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2010年4月 アーカイブ

2010年4月 5日

日々公表

日々公表(ひびこうひょう)とは、証券取引所がおこなう制度で信用取引での取引残高(買い残と売り残)を毎日公表するということ。これに指定された銘柄を「日々公表銘柄(日々公開銘柄)」と呼ぶ。なお、日々公表に指定されていない銘柄については、週に1回公表される。

日々公表に指定された場合であっても、取引に影響を及ぼすことは通常無く、また多くの場合株価に影響を与えることは少ない。ただし、相場が加熱傾向にある場合には、増担保規制などがとられるばあいもある。

増担保規制

増担保規制(ぞうたんぽきせい)とは、信用取引における規制で、委託証拠金率を証券取引所が引き上げる規制措置のこと。信用取引の委託証拠金率は最低30%以上とされているが、証券取引所が一時的に特定銘柄に対しての委託証拠金率を引き上げる。

一般には、相場が過熱している際に、その加熱を冷やすためにおこなわれる措置となっており、証拠金率が上昇する事で、信用取引での売買をやりにくくして出来高を減らす。ただし、規制前の建て玉に対しては適用されない。

委託証拠金

委託証拠金(いたくしょうこきん)とは、信用取引や先物取引において証拠金(担保)として預ける必要がある資金のこと。また、建て玉を建てる際に建てる建て玉の大きさに対して必要となる委託証拠金の割合のことを委託証拠金率と呼ぶ。

例えば、信用取引の場合、最低必要な委託証拠金率は30%と定められている。これは株式を500万円分買い建てする場合には、500万円×0.3=150万円の委託証拠金が必要であるということを意味している。なお、委託証拠金は現金以外にも株式や国債といった有価証券も認められている。この場合は一定の代用掛目を掛けたものが委託証拠金となる。(例えば、代用掛目が80%の株式の場合、100万円の現物株式は80万円分の委託証拠金として算入することができる)

貸株注意喚起

貸株注意喚起(かしかぶちゅういかんき)とは、証券金融会社が空売り(売り建て)に必要な株券の調達が困難となる恐れがある場合におこなう注意喚起措置。これにより逆日歩(品貸料)が発生するリスクが高いことや、今後もこの状況が続け(悪化すれ)ば売り禁(新規空売りおよび現引きの停止措置)となる恐れがあることを示している。

貸株注意喚起になったからといって売買が即時停止されたり何らかの条件が付くことはない。なお、貸株注意喚起となった場合、証券取引所はこの銘柄の信用売買状況を毎日通知する日々公表という措置をとる。

売り禁

売り禁(うりきん)とは、信用取引に関する規制の一つで、新規の売り建ておよび、信用買い(買い建て)している銘柄の現引きを禁止する措置のこと。空売りが禁止されるため「売り禁」と呼ばれる。売り禁に指定された銘柄は、規制が解除するまでは新規の空売りはできない。ただし、すでに建てている売り建て玉を解消する義務は無い。

一般に、売り禁になる銘柄は相場が加熱して株価が大幅高している場合が多い。そして、売り禁の玉は「金の玉」などとも呼ばれ、相場が冷え込む(株価が下がる)といわれているが、売り禁後も変わらずに上がり続けることもある。

2010年4月 7日

所得控除

所得控除(しょとくこうじょ)とは、所得課税(所得税等)の計算において、税額計算の元となる所得自体を控除すると言う方式。例えば年間で100万円の所得控除という場合、課税対象となる所得が500万円、税率が20%という場合、通常ならば500万円×20%=100万円が支払い税額となるが、所得控除100万円がある場合には(500-100)×20%=80万円が支払うべき税額となる。

控除には所得控除の他「税額控除」というものもある。税額控除の場合と比較して、所得控除の場合、より高額所得者のほうが有利となる。それは、日本の所得税制度では累進課税制度となっており、所得が大きい人ほど、それだけ税率も高くなる。

例えば、所得控除として200万円が認められたとする。

所得額が2000万円。税率40%(元の税額800万円)の場合
(2000-200)×40%=720万円 よって減税額は800-720=80万円

所得額が400万円。税率10%(元の税額40万円)の場合
(400-200)×10%=20万円 よって減税額は20-10=10万円

このため、金額ベースで見れば高額所得者のほうが減税金額は大きくなる(割合でみれば当然に低所得者のほうが大きいが)。

税額控除

税額控除(ぜいがくこうじょ)とは、本来支払うべき税額から一定の金額を控除(差し引くことができる制度)。例えば所得税の場合、課税所得金額に税率を掛けたものが所得税額となるが、その計算された所得税額から一定の金額を差し引くことができる。

例えば、所得が400万円、税率が15%の場合、支払うべき所得税額は60万円となる。この場合で税額控除が20万円という場合には、支払うべき所得税額である60万円から20万円を差し引くことができる。類似の控除として所得控除があるが、こちらは所得である400万円からその分を差し引くという違いがある。
なお、当然だが、所得控除と税額控除の金額が同じである場合には税額控除のほうが有利となる。

税額控除がおこなわれる場合、高額所得者と低所得者がいる場合、おこなわれる減税額は同額となる。ただし、もともとの支払うべき税額は高額所得者のほうが多いため、減税割合で言えば当然低所得者のほうが有利となる。
ただし、もともと所得税を納付する必要が無いほどの低所得者の場合には税額控除もゼロとなるため、無意味となる。(もちろん、所得から控除される所得控除も無意味)

2010年4月 8日

売り長

売り長(うりなが)とは、信用取引において買い残(買い建玉の残高)よりも売り残(売り建玉の残高)の方が多い状態を指す。空売りが多い=多くの投資家が弱気ということを意味しているが、株価が下落していない場合は、信用取り組みで見れば良化していることにつながり、踏み上げ狙いの買いが発生したり、逆日歩が発生する場合などもある。

対義語は買い長だが、「買い長」という表現が使われることはほとんど無い。売り長銘柄については、空売りなどのリスクもあるので、売り長銘柄の安易な空売りはハイリスク名取引となることがあるので注意。

買い長

買い長(かいなが)とは信用取引において買い残(買い建て玉の残高)が、売り残(空売りの残高)よりも多い状態を指す。売り長の対義語として使われるが、売り長ほどは用いられない。それよりは信用取り組みが良い(取り組みが良い)などといわれることのほうが多い。

信用取り組み

信用取り組み(しんようとりくみ)とは、信用取引における買い残(買い建玉の残高)や売り残(空売りの残高)の状況のこと。売り残が多い(売り長)の場合取り組みが悪いといわれ、買い残が多い場合は取り組みが良いといわれる。

信用取引は将来必ず決済する必要がある建て玉である。買い残は将来の売り圧力、売り残は将来の買い圧力となる(反対売買の場合)。そのため、買い残が多い場合には将来、ポジションを決済するために売りが入る可能性が高く、逆に売り残が多い場合には買い戻しによる買いが入る可能性が高い。

ただし、単純に取り組みがよければ株価が上がり、取り組みが悪ければ株価が下がるというわけではない。一般には、取り組みが良く・株価も高い場合には買い残が多くても、その買い残は株価上昇時に回転している可能性があり、将来の売り圧力は限定的となる可能性が高い。逆に、買い算が積み上がり取り組みが悪化しながら株価が下落している場合には、その買い残は「しこり玉」となる可能性が高く、多くの買い建てしている投資家が含み損を抱えていることになり、将来の売り圧力として意識されやすくなる。
売り算の信用取り組みについても買い残の場合と同様のことが言える。

踏み上げ

踏み上げ(ふみあげ)とは、信用取引など空売り(ショートポジション)が可能な投資において、含み損を抱えている売り筋が損切りによる買戻しをおこなう買い圧力により価格が上昇するという相場現象のこと。空売りをしていたが株価上昇や高額の逆日歩などに耐え切れず買い戻すこと(ショートカバー)を「踏む」とも呼ぶ。

こうした、売り方による「踏み」が連鎖することで、買戻しが買戻しを呼び高値を買っていく行動自体が踏み上げとなる。自然的に発生する場合もあれば、仕手筋などが売り長銘柄といった売り残の多い銘柄などを意図的に買い上げる事で踏み上げを誘発するケースもある。

2010年4月 9日

プラスサムゲーム

プラスサムゲーム(Plus Sum Game)とは、ゲームに参加しているプレイヤーの利得の合計がプラスになること。なお、プラマイゼロのゲームを「ゼロサムゲーム」。マイナスになるゲームを「マイナスサムゲーム」という。

なお、プラスサムゲームとは長期の株式投資を考えるとわかりやすい。FX市場(外為市場)などは、一方が勝つ=誰かが負けるというゲームであり両者の損と利益の合計がゼロになる。
対して、株式市場の場合には、株価が上昇すればその分の価値が創造されることになり、プラスサムゲームとなる。一方で、株価が下がり続ける場合はマイナスサムゲームとなる。

ちなみに、ギャンブルなどの寺銭が発生するゲームの場合、胴元の取り分があるため、必ずマイナスサムゲームとなる。

2010年4月12日

強制決済

強制決済(きょうせいけっさい)とは、信用取引や外国為替証拠金取引など、証拠金を預け元本以上の投資をおこなっている場合、特定の条件・ルールの下で証券会社や取引会社などが自己の判断によりおこなう強制的な売買のこと。通常はポジション(建て玉)の解消や代用有価証券の売却などが基本となる。

例えば、信用取引において追証(追加証拠金)を所定の期日までに支払わなかったり、FX取引において取引業者が定める一定以下の維持率となった場合などにおこなわれる強制的な取引。
なお、強制決済に必要となる「手数料」「売買による損失」はすべて投資家の負担となる。

2010年4月14日

ブラックリスト

ブラックリスト(Black List)とは、警戒が必要な対象(一般にはユーザー)の一覧のこと。主に金融の分野においては信用情報機関を通じて業者同士で共有している事故情報(借金の返済における事故)が登録されているユーザーのことを指す。

金融機関はこうした事故情報を共有するようになっており、借金(住宅ローン、キャッシング、フリーローンなど)の申込があった場合、過去一定期間の事故情報の有無を確認できるようになっている。このため、事故情報に掲載がある状態を一般に「ブラックリスト」と呼ぶことがある。
ちなみに、金融機関側はこうした「融資ができないリスト」を作っているわけではないが、融資を受ける立場からすれば「事故情報の共有」=「融資不適合リストの出回り」とほぼ同意義になることが多いため、このように呼ばれている。

この信用情報機関における事故情報については、事故が解決した時点から1年~5年程度で記録からは消える(ただし、事故を起こした金融機関内では情報が引き続き利用されている可能性はある。また自己破産があった場合はもっと長い)。

なお、事故が解決したとは未払いや支払いの遅延があった場合にその支払いが完了した時点を持って言う。

事故情報

事故情報(じこじょうほう)とは、金融分野では借金やローンなどの返済において、返済期間中に支払いがなされなかったり、支払いが遅延したりすることを指す。なお、こうした事故情報は信用情報機関を通じて、加盟する金融機関で共有されている。

この事故情報があると金融機関側の融資に対する審査が非常に厳しくなる。このため、事故情報のことを「ブラックリスト」と呼ぶ声もある。

デフレスパイラル

デフレスパイラルとは、デフレによるデフレの連鎖という意味。物価下落による景気悪化、またその景気悪化による物価下落といったように悪い方向にスパイラル的に進むことを指す。本来の用法ではないが、物事が悪い方向に連鎖的に進むことを「デフレスパイラルみたいに・・・」と呼ばれることもある。

デフレ(デフレーション)とは、物価の下落(貨幣価値の上昇)となる。

1.商品・サービスの価格が下がるということは、それを販売する企業の業績も当然下がる。
2.業績が悪化した企業は人員削減・人員整理などをおこなう。
3.これにより労働者の給与(可処分所得)は減少し、家計はお金を使わなくなる。
4.物が売れなくなる
5.価格を下げる
6.(1)に戻る

このような(1)~(6)が連鎖的におこなわれることにより価格が連鎖下落していくとされる。先進国では1990年のバブル崩壊以後の日本では以後このデフレスパイラルにおけるメカニズムが働いていたとされる。

代用掛目

代用掛目(だいようかけめ)とは、信用取引において代用有価証券を委託証拠金とする場合に、代用有価証券に対して掛ける割合のこと。0%~100%まである。例えば一般の日本の株式の代用掛目は80%なので、例えば100万円の株式であれば80万円を委託証拠金とすることができる。

なお、代用掛目は証券取引所の増担保規制や、証券会社の個別規制などにより変更される場合がある。

委託証拠金維持率

委託証拠金維持率(いたくしょうこきんいじりつ)とは、信用取引やオプション取引、FX(外国為替証拠金取引)などにおいて、現在のポジション(建て玉)に対する委託証拠金率のこと。証券会社や取引業者などが定めている最低水準を下回った場合には、追証を差し入れて一定以上の維持率を確保する必要がある。

委託証拠金維持率の計算は以下のようにしておこなわれる。

担保(A)=委託証拠金(現金)+(代用有価証券×代用掛目)-建玉の損失
建玉(B)

委託証拠金維持率=A÷B

例えば、100万円の現金と100万円の代用有価証券(代用掛目80%)の場合で300万円の信用取引をしている場合を考える。

担保(A)=100+100万円×0.8=180万円
建玉(B)=300万円

委託証拠金維持率=180万円÷300万円=60%

その後、代用有価証券が100万円から80万円に値下がりし、建玉Bにも20万円の損失が出たとします。

担保(A)=100+(80)×0.8-(20)=144万円
建玉(B)=300万円

委託証拠金維持率=144万円÷300万円=48%

以上に変化する。このように、委託証拠金維持率は代用有価証券の値下がり(値上がり)や建て玉の損失により変動することとなり、一定以下になった場合には、追証(追加の証拠金)を差し入れて所定の水準以上にまで担保を積み増しする必要がある。

デジタルオプション

デジタルオプション(Digital Option)とはエキゾチックオプションの一つ。期日の段階で特定の条件を満たし場合に特定の価値を持つオプション。バイナリーオプションとも呼ばれる。通常のオプション取引の場合、権利行使価格を上回る(下回る)ことでその分だけ受け渡し金額等が増えるがデジタルオプションの場合は、一定の条件を満たしていなければ無価値となる。

つまり、通常のコールオプションを買う場合、原資産を一定の価格で購入する権利を買うことになる。例えば、原資産を1単位100円で100万単位買える権利の場合、原資産価格が101円なら、100万円、102円なら200万円の利益がでることになる。つまり、価格が上昇していけばそれだけ受け取れる金額も大きくなる。
対して、デジタルオプションの場合を考えてみる。同様の条件でコールオプションを買うという場合、まずは条件がつく。例えば、原資産価格が102円以上である場合が有効など。
この場合、通常のコールオプションであれば101円でも権利行使をすれば利益がえられるが、デジタルオプションの場合は無効となってしまう。また、条件を満たした場合、期日の原資産価格が104円であっても110円であっても、200円であっても受け取ることができる受渡金額は同額となる。

要するに、デジタルオプションの場合は「条件を満たした場合は固定で○円を受け取ることができ、条件を満たせなかった場合はそのオプションが無効となる(オプション料の支払いは当然必要となる)。

立会市場

立会市場(たちあいしじょう)とは、証券取引所当の売買立会で個別競争売買で取引される市場のことを立会市場と呼ぶ。要するに、株式取引をおこなう場合に通常売買する市場(証券取引所)のことを立会市場と呼ぶ。対義語は、証券会社などが独自に作っているPTS(システム取引システム)やToSTNeT市場などで、立会外市場と呼ばれる。

立会市場では、価格優先の原則と時間優先の原則に従って、様々なブローカー(証券会社)から出された注文を結び付けている。

超過収益率

超過収益率(ちょうかしゅうえきりつ)とは、現代ポートフォリオ理論では、個別証券の収益率と無リスク資産の収益率の差のことを指す。ただし、一般には投資信託(ファンド)の運用において期待水準(ベンチマーク)を越えた収益の割合のことを指す。

例えば、TOPIXをベンチマークとするファンドがあったとする。TOPIXの収益率が2%だった場合に、このファンドの収益率が3%だった場合、1%の超過収益率があったなどと表現する。
ちなみに、超過収益率がプラスの状態を「アウトパフォーム」、マイナスの状態を「アンダーパフォーム」と呼ぶ。(この表現はアナリストなどが個別銘柄の今後の株価予想をする場合などにも用いられる。)

アウトパフォーム

アウトパフォームとは、株式相場用語の一つ。一定期間においてその株式(個別銘柄)の株価上昇率が、日経平均(日経225)やTOPIXなどのベンチマークと比較して、その水準を上回る超過収益率をあげるという意味になる。アウトパフォーマンスともいわれる。

証券アナリストなどが株式分析をする場合に用いられる。ただし、この評価相対的な評価となり、例えばTOPIXをベンチマークとする場合、TOPIXが2%の上昇の場合は、2%以上上昇することを予想していることになるが、仮にTOPIXが10%の下落をした場合、仮にこの銘柄の株価が8%下落した場合でもアウトパフォームといえる(相対的にはTOPIXよりは運用効率が良いため)。

対義語はアンダーパフォーム。

アンダーパフォーム

アンダーパフォームとは、株式相場用語の一つ。一定の期間で個別銘柄や投資信託などの上昇率が、ベンチマークとなる日経平均やTOPIXなどと比較して、ベンチマーク以下の水準となることを指す。アンダーパフォーマンスとも言われる。

アナリストが銘柄分析をする場合などに使われる。相対的な評価であり、日経平均やTOPIXがプラスとなる場合は、そのプラス幅より小さければたとえプラスであっても「アンダーパフォーム」とされる。
対義語はアウトパフォーム。

2010年4月16日

配当性向

配当性向(はいとうせいこう)とは、株式会社等が配当金を出す場合に支払う配当金が当期利益に対してどの程度かということ。例えば、配当性向50%という場合、純利益が1億円の場合5000万円を配当金とすることを意味する。

また、割合だけではなく、単に○○社は配当性向が高い(低い)といったようにも用いられる。一般に新興企業の場合、配当にまわして社外に資金を流出させるよりは、内部留保してその資金をもとに新たな設備投資をしたほうが効率的な場合が多いので配当性向は低い。
一方で、成熟企業の場合は、高い配当性向を求められることが多い。

TOPIX(東証株価指数)

TOPIX(トピックス)とは、Tokyo stock Price Indexの略称。東証株価指数といわれる。東京証券取引所の第1部に上場している全企業の時価総額合計を、基準日である1968年1月4日の時価総額を100として指数化したもの。

TOPIXは全企業の時価総額合計となるため、特定の企業や業種などによる影響が極めて小さいという利点があるが、一方で上場しているA社とB社がそれぞれの株式を持ち合いしていた場合にはその価値が二重にカウントされてしまうという問題を抱えていた。
そのため現在では、計算方法を「浮動株基準(各銘柄の浮動株のみを指数の評価対象とする方法)」へと移行している。

なお、TOPIXは投資信託などのベンチマーク(評価基準)などとしても広く利用されている。

ファンドマネジャー

ファンドマネジャー(Fund Manager)とは、ファンド(投資信託)を運用する人のこと。不特定多数の投資家などあら資金を集めてその資金を運用して殖やす事を目的としている。投資信託の運営会社に属していることが多いが、有名なマネージャーの場合は自分でファンドを作っているケースもある。

クオンツ

クオンツ(Quants)とは、数学的なテクニックを使って市場を分析したり、投信戦略、新たな金融商品の開発などをおこなう専門家のこと。Quantitative(数量的)という言葉からの派生語。高度な数学的な手法を使うことにより様々な課題を紐解いたり、デリバティブ(金融派生商品)の開発をしたりする。

また、数学的なアプローチを元におこなう金融取引テクニックを指して「クオンツ」と呼ぶ場合もある。

ハイイールド債

ハイイールド債(High Yield Bond)とは、高い利回りの債券という意味になる。ただし、単に金利が高いだけでなく、信用リスクの大きい債券を指す。信用格付においてBB以下の債券のことを指す。別名「ジャンク債」「投資不適格債」。

別名からも分かるように、信用リスクが高く将来のデフォルト(債務不履行)が起こる可能性が高い。そのため、高い金利が生じるもので、ハイリスクな債券である。こうしたリスクの高い債券であっても集合させることでリスクを分散できるという観点で作られているファンドとして「ハイイールドボンドファンド」などがある。

投資不適格といわれるように、一般の投資家が単体のハイイールド債に投資をするべきでなく、プロ投資家向けの商品となっている。なお、ハイイールド債という区分は信用格付により決定されているので、投資した時点ではBBB以上の投資適格債であったにも関わらずその後BB以下の格付に落ちる事でハイイールド債となる場合もある。

信用格付

信用格付(Credit Risk Rating)とは、格付機関(格付会社)が国債や社債などの債券投資をおこなう投資家向けに、将来の元本の支払いや利息の支払いがおこなわれるかどうかの信用リスクを記号化して評価することでその会社のリスク度合いを知らせるもの。

格付は格付会社により評価方法や表記が異なるが通常アルファベットで記載される。

以下は格付けとその意味。(おおよそどの会社も共通的)
ただし、一部の会社で表記が異なることがある。

AAA:債務履行の確実性が最も高い。
 AA:債務履行の確実性は極めて高い。
  A:債務履行の確実性は高い。
BBB:債務履行の確実性は高いが、将来確実とはいえない。

↑ここまでが「投資適格」とされる信用格付。


↓ここから下は「投機的格付け」とされる格付。

 BB:債務履に当面問題はないが、将来確実とはいえない。
  B:債務履行の確実性に問題がある。
CCC:現時点で不安定な要素がある。
 CC:債務不履行(デフォルト)となる可能性が高い。
  C:債務不履行(デフォルト)となる可能性が極めて高い。
  D:現時点で債務不履行(デフォルト)をおこしている。

以上。債券や社債などに投資をする際はこの信用格付けを参考にして投資すべきかを判断することになる。ただし、当然だが、リスクが高いほど債券に求められる利息(クーポン)も大きくなるため、格付けがAAの社債とBBBの社債とでは同じ投資適格であっても後者の信用格付けが低い債券の方が利息が高く設定されることになる。

バニラオプション

バニラオプションとはプレーンバニラとも呼ばれるオプションの種類。エキゾチックオプションと異なり何も特殊な条件などが付帯していないオプション取引のことを指す。単にオプション取引という場合は、このバニラオプションの事を指す。

何も飾りが無いという意味からこのように呼ばれる。

2010年4月18日

現物株

現物株(げんぶつかぶ)とは、株式を直接投資すること。信用取引やオプション取引のように実際の株式を自分自身の資金で買っていない場合と対比する形で使われる。「現物株式」と表記されることもある。

たとえば、信用取引で買った場合には
・買い建て玉(信用買いした場合)
・売り建て玉(空売りした場合)
などと呼ぶ。

2010年4月19日

気配値

気配値(けはいね)とは、相場において買い手と売り手が希望する取引価格のこと。買い手や売り手が出している注文情報を「板情報」と呼ばれるボードに表示したもの。買い手が買いたいと思っている数量と価格、売り手が売りたいと思っている数量と価格が表示されている。

当然、買い手が増えていけば気配値も上昇していく。逆に売り手が増えれば気配値は下降していく。通常はザラバが始まる前の時間帯に表示されるが、取引時間中であっても極端な買い注文(または売り注文)が発生した場合には「特別気配」として気配値表示に切り替わり、「板寄せ方式」がとられる。

与信

与信(よしん)とは、融資や信用取引などの融資に関する枠を供与すること。信用を与えるという意味になる。例えばクレジットカードなどの申込をする際にショッピング枠やキャッシング枠などが設定されるが、この枠が与信額となる。

基本的に「与信」という言葉は、取引相手に対してどれだけの金銭的な信用を供与するのか?という話しとなる。
例えばクレジットカードの場合、カード決済は基本「後払い」となる。後払いということは、カード会社が一旦負担をしておき、その後利用者からの返済を受けるという形になる。
そのときに、カード利用者が「本当に返済できるのか?してくれるのか?」というリスクをカード会社は負うことになる。

与信というのは、その人の「返済能力(Capacity)」「返済資質(Character)」「返済担保(Capital)」の三つで評価される(頭文字から3Cとも呼ばれる)。

このどの部分が重要視されるかについてはローンや契約の内容によって異なる。

例えばクレジットカードの場合は基本的に無担保となるので、返済担保は見込めないため、能力や資質が重要視される。一方株の信用取引の場合には「担保」として現金や代用有価証券の差し入れを求めているため、「担保」が重視される。
住宅ローンの場合は高額、長期的な返済となるため、「担保」が最重要視されるが、「能力」や「資質」についても与信判断の重要材料となる。

信用余力

信用余力(しんようよりょく)とは、信用取引における余力の一つ。現在の信用取引の投資状況から、追証(追加証拠金)が発生するまでの余裕資産のこと。例えば、信用力が20万円と表示されている場合、担保となっている委託証拠金があと20万円以上減少することがあれば追証が発生するということ。

例えば、最低維持委託証拠金率が20%の証券会社を想定する。
100万円の証拠金で300万円の株を買ったとする。
この場合の投資余力は、300万円の建て玉に対する最低維持証拠金である60万円(300×20%)となる。現在の証拠金は100万円なので、信用余力は100万円-60万円=40万円と計算される。

この信用余力を回復させる手段としては以下の方法がある。

・建て玉を減らす。(証拠金に対する建て玉が小さくなるので委託証拠金率が回復)
・証拠金が代用有価証券の場合は売却して現金化する
・新しく現金を追加預託する

上記の例でそれぞれの回復がどの程度になるのかを説明sるう。

・建て玉を減らす。
例えば、現在300万円の建て玉があるが、このうち100万円を反対売買により決済した場合、最低維持証拠金は200万円×20%=40万円になる。そのため、信用余力は100-40=60万円となり。20万円回復することになる。

・代用有価証券を売却する。
100万円の証拠金が実は代用有価証券だった場合、これを売却して現金にすれば、125万円の委託証拠金となるので、信用余力も65万円となる。(代用掛目が80%の場合)

・新しく現金を追加預託する。
新規の現金を追加で預ければその分が信用余力となる。


なお、類似の用語に「信用新規注文発注余力(信用建余力)」というものがあるが、こちらは現在の証拠金からあと幾ら新規に信用建て玉を建てることができるのかを示したものとなっている。

※証券会社により多少表現が異なる場合がある。

信用建余力

信用建余力(しんようたてよりょく)とは、信用取引を新規に建てることができる金額のこと。ほかに、信用新規建て余力、信用新規注文発注余力などとも呼ぶ。例えば、委託証拠金率が30%の場合、100万円の委託証拠金がある場合の信用建余力は333万円となる。

この信用建余力は当然に、委託証拠金の増減および信用建て玉によって上下する。以下では、信用建て余力の計算方法を説明する。

例えば、上記の100万円の委託証拠金(現金)で信用取引で200万円の買い注文を出して成立した場合、残りの信用建余力は133万円に減少する。

その後、信用取引で立てた玉(買い建て玉)が10万円値下がり下場合、委託証拠金は100-10万円=90万円に減少する。この場合の最大投資額は90万円÷30%=300万円になる。
そのため、既に投資している200万円とあわせて、信用建余力は133万円から100万円にまで下がることになる。


信用建て余力を回復する場合の計算式は以下の通り。
委託証拠金率を30%、代用掛目を80%と仮定する。

新規に現金を入れた場合:入金額を30%で除したものが追加。
代用有価証券を売却した場合:有価証券の金額の66.66%で除した金額が追加。

安定配当

安定配当(あんていはいとう:Consecutive Dividend)とは、株式会社が株主に対して支払う配当金の金額を毎期一定に保つことや、そういった配当政策を採る会社のことを指す。日本の場合は配当額が安定しているケースを指し、アメリカでは、配当性向(1株利益に対する配当の割合)が一定の場合を指すように、日米で若干の違いがある。

比較的成熟企業やディフェンシブ株などに多く見られる配当のタイプ。

外需関連株

外需関連株(がいじゅかんれんかぶ)とは、関連株の一つで、主に海外の需要などが自社の業績に大きな影響を与える企業のことを指す。一般的には自動車、鉄鋼、精密機械などが日本における代表的な外需関連株であるといえる。

輸出で利益を上げることが多いため、円安は業績にとってプラスになりやすく、円高は業績に対してマイナスとなりやすい。反対語は「内需関連株」。

内需関連株

内需関連株(ないじゅかんれんかぶ)とは、関連株の一種。内需(国内における需要)を主なターゲットとする業種のこと。反対語は「外需関連株」。一般には建築会社や電力会社といった地域にサービスを提供する会社が基本となる。最近では通信会社も内需関連株といわれるようになった。

また、輸出はおこなわず輸入だけをおこなうような輸入小売業なども内需関連株に分類される。

還付申告

還付申告(かんぷしんこく)とは、既に納付した税金のうち、支払いすぎていた税金分を還付してもらう申告のこと。例えば特別徴収されているサラリーマン(給与所得者)が、医療費控除や他の個人事業等での損失などによるもので、所得税分の還付を受けるもの。

基本的に還付申告という申告はなく、確定申告をおこなう事で結果的に還付されることになる。

確定申告

確定申告(かくていしんこく)とは、その1年間に支払うべき税金の計算のためにおこなう申告のこと。個人の場合1月1日から12月31日までの課税期間における収入、支出などを計算することで支払うべき税額を決定する。ただし、事前に源泉徴収などで収めた税金の方が多い場合には還付申告として還付される。

2010年4月21日

株式累積投資

株式累積投資(かぶしきるいせきとうし)とは、株式投資の方法の一つ。「るいとう」とも呼ばれる。1990年代にスタートした新しい株式の買い方。証券会社が投資家から資金を集めて、その資金で同一銘柄を買い続けるという仕組み。累積という名前の通り、投資家から見れば株式を積立購入しているように投資できる。

通常株式の投資単位は単位株制度の下では、企業が定めている1000株や100株といった単位でしか売買できない。そのため、例えば株価が200円の株の単位株が1000株の場合、最低売買単位は20万円になってしまう。

一方で株式累積投資(るいとう)の場合、1万円単位から株式を購入できる。例えば上記の例では、50株だけ購入できることになる。株式累積投資は積み立て方式のため、翌月も1万円が投資される。仮に翌月の株価が195円の場合、51.28株が購入されることになる。
なぜこのような端数の投資が可能なのかというと、投資家が出しているのは1万円なのだが、これをたくさん証券会社が取りまとめることにより、例えば、100人の投資家がいれば100万円あつまり、5000株が買える。その株を投資家に配分しているという仕組みになっている。

なお、累積投資により単位株以上(上記の例では1000株以上)になった場合、1000株分は1単位として通常の市場で売買できるが、単位株に満たない部分については証券会社に買い取ってもらう形になる。

株式累積投資のメリットは小額から積立が可能であるということと、固定金額の購入による「ドルコスト平均法」として有利な投資ができているという点がある。

記念配当

記念配当(きねんはいとう)とは、配当金の一種。会社の創立○周年などを記念として一時的に増配されるもの。業績とは関係無しに配当されることが多い。ただし、恒久的な措置ではなく、1時限りの政策となっている。

なお、配当金は大きく「普通配当」「特別配当」「記念配当」がある。

金庫株

金庫株(きんこかぶ)とは、企業が自己の勘定において自社の株式を買い手元においている株式のこと。2001年に商法が改正され目的を問わず自社株を金庫株として所有することができるようになった。なお、自社株式の取得については株主総会における決議事項となっている。

香港H株

香港H株(ほんこんえいちかぶ)とは、香港の証券取引所に上場している中国企業株のこと。香港H株は資本金および登記が中国の企業であり、香港の証券取引所に上場しているかいさの株を言う。資本金が中国で登記が香港の株はレッドチップと呼ばれる。

中国本土の投資家以外も投資可能であり、取引は香港ドル建てで行われている代表的な中国株式の一つ。

レッドチップ

レッドチップとは、香港の証券取引所に上場している中国本土の資本で運営されている香港法人の株式銘柄のこと。要するに中国系企業の香港現地法人の上場株式のこと。優良銘柄を指す「ブルーチップ」をもじったもの。

なお、資本・登記ともに中国本土の香港証券取引所上場株は「香港H株」という。取引は香港ドル建てであり、外国人投資家も売買可能となっている。

2010年4月30日

フルサービスブローカー

フルサービスブローカー(Full Service Brokerage)とは、ディスカウントブローカーの対義語として用いられる。ディスカウントブローカーが手数料などが格安なネット証券、ネット銀行などのことを指す場合が多いが、その対義語として手数料などはやや高めであるが、その分包括的なサービスを受けることができるブローカーのことを指す。

一般には、ネット証券に対する対面型の総合証券のことをこのように呼ぶ。

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