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2012年11月 アーカイブ

2012年11月 2日

疑義注記

疑義注記(ぎぎちゅうき)とは、正確には「継続企業の前提に関する注記」のこと。「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)」に対して危険信号が伴う場合、投資家等に周知するため、決算短信や有価証券報告書等でその旨を注記することが義務付けられている。この注記を「疑義注記」と呼ぶ。

疑義注記が付く理由としては。
・売上の極端な減少
・継続的営業損失、継続的営業キャッシュフローのマイナス
・極端な営業損失・キャッシュフローマイナス
・債務超過

などが挙げられる。上場企業経営者には自社が1年以内に破綻するリスクが高いと考えられる場合には、この疑義注記を行い、リスク対応を明記することが義務付けられている。

継続企業の前提

継続企業の前提(けいぞくきぎょうのぜんてい:Going Concern)とは、企業というものが無期限に事業を恵贈するものという前提のことをさす。企業は単年度で事業を清算するものではなく、永続的に事業をすすめていく(倒産せずに発展し続ける)という意味。ゴーイングコンサーンとも。

主に会計用語として用いられる。債務超過、継続的な営業損失が発生するなどした場合、決算短信や有価証券報告書などの財務諸表において「疑義注記(継続企業の前提に関する注記)」がつけられる。

2012年11月 5日

減損処理

減損処理(げんそんしょり)とは、保有する固定資産について予測不可能な減損が生じた場合に、相当の減額を行うこと。固定資産として保有していても仕様見込みや採算が見込めない場合で時価が著しく下落している場合に当該固定資産から相当額を減額することを指す。

なにも存在する固定資産だけではなく、のれん代等の無形固定資産についても減損処理は可能である。

投機的格付け

投機的格付け(とうきてきかくづけ)とは、信用リスクが一般に高いとされる信用格付けグループを指す。具体的にはBB以下(Ba以下)の格付けを評価されているものを指す。債券や債務などのが確実に償還されるかどうかの不確実性があるとされる。投機的水準とも呼ばれる。投機的格付けにある企業が発行する債券を「ジャンクボンド(ジャンク債)」「ハイイールド債」などと読んだりする。

なお、投機的格付け(投機的水準)といってもその程度はさまざまであり「信用格付け」においてはその中でもさらに細かく区分されている。

資本提携

資本提携(しほんていけい)とは、2社以上の企業がお互いに株式を持ち合う、または一方の企業が経営権を有しないレベルで株式を保有することで、お互いが協力関係を築くことを指す。一般的には10%以下程度の水準であることが多い。

ただし、合併や持ち株会社化などの全段階として資本提携を行うような場合もある。

なお、資本提携と業務提携の違いは前者が株を買う(資本を出す)ということが生じるのに対して、業務提携はお互いが資本関係を持たないこと場合を指す。

資本関係

資本関係(しほんかんけい:Capital Tie)とは、2社以上の企業において一方的もしくは双方において株式を保有していることを指す。たとえば、A社ばB社の株式を保有すること(出資していること)を資本関係がある、と呼ぶ。

2012年11月 6日

日本投資者保護基金

日本投資者保護基金(にほんとうししゃほごききん)とは、金融商品取引法により設立されている投資家を保護するための機関。日本において営業しているすべての証券会社の加入が義務付けられている。証券会社は投資家の財産と証券会社自身の財産とを分別管理する義務を負うが、証券会社の義務不履行などにより投資家に損害が生じた場合に保護するために設けられた基金である。

銀行における預金保護の仕組みであるペイオフ(預金保険制度)とも類似する。ペイオフの証券会社版と考えても問題ない。
保護の対象となる金融商品は下記の通り。

・預かり金
・有価証券(株、投資信託、MRF、上場投資信託、外国株など)
・信用取引の証拠金
・オプション取引、先物取引における証拠金

※信用取引、オプション取引等における未決済建て玉の評価益等は保護の対象外となるので注意が必要である。

なお、過去に日本投資者保護基金の出番があったのは2例存在する(2012年現在)
残念ながらこのような事例がある以上、投資家サイドでも分別管理を100%信用することができない。よって、経営の安定している証券会社を選んだり、投資額を1000万円以下に抑えるといったリスク対策も考えておくべきであろう。

・南証券(2000年経営破たん)
・丸大証券(2012年経営破たん)

2012年11月 7日

電力債

電力債(でんりょくさい)とは、電気事業法に基づき、電力会社が発行する社債の一つ。特徴は、有担保社債(一般担保付社債)であり、発電所や送電線といった電力会社が保有する資産全体が対象となっている。そのため、他の無担保社債と比較して万が一の場合も他の債権者に優先して資金回収が可能となっている。

この仕組みにより信用リスクが低い電力債は他の無担保社債と比較して、より低金利での資金調達を可能にしてきた。こうして低コストで集めた資金を使って電力会社は多額の費用が必要な発電所や送電線などのインフラ整備を進めてきたことになる。

ただし、東京電力における原発事故問題においてはこの一般担保が付与されていることが、賠償における大きな制約の一つとなった。
東電が破たんした場合、電力債の債権者(担保付債権者)は被災者の持つ一般債権よりも優位であるため、優先的に電力債の保有者に資金が回り、残った金額で被災者に対する賠償を行うことになるためである。

こうした事故を踏まえて、政府においては電力債における一般担保の廃止も検討されている(2012年8月現在)

2012年11月13日

配当落ち

配当落ちとは、配当金の支払い権利獲得を巡り、その権利獲得の境目に起こる株価の下落のことを指す。株式配当金は権利確定日と呼ばれる期日に株主となっているものに支払われる。この日を1日でも過ぎた場合は次の権利獲得まで待つ必要がある。
そのため、理論的には権利確定日(権利付き最終日)を境目にして株価は配当金分下落することになる。これを配当落ちと呼ぶ。

たとえば、株価が300円で、期末(3/31)に10円の配当を出す会社があるとする。
この日の時点で株主となっているものには10円の配当金が支払われるが、その翌日に株を買っても配当金を受け取ることはできない。(実際には受け渡し日の関係でその3/31を含む4営業日前に株を買ったもの)

そのため、一般的には、その翌日には株価は10円分下落して290円程度の株価となることが多い。これを配当落ちと呼ぶ。

なお、配当落ちは個別株式だけではなく、株価指数にも影響を与える。特に、3月末、9月末を配当金の権利確定日としている 。そのため、多くの企業が配当落ちすることによって、日経平均株価やTOPIXなどの株価指数も下落する。

2012年11月16日

年末調整

年末調整(ねんまつちょうせい)とは、給与所得者の所得税について年末に事業者(源泉徴収義務者)が源泉徴収した所得税について再計算等を行って過不足を調整することを指す。一部の条件外の人を除き、この年末調整によってその年の所得税額を確定させられるため、給与所得者は確定申告を行う必要はない。

2012年11月20日

両端入れ

両端入れ(りょうはいれ)とは、ローン等の金利計算方法の一つで、初日と最終日の両方を日数に加えて計算することを指す。たとえば、1日にローンを借りて10日に返済したという場合、両端入れなら、10日分の金利が発生することになる。

一般的なローン金利の計算や株式の信用取引における金利や貸株料の計算は両端入れで行われる。
逆に、初日または最終日を金利計算に含めない方法を「片端入れ」と呼ぶ。

片端入れ

片端入れ(かたはいれ)とは、金利・利息計算方法の一つで、利息計算初日または終了日の片方のみを入れて金利計算することを指す。両方を入れて計算する場合を「両端入れ」と呼ぶ。一般的には預金利息計算などが片端入れで行われる。

2012年11月30日

ダブルトップ

ダブルトップとは、チャート分析における形の一つ。一度つけた高値を上回ることができずに、下落に転じる形のことを指す。二重天井とも呼ばれる。上昇相場において一旦頭を押さえられ下落するものの、下げ止まって再度上昇を目指すも、先ほどの天井を超えることができずに再度下落する形。

1度目と2度目の天井の谷部分を「ネックライン」とよび、天井からネックラインまでの幅と同程度の下落が目標ラインとなる。対義語はダブルボトム。

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