裸売り
Naked Short Selling / Naked Option
- 株式
- Naked Short Selling
- オプション
- Naked Option / Uncovered Option
裸売りとは
裸売り(はだかうり)は、株式とオプションで意味が異なる用語です。株式では、決済に必要な株式を保有せず、借入れの手当てもせずに売る「ネイキッド・ショート・セリング」を指します。オプションでは、損失を抑える裏付け資産や反対ポジションを持たずにコールやプットを売ることを指します。
通常の空売りとの違い
「手元に株式がない状態で先に売る」という点だけを見ると、通常の空売りも裸売りに見えます。しかし、両者を分けるのは、売却時点で決済用の株式を確保しているか、少なくとも借りる手配をしているかです。
実売り
自分が保有する株式を売り、保有株式で決済します。
通常の空売り
証券会社などを通じて株式を借りる手配をして売り、後で買い戻して返します。
株式の裸売り
決済する株式を保有せず、借入れの手当てもないまま売ります。
オプションの裸売り
原資産や損失を限定する反対ポジションを持たずにオプションを売ります。
したがって、通常の信用売りは裸売りではありません。一般的な信用取引では、投資家の注文に応じて証券会社や証券金融会社が株式を融通する仕組みが使われます。
株式の裸売りとフェイル
株式を売買すると、所定の受渡日に売り手から買い手へ株式を引き渡す必要があります。売却時に株式を手当てしていない裸売りでは、受渡日までに調達できなければ決済不履行(フェイル)が発生します。
ただし、フェイルが発生したからといって、すべてが裸売りによるものとは限りません。事務処理の誤り、証券の移管遅延、海外市場との決済日の違いなどでもフェイルは起こり得ます。「発行済株式数を超える注文が出た」「フェイルが生じた」という事実だけで、裸売りだったと断定することはできません。
日本では裸売りは原則禁止
日本では、売付け時に決済する株式の手当てがない裸売りは、法令上の適用除外を除いて禁止されています。取引参加者には、受注時に決済措置が確保されているかを確認する管理が求められます。
通常の空売りは一律に禁止されているわけではありません。ただし、空売りであることの明示・確認、一定の条件で発動する価格規制、一定規模以上の残高報告などの規制があります。個人投資家が証券会社の信用取引で行うショートは、証券会社が用意した仕組みの中で株式を借りて行う通常の空売りであり、投資家が裸売りを選択して発注するものではありません。
オプション取引でいう裸売り
オプション取引では、原資産や損失を限定する反対ポジションを持たずにオプションを売ることを裸売りと呼びます。株式の決済用証券を手当てしないネイキッド・ショート・セリングとは、同じ「裸売り」でも仕組みが異なります。
コールの裸売り
原資産価格が上昇するほど損失が拡大します。原資産価格に上限がないため、理論上の損失にも上限がありません。
プットの裸売り
原資産価格が下落するほど損失が拡大します。原資産がゼロに近づく場合、受取プレミアムや当初証拠金を大きく上回る損失になり得ます。
売り手の最大利益は、基本的に受け取ったオプション料(プレミアム)です。一方で相場が予想と逆に動くと必要証拠金が増え、追加資金が必要になることがあります。コール売りなら原資産を保有するカバード・コール、プット売りなら、より低い権利行使価格のプットを買うスプレッドなどにすると、裸売りより損失範囲を限定できます。
裸売りについてよくある疑問
- 空売りは違法ですか?
- 空売りそのものは違法ではありません。株式を借りる手配をした通常の空売りは、明示・確認や価格規制などのルールに従って行われます。決済措置のない裸売りは、適用除外を除いて原則禁止です。
- 個人投資家は株式を裸売りできますか?
- 通常の証券会社の信用取引では、個人投資家が決済措置のない裸売りを選んで発注する仕組みにはなっていません。信用売りは、証券会社などを通じて株式を借りる通常の空売りです。
- フェイルがあれば裸売りですか?
- 必ずしもそうではありません。株式の調達不足のほか、事務や移管の遅れでもフェイルは起こり得るため、フェイルの発生だけでは原因を断定できません。