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2013年10月 アーカイブ

2013年10月 2日

MSワラント

MSワラント(Moving Strike Warrant)とは新株予約権の一種で、行使価額修正条項が付与されたもの。新株予約権は一定の価格で新株(株式)を取得できる権利だがMSワラントはその権利行使価格を修正することができる。MSSOとも表記されることがある。

たとえば、権利行使価格1000円で下限行使価格700円。権利行使価格は当日終値の90%といった具合になる。この場合、MSワラントを取得したものは、いつ権利行使をした場合でも下限行使価格以上であれば10%の差益を得られることになる。

MSワラントの場合、権利行使をした時点で資本金の払い込みがなされるため、MSCBと異なり、発行企業はMSワラント発行時にキャッシュを得ることはできない。代わりに新株予約権(ワラント)の売却代金を発行時に得ることができる。

MSワラントの問題点はMSCBと同様に、株価への下方圧力がかかりやすい点にある。
MSワラント取得者は相場が下がったとしても一定の利幅は享受できる、逆に株価が高いうちから空売りを仕掛ければ、空売りによる値下がり分+行使価格と株価の差の両方を得ることができる。

たとえば、先ほどの例(権利行使価格1000円で下限行使価格700円。権利行使価格は当日終値の90%)でMSワラントを100万株分引き受けたとする。ワラントの発行価額は総数で1000万円。

引き受け手はこの会社の株を1000円で100万株分空売りする。その後、株価が800円の時に720円で権利行使をして100万株を得る。
取得した100万株は1000円で空売った株に充てる。
こうすることでおよそ2.8億円の利益が出ることになる。MSワラントの代金として1000万円を支払っているので2.7億円になるが、それでも大きな利益がでる。

ここまで単純ではないが、MSワラントはワラントの引受手がほとんどリスクなく儲かる仕組みとなっている。そのため、こうしたMSワラントによる資金調達は容易に行える。

その一方でMSワラントを発行すると株価に対してはマイナスの影響が大きいため、既存株主は希薄化+株価下落という形で損失を被ることになる。

2013年10月 8日

調整1株益

調整1株益(ちょうせいひとかぶえき)とは企業の収益分析を行うさいの指標の一つ。発行済み株式総数にその時点で権利行使されうる転換社債やワラント、優先株、ストックオプションといったような普通株に転換することが可能な権利が仮にすべて普通株に転換された場合の株数(潜在株式)を加えて計算されるEPS(一株あたり利益)のこと。

潜在株式は将来の株の希薄化要因であり、調整1株益は潜在株を含めないEPSよりも低くなるのが通常である。会社四季報などでもこうした調整後のEPSを確認することはできる。

2013年10月 9日

断定的判断の提供

断定的判断の提供(だんていてきはんだんのていきょう)とは、投資勧誘において証券会社などの金融商品取引業者などが、相場や投資のリターンなどについて「絶対儲かる」「損はしない」「必ず値上がりする」といったような投資勧誘を行うことを指す。

株式相場を含め相場というものの今後は確実に読めるものではないため、このように断定的判断を提供して投資勧誘を行うことは金融商品取引法によって禁止されている。
なお、このような断定的判断の提供を元に消費者が誤認して投資した場合、消費者契約法に基づき契約自体を取り消すことも可能である。

2013年10月28日

年末調整

年末調整(ねんまつちょうせい)とは、給料から税金等が源泉徴収されているサラリーマンにおいて毎年1月から12月までの税金について調整するしくみのこと。会社が源泉徴収された税金当の清算を行い、化不足があればそれを調整する。年末調整がある会社に勤務している場合、それで納税が完了するため確定申告を行う必要はない。

毎月源泉徴収されている税金などは簡易的に計算したものであり、本来の税額と異なっている。また、生命保険料控除、損害保険料控除、住宅ローン控除といったような控除(収入から差し引くことができる経費)も計算されていない。
そうした、ざっくりとした源泉徴収された金額を最終的に清算して正しい税額に計算するのが年末調整である。

税金の過不足を調整するものであるため、追加で支払いが必要なることもあるが(給料から追加徴収)、多くのケースでは生命保険料控除等の控除などの存在によって「税金を納め過ぎている」状態となっていることが多いため、年末調整では払いすぎた税金の還付が行われることが多い(還付金)。

ただし、年収が2000万円を超える人や年末調整で調整されない所得や経費がある人、そもそも年末調整を行わない会社に勤務している人は確定申告を行う必要がある。

貯蓄から投資へ

貯蓄から投資へは、日本における投資教育に関する標語としてしばしば利用される言葉である。意味としては貯蓄(銀行預金)に偏っている日本の個人金融資産のポートフォリオを株や債券、投資信託といった投資へとシフトさせるといったもの。

貯蓄から投資へと資金がシフトすることによって株式市場の活性化や直接金融市場の拡大を図られると考えられている。投資に対する税の優遇措置などはこうした動きをサポートしようとするもの。

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