リキャップCBとは、CB(転換社債)の発行によって得た資金を用いて自社株買いを行うというもの。CB発行により負債は増加するものの、その資金によって資本を圧縮することができる。これにより資本構成が変動する。自己資本比率は低下することになるがROE(株主資本利益率)が増大する。また発行済株式総数が小さくなるため、EPS(1株利益)も改善される。
リキャップCBの運用については、資本構成のリバランスを目的としたものから、資金調達を主として調達額の一部で自社株買いを行うものまで多数ある。
発行する債券は「CB(転換社債:転換社債型新株予約権付社債)」となるため、将来的に転換されれば株式数は増大するものの株価が上昇した段階で転換される形となるので、調達資金全額で自社株買いを行えば発行済み株式総数はすべて転換された場合でもトータルでは減少する。
たとえば、現在の株価が1000円の会社が100億円のリキャップCB(転換価格1200円)を発行し100億円の自社株買いを実行したとする。この場合の償却する株数は100億円÷1000円=1000万株となる。一方でこのCBがすべて転換された場合に増加する株数は100億円÷1200円=833万株となる。このため、全株転換となった場合でもおよそ170万株の発行済株式総数は減少することになり、潜在株式を含めた場合でもROEは向上することになる。
日本では2008年にヤマダ電機が日本企業初のリキャップCBを発行(一部自社株買い)、その後はリーマンショックの影響もありう発行は行われなかったが、2011年にヤマトHDが調達資金全額を自社株買いに回すリキャップCBを発行、2014年にはカシオが調達資金100億円に対して最大125億円という調達資金を上回る自社株買いを行うことを発表した。