクが0であり、価格の標準偏差(ばらつき)が大きい投資商品ほど価格変動リスクが大きいといえる。

例えば、預金の場合対象の価格は変動することなく、かつ元本が銀行により保証されているため、価格変動リスクは0である。債券(円建て)の場合、償還時の元本は発行元が保証しているため満期時は0だが、期中については市場金利の変動により債券価格が変動するため、価格変動リスクがゼロではない。
また、外国為替、株式などはもとより価格が固定されていないため、価格変動リスクは大きくなる。
(外国為替の価格変動リスクについては「為替リスク」とされることもある)

為替リスク

為替リスク(Exchange risk)とは、外国為替レートの変動により利益や損失が発生するリスクのことを指す。為替における価格変動リスクのこと。為替レートというものは、通貨と通貨の相対的な交換レートであるため刻々と変化しており、この変化により利益、損失を受ける可能性がある。

日本の投資家が外貨を持った場合(例えば米ドル)、米ドルとの為替レートが変動すると円ベースでの価値(価格)が変動する。
例えば1万米ドルを保有しているとする。この場合、為替レートが1円「円高」になった場合(1ドル=100円が1ドル=99円になった場合)、円に換算すると1万円の損失が出る計算になる。一方為替レートが1円「円安」になった場合(1ドル=100円が1ドル=101円になった場合)、円に換算すると1万円の利益が出る計算となる。

このように、保有する外貨や外貨建ての投資商品において為替レートが変動することによる日本円ベースでの価格変動リスクのことを為替リスクと呼ぶ。ただし、当該投資商品や金融商品などを円に戻すことなく、永久的に外貨で持ち続けるという場合(現地で消費する目的などの場合)、為替リスクは無視することが可能である。
為替リスクというものは、外貨投資商品等を、円貨に戻すことを前提としたリスクといえる。

2009年12月16日

金融ビッグバン

金融ビッグバン(きんゆうびっぐばん)とは、大規模な金融規制制度改革のこと。ここでは、1996年から2001年にかけて行われた日本国内における金融制度改革のことを指す。日本版ビッグバンとも呼ばれる。1986年にイギリスで行われた証券制度改革「ビッグバン」を参考にしている。

当時、日本の金融システムは銀行を使った間接金融による護送船団方式がとられていたが、金融ビッグバンにより大胆な規制改革を行い、銀行業・保険業・証券業などの代理行解禁などの規制改革が主。スローガンは「フリー(Free)」「フェア(Fair)」「グローバル(Global)」

金融ビッグバンにおける具体的な施策とは以下のようなものが代表的である。
・証券総合口座の導入
・外国為替法改正(一般個人向けの外貨預金の解禁等)
・銀行における投資信託の窓口販売(窓販)
・ネット証券の参入
・ラップ口座の解禁
・金融持ち株会社の解禁
・株式の委託手数料自由化
・取引所集中義務の撤廃
・私設取引システム(PTS)導入
・ディスクロージャーの整備

など様々な改革、規制緩和が行われた。わが国においてはこの金融ビッグバンにより間接金融から直接金融への移行が進んだとされる。

ディスクロージャー

ディスクロージャー(Disclosure)とは、情報開示のこと。証券取引法により定められている。同法では、一般の投資家が正しい投資判断を行えるように、上場企業は事業内容や財務内容など投資判断に必要な書類を提出する義務を負う制度のこと。

発行開示(発行企業が有価証券の募集や売り出し(株式・社債など)を行う際に提出)
継続開示(事業年度ごとに発行が義務付けられている書類)

信用創造

信用創造(しんようそうぞう:Credit Creation)とは、銀行が持つ機能一つ。銀行が行う貸付によりマネーサプライが増加することを指す。銀行が栄材に対して果たしている重要な機能の一つである。預金者が預けた資金が、別の資金需要者に貸付され、その貸付された資金が預金されることで・・・。という流れでマネーサプライが増加する。

例えば法定準備率(銀行が預金者から預かった資金の内現金として銀行内に留保しておかなければならない資金量の割合)が20%と仮定した場合について考察する。

ある人が1,000円を預金したとします。その場合銀行は80%を貸出に出すことができ、20%は留保しておく必要がある。この場合のマネーサプライは、預金している1,000円と、貸し出された800円の1800円となる。では、この800円を借りた人がこの800円を銀行に預けた場合はどうなるのだろうか?同じように銀行は800円の80%(640円)を貸し出すことができる。この場合のマネーサプライは2,440円となる。

これが同じように繰り返される場合、無限等比級数の和の公式で計算可能で、上記の条件で1,000円の預金があった場合のマネーサプライ(最大値)は1000÷0.2=5000となり、1,000円の預金は5,000円のマネーサプライとなる。
この働きを銀行が担うことから銀行の三大機能として「信用創造」が挙げられる。

2009年12月18日

都市銀行

都市銀行(としぎんこう)とは都銀(とぎん)とも呼ばれる普通銀行(商業銀行)の中でも大都市に本店を構え、全国に支店を展開している銀行のことを指します。中でも国際的な取引量が多く規模が大きな都市銀行のことを「メガバンク」と呼ぶことがある。

都市銀行については、明確な定義があるわけではないが、普通銀行のうち6大都市に本拠を持ち、全国的または複数の地方にまたがる広範囲的な営業基盤をかかえる銀行を指し、中でも旧財閥系、旧特殊銀行系、旧地方銀行だがその業態が拡大した銀行を指すことが多い。

地方銀行

地方銀行(ちほうぎんこう)とは地銀(ちぎん)とも呼ばれる普通銀行(商業銀行)の一つ。大きく全国地方銀行協会に加盟する「地方銀行(第一地銀)」と、第二地方銀行協会に加盟する「第二地方銀行(第二地銀)」に分類される。

地方銀行は地域経済におけるけん引役としてそれぞれの地方に営業基盤を持ち、地域密着型の金融サービスを行っている。ただし、近年では都市銀行のように複数の地域に営業基盤を持つ地方銀行も出てきており、都市銀行と地方銀行の区分がややあいまい化している。

なお、地方銀行は地域でも最も規模が大きい銀行であることが多く、第二地方銀行の場合はそれよりも規模が小さいことが多い。

普通銀行

普通銀行(ふつうぎんこう)とは、銀行法という法律により規定されている銀行のこと。長期信用銀行(長銀)と区別するために用いられる用語だが、日本では最後の長期信用銀行であったあおぞら銀行が普通銀行に転換したため、現在長期信用銀行は存在しなくなった。

2009年12月21日

積立預金

積立預金(つみたてよきん)とは、一定期間ごとに一定額の預金を積み立てるタイプの預金。通常は普通預金から毎月、予め定めた一定の金額を定期預金に自動振替するタイプのものが多い。毎月自動的に天引きされる形で資産形成ができるため、自分で計画的に資産形成をするのが苦手な方には適した預金である。

なお、預金としての性質自体は「定期預金」と同様で、事前に期間を定めることが多い。ある一定の目標日にあわせて定期預金を設定する場合(1)と、天引きされた時点から一定の期間の定期預金に自動振替する場合(2)の二種類が代表的。

預金の種類と一覧
・普通預金
・定期預金
・積立預金
・当座預金
・外貨預金
・仕組預金

2009年12月22日

オンラインバンキング

オンラインバンキングとは、パソコンや携帯電話のインターネット機能を使い、銀行取引サービスを利用することを指す。インターネットバンキング、ネットバンキングなどとも呼ばれることがある。近年その利便性からインターネット専業銀行だけでなく、都市銀行、地方銀行など多くの銀行もこうしたオンラインバンキングを預金者に提供している。

オンラインバンキングのサービスないとしては、残高照会、入出金の明細紹介、自行・他行への振込、振替、外貨預金や投資信託などの資産運用商品の購入なども可能となっている。

銀行における金融サービスはそのほとんどが「数字」や「記号」で示せるものであり、非常にインターネットと親和性が高いことから、近年そのサービスを提供する銀行の数やネット経由で提供されるサービスの範囲も拡大している。
一部の銀行では、オンラインバンキングの場合人件費などを抑えることができるため、オンラインバンキング経由での振込手数料を引き下げたり、定期預金や外貨預金等の申込時の預金金利をアップさせるなどの追加サービスを行う銀行も多い。

総合口座(銀行)

総合口座(銀行)とは、銀行における口座において最も一般的なもので、一つの口座を開設することで普通預金口座と定期預金口座がひとつの通帳で利用可能となったもの。通常銀行に口座を開設する場合、特別な指示や断りがない場合はこの総合口座に口座を開設する形になる。

また、総合口座のメリットとして定期預金に残高がある場合、口座貸越というサービスが利用でき、通常定期預金として預けている金額の90%程度を上限に普通預金残高がマイナスとなった場合、自動的に銀行から貸付を受けることができる。

たとえば、定期預金の100万円を預金しており、普通預金口座に10万円があるとして、20万円の支払いが行われる場合、通常の普通預金口座では残高不足で利用できないが、総合口座の場合定期預金の口座貸越として最大90万円を自動的に貸付される。
この場合、普通預金口座の残高は通帳上マイナス10万円と表示される。(当然貸し付けであるため利息が発生する。)

※口座貸越の割合については90%としているがこの割合については銀行により異なる。

口座貸越

口座貸越(こうざかりこし)とは、銀行総合口座に口座を持っている人が、定期預金として預金している金額のうち、一定の範囲内について、普通預金口座で残高不足となった場合、その不足分を自動的に貸付するサービス。

例えば、銀行口座(総合口座)の普通預金に100万円、定期預金に400万円を預金していたとする。しかし、急な出費があり、一時的に150万円が必要になったとする。この場合、普通預金の金額では残高が足りないが、総合口座の場合口座貸越サービスを利用することができる。
この場合、定期預金として預けている額の一定割合(多くの場合9割まで)を自動的に貸付してもらうことが可能で、振込はもちろん、引き出しも可能となる。仮に9割まで口座貸越が可能な場合360万円まで自動貸付してもらうことが可能である。
預金残高の預け忘れなどによる残高不足などは、場合によっては個人の信用情報に対して重大なマイナスとなる場合もあるので、こうした口座貸越は万が一の場合に便利である。

ただし、口座貸越も立派な借入であるため、借入分については利息がかかる。この利息はケースバイケースであるが、定期預金の金利よりも高い場合があるので、長期間、口座貸越を利用しなければならないような場合は、定期預金を途中解約したほうが結果的にはお得になる場合もあるので注意。

通帳

通帳(つうちょう:bankbook)とは、銀行等の金融機関が預金者に対して交付している冊子のこと。預金通帳・貯金通帳などと呼ばれる。残高の他、利用履歴などを参照することができるようになっている。ただし、近年ではキャッシュカードとATMの普及やオンラインバンキングの普及に伴い、通帳を発行しない銀行も出てきた。

最近では、取引状況を定期的にステートメントという形式で郵送する銀行のほか、通帳不発行を洗濯することで預金金利アップなどの特典をつける銀行もある。

信用情報

信用情報(しんようじょうほう)とは、個人の支払い能力に関する情報のこと。日本では「信用情報機関」が複数存在しており、これらの期間が管理し、加盟している金融機関等がその情報を共有している。信用情報の事故情報は「ブラックリスト」と俗称される。

信用情報の内容としては、個人の属性情報、クレジットカードやキャッシング・ローンなどの返済履歴となっている。この信用情報における事故情報のことがいわゆる「ブラックリスト」である。例えば、返済の遅滞などがあった場合、自己情報として機関に一定期間その情報が掲載され、金融機関等は口座開設やクレジットカード、キャッシングの申込などを受けた場合、その信用情報を調査することができる。
この時、自己情報が記載されていると、場合によっては審査不適となる可能性が高くなる。

09年現在は複数の信用情報機関が存在するが、貸金業法及び割賦販売法の改正により、情報機関は統一される予定である。

インターネット支店(銀行)

インターネット支店(銀行)とは、都市銀行などでとられている支店の一つ。利用者は原則として店舗(支店)サービスを利用せずに、ATMやオンラインバンキングを通じて取引をすることに特化した支店のこと。ネット支店とも呼ばれる。

インターネット支店の特徴は、通常の都市銀行や地方銀行などが提供する「オンラインバンキングサービス」というものが、あくまでもその銀行が提供するサービスの一環という枠組みであるのに対してインターネット支店の場合、サービスの内容自体をインターネット支店専用に独自化しているケースが多いという点が挙げられる。そのため、預金金利や振込手数料が通常の口座よりも有利である一方で、通帳不発行、窓口サービスの制限などを行っている。
ネット専業銀行(ネットバンク)に対抗する形でのサービスとなっていることが多い。

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