ROEC
Return on Economic Capital
- 主な意味
- 経済資本利益率
- 英語
- Return on Economic Capital
- 注意点
- ROCEとの表記混同がある
ROECとは
ROECは、金融機関や保険会社などで「経済資本利益率(Return on Economic Capital)」を表す略称です。事業や部門が生み出す利益を、そのリスクに対応して割り当てた経済資本と比べ、リスクに見合う収益を得ているかを見るために使われます。
一方、一般企業の資本効率を説明する場面では、投下資本利益率を表すROCE(Return on Capital Employed)と文字順が似ているため、ROECが誤記や独自表記として使われる場合もあります。ROECを見たら、英語の正式名称と計算式を確認することが重要です。
ROECを理解するポイント
- 金融機関のリスク管理では、経済資本に対する収益性を示す指標として使われます。
- 経済資本は、一定の確率や期間を前提に、予想外の損失へ備えるため内部モデルなどで算定する資本です。
- 利益と経済資本の定義は企業ごとに異なり得るため、数値を単純比較できないことがあります。
- 「投下資本」「EBIT」「資本効率」という文脈なら、標準的な略称はROCEです。
計算の考え方
ROECは概念的には「リスク調整後利益など÷経済資本×100」で計算します。分子に税引後利益、期待損失控除後の利益、部門利益などのどれを使うか、分母の経済資本をどの信頼水準・保有期間で測るかは企業の管理方法によって変わります。
例えば、ある事業部門の対象利益が30億円、割り当てられた経済資本が300億円なら、同じ定義を使う限りROECは10%です。ただし、他社のROECと比較する前に、利益・リスク・資本配賦の定義がそろっているかを確認します。
規制資本や自己資本との違い
経済資本は、企業が自らのリスク計測に基づいて必要額を見積もる管理上の資本です。法令上求められる規制資本や、貸借対照表に計上される自己資本とは目的と算定方法が異なります。そのため、ROECもROEとは別の角度から収益性を測ります。
ROEC・ROCE・ROEの違い
ROEC
経済資本に対する収益性
金融・保険などのリスク調整後収益管理で使われます。計算定義は企業固有になりやすい指標です。
ROCE
投下資本に対する事業利益
一般にEBITなどを投下資本で割り、事業全体の資本効率を見ます。
ROE
株主資本に対する純利益
株主から見た自己資本の収益性を測る代表的な財務指標です。
どちらの意味か見分ける方法
- 正式名称を見る:Economic CapitalならROEC、Capital EmployedならROCEです。
- 計算式を見る:分母が経済資本ならROEC、運転資本と固定資産などから求める投下資本ならROCEです。
- 利用場面を見る:信用・市場・保険リスクや部門別資本配賦の説明ならROEC、製造業などの資本効率比較ならROCEである可能性が高くなります。
よくある質問
ROECはROCEの誤記ですか?
常に誤記とは限りません。金融機関などではReturn on Economic Capitalの略として実際に使われます。投下資本利益率の説明でROECと書かれている場合は、ROCEとの表記混同の可能性があります。
ROECが高ければ優良企業ですか?
高い数値は経済資本に対して高い利益を得たことを示しますが、計算定義や想定するリスクが違えば比較結果も変わります。収益の持続性、規制資本、自己資本比率なども併せて確認します。