地震保険
じしんほけん
Earthquake Insurance

地震保険とは
地震保険は、地震・噴火、またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失に備える、住宅と家財の保険です。日本の「地震保険に関する法律」に基づく制度では、政府と損害保険会社が共同で運営し、政府が再保険で大規模な支払いを支えます。
地震による火災は、通常の火災保険では補償されません。地震保険は火災保険にセットして契約し、単独では契約できません。すでに火災保険に加入している場合は、契約期間の途中でも付帯できます。
目的は被災後の生活の安定で、建て替え費用や修理費の全額を補う制度ではありません。契約する保険金額にも、損害の程度に応じて実際に受け取る額にも上限があります。
制度の基準日:2026年10月25日。以下の4区分の支払割合は、保険期間の始期が2017年1月1日以降の契約に適用されます。
契約額は火災保険の30〜50%、建物と家財は別契約
地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲で設定します。ただし、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度です。建物だけの契約では、家財の損害は補償されません。
| 対象 | 契約額の上限 | 火災保険の契約額(仮定) | 設定できる地震保険の契約額 |
|---|---|---|---|
| 居住用の建物 | 5,000万円 | 2,000万円 | 600万〜1,000万円 |
| 生活用の家財 | 1,000万円 | 600万円 | 180万〜300万円 |
たとえば建物の火災保険が1億2,000万円なら、50%は6,000万円ですが、地震保険の上限は5,000万円です。契約できる範囲は3,600万〜5,000万円になります。30〜50%という割合だけで上限額を決めることはできません。
対象は居住用建物と生活用家財です。店舗・事務所だけに使う建物、自動車、現金、有価証券などは対象外です。貴金属・宝石・美術品なども、1個または1組の価額が30万円を超えるものは対象になりません。
いくら受け取る?1,000万円の契約なら一部損は50万円
支払額は、修理見積額そのものではなく、地震保険の契約額 × 認定された損害区分の支払割合で決まります。全損100%、大半損60%、小半損30%、一部損5%です。
↓ 50%で地震保険を契約
被害認定の結果で支払額が変わる ↓
- 全損 100%1,000万円
- 大半損 60%600万円
- 小半損 30%300万円
- 一部損 5%50万円
実際には、全損は対象の時価額、大半損・小半損・一部損は時価額の60%・30%・5%が、それぞれ支払いの上限です。時価は、同等の物を新しく建築・購入する費用から、使用による消耗分を差し引いた価額です。
建物と家財の認定も別です。建物が大半損なら上の契約で600万円、家財が一部損なら家財の契約300万円 × 5% = 15万円となり、合計は615万円です。建物が大半損だから家財にも60%が支払われる、という仕組みではありません。家財の時価額も300万円以上と仮定しています。
震度や修理費だけでは支払区分は決まらない
同じ震度の地域でも、建物や家財の被害は異なります。地震保険は震度に応じた定額給付ではなく、保険会社が損害認定基準に沿って調査します。
建物では基礎・柱・壁・屋根など主要構造部の被害をもとに、時価額に対する損害割合などで判定します。主要構造部の損害額が時価額の3%未満で、ほかの一部損の条件にも該当しなければ、支払いの対象になりません。門・塀だけの損害など、主要構造部以外の被害だけでは支払われない場合があります。
家財は家財全体の損害割合で判定し、一部損は10%以上30%未満、全損は80%以上が基準です。高価な家電が1台壊れただけで、家財の契約額全額が受け取れるわけではありません。
自治体の罹災証明書は、公的支援などに使う被害認定です。地震保険の損害認定とは目的・基準が異なり、罹災証明書の「全壊」「半壊」を、そのまま保険の「全損」「大半損」に置き換えることはできません。
保険証券で確認する3点
- 建物・家財の両方が対象か:賃貸の入居者は、自分の家財を対象とする契約を確認します。大家が建物にかけた保険で、入居者の家財まで補償されるとは限りません。
- 地震保険の金額はいくらか:火災保険の金額とは別に、地震保険の契約額を確認します。仮住まい費用や生活の立て直しに必要な資金との比較に使えます。
- 原因と補償の種類は合っているか:津波による流失と、豪雨・河川の氾濫による浸水では原因が違います。後者は火災保険の水災補償の有無・条件を確認します。
地震保険の保険料は建物の所在地・構造などで異なり、免震・耐震性能などによる割引があります。被害を受けたときは安全を確保したうえで、契約している保険会社・代理店に連絡し、調査や必要書類を確認します。
1回の地震等で損害保険会社全体の支払保険金が総支払限度額の12兆円を超える場合は、支払額が削減されることがあります。これは1契約の上限額とは別の、制度全体の上限です。
地震保険についてよくある疑問
- 地震で発生した火災は、火災保険だけで補償されますか?
- 通常の火災保険では、地震・噴火・津波を原因とする火災などの損害は補償されません。地震保険の付帯を確認します。地震火災費用などの特約がある場合も、支払条件や限度額は地震保険と異なります。
- 全損なら住宅を建て直す費用が全額出ますか?
- 全損の支払割合は地震保険の契約額の100%で、時価額が上限です。火災保険2,000万円に地震保険1,000万円を付けた契約なら、地震保険の基準は1,000万円です。建て替え費用の全額が保証されるわけではありません。
- 建物が無事でも、家財だけ請求できますか?
- 家財の地震保険に加入し、損害認定基準を満たせば支払いの対象になります。建物と家財は別々に契約・認定します。建物だけの契約では家財の損害は補償されません。
- 古い契約も100%・60%・30%・5%の4区分ですか?
- 保険期間の始期が2017年1月1日より前の契約には、全損100%・半損50%・一部損5%の3区分が適用されます。最初に加入した年だけで決めず、対象となる契約の保険期間の始期を保険証券で確認します。