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2008年4月 アーカイブ

2008年4月 1日

カストディー

カストディー(Custody)とは、証券の保管や保護預かり、所有権に関する正確な記録管理を行うという意味。国内投資家の外国証券投資や海外投資家の国内証券投資が対象となる。

合併

合併(がっぺい)とは、2社以上の会社(企業)が結合すること。広義では買収も合併の一種である。企業再編手法の一つであり、法人と法人が結合する手法として用いられる。

2008年4月 2日

カバードコール

カバードコール(Covered Call)とは、オプション戦略の一つ。現物資産を保有したまま、コールオプションを売る戦略のこと。

主に長期的には原資産(金融資産)に対する強気姿勢を保っているものの短期的には弱気の場合に有効な戦略。カバードコールの状態では、コールオプション満期までに価格下落または変化なしの場合に収益を得ることができるという現物取引とオプション取引を組み合わせた戦略のこと。

カバードワラント

カバードワラント(Covered Warrant)とは、原資産(株式など)の発行体とは別の第三者(銀行や証券会社など)がそれを裏づけとして発行するワラント(新株予約権)のことを指す。

日本においては、ゴールドマンサックス証券などが発行する「eワラント」がカバードワラントとして発行されており、マーケットメイク方式で売買が行われている。
株式や株価指数といったオプション(売買権利)を証券化しており、満期時に権利行使価格と実際の株価との差額を受け取る他、途中売買により差益を得ることができる有価証券。原資産を直接購入するのと比較して小額の資金で投資が可能ではあるが、原資産よりも値動きが激しいことからハイリスクハイリターン商品といえる。ただし、カバードワラントはあくまでもオプション(権利)の購入であるので、元手資金以上のリスクを負うことはない。

株価指数

株価指数(かぶかしすう:Stock Index)とは、ベースとなる過去の参考時点と比較して、市場全体のパフォーマンスを数字で示したもの。

狭義の株価指数は基準値を100または1000としてそれを指数化したものをさすが、広義には日経平均株価など指数でない数字のものも株価指数という。日本国内において指数で表現されている株価指数は「TOPIX(東証株価指数)」であり、広義の株価指数には「日経225(日経平均)」などがある。

株価指数の算出方法には大きく、加重指数と非加重指数に分類される。加重指数は特定銘柄に市場平均や時価総額を反映したりすることで特定銘柄に対して大きな比重を持たせており、非加重指数はそういったことはおこなわない単純な平均の事を指す。

PER(株価収益率)

PER(株価収益率:Price Earnings Ratio)とは、企業株価を企業の一株あたり利益(EPS)で割って計算することができる財務分析の一種。企業の投資価値を判断する上で非常に重要な比率の一つであり、企業株価が割高か割安かを示すファンダメンタルズ分析指標として広く利用されている。

PER(株価収益率)の計算は非常に簡単で、EPS(一株あたり利益)さえ計算されていれば以下の計算式により数値化することができる。なお単位は「倍」と表現される。

PER=現在の株価/EPS

例えば、現在の株価が2,000円で、一株あたり利益が150円の会社の場合PERは2000/150=13.33倍と表現される。この場合、言い換えると企業の収益力が不変であり利益を全額配当にまわしたと仮定すると、投下資金が13年とちょっとで全額回収できるということを意味している。

PERの活用法としては一般的には市場平均との比較やその会社の過去の株価レンジとの比較などにより判断する場合が多い。どの程度の株価収益率が適当かという基準は存在しない。

その理由としては、PERは今期の利益を元に計算されることが多いため、例えば、急成長企業の場合で、一株あたり利益が100円、300円、900円というように大きく成長するような局面にある会社のPERは将来の成長を見込まれて株が買われている傾向があることから高くなる。
対して、安定はしているが将来的な急成長は望めない企業の場合は将来の成長はあまり見込まれないためPERは低くなる。

そのため、PERを投資判断とする場合には、同業他社との比較、過去の株価水準とPER比較などの利用をするのが良いと考えられる。

また、国際比較をする場合は、企業の一株あたり利益(EPS)を計算する際は、EBITDAを用いる方が良い。

TOB(株式公開買い付け)

TOB(株式公開買い付け:Takeover Bid)とは、企業の買収の際に買い手となる企業が一定の条件で対象企業の株式を買い付けることを指す。買い付けを行うものは「買い付け期間」「買取株数」「価格」を公告して不特定多数の株主から株式市場外で株式を買い集める制度のこと。

また、TOBは買収以外の場合でも市場に流通する自社株式を購入し金庫株または消却することを目的として行うこともある。

買収対象となる企業経営陣が買収に関して了承しているか、了承していないかで、友好的TOB、敵対的TOBなどとも呼ばれる。敵対的TOBが行われる場合には、買収対象企業が別会社に要請してホワイトナイトとしてさらに別の条件で当該会社に対してTOBを仕掛ける場合もある。

株式分割

株式分割(かぶしきぶんかつ:Stock Split)とは、株式をより小さな単位に分割することを指す。通常は株主資本や資本準備金などには影響を及ぼさない。

株式を分割することにより株数を増やすことにより一株あたりの株価は下がることから、投資家に当該企業の株式に投資しやすくするなどの意味があることが多い。例えば、1:2の株式分割が行われる場合、既存株主に対しては現在保有している株数と同じだけの株式が新たに付与される。

なお、株式分割がおこなわれた場合、通常株価はその分割比率に応じた額だけ下がるのが一般的である。上記の分割例で例えると、株価は理論的には1/2となる。

⇔株式併合(対義語)

株式併合

株式併合(かぶしきへいごう:Reverce Stock Split)とは、発行済み株式総数を減らすこと。通常は2:1の株式併合というように既存株主の株数を減らす。株主にとっては株数は減るが同時に発行済み株式総数も同比率で減少するのでコストはかからない。

株数が減少しても等しく株式併合が行われれば、会社全体の純資産に占める株主構成に変化はないため、仮に1:2の株式併合が行われた場合、発行済株式総数は半分となり、理論株価は2倍になる。
(ただし、1株あたりの配当金が変わらない場合などは実質的な減配となり株価が下がるケースもある)

株式分割などと比べて一般的な手法ではなく、おもに業績悪化などに伴い株価が相当に低い水準の時に行われることが多いこと、また既存株主にとって理論的な資産という意味ではマイナスは無いものの、株数が減少するということからネガティブな印象がある。
ネガティブ ストック スプリットとも呼ばれる。

⇔株式分割(対義語)

株主資本

株主資本(かぶぬしほん:Equity)とは、企業に対する株主の持ち分のこと。株主が出資した資本金や資本準備金、利益準備金や利益剰余金など貸借対照表における純資産の部(資本の部)に記載されている合計金額を指す。

株主資本は資本金だけでなく、それによって生み出された利益準備金や利益剰余金といった超過収益分も含まれている。自己資本とも呼ばれる。

⇔自己資本(類義語)

空売り

空売り(からうり:Short-Selling)とは、価格の下落を予想して保有していない証券を売却すること。現物取引の場合、原資産を保有していないのに原資産を売ることは通常できないが、株式信用取引などの場合、証券会社などから原資産を借りてそれを売却し、その後買い戻して証券会社などに返済するという投資方法のことを指す。

その原資産を持っていない(空の状態)にも関わらず、それを売ることから、「空売り」と呼ばれる。
広義には、信用取引・オプション取引・FX取引・CFD取引などにおいて、原資産の価格下落により利益をえる取引のことを総じて空売りと呼ぶこともある。

わかりやすい例
投資家はある会社の株価(現在1,000円@1株)が将来値下がりしそうであると考えているとき、証券会社にその会社の株式を一時的に借りて売ります。その後、予想通り、株価が800円@1株にまで下落しました。そこで、投資家は、ある会社の株式を800円で買い戻して、証券会社に返済します。 手元には、最初に売った代金である1,000円から株を買い戻すために支払った800円を差し引いた200円が残ることになります。この一連の取引が空売りとその解消(反対売買)となります。


空売りを行う場合、投資家は目先の価格下落を想定しており、予想通り株価が下落した場合は、その差額を受け取ることになる。空売りのことを「ショート」とも呼び、さらにそうした立場・状況のことを「ショートポジション」とも呼ぶ。

⇔ショート(類義語)
⇔空買い(対義語)
⇔ロング(対義語)

空買い

空買い(からがい:Long-Selling)とは、空売りの対義語。信用取引において証券会社などから株式などを購入する資金を借りて行う取引のこと。

証券会社などから現金を借りて株式を購入し、その後予想通り株価が上昇したら売却し、借りていた現金を返済すること。通常は売買による差額のみの受け渡しとなる。

⇔ロング(類義語)
⇔空売り(対義語)

カルテル

カルテル(Cartel)とは、企業や組織などが集団で製品の価格や供給量に対して合意をすること。日本国内外においてカルテルは不当な取引制限として独占禁止法等により通常禁止されている。

いわゆる談合なども広義ではカルテルの一種といえる。通常、カルテルは禁止されるべき商業行為ではあるが、不況時などには認められる場合もある。こうしたカルテルのことを不況カルテルと呼ぶ。

2008年4月 3日

買われすぎ

買われすぎ(かわれすぎ)とは、経済や財務のファンダメンタル分析による適正な水準よりも価格が上昇しすぎている状態を指す。

テクニカル分析においてはRSI(相対強度指数)が75%以上となっている状態を買われすぎという。なお、対義語は売られすぎ。

売られすぎ

売られすぎ(うられすぎ)とは、経済や財務のファンダメンタルズ的な要因から分析する価格水準よりも価格が下落しすぎている状態を指す。

証券の相対強度指数(RSI)において25%以下の水準である場合テクニカル的に売られすぎと表現することもある。なお、対義語は「買われすぎ」である。

カントリーリスク

カントリーリスク(Country Risk)とは、特定の国に対して投資や融資などを行う際におけるリスクのこと。ソブリンリスクとも呼ばれる。

一般的には投資先の国の政治・経済・社会的不安などの混乱により投資した資金等の回収が困難になったり、投資した商品価格が下落することにより損失を被るリスクを指す。カントリーリスクの具体的な例としては、政府の政策変更による民間財産の没収(国有化)や、海外送金ができなくなるなどが挙げられる。

こういった投資先の国家における政治経済の混乱等を原因とするリスク、つまり投資先の主体における個々の運営等とは無関係に現れるリスクを指します。特に発展途上国においてカントリーリスクは高いとされる。

ガンマ

ガンマ(Gamma:γ)とは、オプションにおける原資産の価格変化に対するデルタ(δ)の変化度合いを示した数値のこと。オプション投資におけるリスク指標の一つで、基礎商品の価格変化に対するデルタの変化額を示す。

ガンマ(γ)=デルタ値の変化幅 / 減資産価格の変化額

と計算することができる。ガンマの値が大きいほど原資産の価格が変動した場合のデルタ値の変化が大きくなり、ガンマが小さくなれば原資産の価格変動によるデルタの変化は少なくなる。

仮に、日経225先物オプション取引を考えた場合。日経225先物価格が100円変動したときに、デルタがどれだけ変動するのかということを示すのがガンマとなる。
たとえば9250円のコールオプションのガンマが0.0005とする。これは仮に先物が100円上昇した場合、デルタは100×0.0005=0.05増加するということを示す。

デルタ

デルタ(Delta:δ)とは、オプションにおける市場感応度(センシティビティ)を示す指標の一つ。原資産の価格が1単位変化する場合に、オプション価格がどの程度変化するかを計測する。このデルタの変動率を「ガンマ」と呼ぶ。他にも「ベガ」「セータ」などのオプションの市場感応度を示す指標がある。

例えば、デルタ値が0.7(70%)でオプションにおける原資産の価格が1円上昇した場合、1原資産あたりのオプション価格は0.7円上昇すると予想することができる。すなわち、デルタが大きい物ほど、原資産の価格変動に対してオプションの価格が対象原資産の価格に伴い変動することになる。

ただし、デルタは一定ではなく投資対象の原資産の価格変動により大きく変動する(デルタ変動の度合いは「ガンマ(γ)」により数値化することができる)。通常、プレミアムの値が大きいほど、デルタ値は小さくなる。デルタ値が極端に小さい場合は原資産の価格変動がオプション価格に対して影響を与えなくなるので投資意味が薄いとされる。

コールオプションは正のデルタを持ち、プットオプションは負のデルタを持つ。
一般的にインザマネーのオプションはデルタの値が高くなり、アウトオブザマネーの状態のデルタは値が小さくなるのが一般的である。

プレミアム

プレミアム(Premium)とは、投資用語としてオプション取引においてオプションの買い手がオプションの売り手に対して支払う価格のこと。本質的価値と時間的価値が含有されている。オプション料とも呼ばれる。

オプション取引におけるプレミアムは様々な要因により構成されている。

(1):オプションを買う需要が高まれば、コールオプション・プットオプション共にプレミアムは高くなるが、オプションを売る供給が高まれば、コール・プット共にプレミアムは低くなる。

(2):オプション取引の対象となる原資産の価格が上昇する可能性が高い場合、コールのプレミアムは高くなり、逆にプットのプレミアムは低くなる。

(3):オプション取引の対象となる原資産の価格が下落する可能性が高い場合、コールのプレミアムは低くなり、逆にプットのプレミアムは高くなる。

(4):オプションの権利行使期間が長いほど、対象となる原資産の価格変動(ボラティリティ)は通常大きくなるのでプレミアムは高くなる。逆に権利行使期間が短いほどプレミアムは低くなる。(コール・プット共通)


オプション取引のプレミアムは「本質的価値」と「時間価値」の二つに分けて考えこともできる。本質駅価値はオプション自体が持つ価値で権利行使価格が現在の原資産の価格よりも有利な場合に存在する。一方の時間的価値はオプションの満期(期限)に応じて存在し、期限が近付くほど減少し、最終的にはゼロとなる。

機関投資家

機関投資家(きかんとうしか:Institutional Invester)とは、大規模な資本を金融市場に対して投資する様々な金融機関や組織のこと。外国人投資家も機関投資家に含まれる。

個人で投資を行う個人投資家との対比的表現で用いられ、金融市場において利益をあげる目的をもって株式や債券、投資信託などに対して大規模な運用を行う企業・組織。代表的な機関投資家としては、生命保険会社、損害保険会社、銀行、投資信託運用会社、信用金庫、年金基金、農業団体、信託銀行、共済組合、政府系金融機関、証券会社、外国人投資家(外国籍の機関投資家)などが挙げられる。

機関投資家は個人投資家と比較して膨大な資金力を背景としているため、機関投資家の売買動向は金融市場・株式市場に対して大きな影響を与えることから動向が注目されることが多い。

外国人投資家

外国人投資家(がいこくじんとうしか)とは、主に日本の非居住者である外国の年金基金や投資信託、ヘッジファンドなどの投資家を指す。海外の個人投資家も外国人投資家ではあるが、ニュースなどで用いられる外国人投資家という場合は専ら海外の機関投資家のことを指す。

日本国内において外国人投資家の占めている存在感は高まっており、東京証券取引所(東証)、大阪証券取引所(大証)、名古屋証券取引所(名証)における株式の委託売買に占めている外国人投資家の売買シェアは総取引額の半分以上を占めている。

貴金属

貴金属(ききんぞく:Precious Metals)とは、金・銀・白金(プラチナ)・パラジウム・ロジウム・イリジウム・オスミウム・ルテニウムの全8種を指す。商品取引所等において売買される。

期近物

期近物(きぢかもの)とは、取引する金融商品により意味合いが異なるが、債券の場合満期(償還)までの期間が近いものを指し、先物取引の場合限月が近いもの、または最も期近の先物契約を指す。

2008年4月 4日

企業価値(EV)

企業価値(きぎょうかち:EV)とは、時価総額に対して純負債を加算したものEVとも表記される。時価総額とは、企業の発行済み株式総数×現在の株価で計算され、純負債とはネットの有利子負債から現預金、短期性有価証券を差し引いたもの。

特にEV/EBITDAは上場企業における価値評価のための最も一般的な指標として用いられる。EV/EBITDAが一般的な企業価値を図る指標として用いられる理由は分子であるEV(企業価値)に企業の債務が含まれる。つまり、買収された場合のコストだけでなく、債務と資本比率も評価できる一方で、分母のEBITDAは地域(国)による規制などに起因する要素を除外して企業の収益力に重点を置いているためである。

EV/EBITDAにおいては、企業価値(EV)がEBITDAの何倍になっているのかを示しており、当該企業買収に必要となる時価総額と買収後の負債返済に必要な金額がEBITDAの何年分でまかなうことができるのかを示しており、倍数で表現される。簡易買収倍率とも呼ばれる。

特に世界的に活躍する大企業などにおける共通の買収尺度として広く用いられている。

議決権信託

議決権信託(ぎけつけんしんたく)とは、企業が信託銀行に信託口座を開設し、一般的な株主に対してなんらかの特典と引き換えに一定期間保有する株式を預託してもらうこと。

一般的に行われることではないが、海外において同属企業や財務面で不安定な状態にあるときなどに行われることがある。経営陣が早急な政策の実施や変更に迫られた際や、株主総会における投票権を掌握したい場合などに用いられる。

株主総会

株主総会(かぶぬしそうかい)とは、株式会社における最高意思決定機関の一つ。全株主を構成員としており、会社の基本方針から重要事項を決定する会議。株主は1株につき1票を有している。

以下は、日本国内の会社法における株主総会を解説する。株主総会は取締役会設置会社と非設置会社によりその権限の大きさが異なっている。株主は1株(または1単元)に付き1票の投票権を有しており、決算の承認や剰余金の分配(株主配当)、役員の選任などを行う定時株主総会と重大な決定事項が発生した場合に行われる臨時株主総会に出席することになる。

株主総会の場においては総会屋に関する問題やしゃんしゃん総会と呼ばれる行為が行われてきたが、近年では、IR(Investors Relationship)の観点などから一般の個人投資家に対して自社をアピールするための場として認識する企業も増加傾向にある。
また、これまでは株主総会において大きな発言をしてこなかった年金基金やファンド(投資信託)などによる会社方針に対する意見も多くなっており、これをファンド民主主義と呼ぶことがある。現に、会社方針に対して機関投資家が反対意見を表明するケースは年々増加しており、実際に経営陣(会社側)の意見が覆された事例もある。

総会屋

総会屋(そうかいや)とは、特定の職業というわけではなく株式会社の株数を保有し株主としての権利行使権を濫用することにより不当に金品などを得るものを指す。プロ株主とも呼ばれることがある。英語では、Racketeerと訳される。

総会屋行為については、資本主義における大きな問題の一つとされており、商法によりその活動は事実上制約されており、現在ではその人数は少ないとされている。
総会屋は株主総会を活動の場としており、大きく「与党総会屋」「野党総会屋」に分類することができる。与党総会屋は企業経営陣が円滑に株主総会を進めるために金品などの見返りを提示した上で、会社議案を通すことを主流とする。次に、野党総会屋とは与党総会屋とは逆に、株主総会の進行を阻害することを目的としているが、こちらも与党総会屋と同様に金品などの見返りを求めるのが一般的である(要求を断られたことをきっかけに、与党総会屋が野党総会屋になることもありうる)

基準通貨

基準通貨(きじゅんつうか:Base Currency)とは、外国為替取引における交換レートを提示する際の基準となる通貨のことを指し、分母は1単位で表示される。

例えば、円と米ドルの交換を行う場合は、米ドルが基準通貨であるため、1ドル=110円○○銭というように表現されたり、米ドルとポンドの場合はポンドが基準通貨のため、1ポンド=0.50135ドルというように表示されたりすることを指す。

プロ株主

プロ株主(ぷろかぶぬし)とは、いわゆる総会屋のこと。

→総会屋

事業価値

事業価値(じぎょうかち)とは、時価総額に純負債を加算したものを指す。企業価値(EV)と同義で用いられることが多い。

→事業価値(EV)

季節調整

季節調整(きせつちょうせい)とは、指数や指標などの数値を季節的な原因より変動が予想される傾向がある場合、調整するもの。季節調整を行うことにより、経済指標の基調などを判別しやすくするのが目的である。

例えば、ビールは夏に多く売れる、ゴールデンウィーク中は観光事業が盛り上がるなどが代表的な季節調整の一例である。

ファンダメンタルズ分析

ファンダメンタルズ分析(Fundamental Analysis)とは、基礎的要因分析とも呼ばれる。株式の価格などを予想する手法の一つ。企業業績や経済動向、政治、ビジネス環境といった企業活動における実態要因に基づいて行う分析・調査の事を指す。

株価予想の上で行うテクニカル分析と異なり、ファンダメンタルズ分析では主に企業の将来に焦点をてて分析することが多い。通常はROEやPER、PBR、ROAなどの指標を元にスクリーニングを行いその中で経済分析などとともに投資対象企業を比較していくのが一般的に行われる。
また、ファンダメンタルズ分析における基本的考え方は、株価の本質的価値と市場の価格(現在の株価)の間に乖離が生じていても最終的には本質的価値が市場で実現されるというように考える。

ファンダメンタルズ分析というものは、企業の本質的価値や将来予測に対しては役立つものだが、実際の株式売買の場において、株価は日々変動するものであるため、ファンダメンタルズ分析に加えて、テクニカル分析を行い、現在の株価の水準を見極めることも重要である。

ISO4217

ISO4217とは、ISO(国際標準化機構)が定める各国の通貨をアルファベット3文字で表記する基準のこと。

代表的な通貨のISO 4217表記(アルファベット3文字表記)は以下の通りである。
日本円 : JPY
米ドル : USD
ユーロ : EUR
イギリスポンド : GBP
オーストラリアドル : AUD
カナダドル : CAD
人民元 : CNY
スイスフラン:CHF
香港ドル : HKD
ウォン : KPW
ニュージーランドドル : NZD
南アフリカランド : ZAR

日本円(JPY)

日本円(にほんえん)とは、日本国で利用することができる通貨単位の一つ。ISO4217においてJPYと表記される。現在発行されている円の貨幣としては硬貨6種類、紙幣4種類となっている。

1971年までは固定相場制が採用されており1USD=360円とされてきたが、その後72年に308に切り上げ、翌年の73年以後は変動相場制となっている。

米ドル(USD)

米ドル(べいどる)とは、世界最大の流通量を持つ通貨であり、アメリカ合衆国における公式通貨。正式名称はアメリカドル。ISO4217による表記では「USD」と表される。

世界的に用いられる通貨であり、世界最大の流通量を誇る。単に「ドル」と呼ばれる場合にはこの米ドルを指していることがほとんどである。一部の国では米ドルを主要通貨として定めている国もある。欧州連合の通貨ユーロ(EUR)、日本円(JPY)と並ぶ世界主要通貨である。

有事のドル買いという言葉があるように戦争や国際紛争などが起こると国際基軸通貨として米ドルが買われる(ドル高)傾向がある。ただし、近年では欧州連合通貨であるユーロ(EUR)のシェアが増加しつつある。

希薄化

希薄化(きはくか)とは名前の通り薄くなるということである。株式市場で用いられる場合は、企業の発行済み株式総数が増加することにより一株当たりの利益(PER)が小さくなることを指す。

例えば、発行済株式総数が1億株の会社で、自分の持ち株が1万株の場合、持ち株比率は0.01%であるが、この会社が新たに公募増資や第三者割当増資を行い、発行済株式総数があらたに1億株増加下場合、持ち株比率は0.005%にまで減少する。
仮にこの会社の利益水準が増資前後で変化無かった場合(また増加した場合でも2倍未満の場合)、あなたの保有する1株あたりの利益は減少することになる。これを株式の希薄化と呼ぶ。

テクニカル分析

テクニカル分析(てくにかるぶんせき:Technical Analysis)とは、相場における過去の変動を示したチャートを分析して将来の価格(株価など)の方向性を予測する手法。銘柄ごとにおける個別の因果関係は一切考えずに、過去の価格、出来高、時間軸などから未来の価格を予測する。

テクニカル分析と一口に言っても、その手法は様々である大きく分類すると「オシレーター分析」「チャート分析」の二種類に大別することができる。

ファンダメンタルズ分析のように財務データや外部環境データをお重視するのではなく、価格変動そのものから将来価格を予想するのがテクニカル分析の大きな特徴である。テクニカル分析の代表的な手法としては以下のようなものが考えられる。
折れ線、ローソク足、ポイントアンドフィギア、RSI(相対強度指数)、ストキャスティクス、エリオット波動理論、移動平均線、一目均衡表、酒田五法、HLバンド、ボリュームレシオ、MACD、パラボリック、価格帯出来高、逆ウォッチ曲線、上値抵抗線、下値支持線など多彩な方法がある。

実際にはそれぞれのテクニカル分析においては特徴があるので、それらの特徴を理解した上で、それらの特徴を活かした投資を行う必要がある。

一目均衡表

一目均衡表(いちもくきんこうひょう)とは、一目山人が開発した相場分析手法であり、相場の帰趨(きすう)は一目瞭然ということより名づけられたテクニカル分析の一種。

実際、一目均衡表はわかりやすく分析ツールとしては優れているものの、内容自体は複雑であり自分自身で一目均衡表を作るのは容易ではない。
以下では、一目均衡表の構成要因を中心に解説をすすめていく。

まず、一目均衡表のチャートにおいては、5本の線を中心に描かれていく。
(1):転換線
(2):基準線
(3):先行スパン1
(4):先行スパン2
(5):遅行線

転換線:(当日を含む直近9営業日の最高値+最安値)/2
基準線:(当日を含む直近26営業日の最高値+最安値)/2
先行スパン1:(転換線+基準線)/2の値を26日将来に示す
先行スパン2:(当日を含む52日営業日の最高値+同最安値)/2の値を26日将来に示す
遅行線:本日の終値を26日過去に示す。
(原則、指数の場合は終値、個別銘柄はザラ場ベース)

上記の計算により算出された点を毎日記述していくことで一目均衡表が完成する。相場はどちらか均衡が破れた方向に対して進んでいくという性質があるというのが、一目均衡表の原則となっていることから、上記の5本線より相場の均衡がどちらの方向にどう破れるのかを分析している。

主に、実施あの株価と補助線との関係、重要変化日からの日柄、株価の値幅測定などを分析することができるテクニカル分析ツールといわれている。

2008年4月 7日

逆ウォッチ曲線

逆ウォッチ曲線(ぎゃくうぉっちきょくせん)とは、相場におけるテクニカル分析の手法の一つ。出来高に対する価格を一定期間にわたって示したチャート図。価格と出来高のパターン認識が容易にできるのが特徴である。

逆ウォッチ曲線は横軸に出来高、縦軸に価格(または指数)を取り、一般的に左回りに回転することが多いことから逆ウォッチ曲線の名称で呼ばれる。
逆ウォッチ曲線においては、チャート図は以下のプロセスを繰り返す傾向がある。

(1):価格は変わらず、出来高が増加する
(2):価格が上がり、出来高が増える
(3):価格は上がるが、出来高が横ばいとなる
(4):価格は上がるが、出来高が減り始める
(5):価格が変わらなくなり、出来高も減る
(6):価格が下げ始め、出来高も減る
(7):価格は下がるが、出来高は下げ止まる
(8):価格は下がるが、出来亜は増加する

株価は上記の流れにより上昇、下降のトレンドを繰り返すという考え方から逆ウォッチ曲線は利用される。これは出来高の増減が株価に対して先行するという傾向があるためである。ただし、これを日柄で用いると、非常に複雑化したチャートとなることから、一般的には移動平均線を用いることが多い。

逆ザヤ

逆ザヤ(ぎゃくざや)とは、現物や価格が期先価格を上回る状態を指す。順ザヤの対義語。先物市場の場合は一般的に先物価格が現物価格をした回る上体を指す。また、運用におけるコストがリターンを上回っている状態。たとえば、お金を借りて投資をしているときに、その借入金利よりも低いリターンしか出せない状態のことを指す。

生命保険会社が契約者に約束した予定利率以下の運用しかできていない状態も「逆ざや」となる。

逆張り

逆張り(ぎゃくばり)とは、相場の一般的なトレンドと逆方向または逆の方法で取引をする投資家の総称。市場に参加している多くの投資家とは逆の行動をとることを指す。

他の投資家の裏をかく投資手法であるが、基本的には株価や指数などが下がっていく動きの中で買いをいれることを指す。対義語は順張り。

キャッシュフロー

キャッシュフロー(Cash Flow)とは、企業の財務諸表におけるデータの一種。税引き前利益から減価償却引当金を加算したものを指す。また、債券等から生み出される資金の流れなども意味する。また、単にお金の動きそのものを意味する場合もある。

通常、企業の利益を計算する場合、「売上-費用」で計算される。実際、損益計算書はこの流れで計算される。しかしながら、この損益計算書上の「費用」は減価償却費といったお金の動きを伴わない費用も考慮されているため、企業の資金繰りを知ることができない。

そのため、「損益計算書」や「貸借対照表」と並ぶ新たな財務諸表として企業のお金の動き(キャッシュフロー)を知るための「キャッシュフロー計算書」が新しく取り入れられている。

キャッシュフローが重要視される理由としては、企業の財務・決算において、会計上の利益(損益計算書における利益)は、資産償却の方法(定額法や定率法)などのように経営者の裁量により変動する余地があるのに対して、キャッシュフローはあくまでも資金がいくら会社に残っているのかを示す指標のため、裁量が入る余地が少ない。

また、見かけ上の利益ではない資金の流れを見ることにより黒字倒産の危険性を察知することができるという点が挙げられる。

キャッシュフローの簡単な見方
キャッシュフローは「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」に分類される。

営業活動CF
事業活動によって実際に稼いだお金のこと。

投資活動CF
設備投資やその他投資、買収等に関するキャッシュフロー。

財務活動CF
借金返済や配当の支払いなど、また借入によるキャッシュフローも含む。


これら営業CF、投資CF、財務CFの動きによってその企業の資金繰りを理解することができる。営業活動キャッシュフローから投資活動キャッシュフローを差し引いたものは「フリーキャッシュフロー」と呼ばれ、その企業が稼いで残ったお金のことを指す。

キャピタルゲイン

キャピタルゲイン(Capital Gain)とは、保有資産を取得コストよりも高い値段で売却した際に生じる利益のこと。例えば、株式を購入して値上がりした際に売った利益のことをキャピタルゲインという。投資した対象自体の価値上昇による利益。

対義語はキャピタルロス。また、株式保有時の配当金や投資信託の収益分配金、債券保有時のクーポン(利子・利息)などのことをインカムゲインと呼び、キャピタルゲインとインカムゲインを併せたものを「トータルリターン」と呼ぶ。

キャピタルゲインの例
・購入した株の株価が上昇したことによる売却益
・不動産の地価値上がりによる売却益

キャピタルリスク

キャピタルリスク(Capital Risk)とは、株式を保有する際の価格変動によるリスクや価値の消失などによりキャピタルロスが生じるリスクのこと。

キャピタルロス

キャピタルロス(Capital Loss)とは、保有資産の売却額が購入時の取得コストより下回っている状態、または下回っている状態で売却することにより発生する損失のことを指す。

キャピタル(資本)のロス(損失)という意味であり、例えば購入した株式が購入価格を下回った場合、売却すると損失が発生することになるが、この損失をキャピタルロスと呼ぶ。

対義語は、キャピタルゲイン。

キャリー取引

キャリー取引(Carry Trade)とは、調達コストの安い資産を調達し、より高収益が期待できる金融商品に対して投資を行う取引手法のこと。

近年では、日本円の金利が低金利であることから、円で資金調達を行いより高金利の外貨や株式などに投資を行う手法が行われている。例えば、100万円を年利1%で調達して、これを年利5%の米ドル(アメリカドル)で運用することで、為替変動を無視すれば年間に4%の超過収益(利ざや)を得ることができる。こうした取引のことを「円キャリー取引」という。

また、こうしたキャリー取引による金利収入と、その金融商品のポジションを維持するのに必要となる資金調達コストとの差額をキャリングコストと呼ぶ。

競争入札

競争入札(きょうそうにゅうさつ)とは、単純に入札とも呼ばれ、売買契約などにおいて最も有利な条件を提示するものと系や甲を締結するために複数の契約希望者から内容や入札金額を提示させて内容や金額から契約者を決める方法のこと。

なお、金融の場では、おもに国債の発行において通常採用される入札方式。引受業者(アンダーテイカー)が数量と希望価格を提示する。

協調介入

協調介入(きょうちょうかいにゅう)とは、世界や一定地域の中央銀行(日銀など)が事前の取り決めにより外国為替市場に対して同時介入することを指す。

通常は為替動向に影響力を持つ先進国の通貨当局が行う介入で、為替市場において過剰流通している通貨を共同で購入し、不足通貨を売りに出すことにより為替相場の安定化を目指すことを指す。最も有名な協調介入の場としては「プラザ合意」が有名である。

プラザ合意

プラザ合意とは1985年に行われた大規模な協調介入の場のこと。当時のアメリカ合衆国における対外不均衡の解消を目的とした合意のことで、主に対日貿易赤字の是正をもく低とする円高ドル安政策を目的としたもの。

発表から24時間以内にドル円レートは20円近く変動し、その1年後にはドルの価値はほぼ半減(1ドル240円から1ドル120円にまで下落)した。

業種別株価指数

業種別株価指数(Sector Index)とは、株式市場における複合指数の一つで特定業種の相場動向を反映したものである。

日本の株式市場における凍傷業種別株価指数では、諸受けコード協議会が定める業種区分に基づいて、東証一部上場銘柄を33業種に分類し、TOPIX(東証株価指数)と同様の計算方式により指数化したもの。

金本位制

金本位制(きんほんいせい:Gold Standard)とは、通貨の価値が金(ゴールド)との関係によって決定される為替メカニズム。金本位制の下では、中央銀行は自国通貨と金の交換を保証することにより為替との関係を維持する。

金本位制は先進国においては第二次世界大戦前後においてほとんどが廃止されており、ブレトンウッズ体制(米ドル金為替本位制)下では米ドルと金との兌換が可能であったが、1971年のニクソンショック以降、米ドルと金との兌換も停止され、現在金本位制を採用する国は存在しない。

ブレトンウッズ体制

ブレトンウッズ体制(ぶれんとんうっずたいせい)とは、1945年より発効した為替に関する協定のこと。金1オンスと35米ドルを固定とし、その米ドルに対して各国通貨の交換レートを定めた(金本位制)。日本円は1米ドルあたり360円と固定された。

ブレトンウッズ体制を決定付けたブレトンウッズ協定により国際通貨基金(IMF)や国際復興開発銀行(IBRD)が設立された。このブレトンウッズ体制により西側諸国は高度成長を実現し、安定した自由貿易による利益が先進工業国の経済を活性化することに成功した。

この米ドルによる金本位制は1971年のニクソンショックにより米ドルと金の兌換(交換のこと)が停止されるまで継続した。1973年からは変動相場制が採用されることとなった。

変動相場制

変動相場制(へんどうそうばせい)とは、通過間において固定的な交換比率が存在せず、相場が需要と供給に応じて変動する為替相場のこと。対義語は固定相場制。

1971年のニクソンショック以前は米ドルと金による固定相場(金本位制)が築かれていたが、各国間の固定相場は維持されつつも米ドル間での切り上げが行われ、1973年に日本を含む先進各国は変動相場制へと移行した。なお、この変動相場制は1976年のIMF暫定委員会で正式に承認された(キングストン体制)。

固定相場制

固定相場制(こていそうばせい)とは、資産間の価値の間に固定された交換レートまたは中心レートをもっているシステムのこと。通常は通貨間の交換比率が固定されていることを指す。

ニクソンショック以前は米ドルと金との兌換をベースとした金本位制固定相場が主流だったが、1973年以後は先進国は変動相場制へと移行している。ただし、現在でも経済規模の小さいエマージング諸国においては、ドルペッグ制などの固定相場制を採用している国もある。

ドルペッグ制

ドルペッグ制とは、通貨における為替レートを米ドルと連動させる制度のことで、固定相場制の一種。主に経済基盤の弱い国や経済的に不安定な国が自国の為替レートを経済的に関係の深い国の通貨と連動させる制度のことで、多くの国は米ドルと連動させている。

ドルペッグ制を採用する主な国としては、中国元(人民元)、香港ドルなどが挙げられる。また、米ドルだけでなく、複数の主要通貨と連動させる固定相場制のことを通貨バスケット制というものもある。

通貨バスケット制

通貨バスケット制(つうかばすけっとせい)とは、為替レート決定方法における固定相場制の一種。自国の為替レートを複数の外貨レートにより決定付けるようにすること。

通貨バスケット制における外貨構成比率は通常貿易比率により決定される。近年通貨バスケット制を採用する国は減少傾向にあるが、2005年には中国(人民元)が通貨バスケット制を新たに採用した。類似する固定相場制「ドルペッグ制」よりも自国と取引が深い国の総合バスケット方式の方が、通貨を分散している分、一国に依存する割合が低下するというメリットがある。

金融政策

金融政策(きんゆうせいさく:Monetary Policy)とは、マネーサプライや全体的な金利水準に関する政府の政策で通常は各国のい中央銀行(日本の場合日銀)が行う。財政政策と並ぶ国家の経済政策の柱とされる。

物価や通貨の安定、景気対策として金融引き締めや金融緩和を行う。基本的には公定歩合や準備預金制度の変更や公開市場操作(オペレーション)を行ったりする。操作目標としては金利やマネーサプライ、為替レートなどが挙げられる。

金融センター

金融センター(Financial Center)とは、その国における国際的・国内的な金融取引の中心地を指す。世界三大金融センターとして「ニューヨーク」「ロンドン(シティ)」「東京」の3都市が挙げられる。

金利

金利(Interest Rate)とは、借り手が貸し手に対しえ支払う資金調達コストのこと。通常は年ベースで一定期間により支払われる。資金の貸し手の資金利用機会の喪失、インフレによる購買力低下、貸し出しによるリスクの代償として支払われる。

金利は資金の貸し借りの値段を示す指標であり、需要と供給という金融商品と同様の需要分析が可能である。通常、金利は1年あたりの割合で現すが期間が1年に満たない金利を計算する場合も通常は1年分の利子に計算しなおすのが一般的である。


一般的に金利は景気の体温計ともいわれており経済力に対する指標ともいわれている。例えば、好景気の時は資金需要が大きくなることから金利が上昇し、不景気の際は資金需要が減退することから金利は下落する。金融当局による金融政策は、公定歩合や預金準備率の操作を通じてこの金利を刺激することにより景気の安定を図っている。

また、金利構成要因に「貸し出しによるリスクの代償」とも記述したが、この貸し出しリスクは資金の借り手に対する信用力という面が関係している。例えば、日本国が破綻する可能性(リスク)と一般企業が破産する可能性(リスク)とでは日本国が破綻するリスクの方が小さいであろう。そのため、国が発行する国債と一般企業が発行する社債の間には金利差が発生しているのである。

クーポン(債券用語)

クーポン(Coupon)とは、利札という意味。債券用語として使われる。債券の保有者に支払われる金利を、額面価格に対するパーセント(百分率)で示したもの。確定クーポン付き債券の場合、年に1回から2回の利払いが行われる。

このほか、債券の券面についている保有者が利払いを受け取ることができる権利を示す切り離し可能な証書を指す用語でもある。別名、表面利率、利札。今は電子化されているが、昔は実際の債券券面に切り取ることができる利札(クーポン)がついており、それを切り離して、利札と利息を交換した。

クーポンストリッピング

クーポンストリッピング(Coupon Stripping)とは、債券からクーポン部分を切り離して元本部分とクーポン部分を別個に取引できるようにすることをさす。ゼロクーポン債の標準的な作り出し方となる。

繰上償還条項

繰上償還条項(くりあげしょうかんじょうこう)とは、債券の信託証書に対して定めることができる条項であり、発行者が満期日より前に発行残高の一部または全額を買い戻すことができる権利を指す。

例えば、年利7%で社債を発行していたA社があったが、金利低下に伴い、新たに債券を発行するほうが金利的なメリットがある場合、利率の高い債券を繰上償還することにより支出額を抑えることができる権利。コール条項とも呼ばれ、債券の目論見書に必ずその有無が記載されている。

クリアリング機構

クリアリング機構とは、市場取引における全取引を清算する機関のことを指す。また、取引管理以外にも契約の履行も保証する。

日本国内の証券市場において「日本証券クリアリング機構」がある。日本証券業協会らが設立した、証券取引所における取引で、証券と現金とのやりとりを清算期間を通じて複数取引を効率的に清算することを目的としている。海外では、クリアリングハウスとも呼ばれる。

クレジットウォッチ

クレジットウォッチ(Credit Watch)とは、格付け会社が特定企業の信用格付けについて調査を行っていることを指す。一般的には、近い段階で信用格付けの引き上げもしくは引き下げを行う。

ただし、クレジットウォッチは未確認の情報や懸念されるリスクでも実施される場合がある。
例えば、○○についての懸念があるため、クレジットウォッチ・ネガティブに指定する。今後の××の動向を見極めたうえでクレジットウォッチを解除する方針。といったように必ずしも指定されたからといって必ず格下げされるわけではない。

クレジットウォッチポジティブ
信用格付けについてプラスの方向で調整を行っているという意味。近い将来信用格付けの引き上げられる可能性があるとみられる。

クレジットウォッチネガティブ
信用格付けについてマイナスの方向で調整をおこなっているという意味。近い将来格付けの引き下げが行われる可能性があるとみられる。

信用リスク

信用リスク(Credit Risk)とは、与信先が返済ができなかったり、清算(破産)してしまうというリスク。与信リスク、デフォルトリスク、貸し倒れリスクとも呼ばれる。

貸した資金(社債や預金、貸付債権など)を回収できなくなる可能性(リスク)のことで、金融取引において主要なリスクの一つ。貸付を行っている相手の経営状態が悪化することで通常は信用リスクは上昇する。
こうした信用リスクは個人で調査するにあたってはわかりにくいことから通常は信用格付け会社が提供する信用情報や格付けを参考にする。格付けは信用リスクを判断するための指標であり、AAA(トリプルエー)などの記号により与信先の信用度を発表している。

通常、この信用リスクが高まってくると、信用リスクがある分、高金利でしか資金調達ができなくなる。なお、国家の信用リスクのことを「カントリーリスク」と呼ぶ場合がある。

クローズドファンド

クローズドファンドとは、投資信託の分類の一つ。クローズドファンドでは、募集期間があらかじめ定められており、その期間を過ぎてしまうと追加の買付が一切できないタイプの投資信託である。

クローズドファンドは内容によっては解約や売却が制限されているものもある。別名「単位型投資信託」とも呼ばれている。対義語はオープンファンド。

オープンファンド

オープンファンドとは、投資信託の分類の一種。買い付け停止以外の時は原則としていつでも購入、解約、売却が可能となっているタイプの投資信託。

オープンファンドは別名追加型投資信託とも呼ばれており、購入時には手数料が必要となる。対義語はクローズドファンド。

2008年4月 8日

計画経済

計画経済(Planned Economy)とは価格や生産量などを政府によって決定される経済の事を指す。市場経済の対義語に当たり、主に社会主義国における経済体制のこと。現在、純粋な計画経済を運営する国家は少ない。

対義語は市場経済。なお、計画経済と市場経済の中間的な経済体制を「混合経済」とも呼ぶ。

クロスデフォルト条項

クロスデフォルト条項(Cross Default)とは、融資がデフォルト状態にあることを貸し手が宣言した時点において、自動的に発行する条項であり、同じ借り手にタイs知恵提供している他の融資や借り入れもデフォルトに陥ったことになる条項のことを指す。

リセッション

リセッション(Recession)とは経済が横ばいまたはマイナス成長を示す期間のことを指す。景気後退局面などともいう。リセッションの定義は国により異なるが通常はマイナス成長の四半期が2期以上連続することを指すことが多い。

景気後退のことであり、好景気が中断し生産活動が低下し失業率の上昇などがおこる。米国のきじゅんでは、実質国民総生産が前年比において2四半期以上連続して減少することをリセッションと呼んでおり、日本では経済成長率の鈍化もリセッションと呼ぶことがある。

景気循環

景気循環(けいきじゅんかん:Business Cycle)とは、時間の推移により発生する景気の周期的な変動を表す言葉。景気循環には回復期、好況期、後退期、不況期の四つに分割することができる。

また、景気循環においては、「キチンの波」「ジュグラーの波」「クズネッツの波 」「コンドラチェフの波」といったように短期から長期の景気循環を説明する理論が展開されている。

キチンの波

キチンの波とは、景気循環のうち約40ヶ月程度の比較的短い周期の景気循環を指し、短期波動とも呼ばれる。米国の経済学者ジョセフ・A・キチンが論文により主張したことからこの名で呼ばれる。在庫の数を企業が調整するための生産量拡大と縮小に伴う景気循環のこと。

在庫調整に伴うキチンの波は以下のような流れとなる。

(1)生産量増加・在庫増加
主に好景気の末期。生産量が非常に拡大している。

(2)生産量減少・在庫の増加
生産過剰によって在庫が増えることで生産量の調整が行われるが出荷量を上回る生産であるため、在庫数は伸びる。景気後退の始まり。

(3)生産減少・在庫減少
景気悪化に伴いさらに生産量を減らす。これにより在庫量も減少する。この状態になると景気後退も終盤。

(4)生産増加・在庫減少
出荷量が増えため、生産量を拡大する。景気の好転により消費も増えているためなお在庫が減少する。景気拡大の始まり。

以上が大まかなキチンの波の周期である。これがおよそ40ヶ月周期で起こるとされているが、近年ではこのキチンの波が観測されないケースも良く見られるようである。(90年代の米国経済など。)


他の景気循環
・キチンの波
・ジュグラーの波
・クズネッツの波
・コンドラチェフの波

ジュグラーの波

ジュグラーの波とは、景気循環の一種で約10年周期の循環とされており、中期波動とも呼ばれる。フランス経済学者ジュグラーが書の中で主張したことからジュグラーの波と呼ばれる。主に企業の設備投資に起因する景気循環である。

主循環・中期波動・設備投資循環と呼ばれることもある。

他の景気循環
・キチンの波
・ジュグラーの波
・クズネッツの波
・コンドラチェフの波

クズネッツの波

クズネッツの波とは、景気循環の一種で、約20年にわたる周期での景気の循環を指す。米国の経済学者サイモン・クズネッツがその存在を主張したことから「クズネッツの波」と呼ばれる。建築物の需要に起因する景気サイクルであると言われている。

また、別の説として、子供が親(成人)になるまでの周期(約20年)とも近いため、人口動態の変化による景気循環も指摘されることがある。

他の景気循環
・キチンの波
・ジュグラーの波
・クズネッツの波
・コンドラチェフの波

コンドラチェフの波

コンドラチェフの波とは、景気循環の一種で長期波動とも呼ばれる約50年周期の景気サイクルのことを指す。ロシアの経済医学者コンドラチェフによる研究で主張されたことから「コンドラチェフの波」と呼ばれる。

これは、技術革新による景気循環とも言われており、「蒸気機関による産業革命」、「鉄道の建設」、「電気・化学・自動車」といったような技術革新により景気の循環が行われるという考え方である。

他の景気循環
・キチンの波
・ジュグラーの波
・クズネッツの波
・コンドラチェフの波

投資信託

投資信託(Investment Fund)とは、資金をポートフォリオの形で運用する基金のこと。多数の投資家が資産運用会社に資金を信託し資産運用会社がその信託された資金を株式や債券、デリバティブ、不動産などに投資し、その運用収益を投資家に分配する金融商品。略して「投信」と呼ばれることも多い。

日本では、投資信託および投資法人に関する法律に基づいて設定されている。米国ではミューチャルファンド、英国ではユニットトラストと呼ばれている。

投資信託は元本保証のない株式や債券といった様々な金融商品を主体として投資を行い個別に決算が行われる。原則として元本保証は行われない。なお投資信託の購入・売却・保有にあたっては手数料、信託報酬や売却時の信託財産留保額などが必要となる。


以下は、投資信託の簡単な分類である。

1.募集・売買に関する分類
・オープンファンド(追加型投信)
・クローズドファンド(単位型投信)
・ETF(上場投信)

2.ベンチマークに関する分類
・アクティブ運用(アクティブファンド)
・インデックス運用(インデックスファンド)
・絶対収益運用(絶対収益ファンド)

3.投資対象に関する分類
・公社債投信(MRF・MMF・外貨MMFなど)
・株式投信
・不動産投信(REIT)


投資信託は98年より銀行での窓口販売(窓販)が解禁されたことを受けて銀行や保険会社、郵便局などが投資信託販売に参入し競争が激化している。また、購入時に手数料がかからない、ノーロードファンドなども増加傾向にある。

公社債投信

公社債投信(こうしゃさいとうしん)とは、公社債投資信託とも呼ばれる投資信託の一種。投資信託の中でも代表的な投資信託であり、株式を1単位たりとも組み入れることなく国債や金融債などの安全性の高い公社債を中心に運用するファンドのこと。

MMFやMRF、中期国債ファンド(中国ファンド)、長期公社債投信などが公社債投資信託にあたる。原則として元本割れを起こさずに安定した収益を得ることを目的としているが、急激な債券価格暴落などがあると元本割れを引き起こすリスクはあるので、元本保証商品でないことを知っておく必要がある。
また、外貨で運用される外貨MMFと呼ばれる公社債投信もある。

なお、債券を中心に運用されている投資信託であっても、仕組み上株式を1単位でも組み入れることができるようになっているものは株式投信にあたり、通常販売されている多くの投資信託はこの株式投信である。

株式投信

株式投信とは、株式を1単位以上含む可能性があることが明記されている投資信託のことを指す。株式投資信託とも呼ばれる。現在株式を1単位も含んでいない投資信託であっても、株式を購入することが許されているファンドの場合は、株式投信に該当する。

様々なバリエーションがあり、投資対象となる株式や、投資国などにより様々なオリジナル名称がつけられることが多い。対義語は、公社債投信。

なお、海外の債券に投資をして収益金を分配するような毎月分配型投信などは株式にまったく投資をしていないかもしれないが、分類上は株式投信となっていることが多い。

不動産投信

不動産投信(REIT(リート))とは、日本では正式名称J-REIT(ジェイリート)と呼ばれ、投資信託および投資法人に関する法律に基づいて設定される投資信託の一種。正式名称は不動産投資信託。

契約型REIT(投資信託)と会社型REIT(投資法人)と表現される二種類があるが、日本で証券取引所において取引されている不動産投資信託(REIT)は全て投資法人型(会社型)の形態を選択している。不動産投資信託においては、主に投資法人が不動産(ビルなど)を保有しその収益を投資家に対して分配を行うというものである。

なお、一部の不動産投信は証券取引所に上場しており、一般の株式投資と同様に売買することも可能である。

VAT

VAT(Value Added Tax)とは、付加価値税のこと。日本では消費税として課税されている。海外旅行時などのレシートなどにはVAT●%といったような表記がされることが多い。なお、フランス語だと「taxe sur la valeur ajoutée」となり「TVA」と表記される。

経過利子

経過利子(けいかりし:Accrued Interest)とは、前回の利払い日以降証券に発生している利子のこと。証券が二つの利払い日の間で売却が行われる場合、通常債券等の買い手は売り手に対してその日までに発生した利子分を購入価格に上乗せまたは別建てで支払う。

例えば、利子額が100万円(年額)の社債があり、この社債の利払いが3/31と9/31の年2回出会った場合にこの社債(債券)を3/31と9/31の中間日(7/1)に売買したとすると、4/1~6/30までの時間に対しての金利分である25万円が経過利子ということになる。

2008年4月 9日

トレンドライン

トレンドライン(Trendline)とは、テクニカル分析における相場の方向性を確認するための特定の値動きを結んだ線を言う。トレンドラインを試す動きやその突破の有無などにより様々な意味があるといわれている。

トレンドラインを引くためには2点(できれば3点以上)の安値(または高値)を直線で結ぶことが基本となる。なぜできるだけ多くの高値(安値)でのトレンドラインが意味がなすかというと、それはトレンドラインが示す価格の以上(以下)にならないサポートラインとして機能していることが確認できるためである。

OECD(経済協力開発機構)

OECD(経済協力開発機構)とは加盟国の金融の安定ならびに経済成長を促進する目的で設立された組織。ヨーロッパ諸国を中心として日米を含む30カ国の先進国が加盟する。

「経済成長」「貿易自由化」「途上国支援」の3つをOECDにおける最重要目的としている。俗に先進国クラブとも呼ばれている。

経済指標

経済指標(Economic Indicators)とは、経済の現況についての情報を提供するデータのこと。経済指標には様々なものがあり、今後の景気動向の手がかりとなることから、消費者、政府、企業、市場などがこれにより大きく反応する。

経済指標の中でも特に影響が大きいものとしては「国内総生産(GDP)」「消費者物価指数」「マネーサプライ」「貿易収支」「失業率」「鉱工業生産」「財政収支」「経常収支」などが挙げられる。

経済的付加価値

経済的付加価値(EVA)とは企業の収益性を評価する手法の一つで、コンサルタント会社スチュワート社が考案したもの。総資本コストを税引営業利益から差し引くことで算出する。

EVAは「Economic Value Added」の略である。このEVA(経済的付加価値)がプラスの場合はその会社は株主が期待している以上の価値を創造していることを意味しており、マイナスの場合は株主価値を提供していないことを意味する。

EVA=(投下資本事業利益率-資本コスト率)×投下資本額
EVA=(支払利息控除前税引き後利益)-資本コスト額

というように計算することができる。

マネーサプライ

マネーサプライとは通貨供給量とも呼ばれる重要な経済指標の一つ。金融機関と政府を除いた経済主体が保有する通貨の合計として定義される。

日本において、マネーサプライは「現金」+「当座預金」+「定期預金」+「外貨預金」+「譲渡性預金(CD)」の総合計であるM2+CDという基準がマネーサプライ計算におけう代表的な指標となる。しかし、2007年には日銀(日本銀行)がマネーサプライ統計をM2+CDから、「M3」を対象として、マネーストック統計として変更するとしている。

マネーサプライの統計としての意味は物価や名目GDP、実質GDPなどの経済活動に対して関係が深いとしており、マネーサプライが大きいほどインフレーション(インフレ)が進行しやすいとされている。そのため中央銀行(日銀)ではマネーサプライを金融政策実施の際の指標として利用している。

近年では市場金利連動型の預金などこれまでのマネーサプライでは図ることのできない複雑な金融商品が登場したことによりマネーサプライ管理は難しくなってきつつある。また、現金通貨ではないクレジットカードや電子マネー、地域通貨などの普及によりさらにマネーサプライと扱い方が難しくなってきている。

失業率

失業率(Unemployment Rate)とは、失業の状態を図る尺度として用いられる経済胃統計の一つ。失業率における失業者とは「労働する意欲と能力はあるのに仕事に就けない状態の人」を指す。この為、仕事探しをしていない人は失業者には含まれていない。

働く意思があるとは、職業安定所(ハローワーク)に通い職探しをするなど仕事を探す努力や起業準備をしているなどとされている。

失業率と景気との間には強い相関関係があるとされているが、完全に景気とその動きが連動するというわけではなく、一種の遅行指標として用いられることが多く他の経済指標と組み合わせての分析が必要となる。
2006年度犯罪白書によると、失業率と犯罪発生件数には相関性があり、失業率が下がると犯罪発生件数が下がると報告されている。

鉱工業生産

鉱工業生産(Industrial Production)とは、鉱業・製造業の生産動向を計測した経済指標の一つで、経済の状況を示す指標として非常に重要視される指標である。

日本では、経済産業省が毎月確報と速報を発表している。鉱工業生産は鉱業または製造業に属する事業所における生産活動や需給動向、原材料動向、稼動状況などを体系的に示している。
また、米国においてFed(連邦準備制度)が毎月行う米国の鉱工業生産指数は世界的に注目される指標の一つである。

2008年4月10日

経常収支

経常収支(Current Account)とは輸出入をはじめとした貿易収支と、サービス等の貿易外収支、対価の伴っていない移転収支を合計したものを指す。

国際通貨基金(IMF)により決定される国際収支の一つで、貿易収支(輸出入のバランス)、サービス収支(旅行や運送などのサービス取引)、所得収支(直接投資や証券投資などの投資収益結果)、経常移転収支(政府開発援助など)の収支合計。

経常利益

経常利益(けいじょうりえき)とは、企業が通常の業務から得る利益の事を指す。売上から売上にかかるコスト(原価)を引いた営業利益に対して、本業以外の収支や財務活動などのから損益を加算して計算するのが、経常利益と呼ばれる。

企業のトータル力を見る財務分析指標として経常利益は多くの場面で活用される。新聞記事などで増収、増益(または減収、減益)などと呼ばれるうちの増益、減益は主に経常利益の増減がこのように表記されることが多い。損益計算書においても重要視される経営項目であるといえる。

チャート分析

チャート分析(Charting)とは、テクニカル分析における一連の手法のことを指す。出来高や建て玉、値動き、決済価格、その他の指標をグラフなどに記入する際に利用するもの。

チャート分析においてはチャートのパターンやテクニカルチャートを利用することにより株価などの投資対象商品の価格動向を分析する。需給(需要と供給)や投資家心理、サイクル、トレンドなどを分析していく。

決済機関

決済機関(Clearing System)とは、証券の所有権の移転処理などを簡単に行うための決済機関。クリアリングシステム、クリアリング機構などとも呼ばれる。

気配

気配(けはい:Quotation)とは、市場や取引所などで提示されている価格のこと。実際に取引が行われる価格と同じとは限らないが、株式市場の場合指値注文がどのように入っているかを示す状況のこと。

板情報(板状況)などとも呼ばれることがある。国内での株価情報の場合は通常売り注文5本、買い注文5本の圧死ねの注文情報が表示される。買い気配という場合は買い手の勢いが強いことを指し、売り気配という場合は売り手の勢いが強いことを指す。

また、買いや売りの注文が片方に強烈に寄っている場合は、特別気配というように呼び、値がつかないこともある。

限月

限月(げんげつ:Contract Month)とは、先物契約における受け渡し期限のこと。通常は取引所において取引されている商品に対して使われる言葉で、店頭取引が行われる場合には満期日などと呼ぶ。

日経平均先物取引では3月、6月、9月、12月が限月となっている。また、日経オプション取引の場合は毎月限月が設定されている。各限月における最終の価格決定日を、最終決済価格決定日・特別清算日と呼び、清算指数をSQと呼ぶ。 SQは毎月の第2金曜日に出され、先物・オプション市場だけでなく現物市場も、このSQを意識して波乱を引き起こすことがある。

ちなみに3月、6月、9月、12月のSQ日は日経先物取引と日経オプション取引のSQが重なることからメジャーSQ、それ以外のSQをマイナーSQと呼ぶこともある。

原資産

原資産(げんしさん:Underlying)とは、デリバティブ市場における用語で、先物やオプション取引のベースとなる金融商品や現物商品のことを指す。通常は、株式、債券などの個別金融商品から通貨、株価指数、標準国際、作物、天気、気温などデリバティブ取引における基準となる商品などのことを総称して「原資産」という。

たとえば、取引されている「株式」という現物資産が原資産であり、この株式という原資産を基にして取引されている、株式のワラント取引(イーワラント)や株式CFD取引、オプション取引などは、「現物株式」を原資産として、この原資産の取引価格(相場)を指標化して取引されている。

現物市場

現物市場(げんぶつしじょう)とは、デリバティブ市場の対義語。現物の商品や金融商品が取引される市場のことを指す一般用語。

スポットマーケットという意味合いで用いられるときは取引の2営業日後の受け渡しや資金決済がすぐに行われる市場のことを指す場合もある。

減耗償却

減耗償却(げんもうしょうきゃく:Depletion)とは、鉱山やガス田、森林など伐採や採掘などにより資産価値が減少する資産に適用される減価償却の一種。企業会計における原価分配方法の一種で、生産高比例方式と同様の方式を採用する。

権利落ち

権利落ち(Ex-Rights)とは、株主の割り当てに関する用語で、株式が権利抜きで取引されている状態を指す。権利日確定日をすぎた状態を指す。

配当や株主優待、株式分割などの株主の権利については、ある一定の日までに株式を購入し保有している状態であれば権利を受けることができるという権利日があり、この権利日をすぎて取引される株式のことを、権利落ちしているというように言われる。

権利行使

権利行使(けんりこうし)とは、オプション契約において付与されている権利を行使することを指す。オプションを行使することをオプションの売り手に対して通告する。

権利行使期間
>>当該オプションの権利を自由に使うことができる期間。オプションの買い手が当該オプションの権利を行使することができる期間のこと。ヨーロピアンオプションの場合満了日、アメリカンオプションの場合は期間中いつでも権利行使が可能となっている。この用語はオプション取引以外でも新株予約権などとしても使われることが多い。

権利行使価格
>>原資産をいくらで売買する権利があるのかを定めている価格。ストライクプライス、エキササイズプライスとも呼ばれる。オプションの買い手が売り手から原資産を買ったり、売ったりすることができる価格のこと。コールオプションの場合は購入価格のことを、プットオプションの場合は売却価格を指す。

2008年4月11日

公開市場操作

公開市場操作(Open Market Operation:こうかいしじょうちょうさ)とは、日銀などの中央銀行が金融市場に対して介入して市中に出回っている資金などを操作すること。

主には政府が発行している短期証券の売買を行う。証券を購入することを「買いオペ(買いオペレーション)」といい、金融システムに対して余剰資金を提供することにより信用を拡大する。逆に、証券を売り出すことを「売りオペ(売りオペレーション)」と呼び、こちらは逆に金融システムの余剰資金を吸収することにより信用を縮小させる。

買いオペ

買いオペ(かいおぺ)とは、買いオペレーションの略で、公開市場操作の一種。中央銀行が市場から有価証券を買い入れて、通貨を放出すること。市場の通貨量(マネーサプライ)が増加することにより金融緩和効果が得られる。

信用が増大し、金利引下げの効果があるといわれる。対義語は「売りオペ(売りオペレーション)」。

売りオペ

売りオペ(うりおぺ)とは、中央銀行が保有している有価証券を売却し通貨を回収する公開市場操作(オペレーション)の一つ。市場に流通している通貨の量(マネーサプライ)を減少させる、金融引き締め(金利上昇)効果がある。

主に、インフレ懸念があるような場合に売りオペは実施され、日銀が債券などを金融機関に売却することで金融機関はその代金を日銀に対して支払う必要がある。つまり市場の資金を日銀が吸い上げることにより流通している資金量が減ることで需給バランスにより金利が上昇する。対義語は買いオペ。

インフレーション

インフレーションとは、インフレともよばれ、貨幣価値の低下により、財やサービスの価格が上昇することを指す。要は物価上昇のこと。対義語はデフレ(デフレーション)。適切なインフレは経済に対して有効であるとされているが、過度なインフレの進行はハイパーインフレなどと呼ばれ経済上大きな問題を持つ。

一般に景気が良くなると需要の増大によりインフレが起こるとされ、逆に景気悪化はデフレ圧力となる。こうした景気のサイクルにおいて過度なインフレ・デフレが起こらないように中央銀行は金融政策を通じてインフレやデフレをコントロールしている。

インフレーションがおこるメカニズム
インフレーションが起こるメカニズムはおおきく以下の3種類に分類される。

・ディマンドプルインフレ(需要によるインフレ)
需要が過大となることにより引き起こされるインフレーションのこと。供給量を超える大幅な需要が物価を押し上げること。日本の高度経済成長期におけるインフレーションはこの需要によるインフレが大きい。一般的には皆がお金を使う事でインフレになるという意味で経済拡大における「正常な」インフレとされる。ただし、これが膨らみすぎるといわゆる「バブル経済」となる。

・コストプッシュインフレ(供給によるインフレ)
供給サイドによるインフレーションで、スタグフレーション(景気後退と同時にインフレとなる)を伴うことが多い。経済的には「悪」とされるインフレである。例えば、輸入原材料価格の高騰によるインフレーション、産業間のける成長格差などが原因となる。

・貨幣的要因によるインフレ
要するに貨幣(通貨)の流通量が増大することによるインフレ。貨幣が過剰になると過剰流動性を生み出して実質金利を引き下げる。これにより投資が拡大し乗数効果により需要が増大する。政府が発行した公債(国債)を中央銀行が引き受ける形での貨幣流通量の増大や、銀行による貸付の増大により、信用創造が過剰に働くことによる流通量増大がある。

行使価格

行使価格(こうしかかく)とは、オプション取引においてあらかじめ合意された価格のこと。オプションの買い手が当該オプションを行使することができる価格のことをさす。

膠着相場

膠着相場(こうちゃくそうば)とは、相場における価格の上下幅が小さく、狭い取引レンジでの売買が行われる状態が続いていることを指す。もみ合い、レンジ相場などとも呼ばれることがある。

公定歩合

公定歩合(こうていぶあい)とは、中央銀行が政府発行証券を割引したり、それらを担保として融資を提供する際に適用する金利のことを指す。

日銀(中央銀行)における金融政策においては公定歩合を上下させることにより金融政策を行ってきたが、近年のコール市場(短期金融市場)の拡大に応じて、現在では日銀金融政策は金利については無担保コール翌日物をターゲットとしている。
2006年には、公定歩合というもの自体に政策的な意味合いが薄れたことから「基準割引率および基準貸付利率」という名称へと変更した。

無担保コール翌日物

無担保コール翌日物(むたんぽこーるよくじつもの)とは、日本国内の金融機関が短期資金のやりとりを行うコール市場において、約定翌日に返済を行う際の金利のことを指す。短期金融市場の金利の一つ。

別名で「無担保コールオーバーナイト物」「無担保コール(O/N)」とも呼ばれる。日本の金融政策が制限金利であったころは公定歩合の上下による政策が主流であったが、金利の自由化を受けて市中銀行の資金調達がコール市場を介するようになったことから、現在は公定歩合よりも無担保コール翌日物が重視され、この金利操作による市場介入が行われている。

中央銀行

中央銀行(ちゅうおうぎんこう)とは、国家の金融システムに対する規制権限を有する銀行のこと。銀行の銀行、政府の銀行とも呼ばれる。信用制度の管理、銀行券(通貨)の発行、商業銀行監督、外貨準備高および自国通貨の管理、政府向け銀行業務などが挙げられる。

日本国においては日本銀行(日銀)が中央銀行とされており、日本国内で通用する「円」とは「日本銀行券」と書かれているように、中央銀行が発行する銀行券である。国家や国家連合などにおいて中核となる銀行であり、通常は政府に対しての独立性を保持しており、自国の通貨を管理している。

主には、金融政策を担当し買いオペや売りオペなどの公開市場操作を通じて自国通貨や金利、信用の管理監督を行っている。

主要国の中央銀行は以下のようになっている。
日本:日本銀行
イギリス:イングランド銀行
欧州連合(Euro参加国):欧州中央銀行(ECB)
米国:単一中央銀行は存在せず、連邦準備制度(FRS)が制度として存在。FRSは「連邦公開市場委員会(FOMC)」「連邦準備制度理事会(FRB)」「12の連邦準備銀行」で構成されている。

日本銀行

日本銀行(にほんぎんこう)とは日銀(にちぎん)とも呼ばれる日本国の中央銀行。政府から独立した法人であり、公的資本と民間資本により存在している。

日本における公用通貨である「日本円」の発券銀行として日本銀行券の発行・管理を行うほか、公定歩合操作、公開市場操作(オペレーション)、支払い準備率操作などによる金融政策を実施し、マネーサプライを調整することで物価や国民経済を安定させる機能を負っている。
上記の金融政策を実施する場として以外にも、最後の貸し手としての銀行としての銀行機能(日本銀行の当座預金を使って金融機関同士の取引決済を行う)や、日本国政府の国庫金出納を行ったりしている。

2008年4月14日

PPP

PPP(Purchasing Power Parity)とは、購買力平価のこと。様々な国の生活水準を比較する方法で、国民総生産を単一の通貨に統一してはかる経済指標の一つ。

→購買力平価

コーラブル・ボンド

コーラブル・ボンド(Collable Bond)とは、コーラブル債ともよばれる債券の一種。事前設定された償還価格と償還期日により繰上げ償還を請求する権利を保有者に対して与える債券のこと。

期限前償還が可能な時点が1回のみの場合、「ワンタイムコーラブル債」、2回以上ある場合は「マルチコーラブル債」、いつでも可能な場合「エニータイムコーラブル債」と呼ばれる。
いわゆる仕組債の一種で、言い換えると債券の発行体がコールオプションを投資家から購入していると言い換えることもできる。つまり、コーラブル・ボンドは投資家はコールオプションの売りを提供している形となることから、一般的な債券と比較して、その分のオプションプレミアムが上乗せされている。

金利上昇局面では債券発行体がコーラブル債を期限前に償還しないため、投資家はより高い運用機会を逃してしまう可能性がある。逆に金利下落局面では発行体によりコールされるためコーラブル債による運用益を享受出来なくなるリスクがある。

なお、近年では、銀行預金の一種としてマルチコーラブル預金という仕組み預金も販売されている。この場合もオプションプレミアムの上乗せにより通常の定期預金よりも高い利率が提供されているが、途中解約ができないため、最長期限まで使わない資金を預金することが重要である。

仕組債

仕組債(しくみさい)とは、特別な仕組みが施されている債券のことで、資産担保証券(アセットバック証券)、リパッケージ債、クレジットリンク債、コーラブル・ボンドなどがある。スワップやオプションなどを組み込むことにより様々なキャッシュフローを実現するデリバティブ債券ともいえる。

金融デリバティブを債券に組み込むことにより、満期期間・クーポン(金利)、償還などを自由に設定することができる。仕組み債とも表現される。

以下は、代表的な仕組み債を示したものである。

・コーラブル・ボンド:発行者がコールできるオプションが付与された債権。
・キャップ付きフローター債:クーポンにキャップ(上限)が付いた変動利付際
・リバースフローター債:固定利率からLiborを引くなどの金利低下時にクーポンが上昇する変動利付債
・EB(他社株転換社債):株式のプットオプションの売りと同じ効果を持つ仕組債。
・日経平均リンク債:利率や償還が日経平均と連動する仕組債。
・CMS債:クーポンがスワップレートに連動する変動利付債。
・ステップアップコーラブル債:利率がステップアップし、発行者のコール条項が付与された仕組債。

変動利付債

変動利付債とは、利率が変動する債券。確定利付債の対義語。市場金利にスライドしてクーポンレートが見直される債券のこと。フローティング・レート債とも呼ばれる。

日本では、2000年から販売が開始された変動利付国債(満期15年)や、2003年から販売されている個人向け国債(10年満期)などが変動利付債として挙げられる。これらは半年後とに金利水準が見直される。

確定利付債

確定利付債(かくていりつきさい)とは、事前に定められた時期(半年ごとが一般的)にあらかじめ定められた一定額の利子を支払う形式となっている債券を指す。固定利付債などとも呼ばれる。一般的に流通している債券の大部分はこの確定利付債である。対義語は変動利付債。

クレジットリンク債

クレジットリンク債(くれじっとりんくさい)とは、ある信用リスクを別の債券の信用に対して結びつける債券の一種。クレジット・デフォルト・スワップを債券に取り込んだもので、クレジット・リンク・ノート(CLN)と呼ばれることもある。

クレジットリンク債は、契約で指定する会社などが債務不履行(デフォルト)を引き起こした場合は期限前に、指定会社が発行する債券で償還される債券。期限内のデフォルトが無ければ満期日に満額償還される。広義の仕組債の一種。
クレジットデフォルトスワップを行うに当たっては保証する側に十分な担保能力が必要となるが、クレジットリンク債の場合は、債券を購入するという形により保証が行われることから投資家の信用力に関係なく取引を行うことができる。

クレジットデフォルトスワップ

クレジットデフォルトスワップ(Credit Default Swap)とは、頭文字からCDSとも呼ばれるクレジットデリバティブの一種。貸付債券の信用リスクを保証してもらうオプション取引である。従来の銀行保証をデリバティブに作り変えたもの。貸し倒れに備えるための金融商品。

クレジットデフォルトスワップは、信用リスクを回避したいという買い手が、保証を与えるプロテクション(保護)の売り手に対してプレミアム(オプション料)を支払い、ローン返済等の保証を得る取引のこと。デフォルト・プット、デフォルト・プロテクションなどとも呼ばれる。このクレジットデフォルトスワップを活用した仕組債にクレジットリンク債がある。

たとえば、ある特定の企業が発行する社債を購入したとする。この投資家が将来のこの発行体の信用リスクに不安を覚えた場合、CDSを購入する。買い手はオプション料を支払う代わりに、社債が償還されなかった場合、損失に対して見合った金額をCDSの売り手から受け取ることができる。

CDSの価格(保証料率)は債務者の信用リスクに応じて変化する。一般的には2%を超えると危険水域といわれている。
CDSの売り手は、発行体がデフォルトを引き起こさない限り、安定した収入(保証料)を受け取ることができるものの、万が一の場合には、多額の負担を負うリスクがある。
実際に、2008年の金融危機時にはCDSを売っていた米国保険大手が、発行体のデフォルトにより多額の支払いを求められることとなり、経営危機に陥ったケースもある。

リパッケージ債

リパッケージ債(Repackage Bond)とは、既に発行された有価証券などを担保にしてその有価証券から得られるキャッシュフローを組み替えて新しく組成する債券のこと。

広義の仕組債の一種で、通常は特別目的会社(SPC)を利用する。CB(転換社債型新株予約権付社債)の新株予約権の株式転換部分を取り除いたCBリパッケージ債や、ドル建て債券の元本・金利をスワップ取引により円建てに返還して、そのキャッシュフローを基にしたドル債リパッケージ債などが挙げられる。

2008年4月15日

国際決済銀行

国際決済銀行(こくさいけっさいぎんこう)、とは通称BISと呼ばれる国際機関のひとつ。G10各国の中央銀行により組織される機関で、国際金融子女の安定を図るため、民間銀行に対する営業リスクに見合う資本金を確保させるのが目的。

ISDA

ISDA(International Swap and Derivatibes Association)とは、イスダと呼ばれる、店頭デリバティブ市場の国際組織。国際スワップ・デリバティブ協会のこと。

なお、業務でISDAと呼ぶ場合は「ISDDAマスターアグリーメント(デリバティブ取引の基本契約書)」のことを指す。デリバティブ取引における基本的なルールと枠組みを定めており、現在ISDAマスターアグリーメントは世界中のデリバティブ取引の基本契約書として利用されデファクトスタンダードとなっている。

GNP

GNP(Gross National Products)とは、一国の経済が生産した商品やサービスの総額で海外投資や収益所得も含む。国民総生産と呼ばれる。近年では、海外投資や収益所得を含まないGDP(国内総生産)が主流となっている。

GDPとGNPの違いとしては、GNPが海外の日本人が消費したお金は含まれるが、国内にいる外国人が消費したお金は含まれないのに対して、GDPは海外で日本人が消費したお金は含まれないが、国内にいる外国人が消費したお金は含まれる。という違いがある。
要するに、GNPは国民の消費額の総和であり、GDPは日本国内の消費額の総和となる。

固定資産

固定資産(Fixed Assets)とは、企業が販売を目的とはせずに数年間使用を継続する目的で購入した資産のことを指す。固定資産は大きく「有形固定資産」「無形固定資産」「投資その他の資産」の三種類に分類することができる。

会計上は1年以上にわたって処分または費用化する資産を指しており、満期が1年以上の定期預金や土地・建物などが有形固定資産、営業権や借地権などが無形固定資産、長期保有の株式や社債などが投資その他の資産に該当する。

混合経済

混合経済(こんごうけいざい:Mixed Economy)とは、計画経済と市場経済の中間的段階にある経済構造のこと。全般的には自由市場的な経済活動が行われる一方、一部セクターが政府等行政により運営されている状態を指す。

いわゆる「大きな政府」として公共事業や所得再分配政策などを実施する。近年は、1970年以後からのスタグフレーション(景気後退下のインフレーション)から大きな政府の非効率性が訴えられるようになり、小さな政府への移行が求められている。

市場経済

市場経済(Market Economy)とは、資源の配分が自由市場における需要と供給の関係により決定される経済のこと。近年では多くの国が市場経済を採用しいているが、完全なる市場経済を実施してはおらず政府による何らかの制限が行われている。

市場経済は、財の生産量や配分量といった経済の根本機能においては計画経済や混合経済よりも優れているといわれている。モノの需要と供給バランスにより効率的な生産が実施され財の過剰生産や過少生産が抑えられる効率的な経済となり、競争を促進することから労働者の勤労意欲向上や生産性の増加が起こる。

その一方、市場経済下では資源配分が効率的にはなるが公正とは限られないことから、貧富の差の拡大や需給ギャップの発生、市場機構外における価値の取引(環境問題)などは人為的な調整が行われないことから適切な配分が行えないという欠点もある。

こうしたことから、近年の世界経済としては、全体的には市場経済を推進するものの、一部の業種や規制、所得再分配、公共事業などを政府の機能として実施する混合経済が主流である。

ジニ係数

ジニ係数とは、主に社会における所得分配の不平等具合を測定するための経済指標の一つ。イタリアの統計学者「コッラド・ジニ」により考案された。

ジニ係数では、0-1の範囲において0に近いほどより格差が少ない状態で1に近いほど格差が大きい状態であることを指す。目安としては、0.3~0.4程度とされている。日本国内においては厚生労働省が実施してる所得再分配調査がジニ係数を利用した所得再分配調査が行われている。

コンセンサス

コンセンサス(Consensus)とは、1株あたりの利益や配当、PERなどについてアナリストが示した予想の平均値のことを指す。市場コンセンサスなどともいう。

要するに、コンセンサスとは合意の形成を指しており、関係者の意見一致を図ることを指す。市場コンセンサスなどと言う場合は、マーケット関係者がどの程度の利益や配当などを当該企業や経済全体に対してみているのかを指す。

コンベクシティー

コンベクシティー(Convexity)とは、デュレーションと同様に債券価格の金利に対する感応度指標のこと。利回りの変化に対する修正デュレーションの変化を測定したものである。

デュレーション

デュレーション(Duration)とは、債券のキャッシュフローの回収期間のことを指す。デュレーションは「年数」で表され、市場リスクへの平均的なエクスポージャー(借り手に対して供与されている信用の総額)を示す。デュレーションは、異なるクーポンや償還期日を盛る債券の比較を可能にするための指標である。

具体的には、将来的に受け取る予定のキャッシュフローの現在価値を計算して、それぞれの現在価値がキャッシュフローを受け取ることができるまでの期間にその現在価値合計に占める構成比率を乗じて計算する。クーポンや最終利回りが高くなるほどデュレーションは小さくなる。
また、デュレーションは債券投資における平均的回収期間を示す以外にも金利が一定割合にて変化した場合の債券価格の変動を示す感応度としての性質ももっており、デュレーションを(1+最終利回り)で除することにより算出される。
この修正デュレーションが1の場合は最終利回りが1%変化した場合債券価格が1%変化するということを示す。要するに修正デュレーションが大きいほど金利変動に対する債券価格の感応度が高いということを意味している。
金利の変動と債券価格の関係を、曲線で表すものをコンベクシティーという。

2008年4月16日

サーキットブレーカー

サーキットブレーカー(Circuit Breakers)とは、取引一時停止措置のこと。パニック売りを抑えることを目的とした制度のことで価格が一定以上の割合で下落した場合、取引所が強制的に発動する取引停止措置。値幅制限もサーキットブレイカーの一種。

最恵国待遇

最恵国待遇(さいけいこくたいぐう:Most Favoured Nation)とは、2国間で取り交わされる貿易に関する合意のこと。既に他国に対して実施している関税措置のうち、最も最大の恩恵を相互貿易において行うことを指す。

最終利回り

最終利回り(さいしゅうりまわり:YTM)とは、債券投資における指標の一つ。投資した債券等を満期(償還時)まで保有した場合の1年あたりのクーポン収入(利息部分)と、満期時における償還益(損)を保有期間に応じて按分したものを合計した金額に対する投資額を計算したもの。

最終利回り={(1年あたりのインカムゲイン)+(1年あたりのキャピタルゲイン)}÷投資額

1年あたりのインカムゲイン:1年間のクーポン
1年あたりのキャピタルゲイン:(償還価格-購入価格)÷残存期間

たとえば、残存期間が2年の債券(A)があり、額面100円、表面利率5%、流通市場価格(取得価格)を95円とする。この債券は表面利率が5%なので額面100円につき1年間の保有でクーポン5円が支払われる。

この債券Aは額面よりも安い金額で取得していることから、金利収入とは別に満期時には額面との差である100円(額面)-95円(取得価格)=5円の収益が発生することになる。
この5円の利息外収入を残存期間である2年で按分すると1年あたり2.5円の収入と計算することができる。

この2.5円を毎年受け取る利息に加えて計算する利息が最終利回りである。

最終利回り
={5円(クーポン)+2.5円(利息外収入を残存期間で按分したもの)}÷95円(取得価格)
=7.5円÷95円=7.894%

となり、最終利回りは7.894%と算出することができる。


デフォルト

デフォルト(Default)とは、債務不履行のこと。金利や元本などの支払義務を果たせなくなることを指す。なお、デフォルトの宣言は債務者ではなく、債権者が宣言する。債務者が契約に基づき発生する債務を履行(弁済)できないことをさす。

債務(借金)が返せないというだけではなく、金利の支払が遅延した場合であってもデフォルトとみなされる。もちろん、破たんした場合もデフォルト宣言される。

大口の債務者がデフォルトを引き起こすと金融市場に対して大きな混乱や問題が生じることになる。
過去の例でいうと下記のようなものがある。

1997年:三洋証券の無担保コール翌日物の約10億円のデフォルトによる短期金融市場混乱
1998年:ロシアが90日間の対外債務支払いの停止(ロシア財政危機)
2001年:アルゼンチンの外国債に対するデフォルト宣言

また、近年のギリシア危機などではギリシア国債のデフォルト懸念をユーロ全体で支援しているように、単純な問題ではすまされないことが多い。

なお、デフォルトという言葉は債務不履行とい意味以外に、特にIT・ビジネス系の用語で「標準」「基本仕様」という意味で使われることもある。

プライムレート

プライムレート(Prime Rate)とは、銀行が企業等に対して融資を行う際一番優遇されている金利(祭優遇金利)のことを指す。貸し出し期間が1年未満のものを「短期プライムレート(短プラ)」、1年以上のものを「長期プライムレート(長プラ)」という。かつては企業への融資を行う際の金利の目安・指標として用いられてきた経緯があるが、近年ではそうした利用はあまりされない。

長期プライムレートとしては、旧日本興業銀行(現、みずほ銀行)が算出・公表を始めたのが最初。
現在はあまり利用されず、TIBOR(東京銀行間取引金利)などのほうが利用されることのほうが多い。

2008年4月17日

最後の貸し手

最後の貸し手(Lender of Last Resort)とは、中央銀行が果たす主要機能の一つ。危機的状況に陥った金融機関が資金調達手段を見つけることができない場合に、中央銀行がその資金を融通することを指す。

中央銀行(日銀など)はこうした貸し出しを行い金融機関に対して預貯金の払い戻し取引の実行のための資金を供給し、取り付け騒ぎなどのリスク顕在化を回避し、円滑な資金決済の確保を図る。

財政政策

財政政策(ざいせいせいさく:Fiscal Policy)とは税金や政府支出の実行などにより政府が予算を通じて景気に影響を与えることを指す。大きく税制の変更(増税や減税)による歳入面財政政策と、公共事業や公共投資などによる歳出面からの財政政策がある。

財政政策は通常乗数効果により需要面に大きな影響を与えることができ、失業率の低下など経済への効果をもたらす。また、公共投資によるインフラ整備が供給面においてよい影響をもたらす。
ただし、その一方、財政政策を続ける結果、公共投資に依存する産業の過剰膨張、財政赤字の発生(増大)による経済的不均衡、インフレーション、経常赤字などの問題も引き起こす。過剰な財政政策をフィスカルドラッグと呼ばれた。

財政収支

財政収支(ざいせいしゅうし:Fiscal Balance)とは、税収に対して資産売却で得た収入を加えた額から、政府支出を差し引いた額を指す。この財政収支が黒字か赤字かで財政黒字か財政赤字かが決定する。

債務超過

債務超過(さいむちょうか:Insolvency)とは、偶発債務や予想債務を含む全ての負債総額が資産価値を上回る状態であること。支払不能。要するに保有する資産を全て売却しても全負債をまかなうことができないという状態を指す。

対義語は資産超過。一般的に債務超過という言葉は良く用いられるが、無形固定資産の価値評価や、具体的な資産査定(デューデリジェンス)が難しいこともあり、明確な意味での債務超過を判定することは困難である。

ソルベンシーマージン比率

ソルベンシーマージン比率(Solvency Margin Ratio)とは、保険業法により定められた保険会社の健全性を示す指標のこと。支払余力とも訳されることがある。

保険の世界では、確率的なことを扱うことから通常発生する損害額はアクチュアリーなどの専門家が予測可能である。しかし、通常の確率を超えた問題が発生した場合であっても保険会社はその性質上支払をおおkなう必要がある。ソルベンシーマージン比率はその予測を超えたリスクに対する支払能力を示す指標である。

保険業法では、ソルベンシーマージン比率が200%を下回る場合は金融庁からの早期是正措置が出される。ただし、過去に破綻した保険会社の多くは破綻直前であってもソルベンシーマージン比率は200%を超えていたため、ソルベンシーマージン比率だけでなく、格付け会社の格付を参考にするなど契約者はリスク管理を行いたい。

先物取引

先物取引(Futures)とは、将来の特定期日に決められた価格で定められた量だけ金融商品等を購入または売却する契約の事を指す。フォワード取引(先渡し取引)と類似するが、公認された取引所において行われ、かつ規格化された契約のしたで取引されるという違いがある。

全ての先物契約には「取引単位」「値幅」「受渡し期日」「限月」を指定する。先物取引において実際に受渡しが行われるのは稀であり、多くの先物投資家は期日前に反対売買によりポジションを解消することが多い。先物取引ではデフォルトリスクを避けるため、個々の取引では清算機関(クリアリング機構など)がカウンターパーティー(相手方)を勤める。

従来先物取引は農作物などの市場において先渡し購入価格を決定したり、季節要因などによる価格変動リスクに対処するために考えられたリスクヘッジを目的とするものであったが、近年では、金利や株価指数などの先物が多く取引されている。

カウンターパーティー

カウンターパーティー(CounterParty)とは取引の相手方のこと、または取引相手である金融機関のこと。直訳すると「相手方」という意味。

一般的には外国為替取引、デリバティブ取引における取引金融機関を指す。こうした取引の多くは相対取引(一対一の取引)となることが基本となる。

先渡取引

先渡取引(さきわたしとりひき)とは、将来事前に設定された価格で金融資産や商品を購入または売却するという合意の事を指す。先物取引とは異なり、取引所取引ではなく相対取引(店頭取引)となる。フォワード取引ともいう。

先渡取引では、たとえば、A社とB社が将来の一定日において、ある商品を一定の価格で一定の数量取引する契約を結ぶことを指す。先物取引と取引方法は類似しているが、直接取引である点や証拠金が不要であるなどの点で違いがある。

フォワード取引

フォワード取引(Forwards)とは、先渡取引のこと。店頭取引(相対取引)による取引で、事前に設定した取引条件において金融資産の購入や売却をするという合意のこと。フォワード取引は現物決済が原則となっており、実際に現物商品の受け渡しを行うため、100%相当額の資金が必要となる。

フォワード取引(先渡取引)の例としては以下のようなものがあげられる。
「ある会社が、数ヵ月後に輸入した素材の代金として10万ドルを支払う必要があります。しかし、ドル円相場が不透明です。そこでリスクヘッジのため、この会社は銀行と数ヵ月後に1ドル100円で購入する契約を結んでおきます。3ヵ月後には会社が銀行に10万ドル分(1000万円)を支払います。」
この契約がフォワード取引(先渡取引)となる。

なお、フォワード取引(先渡取引)と類似した取引として「先物取引」があり、フォワード取引(先渡取引)と先物取引が混合されやすい。両者の間には以下のような違いがある。

フォワード取引(先渡取引)の特徴
・相対取引(店頭取引)である。2者が直接取引する。
・実際に現物商品の受け渡しが行われる。(例外的に差金決済が行われるものもある)
・証拠金は不要。契約に基づく。


先物取引の特徴
・取引所取引である。取引所を通じて取引をする。
・原則として差金決済となる。(ただし現物を引き受けることも可能)
・取引総額の一定割合を証拠金として預託する必要がある。

相対取引

相対取引(あいたいとりひき)とは、市場を介さずに売買の当事者同士で売買を行う方法のこと。取引価格は双方の合意により決定される。取引を行う者同士が1対1の関係により通貨、数量、価格、期日を決めて売買を行う取引のことである。店頭取引とも呼ばれる。

一般に市場を介さない取引とされており、業者と投資家(利用者)がそれぞれが持つものを直接取引することを言う。たとえば、外貨預金をする際に外貨を銀行で購入する場合、預金者は銀行から外貨を買うが、この注文の受け手は銀行自身となる。

FX(外国為替証拠金取引)でも多くは相対取り引きとなっており、業者と投資家との間で取引が行われれる。

なお、相対取引の問題点として「業者と投資家との間での利益相反」が問題視される。
たとえば、FXによる為替取引では相対取引は、「業者の儲け=投資家の損」、「業者の損=投資家の儲け」となる。一般的にはFX取引では業者はカバー取引(ヘッジ取引)を実施してこの問題をカバーしているが、注文時のレートと成約時のレートのずれ(スリップページ)における問題なども指摘されている。
(顧客にとって不利な場合だけスリップさせて、有利な時はスリップさせないなど)

この点などからもFX取引を始めとした相対取引の場合は、取引の相手方の信頼性も極めて重要な要素といえる。

一方で、金融機関等に注文を出すが、注文自体は別の取引市場で取引されるものを「取引所取引」と呼ぶ。上場企業の株式投資などが代表的である。

取引所取引

取引所取引(とりひきじょとりひき)とは、取引所を通じて行われる取り引きの事を指す。対義語は相対取引・店頭取引などがある。代表的なのは株式の売買を行う証券取引所(東証など)で行われる取引などが代表的である。

たとえば、上場株式を取引する場合を想定する。投資家は証券会社に株式Aを1株600円で1000株購入する注文を出すが、その注文は証券会社が持つ株式Aを投資家に売るわけではない。証券会社はその注文を証券取引所に対して注文を出す。こうしたように、証券会社が直接の相手方とならない取引を取引所取引と呼ぶ。一方で、こうした注文に証券会社が応じた場合、こうした取引を「相対取引」と呼ぶ。

取引所取引の利点としては、投資家ならびに証券会社や銀行などの自己売買部門などの取引を証券取引所に集中させて需給を集めることにより、流動性や公平な価格形成に役立てることができるという特徴がある。

外国為替取引は通常相対取引だが、最近では「くりっく365」「大証FX」といった取引市場が整備されており、取引所取引も可能となっている。

指値

指値(さしね:Limit Order)とは、証券取引等において執行価格をあらかじめ指定する注文のこと。買い注文の場合は上限価格を指定し、売り注文の場合は下限価格を指定する。対義語は成行。指定した価格よりも有利な価格でしか約定しない。

一方で指値注文の場合成行注文よりも優先されないため、同値で取引されているときも注文が約定(成約)しないこともある。

成行

成行(なりゆき:Market Order)とは、証券取引などにおいて執行価格を指定しないで指示する注文のこと。買い注文・売り注文ともに価格上限を設定せずに出す注文。即時執行を指示する注文指示の一つ。対義語は指値。

成行注文は、価格を指定せずに数量のみを指定して取引注文を出す方法であり、株式取引の場合は指値注文よりも優先される(成行優先の原則)。
基本的には、どんなに高くなっても注文を成立させることになるため、特別気配などで板寄せ中である場合を除き原則として即時に約定するため、すぐに売買を成立させたい場合に有利である。一方で、価格を指定しないため予想外の価格で約定してしまうというリスクがある。

サヤ

サヤ(Spread)とは、買値と売値の差のこと。スプレッドともいう。通常このサヤが大きい市場は流動性が不足していると考えられる。また、質は同一で満期が異なる確定利付債の利回りの差を表すこともある。

このほか、割安な金融商品を購入し、割高な金融商品を売るという行為をサヤ取りと言ったりもする。

2008年4月18日

イギリスポンド(GBP)

イギリスポンド(GBP)とは、英国における公用通貨。単にポンドというだけで通常はイギリスポンドのことを指す。通貨記号は£が用いられる国際通貨コード(ISO4217)ではGBPと表記される。

補助単位はペニー(複数形はペンス)。イギリスの欧州連合加盟に伴い、イギリスポンドがヨーロッパ共通通貨であるユーロ(EUR)に参加するかどうかが焦点となったが、現在見送られている。

オーストラリアドル(AUD)

オーストラリアドル(Australian Dollar)は、オーストラリア連邦で用いられる公用通貨。ISO4217による国際通貨コードは「AUD」。日本国内では「豪ドル」とも呼ばれる。補助通貨はセント。

カナダドル(CAD)

カナダドル(Canadian dollar)はカナダの通貨。国際通貨コード(ISO4217)はCAD。補助通貨はセント。カナダ国内の他、一部の北米においても使用されることがある。

人民元(CNY)

人民元(じんみんげん)は中華人民共和国(中国)の通貨。国際通貨コード(ISO4217)ではCNYと表記される。記号では\を用いる。補助単位は「角」「分」となっており、1元=10角=100分となっている。

人民元は、現在中国中央銀行である「中国人民銀行」が発行しており、為替は通貨バスケットによる管理を導入している。なお、中国では人民元とは別に香港(ホンコン)特別行政区および澳門(マカオ)特別行政区においてはそれぞれで独自の通貨である「香港ドル」と「マカオパタカ」が発行されている。

スイスフラン(CHF)

スイスフランはスイスとリヒテンシュタイン公国の通貨。ISO4217による国際通貨コードはCHF。補助単位はラッペン(またはサンチーム)。1848年にスイス連邦が誕生する際に制定された通貨。

スイスフランは、スイスという国際的な地位により「金よりも堅い」と呼ばれるように世界で安定した通貨の一つとなっている。

香港ドル(HKD)

香港ドル(Hong Kong Dollar)は中華人民共和国における香港特別行政区の通貨。国際通貨コード(ISO4217)表記ではHKD。

香港において流通する通貨ではあるが、同じ中国の特別行政区である澳門(マカオ)においては当地の法定通貨であるマカオパタカの流通量を香港ドルが超えている。

ウォン(KPW)

ウォンは大韓民国および朝鮮民主主義人民共和国における通貨単位。ISO4217による国際通貨コードはKPW。

ニュージーランドドル(NZD)

ニュージーランドドル(New Zealand Dollar)は、ニュージーランド、クック諸島などで用いられる通貨のこと。国際通貨コード(ISO4217)による表記ではNZDとされる。キーウィドルとも呼ばれることがある。ニュージーランド準備銀行が発行する。

算術平均

算術平均(さんじゅつへいきん:Arithmetic Average)とは、平均の一種。全ての値の合計をその値の数で割ることで得られる最も一般的な平均値の算出法である。

たとえば、5、3、4、6、9という数字の算術平均を計算する場合は、すべての数字の和に対して足した数の数量で除すことで計算できる。
上記の例で言えば「(5+3+4+6+9)÷5」で計算された答えである「5.4」が算術平均となる。一般に平均(平均値)と呼ばれる場合はこの算術平均のことを指す場合が多い。

問題点として算術平均を含めて平均では、ひとつの極端値に大きな影響を受けてしまう点が挙げられる。たとえば、「1、5、3、4、99」の算術平均は24.4となるが、これは99という大きな数字に大きく影響を受けてしまい「平均」という一般的な概念からはそれてしまう。
こうおした場合「中央値」や「最頻度値」などを使うことが適切な場合がある。

三角保ち合い

三角保ち合いとは、テクニカル分析で利用される価格パターンの一種。一般的にボックス圏における相場の保ち合いを意味しており、三角保ち合いの後相場に動きが出るといわれている。おおむね1ヶ月程度の保ち合いの後動意があるとされ、3ヶ月を超えることはほとんどない。

英語では「Triangle」と呼ばれる。エリオット波動理論においては、三角保ち合いは第四波の位置に出やすいとされている。

三尊

三尊(さんぞん)とはテクニカル分析用語の一つ。相場の反転を示唆するテクニカルパターンの中でも信頼できる(騙しが少ない)といわれている。大きな戻し(頭)と、それよりも小幅で必ずしも対象ではない戻し(両肩)で構成される。

三尊におけるパターンの両肩の付け根を結んで線を引き(ネックライン)、終値がその腺を確実に下回ることにより相場の反転が確認できる。下回った場合の目標値(ターゲット)は最大の戻し(頭)とネックラインとの間と同額程度とされている。英語では、ヘッドアンドショルダーと呼ばれる。

三尊のパターンとしてはチャート分析において、上昇局面にある場合にそのトレンドが反転することを示唆する重要なテクニカル分析法の一つといわれている。

類似するチャート分析としては「二重天井(ダブルトップ)」などがある。なお、これが逆になったパターンのことを逆三尊と呼ぶ。

残存期間

残存期間(ざんぞんきかん:Current Maturity)とは、満期まで残っている期間のことで、主に債券を評価する際に重要視される。

2008年4月21日

シータ

シータ(Theta)とは、オプションにおいて満期日までの残存期間に対するオプション価値の変化率。セータと呼ばれることもある。また、タイム・ディケイなどとも呼ばれる。

シータ = △プレミアム/△残存期間というように計算される。例えば、セータ値が0.01という場合1日経過した場合のプレミアムが0.01円変化するということを表している。

時価総額

時価総額(じかそうがく:Market Capitalization)とは、取引所で取引されている価格(時価・株価)により評価される株式の総価値のことをさす。発行済み株式総数に株価を掛ける事により算出される。

例えば、100万株の株式を発行する企業で、当日の株価が1,000円の場合、その企業の時価総額は10億円ということになる。このほか、時価総額という概念は特定企業のこと以外にも、取引所で取引されている全企業の時価総額の合計値やセクター別の合計値をさすこともある。

ちなみに、時価総額は企業の規模や業績、期待感などを示しており、時価総額が大きい会社ほど、規模が大きいといえる。ただし、時価総額は株価によって左右されるため株価が過大評価・過小評価されることもあり、絶対的な評価基準ではない。

時価評価

時価評価(じかひょうか:Mark to Market)とは、当日終値を基にしてポジションやポートフォリオなどを評価替えして潜在的利益や損失を価値に評価しなおすことをさす。値洗いともいう。

時間外取引

時間外取引(じかんがいとりひき)とは、証券取引所における規定の売買時間以外の時間に執行される取引のことを指す。主に機関投資家などが時間外取引を利用して大量の株式を一括して売買成立させるケースが多い。

資金洗浄

資金洗浄(しきんせんじょう)とはマネーロンダリングとも呼ばれる。犯罪資金等が発覚を避けるためにある特定のルートや金融機関を通じて資金の移動を行うこと。

犯罪や脱税などで得られた収益を捜査機関による差し押さなどから逃れるためや別の犯罪の資金下のして利用する為に行われる資金の移動またはクリーンなお金に変える行為であり、他人名義の銀行口座を利用したり、債券や株式を利用したりして行われるのが一般的。

自己資本比率

自己資本比率(じこしほんひりつ)とは、総資産に対する自己資本(株主資本)の比率。要するに、負債に対してどれだけの自己資本(株主資本)を保持しているかを示す指標であり、高いほど健全性が高いとされる。

一般的には自己資本比率が高い会社ほど健全という評価をうけるが、ROE(自己資本利益率)などの自己資本に対する利益率は負債による財務レバレッジが働かないため、低くなりがちであまりにも自己資本比率が高い場合は効率的な経営ができていないという評価を受ける場合もある。

また、銀行はBIS(国際決済銀行)による規定により国際取引を行う場合は自己資本比率8%以上を維持し、国内業務であっても同比率を4%以上に維持することを求められており、これを自己資本比率規制と呼ぶ。

自己資本

自己資本(じこしほん;Net Worth)とは総資産と総負債の差額のこと。株主から預かった株主資本の合計額に利益剰余金などを加えたものである。

市場介入

市場介入(しじょうかいにゅう)とは、金融市場に対して影響を与えることを目的として中央銀行(日銀など)が市場取引に参加することを指す。

最も一般的に行われる市場介入は為替相場に対する介入であり、中央銀行が単独または複数で介入する。通常は為替レートをある特定のレベルに誘導するよりもレート安定化を図るのを目的とすることが多い。
日本では、外国為替市場への市場介入の場合、円を引き下げる場合は「円売り介入」、引き上げる場合は「円買い介入」と呼ばれる。原則的には米ドル(USD)に対して行われることが多いが、近年ではユーロ(EUR)に対しても行われる。先進国の中でも日本の為替市場への市場介入は多くこれは、国内経済において貿易が重要なウェイトをもつという日本の特徴があるからと考えれる。

市場リスク

市場リスク(Market Risk)とは、システマティックリスクとも呼ばれる。市場動向やし女王の特定セグメントの動向にうより行うリスクを指す。通常は価格変動リスクのことを指すが、為替リスクや金利リスクなども含まれる。

下値支持線

下値支持線(したねしじせん)とは、相場のチャート分析における売り圧力よりも買い圧力の方が強い価格帯を指す。対義語は上値抵抗線であり、仮に下値支持線が突破された場合にはテクニカル分析的にはその下値支持線は上値抵抗線となってしまう。

⇔上値抵抗線(対義語)

2008年4月22日

商業銀行

商業銀行(しょうぎょうぎんこう)とは、法人・個人向けに預金や貸し出しを中心としたサービスを提供する金融機関のこと。一般的な市中銀行のことをさす。

原則としては、受け入れをした短期の預金をもとに比較的短期の商業金融を行う銀行のこと。日本国内においては長期信用銀行(長銀)と区別するためにもちられてきたが、2006年にはすべての長期信用銀行が存在しなくなっている。現在では、都市銀行、地方銀行、外国銀行など、中央銀行を除く銀行の総称として用いられれている。

長期信用銀行

長期信用銀行(ちょうきしんようぎんこう)とは、長期信用銀行法により規定された長期間の融資を主な業務とする銀行のこと。商業銀行との区別の為に用いられることもある。

融資の為に金融債と呼ばれる債券を発行して資金調達を行い、それを大企業などの大規模資金需要をもつ主体に対して提供した。日本では、日本長期信用銀行(長銀)、日本債券信用銀行(日債銀)、日本興業銀行(興銀)の3行が長期信用銀行として存在していたが、バブル崩壊以後それぞれ破綻した。
現在では、日本長期信用銀行が新生銀行、日本債券信用銀行があおぞら銀行、日本興業銀行は「富士銀行・第一勧業銀行」と合併してみずほ銀行・みずほコーポレート銀行へと再編されている。

上記3行はすべて普通銀行へと転換されたことから、現時点において長期信用銀行は存在しない。

預金準備率

預金準備率(よきんじゅんびりつ)とは、預金受け入れ機関が法的義務として自行内または中央銀行の口座に準備しておかなければならない預金割合のことをさす。支払準備率とも呼ばれる。

支払準備率が中央銀行により操作されることでマネーサプライに対して大きな影響を与えることができる。支払準備率が引き下げられれば銀行は貸出量を増やすことができるためマネーサプライは上昇し、逆に支払準備率が引き上げられれば銀行は貸出量を減らすことになるため、マネーサプライは下落することになる。

私募

私募(しぼ)とは、有価証券の募集における取引相手を選ぶ募集形態の事。日本においては有価証券の公募(募集)の対義語。少数の者を相手方とする募集のことで50名未満の募集のことを私募とよぶ。

有価証券の私募では、有価証券募集の際に必要となる開示手続きなどの適用除外が認められる。適格機関投資家向けの私募(プロ私募)と、少人数向けの私募(少人数私募)の二つに分類することができる。

シャープレシオ

シャープレシオ(Sharpe Ratio)とは、リスク調整済みリターンを計測する手法のこと。ポートフォリオにおける超過リターンがポートフォリオのリスクに占める割合(比率)のこと。

主に、シャープレシオはポートフォリオが取っているリスクに見合うだけの収益をあげているかどうかをチェックするための指標であり、同じ運用利回りであってもシャープレシオが高いポートフォリオの方が高いリスク(収益のブレ)がない効率的な運用ができていると評価することができる。

以下の式がシャープレシオの値の計算式となる。

シャープレシオ=超過収益(過去の運用実績-無リスク資産の利回り)/ポートフォリオのリスク(標準偏差)

と計算される。例えば、共に利回りが15%の収益を上げるAとBのファンド(投資信託)があるとする。

これに対してAとBのポートフォリオのリスク(収益のぶれ幅)は5%と10%であったとする。無リスク資産の利回りが2%と仮定しすると、ファンド(投資信託)AとBのシャープレシオは以下のように計算することができる。

ファンドAのシャープレシオ
=(15-2)/5=2.6

ファンドBのシャープレシオ
=(15-2)/10=1.3

ファンドAのシャープレシオ>ファンドBのシャープレシオ

となっていることから、上記のケースでいえばファンドAの方がより効率的な運用ができていると判断することができる。なお、シャープレシオは各投資信託販売会社などにおいて公表されている数字であるので、投資信託選びの参考にすることもできる。

ジャンク債

ジャンク債(Junk Bonds)とは、信用格付け会社により投資不適格の格付けを与えられた発行体により発行された債券のこと。ジャンクボンド、投機的債券、ハイイールド債などとも呼ばれる。

ハイイールドとも呼ばれるように高利回りであることが多いが、投資不適格と呼ばれるようにデフォルトリスクが高いといわれる。こうしたジャンク債をポートフォリオにすることでデフォルトリスクよりも高いリターンを得ることを目的とした投資信託(ファンド)なども設定されている。

需要

需要(じゅよう:Demand)とは経済学における「財に対する裏づけのある欲望」の事をさす。要するに購入することができる範囲における欲望である。対義語は供給。

市場経済においては供給されている財の価格が上昇することにより社会全体の需要は下落し、財の価格が下落することにより社会全体の需要は増大するとされる。この需要と供給のバランスにより市場経済における財の価格は決定される。

供給

供給(きょうきゅう:Supply)とは財やサービスを提供するという経済活動のこと。要するに提供することができる商品やサービスの数量である。対義語は需要。

市場経済において、供給は価格により上下しており、価格が上昇すると財の供給量は増大し、逆に価格が下落すると財の供給量は下落する。この需要と供給のバランスにより市場経済における財の価格は決定される。

主幹事

主幹事(しゅかんじ:Lead Manager)とは、企業が株式の公開や売出しを行う際の幹事会社の代表のことを指す。

通常株式会社が、株式や社債といった有価証券の募集・売り出しを行う場合は会社に代わり証券会社がその業務を行うが、その業務の中心となる証券会社のことを「主幹事」となる。複数の証券会社による発行業務が行われる場合は、代表が主幹事であり、その他の証券会社は幹事証券(幹事会社)と呼ばれる。

なお、日本において引き受け会社となるには資金力が必要であるということから証券取引法により幹事証券には100億円以上の資本金があることが要求されている。

循環株

循環株(じゅんかんかぶ)とは景気や金利、季節といった特定のサイクルに応じて影響を受けやすい株式銘柄を指す。特定の企業が循環株に該当するというように明確に区分わけされているわけではない。

特に、景気循環により大きな影響を受ける株式群のことを景気循環株とも呼ぶ。

景気循環株

景気循環株(けいきじゅんかんかぶ)とは、大きな景気サイクルにより業績などに大きな影響を受けることにより株価的にも景気サイクルが大きな影響を与える循環株の一種。

具体的には化学・鉄鋼・工作機械メーカーなどが代表的で景気循環により受注が大きく左右される特徴があり、好景気時には大きな業績アップが見込めることから景気循環と株価動向が似る特徴がある対義語はディフェンシブ株。

ディフェンシブ株

ディフェンシブ株とは、企業業績が景気循環の影響を受けにくい業種のことを指す。主には食品セクターや薬品セクターのことを指す。これらは景気が悪化した場合でも売上などに変化が現れにくいことから、景気変動による影響が少ないことを意味する。

対義語は、景気循環株、景気敏感株。

金利敏感株

金利敏感株(きんりびいんかんかぶ)とは、金利動向が業績に対して大きな影響を与える株式銘柄群を指す。多額の借入金などをかかえる資本集約的な業種が多い。

具体的には大きなインフラを抱えるガス・電気セクターなどが挙げられる。これらの企業は景気が悪化して金利が減少すると負債の金利負担も減少することからメリットを受ける。

市況関連株

市況関連株(しきょうかんれんかぶ)とは、商品市況などの相場状況により業績が大きく変動する株式銘柄のことをさす。具体的には、素材産業などが代表的な市況関連株といえる。

2008年4月24日

純利益

純利益(じゅんりえき:Net Profit)とは、税金や減価償却費用など損益計算書(P/L)に記載される費用を差し引いた後の利益のことを指す。

償還価額

償還価額(しょうかんかがく:Maturity Value)とは、満期に支払われる金額のこと。債券の場合は元本(額面)部分に相当する。

証券化

証券化(しょうけんか)とは、様々な債権や資産などをひとまとめにしてそれらを担保とする標準的な証券へと転換することを指す。セキュリタイゼーションとも呼ばれる。

証券化が完了した証券については通常の証券と同様に売買することができる。不動産投資信託(REIT)やABS(アセットバック証券)などが証券化された金融商品の代表的な存在。

以下に証券化を活用した手法のいくつかを例示する。

・不動産の証券化
不動産の所有者が所有する不動産を証券化のために設立した会社に売却する。その投資法人がその不動産を裏付けとした證券を発行することで資金調達を行う。

・フラット35
フラット35(住宅ローン)は、ローンの申し込みをうけた金融機関が、そのローン債権を住宅金融支援機構に売却する。そして機構はそのローン債券を信託銀行等に信託し、その債権によって担保される不動産担保証券を発行し投資家に販売することで資金を得る。

ショートカバー

ショートカバー(Shortcovering)とは、ショートポジションを手仕舞いするために、空売りしていた証券や資産を買い戻すことを指す。ベアカバリングとも呼ぶ。また、空売りをしている証券等が値上がりすることにより、ショートカバーをして値を上げること(買い戻しによる価格上昇)自体を指す場合もある。

ショートとは「空売り」のこと。
相場の状況によって雰囲気は異なり、上げ相場の時にショートカバーという場合は「踏み上げ」状態となっていることを意味する。対して、株価が下落傾向にあるときにショートカバーという場合は、ショートポジションを持っていた投資家による「利益確定の買い戻し」と捉えることができる。

下落トレンド時のショートカバーはさほど大きな買い圧力にはならないのに対して上昇トレンド時のショートカバーは売り手の焦りによる買い戻しとなるため、時に大きく上昇するようなケースも見られる。

シンジケートローン

シンジケートローン(Syndicated Loan)とは、主幹事による主導の下でシンジケート団(シ団)を組んだ複数の銀行(金融機関)により計画される大規模融資のこと。シンジケートローンは一銀行だけでなく、複数の銀行が貸し出しを行うことにより貸倒リスクを分散することができる。それにより調達側は多額の資金調達が可能になることが利点とされる。

信託銀行

信託銀行(しんたくぎんこう)とは、銀行法に基づく免許を受けた銀行であり、信託業務の兼営認可を受けた金融機関のことを指す。

信託業務とは、他人の財産を自己の名義として預かり事故の財産と分別管理する機能を有しており、っ様々な業務で活用される。銀行預金と似た「金銭信託」、委託者から集めた資金を長期的に貸し付ける「貸付信託」、年金基金の運用である「年金信託」、土地の運用に関する「土地信託」、集めた資金を投資信託委託業者からの指示に基づき運用する「証券投資信託」などが挙げられる。

信用金庫

信用金庫(しんようきんこ)とは、信金とも略される金融機関の一種。信用金庫方により設立された法人であり、地盤となる地域における中小企業を中心とした融資を行う。

信用金庫法に基づき設立されている法人で会員の出資による協同組織の地域金融機関であり営業地域が一定の地域に限定されているのが特徴的であり、中小企業や一般個人の専門金融機関であり大企業や地域外企業などへの融資はできない。

信用状

信用状(しんようじょう:L/C)とは、契約上の義務が履行された時点において支払が行われるということを銀行が顧客に代わり約束するもの。

貿易における決済を円滑化させるための手段として利用される。信用状取引により輸出する側は商品の発送と同時に輸出の代金を回収でき、輸入をする側も輸出の代金を前払いする必要がなくなる。

信用取引

信用取引(しんようとりひき:Margin Trading)とは、投資家が取引において必要な金額の一部を拠出して残額を一定の金利で資金や株券を証券会社から借りて行う取引のこと。手元資金よりも大きい金額の取引が可能となることから、投資家に対するレバレッジ効果がある。

株式や資金を借りて取引を行う信用取引では、委託証拠金(委託保証金・維持証拠金)という担保を口座に預け入れる必要がある。通常、委託証拠金は現金で行われるが一定の掛け率による証券であっても委託証拠金に含めることができる。

信用取引の特徴は小額の資金で大きな投資ができるというレバレッジ効果の他、株券を証券会社から借りて行う取引である、売りから入れる「信用売り(ショート)」が行えることも特徴の一つである。

ただし、あくまでも証券会社から資金や株券を借りて行う取引であるため、拠出した額以上の損失が発生するリスクがある。通常日本では、信用取引の口座を開設するにあたっては証券会社が定める所定の審査に通過する必要がある。

制度信用取引

制度信用取引(せいどしんようとりひき)とは、日本国内で行われる株式の信用取引における手段の一つ。証券取引所が一定の基準を満たした銘柄のみが信用取引の対象となるもので。金利(貸株料)や弁済期限も証券取引所により定められている。

制度信用取引では、投資家が行う買い注文による資金や、空売り注文による株券の調達について、取引をしている証券会社が用立てできない場合は、証券金融会社という会社が不足分について用立てをすることになっている。
制度信用取引の下では信用買いのみができる「制度信用銘柄」と信用売り(空売り)ができる「貸借銘柄」の二つがあり、制度信用銘柄を空売りすることはできない。
個別の証券会社が設定する信用取引を「一般信用取引」という。

一般信用取引

一般信用取引(いっぱんしんようとりひき)とは、制度信用取引の対義語で投資家と取引する各証券会社が個別に一定のルールを設定することができる信用取引の一種。弁済期限や貸株料、取引可能銘柄が制度信用取引とは異なる。

証券会社と投資家が直接取引をすることになり、制度の詳細を証券会社側が決めることができる。一方で、証券金融会社を使った資金調達をすることができないため、一般信用取引サービスを証券会社が行う場合、顧客投資家からの買い注文に対する資金や売り注文(空売り)に対する株券などを用意しておく必要がある。

そのため、一般的には、信用買いのみをサポートしている証券会社がほとんどであり、一般信用取引で空売りができる証券会社は少ない。(空売りのための株券を常に個別の証券会社で用意するのが難しいため)

貸株料

貸株料(かしかぶりょう)とは、信用取引におけるコストの一つ。証券金融会社が証券会社を通じて、信用取引の売り方(空売りをしている投資家)から徴収するお金のこと。売り方金利ともよばれることがある。

空売りは株式を証券金融会社から借りて行う取引のため、貸株料は株式を借りるための金利のようなもの。ショートポジションを設定してから証券会社から借りている株券を返却するまでかかる。

なお、需給逼迫時に必要となる。逆日歩や品貸料とは異なり、買い方(空買いしている投資家)が受け取るものではない。

貸株料は1日単位で計算される。当日決済(デイトレード)の場合で1日分、持ち越した場合は2日分発生する。また、受け渡し日の関係上、祝日がない場合「火曜日」に信用取引で株を空売りして持ち越した場合は「4日分」の貸株料が発生するので注意が必要である。これは信用金利の場合も同様。

<<貸株料の計算方法>>
(株数×建て株価)×(貸株料率÷365)×日数

品貸料

品貸料(しながしりょう)とは、信用買い(空買い)よりも信用売り(空売り)の数が多くなり、証券金融会社や証券会社に株不足が発生した場合に空売りしている投資家に対して課せられるコストで、貸株料とは別に徴収される。

逆日歩(ぎゃくひぶ)とも呼ばれる。株の貸し手ともなる信用買い(空買い)をしている投資家には空売りをしている投資家から徴収された品貸料を受け取ることができる。品貸料の金額については株式の不足度合いにより異なり、毎日変更される。極端に株が不足すると多額の品貸料(逆日歩)が請求されるので注意が必要。品貸料(逆日歩)は株式不足が解消されるまで毎日課されることになる。

通常、信用取引の売りが多くなる(売り残が多くなる)ことにより株式の需給が逼迫することで発生し、株式が不足する場合、証券金融会社は機関投資家などから証券貸借という方法により株券を調達する。

2008年4月25日

証券金融会社

証券金融会社(しょうけんきんゆうがいしゃ)とは、信用取引における決済に必要となる資金や株式を証券会社に貸し付けたり、証券会社が公社債の引受や売買に伴い必要な短期資金の貸付などの業務を行う会社。

日本においては金融商品取引法による免許制となっており、資本金が1億円以上の株式会社であり所定の要件を満たす必要がある。

証券金融会社の役割としては制度信用取引において顧客である証券会社がその顧客投資家から信用買い・空売りなどの注文を受けた場合、それに必要となる資金(買付資金)や株式(空売り用の株券)を調達して証券会社を経由して投資家に用立てている。
なお、株券の貸付を行うのは「貸借銘柄」に指定された銘柄のみである。

現在、日本証券金融(日証金)、中部証券金融(中証金)、大阪証券金融(大証金)の3社が日本で営業されている。

スタグフレーション

スタグフレーション(Stagflation)とは、インフレ率が高いうえに失業率も高く、経済活動が停滞する状態を示す。景気後退下のインフレーションとも呼ばれる。

一般的に、物価の上昇(インフレーション)と景気停滞はそれぞれトレードオフ(二律背反)の関係にあるといわれているのだが、スタグフレーションは景気の悪化とインフレーションが同時進行する。スタグフレーションに経済が陥ると、雇用や賃金が減少する中で物価上昇が起こり、貨幣価値が低下することから個人の生活は悪化する。
過去の例では、国家破綻する国の多くはスタグフレーションからその危機を迎えており、中央銀行・政府はスタグフレーションを何よりも恐れている。

ストキャスティクス

ストキャスティクス(Stochastics)とは相場のテクニカル分析におけるモメンタム指標の一つ。横ばい相場におけるトレンドの変化を読むのに利用するオシレーター分析。

ストキャスティクスは0%~100%までの範囲において動き、株価上昇により数値は上がり、下落により数値は下がる。一般的には30%未満が買い、70%以上が売りというように言われる。ファスト(Fast)とスロー(Slow)の二種類がある。

モメンタム

モメンタムとは相場の動きなどについて用いられる言葉で方向性や勢いという意味。相場のモメンタムは強いという場合は相場の方向性・勢いは上向きであるというようにしめす。株価モメンタムや業績モメンタムというように様々な用いられ方がある。

ストップ高

ストップ高(Limit Up)とは、一日の取引において許されている値幅制限一杯に価格が上昇している状態をさす。対義語はストップ安。サーキットブレーカーの一種。

ストップ高状態になった後の対応は市場により異なり、当日は価格が下がらない限り一切の取引ができなくなるものから、一定の時間をおいた後、値幅制限幅が拡大されて再び取引ができるようになるものなど多数ある。パニック的な買いによる急激な価格変動を抑えるための措置。値幅制限の上限であるストップ高の水準以降に当日株価は上昇しない。

ストップ高の水準でも買い注文が多く値がつかない状態を「ストップ高買い気配」と呼ぶ。そのままの状態で相場が引け(大引け)となった場合は、ストップ高での買い注文に対して出ている売り注文を割り当てる「比例配分」が行われる。

なお、ストップ高(安)の水準については基準となる株価(通常は前日の終値)によって異なる。東京証券取引所による基準は下記のとおりとなっている。

基準株価:値幅制限
100円未満:30円
200円未満:50円
500円未満:80円
700円未満:100円
1,000円未満:150円
1,500円未満:300円
2,000円未満:400円
3,000円未満:500円
5,000円未満:700円
7,000円未満:1,000円
10,000円未満:1,500円
15,000円未満:3,000円
20,000円未満:4,000円
30,000円未満:5,000円
50,000円未満:7,000円
70,000円未満:10,000円
100,000円未満:15,000円

たとえば基準株価が325円の株のストップ高水準は前日比+80円となる405円がストップ高となる。一方のストップ安は逆に245円。

ストップ安

ストップ安(Limit Down)とは、一日の取引において許されている値幅制限一杯に価格が下落している状態をさす。対義語はストップ高。サーキットブレーカーの一種。

ストップ安状態になった後の対応は市場により異なり、当日は価格が上がらない限り一切の取引ができなくなるものから、一定の時間をおいた後、値幅制限幅が拡大されて再び取引ができるようになるものなど多数ある。パニック的な売りによる急激な価格変動を抑えるための措置。

ストップロス注文

ストップロス注文(Stop Loss Order)とは、あらかじめ設定された価格に達した場合にのみ執行される指値注文の一種。逆指値とも呼ばれる。

価格が一定の価格(トリガー価格)に達した場合に、あらかじめ設定した価格の注文を執行するというもの。主にロスカットなどに活用される。例えば、100円で購入したものが90円未満担ったときはこれ以上の損失拡大を予防するために、価格が90円というトリガー価格に達した段階で90円の指値または成行注文を出すというもの。

ストラドル

ストラドル(Straddle)とは、オプション戦略の一種。同一の行使価格と満了日を持つコールオプションとプットオプションを合成したものを指す。ストラドルの買い、ストラドルの売りなどの戦略がある。同一価格のプットオプションとコールオプションをどう数量買う(または売る)戦略を指す。

「ストラドルの買い」の例
ストラドルの買いとは、たとえば、同一限月における1万円のコールオプションと1万円のプットオプションを同数量「購入」する。この場合、オプション価格が1万円近辺の場合、オプション料分の損失が発生するが、1万円から上下どちらかに大きく外れるほど利益が大きくなる。
損益で言えば、谷のような形状となる。

「ストラドルの売り」の例
ストラドルの売りとは、たとえば、同一限月における1万円のコールオプションと1万円のプットオプションを同数量「売却」する。この場合、オプション価格が1万円近辺の場合、オプション料分を受け取ることができる。一方で、1万円から価格が大きくずれると、オプションが行使されてしまうので損失が拡大する。
損益で言えば、山のような形状となる。

ちなみに、ストラドル(Straddle)とは、曲がっている姿勢という意味があり、この戦略による損益が「谷状」または「山状」のように折れていることから、こう呼ばれる。ストラドルはオプション取引戦略の中でも代表的な戦略である。

ストラングル

ストラングル(Strangle)とは、オプション戦略の一種。異なる行使価格と同じ満了日を持つコールオプションとプットオプションを合成したもの。ストラングルの買いとストラングルの売りという戦略がある。

ストラングルの買い
異なる権利行使価格のコールとプットを買う戦略。日経225オプション取引を例にすると9250円のコールを買い、8750円のプットを買うといったもの。これらの権利行使価格の範囲内では利益が得られないが、これらの範囲を超えて相場が動いた場合に利益が生じる。

ストラングルの売り
異なる権利行使価格のコールとプットを売る戦略。9250円のコールを売り、8750円のプットを売るといったもの。これらの行使価格の範囲内であれば、プレミアムを受け取ることができるが、これらの範囲内を超えた相場が動いた場合は損失が発生する。


類似のオプション戦略に「ストラドル」があるが、ストラドルは「同一の権利行使価格」のコールとプットを組み合わせるという点で違いがある。

ちなみに、ストラドルの方がオプション料(プレミアム)が高くなりやすい一方で損益分岐点は狭くなり、ストラングルはプレミアムは低くなる一方で損益分岐点は広くなる傾向がある(買いのケース)。

2008年4月30日

外国為替証拠金取引

外国為替証拠金取引(がいこくかわせしょうこきんとりひき)とは、FXとも呼ばれる為替取引の手法の一つ。外貨保証金取引、通貨証拠金取引などとも呼ばれる。日本では1998年に外国為替に関する法律が改正され、本取引方法が可能となった。

レバレッジを使った取引で、預託資産の数倍~数百倍単位の外貨取引が可能となることから、ハイリスク・ハイリターンの投資手法である。取引単位は「枚」と表現され、1枚は1万通貨となる。例えば、米ドル1枚という場合は1万ドルを指す。
通貨の買い(ロング)からだけでなく、売り(ショート)からでも取引が可能となるのが特徴の一つ。

外国為替証拠金取引のリスクとしては、為替レートの変動によるリスク(レバレッジをかけている場合はその倍率に応じてリスクも等倍に増大する)といった通常の外貨取引におけるリスクの他、高金利通貨をショートした場合のマイナススワップポイントによるリスクや通常の外国為替証拠金取引は取引業者との相対取引となることから、業者の信頼性も重要となる。

外国為替証拠金取引は業者との相対取引(店頭取引)の他、取引所取引による取引も可能である。

現在、日本では「くりっく365」と呼ばれるマーケットメイク方式による取引所証拠金取引の他、09年7月には大阪証券取引所が「大証FX」と呼ばれるオークション方式・マーケットメイク方式の併用利用による外国為替証拠金取引を開始した。

くりっく365

くりっく365とは、東京金融取引所という取引所を通じて行う外国為替証拠金取引のこと。通常の外国為替証拠金取引が取引業者との相対取引となるのに対して、くりっく365では取引所取引が可能となる。

くりっく365の特徴としては、インターバンク市場と同等の価格・スプレッドでの取引が可能であり、通貨スワップポイントがショートとロングで同一。取引業者が破綻した場合でも東京金融取引所においてポジション(建玉)は維持される(業者の信用リスク回避)といった点が挙げられる。

また、税制面でもくりっく365は優遇されており、申告分離課税として一律20%の税率で課税され、株価指数先物取引や商品先物取引(CX)との損益通算、損失の3年間繰越控除が可能となっている。(通常の外国為替証拠金取引の場合は雑所得として総合課税される)

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