首相足

しゅしょうあし

国会議事堂を背景に在任期間と株価を表すローソク足の模型とカレンダー

首相足とは

首相足は、内閣総理大臣の在任期間ごとに、株価を一本のローソク足で表すチャートです。日足や月足のように一定の日数で区切るのではなく、首相の交代を区切りにします。日経平均株価の動きをまとめ、「岸田足」「石破足」「高市足」などと呼びます。

任期の最初と最後の価格を結ぶ実体と、期間中の高値・安値を表すひげから、在任中の値動きを見渡せます。ただし、在任中に株価が上がったことと、首相の政策がその上昇を引き起こしたことは別です。首相足だけでは、政策の効果や次の株価を判定できません。

4本値と期間の区切りをそろえる

首相足には、日中の高値・安値を使うものと、毎日の終値だけを使うものがあります。就任日や退任日の価格を含めるかによっても、数値は変わります。異なるチャートを比べる前に、価格と日付の基準を確認します。

始値と終値
足の始値は期間最初の価格、終値は期間最後の価格です。終値基準の足では、それぞれ初日と末日の日経平均終値を使います。「足の始値」が、その日の寄付きの価格を意味するとは限りません。
高値と安値
日中の価格を使う足なら、期間中に付けた最高値・最安値です。終値基準の足なら、日次終値の最高・最低になります。同じ在任期間でも、ひげの長さは異なります。
一本にまとめる期間
首相が同じままの再指名や内閣改造をまとめるか、内閣ごとに区切るかを確認します。菅義偉首相と菅直人首相のように、姓が同じ別人も区別します。

1949年以降の歴代首相を、34期間で比較

吉田茂から高市早苗まで、日経平均の遡及データがある1949年5月16日以降を在任順に並べています。同じ人物の連続した在任は一本にまとめ、他の首相を挟んだ安倍晋三の第1次と第2次以降は別の足です。

価格はすべて日次終値です。就任日を含み、後任の就任日を除く期間の最初・最高・最低・最後の終値を使います。休場日に就任した場合は、次の取引日の終値から始まります。日中の高安値ではありません。

吉田足は在任途中の1949年5月16日からの部分集計、高市足は2026年10月9日終値までの途中経過です。大平正芳は1980年6月12日に死去したため、前日6月11日までを大平足とし、その後の伊東正義の臨時代理期間を首相の在任と区別しています。

図は横にスクロールできます。足の下の番号は、実数一覧の番号と対応します。

吉田茂から高市早苗まで34期間を在任順に並べた日経平均の首相足。対数目盛で価格の倍率を比較。安倍再登板は別の足、大平死去後の臨時代理は空白。実数は下の一覧に記載。 同じ34期間の首相足を0〜80,000円の通常目盛で表示。円単位の値幅を比較。
白抜きは上昇、塗りつぶしは下落。実体は初日と末日の終値、ひげは最高・最低の終値を表します。対数目盛では100→200円も10,000→20,000円も同じ高さの変化です。足の幅は在任日数を表していません。破線の吉田足と高市足は、任期全体の確定値ではありません。
歴代首相34期間の日経平均4本値と期間騰落率(価格の単位:円)
首相・在任期間株価の集計期間始値
初日の終値
高値
最高終値
安値
最低終値
終値
末日の終値
期間
騰落率
1. 吉田茂(部分集計)1948/10/15〜1954/12/101949/05/16
〜1954/12/09
176.21474.4385.25344.68+95.61%
2. 鳩山一郎1954/12/10〜1956/12/231954/12/10
〜1956/12/22
340.17566.30331.84550.27+61.76%
3. 石橋湛山1956/12/23〜1957/02/251956/12/24
〜1957/02/23
550.61587.88547.38563.56+2.35%
4. 岸信介1957/02/25〜1960/07/191957/02/25
〜1960/07/18
562.911,121.10471.531,121.10+99.16%
5. 池田勇人1960/07/19〜1964/11/091960/07/19
〜1964/11/07
1,115.651,829.741,091.081,203.42+7.87%
6. 佐藤栄作1964/11/09〜1972/07/071964/11/09
〜1972/07/06
1,202.693,751.321,020.493,682.72+206.21%
7. 田中角栄1972/07/07〜1974/12/091972/07/07
〜1974/12/07
3,695.315,359.743,355.133,882.41+5.06%
8. 三木武夫1974/12/09〜1976/12/241974/12/09
〜1976/12/23
3,970.664,911.833,627.044,909.48+23.64%
9. 福田赳夫1976/12/24〜1978/12/071976/12/24
〜1978/12/06
4,900.196,056.584,597.266,050.93+23.48%
10. 大平正芳1978/12/07〜1980/06/121978/12/07
〜1980/06/11
6,060.376,904.815,858.346,826.01+12.63%
11. 鈴木善幸1980/07/17〜1982/11/271980/07/17
〜1982/11/26
6,810.418,019.146,739.897,890.38+15.86%
12. 中曽根康弘1982/11/27〜1987/11/061982/11/27
〜1987/11/05
7,898.9326,646.437,772.3222,629.65+186.49%
13. 竹下登1987/11/06〜1989/06/031987/11/06
〜1989/06/02
22,795.0234,266.7521,036.7633,667.42+47.70%
14. 宇野宗佑1989/06/03〜1989/08/101989/06/05
〜1989/08/09
33,457.0834,953.8732,913.0934,859.27+4.19%
15. 海部俊樹1989/08/10〜1991/11/051989/08/10
〜1991/11/01
34,719.8038,915.8720,221.8625,044.24−27.87%
16. 宮澤喜一1991/11/05〜1993/08/091991/11/05
〜1993/08/06
24,950.8624,950.8614,309.4120,357.94−18.41%
17. 細川護煕1993/08/09〜1994/04/281993/08/09
〜1994/04/27
20,493.0521,148.1116,078.7119,729.15−3.73%
18. 羽田孜1994/04/28〜1994/06/301994/04/28
〜1994/06/29
19,725.2521,552.8119,570.2120,481.00+3.83%
19. 村山富市1994/06/30〜1996/01/111994/06/30
〜1996/01/10
20,643.9320,862.7714,485.4120,612.32−0.15%
20. 橋本龍太郎1996/01/11〜1998/07/301996/01/11
〜1998/07/29
20,377.9222,666.8014,664.4416,158.09−20.71%
21. 小渕恵三1998/07/30〜2000/04/051998/07/30
〜2000/04/04
16,201.6020,726.9912,879.9720,594.93+27.12%
22. 森喜朗2000/04/05〜2001/04/262000/04/05
〜2001/04/25
20,462.7720,833.2111,819.7013,827.50−32.43%
23. 小泉純一郎2001/04/26〜2006/09/262001/04/26
〜2006/09/25
13,973.0317,563.377,607.8815,633.81+11.89%
24. 安倍晋三(第1次)2006/09/26〜2007/09/262006/09/26
〜2007/09/25
15,557.4518,261.9815,273.6816,401.73+5.43%
25. 福田康夫2007/09/26〜2008/09/242007/09/26
〜2008/09/22
16,435.7417,458.9811,489.3012,090.59−26.44%
26. 麻生太郎2008/09/24〜2009/09/162008/09/24
〜2009/09/15
12,115.0312,115.037,054.9810,217.62−15.66%
27. 鳩山由紀夫2009/09/16〜2010/06/082009/09/16
〜2010/06/07
10,270.7711,339.309,081.529,520.80−7.30%
28. 菅直人2010/06/08〜2011/09/022010/06/08
〜2011/09/01
9,537.9410,857.538,605.159,060.80−5.00%
29. 野田佳彦2011/09/02〜2012/12/262011/09/02
〜2012/12/25
8,950.7410,255.158,160.0110,080.12+12.62%
30. 安倍晋三(第2次以降)2012/12/26〜2020/09/162012/12/26
〜2020/09/15
10,230.3624,270.6210,230.3623,454.89+129.27%
31. 菅義偉2020/09/16〜2021/10/042020/09/16
〜2021/10/01
23,475.5330,670.1022,977.1328,771.07+22.56%
32. 岸田文雄2021/10/04〜2024/10/012021/10/04
〜2024/09/30
28,444.8942,224.0224,717.5337,919.55+33.31%
33. 石破茂2024/10/01〜2025/10/212024/10/01
〜2025/10/20
38,651.9749,185.5031,136.5849,185.50+27.25%
34. 高市早苗(途中)2025/10/21〜現在2025/10/21
〜2026/10/09
49,316.0672,366.3448,537.7069,030.92+39.98%

指数値:日本経済新聞社「日経平均プロフィル」。在任期間:首相官邸「歴代内閣」。騰落率は(末日の終値 ÷ 初日の終値 − 1)×100で、年率ではありません。配当・費用・税金を含む投資収益率とも異なります。吉田足の1949年より前の値は含みません。

長期の上昇と、途中の高値からの下落を読み分ける

佐藤栄作の足は1,202.69円から3,682.72円へ、+206.21%。中曽根康弘の足は7,898.93円から22,629.65円へ、+186.49%です。どちらも大きな陽線ですが、佐藤の集計期間は1964〜1972年、中曽根は1982〜1987年で、同じ長さの期間ではありません。

海部俊樹の足は、期間中の最高終値が38,915.87円だった一方、末日終値は25,044.24円でした。初日の34,719.80円と比べた期間騰落率は−27.87%です。期間中に高値を付けた足でも、最後は初日を下回ることがあります。ひげと実体を合わせて見ると、値幅と最初・最後の変化を読み分けられます。

安倍晋三の第1次は15,557.45円→16,401.73円、+5.43%。第2次以降は10,230.36円→23,454.89円、+129.27%です。別の首相の在任を挟むため、二つをつなげて一本の足にはしません。同じ人物でも、在任期間や市場環境が異なります。

石破足からわかる、上昇率と途中の下落の違い

石破足は、2024年10月1日の38,651.97円から2025年10月20日の49,185.50円へ、10,533.53円、27.25%上昇しています。一方、期間中の最低終値は2025年4月7日の31,136.58円で、初日の終値を下回りました。最後に上がって終わった足でも、途中で大きな下落を経験することがあります。

実体の向きは最初と最後の比較、ひげは値幅の手掛かりです。最低値と最高値のどちらを先に付けたか、何回上下したか、下落から回復するまで何日かかったかは、一本の足では読み取れません。途中の動きを判断するには、日足や週足も確認します。

退任日を入れると、同じ石破足でも数字が変わる

石破首相の退任日と高市首相の就任日は2025年10月21日です。その日の日経平均終値は49,316.06円でした。石破足の末日にこの価格を含めると、初日38,651.97円からの騰落率は27.59%になります。後任の就任日を除く上表の27.25%とは違います。

同じ日が前任の末日と後任の初日になるチャートもあります。数値の違いを見つけたら、まず集計日付を確かめます。党の総裁選、辞任表明、国会での指名、正式な内閣発足も同じ日とは限りません。

「首相の通信簿」と見るときの注意点

  • 在任期間の長さが違う:約1年の足と約3年の足の騰落率を、そのまま同じ期間の成績として比べることはできません。長い在任期間には、複数の景気局面が含まれます。
  • 政策以外の要因も動く:海外市場、企業業績、金利、為替などが同時に変化します。首相足は期間をまとめた価格表示で、首相個人の寄与だけを取り出した指標ではありません。
  • 日経平均と自分の保有株は違う:日経225は225銘柄からなる指数です。指数が上がっても、個々の銘柄や、買った時期が違う人の損益が同じになるとは限りません。
  • 現職の足はまだ確定しない:次の取引日から終値や高値・安値が変わり得ます。過去に高い騰落率だった首相の再登場や、似た形の足だけを理由に、将来の利益を見込むことはできません。

政策の影響を考える場合は、政治的リスクの観点から、具体的に何の制度が変わり、どの企業の利益や費用に影響するのかも確認します。

首相足についてよくある疑問

首相足が陽線なら、その首相の政策は成功したということですか?
陽線は、その期間の終値が始値を上回ったことを示します。政策だけが原因だったとは示しません。景気や海外市場なども変わるため、政策の効果は別の材料で判断する必要があります。
石破足が27.25%と27.59%で違うのはなぜですか?
ここでの終値基準では、後任の就任前の最終取引日である2025年10月20日までなら27.25%、退任日の10月21日も含めると27.59%です。期間の区切りをそろえると、違いを説明できます。
再指名や内閣改造のたびに、新しい足になりますか?
チャートの集計基準によります。上の比較は同じ人物の連続した在任を一本にまとめます。安倍首相の2006〜2007年と2012〜2020年のように、別の首相を挟む再登板は二本です。
高値が72,366.34円なのに、別のチャートと違うのはなぜですか?
この高市足の高値は、2026年10月9日までの「毎日の終値」の最高値です。日中の価格を含む最高値とは違います。終値基準か日中高値・安値を含むか、基準日も同じかを確認します。
吉田茂は1948年に再び就任したのに、なぜ1949年からですか?
日経平均の遡及データが1949年5月16日からだからです。吉田足はその日以降の部分集計で、1948年10月15日の就任からの任期全体の騰落率ではありません。
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