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2010年1月 アーカイブ

2010年1月 4日

株式ミニ投資

株式ミニ投資(かぶしきみにとうし)とは、ミニ株とも呼ばれる株式取引法の一つ。単元未満株取引の一種で、単元株の1/10単位で売買ができる取引のことを指す。たとえば1単元(取引単位)が1000株の株式の場合、100株単位で取引できる取引のこと。

近年では、プチ株、マメ株などの名称で呼ばれ、さらに小さい単位での取引を可能にしている証券会社もある。ただし、単元未満株取引については、市場での取引ではなく証券会社との相対取引となるため、全銘柄の取引が可能なわけではない。また、手数料体系も通常の株取引とは異なるケースが多い。

東証アローヘッド

東証アローヘッド(arrowhead)とは、東京証券取引所が2010年1月4日よりサービス開始した次世代株式売買システムのこと。従来の売買システムと比較してより高速な取引が可能となる。特に、注文の応答時間を10ミリ秒以下となる高速性などが特徴。

2010年1月 5日

世界銀行

世界銀行(せかいぎんこう:World Bank)とは、各国の政府から債務保証を受けた機関に対して融資を行う国連(United Nation)の専門機関の一つ。第二次世界大戦以後の金融秩序の中心をIMF(国際通貨基金
)と共に担っており、本部はアメリカ合衆国のワシントンDCにある。

設立当初は1944年に設立された国際復興開発銀行(International Bank for Reconstruction and Development、IBRD)のことを指したが、1960年に設立された国際開発協会(International Development Association、IDA)も同様に世界銀行と呼ばれる。

国際復興開発銀行

国際復興開発銀行(こくさいふっこうかいはつぎんこう:IBRD)とは、一般に世界銀行(世銀)とも呼ばれる国際機関の一つ。国連所属で、第二次世界大戦後の経済的な復興を援助する目的で設立された金融機関。1944年のブレトンウッズ協定により設立が決定され、1946年に業務を開始した。

第二次大戦後の復興が主目的であったが、現在はその役割を開発途上国が対象となっている。IMF(国際通貨基金)とは異なり、プロジェクト単位での貸付が行われる。国際復興開発銀行における資金調達については、「世界銀行債(IBRD債)」によるものが多い。
日本でも多くの証券会社においてこの世界銀行債(IBRD債)が販売されている。債券の格付は極めて高く、過去にデフォルト(債務不履行)を起こしたことは無い。

2010年1月 6日

振込手数料

振込手数料(ふりこみてすうりょう)とは、銀行においてお金を振り込みする債にかかる手数料のことを指す。手数料の金額は銀行により異なり、振込金額、手続き方法(窓口・ATM・オンラインバンキング)、取引状況などにより異なるケースが多い。

ネット専業銀行(ネットバンク)などではこうした振込手数料を割安に設定しているケースも多く見られる。また、最近では、取引状況(預金残高や投資信託、外貨預金などに対する投資状況)などから手数料を優遇するような銀行も多い。

2010年1月12日

市場価格

市場価格(しじょうかかく:Market Price)とは、市場(マーケット)で売買されている価格のこと。通常市場価格と呼ぶ場合、市場に存在している買い手(需要)と売り手(供給)のバランスにより価格が決められる。需要と供給により価格が付けられることを「市場メカニズム」と呼ぶ。

ミクロ経済学でよく用いられ、古典的経済学では、財・サービスの価格は需給のバランスにより決定されることとなっている。例えば株式投資を考えた場合、株の買い手(需要)が多ければ株価は上昇し、株の売り手(供給)が多ければ株価は下落する。(板寄せ方式やザラバ方式といった方法により価格の均衡を図る)
なお、こうした需要と供給がつりあった価格を「均衡価格」と呼ぶ。

株式持ち合い

株式持ち合い(かぶしきもちあい)とは、複数の企業同士がそれぞれの発行する株式を保有する状態のこと。それぞれがお互いの株式を保有する場合の株式は「相互保有株式」と呼ばれる。通常はA社とB社の間で株式を持ち合うことが多いが、A社の株をB社が持ち、B社の株をC社が持ち、C社の株をA社が持つというような場合もある。

株式持ち合いは、それぞれの相互の安定株主となることにより敵対的買収(M&A)から自社を防衛できるという点や相互企業間の関係強化などを目的として行われることが多い。
一方で、それぞれが相互の株を持ち合うことにより株主総会の形骸化、持ち合いをしている相手方の株価下落が自社の業績にも大きな影響を与えることなどがデメリットとされている。

安定株主

安定株主(あんていかぶぬし:Stable stockholder)とは、株式の長期保有を目的とする株主の事を指す。明確な基準はない。一般的には当該企業の経営者、従業員持株会、株式持ち合いをしている企業などが代表的。対義語は浮動株主。

安定株主とは、企業にとって友好的かつ長期的に株を保有してくれる存在であるため、経営の安定化に直結する。浮動株主が多い場合、それらの株をTOB(株式公開買付)などにより敵対的買収者に買い集められ、経営権が脅かされるリスクがある。
企業には、個人投資家にも安定株主になってもらうため、株主優待制度を拡充するんどして個人投資家のファン層を作って、それに成功している会社もある。

浮動株主

浮動株主(ふどうかぶぬし)とは、安定株主の対義語で短期間で株式の売却をすると考えられる株主の総称。明確な定義はない。対義語は安定株主。雑誌や四季報などの書籍に浮動株主、浮動株比率などとかかれる場合もあるが、それぞれ独自の計算方法を採用している。
株価が変動する事で積極的に売却する投資家を指す場合が多い。

2010年1月13日

減資

減資(げんし)とは、資本金を減らすこと「増資」の対義語にあたる。基本的に減資とはたんなる貸借対照表上における資本の部の変動に過ぎない。一般的には会社の繰越損失と株主資本を相殺する形で行われることが多い。この場合、減資それ自体は自己資本やBPS(一株あたり純資産)を変動させることない。

ただし、一般的に減資は業績悪化中の企業で行われることが多く、また減資と同時に第三者割当増資などにより支援会社などに有利な形で増資が行われることが多く、この場合既存株主は株価の希薄化の影響をおおきく受けることになる。
株主責任という意味で論じられることも多い。

監理銘柄

監理銘柄(かんりめいがら)とは、証券取引所において上場企業の株が上場基準を満たさなくなった恐れがあると判断した銘柄のこと。監理ポストと呼ばれる特別な扱いを受ける。ただし、「監理銘柄に指定される=上場廃止が決定」というわけではなく、上場廃止基準に抵触していないという場合には解除される。

監理銘柄として指定される期間は「その事実が明確になるまでの間」とされている。明確になり上場廃止にならない場合は、通常の銘柄と同じように扱われるようになる。一方、上場廃止基準に抵触していることが明らかになった場合は整理ポストに移され、「整理銘柄」として一定期間(原則1ヵ月)の間売買が行われた後で上場廃止となる。

整理銘柄

整理銘柄(せいりめいがら)とは、上場廃止が決定した銘柄を投資家に周知した上で、整理売買を行うことができるようにしている。原則として1ヶ月の間整理銘柄として取り域が続けられ、その後期間が過ぎた時点で上場廃止となる。

監理銘柄を経て整理銘柄となる場合だけでなく、当初から上場廃止があきらかな場合はすぐに監理銘柄を経ずに整理銘柄となることがある。また、株式交換における子会社化などによる上場廃止の場合で、株式交換の交換銘柄として別の上場企業の株式が割り当てられる場合などは、整理銘柄の指定をされずに即上場廃止となる場合もある。

2010年1月14日

ライツイシュー

ライツイシューとは、株主割当増資とも呼ばれる企業の増資手法の一つ。公募増資とは異なり増資による既存株主に対する株式の希薄化が起こりにくい。欧米では増資手法としてはメジャーだが日本では使い勝手が悪いことからあまり利用されてこなかったが、現在ルールの見直しがすすめられている。

ライツイシュー(株主割当増資)はその名前の通り、既存株主に対して無償で「新株予約権」を割り当てる。この場合、公募増資や第三者割当増資の場合と比較して既存株主が権利行使をすれば、持ち株比率は変わらない(もちろん、増資分を振り込む必要はある)。
既存株主は権利を行使するだけでなく、この新株予約権を第三者に売却することも可能である。(なお、このライツイシューに伴う新株予約権は証券取引所に上場され売買ができる)

ただし、ライツイシューには新株予約権が行使されないままだったらどうするのか?という問題点がある。企業が公募増資をする理由は資本(資金)の確保であるはずだが、ライツイシューでは新株予約権が行使されない限り、払い込みが行われないため資金が入ってこない。
この問題に対しては証券会社等の金融機関側が一定期間行使されない新株予約権がある場合にはそれを金融機関側が行使するという「コミットメント型」と呼ばれる方法が利用される。

ちなみに、日本では2006年に会社法の改正が行われ、ライツイシューが事実上解禁されている。第1号となったのは「タカラレーベン」であり、2010年3月に発表した。

持ち株比率

持ち株比率(持株比率)とは、ある特定の株主が保有している株式の数が、その株式を発行している企業の発行済株式総数に対してどの程度の比率であるのかをしめしたもの。保有する株数を発行済株式総数で除すことで計算できる。

なお、計算方法によって、潜在株式を含む場合と含まない場合がある。当然だが、持ち株比率が高いほどその会社に対する影響力が高いといえる。(ただし、持ち株比率は必ずしも株主総会の議決権とイコールの関係にあるわけではない)

発行済株式総数

発行済株式総数(はっこうずみかぶしきそうすう)とは、企業が発行している株式の総数を指す。ただし、そのうち自己株式(金庫株)は含まれない。発行済株式総数に株価を掛けたものがその会社の「時価総額」となる。

なお、会社が発行可能な株式の上限は定款により定められており、その数を越えて株式を発行する場合には、株主総会において定款の変更をする必要がある。

潜在株式

潜在株式(せんざいかぶしき:Residual security)とは、現時点で普通株式として存在はしていないが、新株予約権(転換社債)のように、普通株を手に入れることができる権利や、ストックオプションなどのように権利が行使されることにより潜在的に増加する可能性がある株式のこと。

現在のところ企業は一株当たり利益(EPS)を発表しているが、このほかにも「潜在株式調整後一株当たり利益」も公表している。これは、潜在株式が普通株式に転換された場合、株式の希薄化が起こりEPSが小さくなるためである。
投資をする場合、単純なEPSだけで企業を評価すると思わぬ落とし穴に落ちることもある。特に、業績悪化などで優先株を発行した企業などはその優先株は将来1株が10の普通株に転換できるなどの条件が付いた種類株式を発行していることもあるので、そうした点も注意したい。

取締役会

取締役会(とりしまりやくかい)とは、会社の経営者である「取締役」により構成された、会社の意思決定機関のこと。また、取締役における会議自体を指す場合もある。株主総会における必要な機関だったが、06年の会社法により取締役会を設置しないことも可能になった。ただし、上場企業の場合は設置が義務付けられている。

会社における重要な事項を決定する機関であり、株主総会において任命された取締役における合議的な機関となっている。

単元株

単元株(たんげんかぶ)とは、一定の株数を1単元として、その1単元に対して議決権の行使を認める制度のこと。通常の株取引においては1単元単位での取引が行われる。

1単元は最大1000株というルールがあるが、それ以外については会社が自由に決めることができる。1単元あたりの株数を小さくすればそれだけ、1単元あたりの必要投資金額が小さくなるため、投資家の売買をより円滑にすることができるというメリットがある。
一方で、1単元を過少にしすぎると会社側としては株主管理がより煩雑になるというリスクもある。

現在の単元株を基準とした制度は2001年に導入されており、それ以前は単位株という制度があった。

ちなみに、単元株よりも少ない株数の株式を取引できる方法には「株式ミニ投資(ミニ株)」や「るいとう(株式累積投資)」、一部のネット証券などが提供する「単元未満株取引」などがある。

また、株式分割などによって単元株未満の株式を手に入れた場合は買取請求によって処分したり、買い増し請求によって単元株にまで買いますこともできる。

単元株統一に向けた動き

単元株がA株は1株単位、B株は10株、C株は100株、D株は1000株といったようにバラバラだと投資家にとっては分かりにくいです。

これまでは発行された株券の存在により手続きが難しかったものの株式の電子化が完了を受けて統一に乗り出しています。売買単位を100株と1000株に集約し、最終的には100株に集約することを目的としています。

2014年1にはすべての企業が100株または1000株に統一されています。予定では2018年10月1日までにすべての上場企業の単元株が100株になる見通しである。

2010年1月20日

二元的所得税

二元的所得税(にげんてきしょとくぜい:Dual Income Tax)とは、所得を勤労所得(労働所得)と金融所得(資産性所得)に分類した上で、それぞれ異なる税率・方式により課税する制度のこと。現在一部の北欧諸国において導入されている。

二元的所得税が議論される場合、多くは勤労所得に対しては累進課税(累進税率による課税)を行い、資産性所得に対しては比例税率(一定税率)で課税することが基本とされている。
税制を簡素化する目的の他、一般に勤労所得に対して資産性所得は所得の海外移転が容易であることから高い税率をかけると資本逃避(キャピタルフライト)がおこる可能性があるため、こうした点を回避する意図がある。

一方で、所得税における「公平性」の観点から見た場合、資産性所得はより担税力が高い所得とみなすことができるため、二元的所得税により資産性所得を優遇することは富裕層に対する優遇措置ともなってしまうというデメリットもある。

資本逃避

資本逃避(しほんとうひ:Capital Fright)とは、キャピタルフライトとも呼ばれ、ある特定の国や地域から、そこにある資金等が国外・地域外に移動すること。要因としては、その国の経済情勢、政治的なリスク、制度の強化などにより引き起こされることが多い。

代表的な資本逃避の例としては1997年のアジアにおけるアジア通貨危機(アジア危機)が挙げられる。政治的・経済的に混乱するとその国の通貨を持つことのリスクや、資産価値の減少リスクなどに対応するための投資家行動のことを指す。

2010年1月24日

名古屋証券取引所

名古屋証券取引所(なごやしょうけんとりひきじょ)とは、名証(めいしょう)とも呼ばれる日本の証券取引所の一つ。東京証券取引所、大阪証券取引所と並び、日本三大証券取引所の一つにかぞえられる。上場基準の異なる1部、2部の新興取引市場として「セントレックス」がある。

三大証券取引所の一つと言っても東京証券取引所への取引集中より売買シェアは非常に小さい。

ダイレクト保険

ダイレクト保険(だいれくとほけん)とはいわゆる通販型保険のこと。従来のように担当者(営業マン)が一戸一戸訪問して契約するタイプではなく、電話やインターネットなどを通じて契約するタイプの保険のことを指す。

自動車保険分野を中心に広まっておき、近年では生命保険分野においても「ライフネット生命」などのように、ネット通販専門の生命保険会社も登場している。ダイレクト保険の場合は、生命保険会社も人件費をはじめとした各種事業費(予定事業費率)を抑えることができるため、その分自動車保険料や生命保険料を抑えられているのが特徴の一つ。

死亡保険料

死亡保険料(しぼうほけんりょう)とは、生命保険における保険料計算の基本となる保険料のこと。名前の通り、被保険者が死亡するリスクに対する保険料。保険期間の被保険者の死亡リスク(死亡率)×保険金の金額として計算できる。

生命保険において若年層の保険料が安いのはこの仕組みによるもの。このほかにも、就いている職業や健康状態、生活習慣などにより死亡リスクは異なるため、死亡保険料は異なる。代表的なものが非喫煙者に対する「優良体割引(健康体割引)」などがある。

貯蓄保険料

貯蓄保険料(ちょちくほけんりょう)とは、生命保険における保険料の中で終身保険、養老保険などの保険部分に対して、貯蓄相当として扱われる部分。死亡保険料と異なり、現在の死亡リスクに対する保険料ではなく、将来の死亡リスクに備えるため、満期時の満期保険金に対する積立となる。

付加保険料

付加保険料(ふかほけんりょう)とは、生命保険や自動車保険等において、保険料を決定する際に計算されている率の一つ。保険会社における手数料に該当する部分。生命保険の場合保険料は(死亡保険料+貯蓄保険料+付加保険料)の三つで構成されることになる。

「死亡保険料+貯蓄保険料」の二つを純保険料と呼び区別している。付加保険料は純粋な保険とは関係のない保険会社の取り分となる。

医療保険

医療保険(いりょうほけん)とは、医療機関における診療や診察により発生する医療費についてその一部(または全部)を保険会社が給付するしくみの保険のこと。日本では、公的な医療保険である「国民健康保険(社会保険)」と一般の保険会社が行う「民間医療保険」がある。

なお、日本では国民皆保険と呼ばれるように公的な医療保険制度が充実しており、一般に民間の保険会社が提供する医療保険(第三分野の保険)については、公的保険を補完する保険として提供されている。

2010年1月25日

耐用年数

耐用年数(たいようねんすう)とは、減価償却の対象となる資産において利用が可能な年数のことを指す。例えば、乗用車を購入したとしてこの乗用車を利用することができる年数のことを指す。減価償却資産を適正に費用配分するための年数のこと。

なお、耐用年数は資産を費用化するという仕組み上、長くすればするほど、1年あたりの費用は小さくなり、短くするほど費用は大きくなる。このため、耐用年数を意図的に変更する事で法人税等における納税額に影響を及ぼすことを排除する目的で、法定耐用年数というものが定められている。
法定耐用年数は資産の種類や構造、用途などから耐用年数を詳細に定めておりこれを画一的に扱うようにしている。

損益通算

損益通算(そんえきつうさん)とは、所得課税において2種類以上の所得があり、1つ以上の所得が赤字で他の所得が黒字という場合に、それぞれの黒字の所得と赤字の所得を一定の順序に従い差し引き計算を行い、利益と損失を合算して計算することができるというもの。

例えば、サラリーマン兼個人事業をやっていたとして、個人事業では赤字で、サラリーマンは黒字(あたりまえか)があった場合、個人事業の赤字部分をサラリーマンの所得にかぶせる事で、サラリーマンの給与に対して支払うべき税金を通算することができるというもの。

このほかにも、例えば「くりっく365(FX)」における為替差損益とオプション取引の損益と通算できる制度なども損益通算と呼ばれる。

ディマンドプルインフレ

ディマンドプルインフレ(需要によるインフレ)とは、インフレーションのメカニズムの一つ。需要量が増大することによる物価の上昇を指す。市場価格というものは「需要」と「供給」のバランスがとれる位置で決定されるため、需要量が増大すれば当然価格(物価)は上昇する。

この需要増大が経済全体で起こる場合は、大きなインフレ圧力となる。高度経済成長期のように需要が常に増えていく過程においてはこのディマンドプルインフレが起こる素地となる。適度なディマンドプルインフレは経済に対しては正となるが、加熱しすぎると「バブル経済」となる。

コストプッシュインフレ

コストプッシュインフレ(供給によるインフレ)とは、インフレーションのメカニズムの一つ。供給量の縮小に伴うインフレーションであり、多くの場合景気後退と伴う「スタグフレーション」の状態となる。賃金上昇や原材料価格の上昇などにより引き起こされる。

日本の場合、輸入する原材料価格(原油価格など)が上昇するとそれにより商品原価も高くなる。また、賃金の上昇も同様である。特に賃金上昇は全産業で同時に起こればよいが、産業間にバラツキがある場合、例えば2次産業の効率性が上昇したが、1次産業の効率性がそれほど上昇しなかった場合は大きな問題となる。
この場合、2次産業従事者の給料(人件費)の伸びに従い、1次産業においても同様に採用コストは上昇する。こうなると、生産性の増加よりも人件費上昇の方が大きくなり、結果的に価格に転嫁せざるを得なくなる。

バブル経済

バブル経済(ばぶるけいざい:bubble economy)とは、不動産・株といった需給により価格が決定する資産の資産価値が投機的投資により高騰し、その価格上昇に伴いさらに投機的資金が集まることにより価格が上昇する経済状態のこと。

バブル経済の仕組みとしては、ある資産への需要が増加することで価格が上昇し資産価格が上昇する。さらに、この価格上昇を狙い、新たな投資資金が向かいさらに価格が上昇する。こうした状況が続き、さらに投資が・・・という資産インフレがスパイラル状におこる。
バブル経済は実体経済の経済成長以上のスピードやペースで資産価格が上昇しており、持続不可能な投資資金(投機資金)の流入により生み出されている状態である。持続不可能であるため、ある一定の段階で買い<売りとなってしまう。

買い<売りとなる事で、価格が下落し、投資家はキャピタルロスを避けるためにいっせいに保有資産を売却し、資産価格が暴落する。これにより投資家の保有する資産価値はさらに減少し、それに伴い消費事態も抑制され不景気となってしまう。

バブル経済の問題点は崩壊の段階において多くの不良債権を発生させる。具体的には、土地を担保にお金を借りる場合、時価が1億円の時それを担保に8000万円の借入をしたとする。しかし、バブル崩壊後の時価は1000万円にしかならない場合、担保価値の不足により7000万円分は不良債権となってしまう。

2010年1月26日

情報の非対称性

情報の非対称性(じょうほうのひたいしょうせい)とは、市場取引における買い手と売り手の当事者同士が保有する情報が不均衡であることを指す。通常買い手は、商品に対する品質等の情報について詳しくは分からないが、対する売り手は詳しく把握している状態を指す。

情報の非対称性が生じている場合、取引当事者のうち情報が少ない方が不利となる。このため、市場における取引自体が円滑にすすまない場合がある。
なお、アメリカでは、情報の非対称性がおおきい市場として中古車市場が挙げられ、こうした情報の非対称性が生じている市場を「レモン市場」と呼んでいる。


一括借り上げ

一括借り上げ(いっかつかりあげ)とは、主にアパート経営やマンション投資などの不動産投資の分野で、その管理業者などが行う管理方法の一つ。敷地にアパート等を建設し、その部屋自体を管理会社が借り上げて、オーナーに対して満室賃料の一定割合(80~90%程度)を支払うしくみのこと。

アパート等のオーナー側にしてみれば「空室リスク」が小さくなるというメリットがある。30年一括借り上げのような長期の借り上げシステムを提供しているアパート供給会社もある。一方のリスクとして、契約の更新時の満室賃料の設定変更、業者からの一方的な解約などによるトラブルも発生している。

例えば、満室時の賃料が80万円で、賃料の80%が保証されているとすると、この場合オーナーは毎月64万円の賃料収入を得ることができる。しかし、通常一括借り上げ契約の場合、満室時賃料は数年ごとに見直しが行われるシステムとなっており、この賃料が50万円に下げられた場合、オーナーの取り分は毎月40万円にまで下落してしまう。
また、業者側に一方的な解約が行われるケースもある。

空室リスク

空室リスク(くうしつりすく)とは、アパートやマンションなどの賃貸物件に対して投資をした場合、その物件に対して入居者(店子)が入らないリスクのこと。アパート経営やマンション投資の場合、通常収入の多くは賃料によるインカムゲインとなっているため、空室となると収入自体が入らなくなる。

一般には、空室リスクに対する対策として、多くの物件(部屋)を持つことによるリスクの分散や管理業者などに対する一括借り上げなどが空室リスクに対する対応策とされている。
また、根本的な点として物件自体の魅力(賃料や立地、設備など)も重要な空室リスク解消のポイントといえる。

アパート経営

アパート経営(あぱーとけいえい)とは、賃貸用のアパートに投資をすることを指す。多くの場合は、アパート+土地をセットにした「アパート一棟」に対する投資を指す場合がほとんどである。投資の目的は入居者からの賃料収入とされることが多い。

不動産投資の一種類に分類される。最近では、サラリーマン大家という言葉があるように、別の仕事として本業を持ちながら、副業としてアパート経営を行う投資家も増加傾向にある。

イニシャルコスト

イニシャルコスト(initial cost)とは、機器や設備などを導入する際にかかるコスト(費用)のこと。設置費用・導入費用などとも呼ばれる。なお、設置・導入後にかかる費用などは含まれない。対義語はランニングコスト。

投資として考える場合、初期投資であるイニシャルコストは通常「固定費」となる。投資全体を考える上ではランニングコストは「変動費」という扱いとなる。
イニシャルコストが必要な投資としては、例えば不動産投資があげられる。不動産を取得する際のコストがイニシャルコストとなり、その後の建物等の管理費がランニングコストとなる。

イニシャルコストは前述の通り投資の損益分岐点を計算する上での固定費となるため、その投資から得られる収益を考える場合には損益分岐を決める重要な要素となる。

例えば、200万円のイニシャルコスト、10万円/月のランニングコストがかかる投資があるとする。月々の収益が15万円の場合、ランニングコストからみた利益は5万円/月となるが、イニシャルコストである200万円をペイするためには40ヶ月が必要ということになる。(それ以後になってようやく利益がでる。)

ランニングコスト

ランニングコスト(running cost)とは、設備や機器などを運用する際にかかる費用のこと。対義語はイニシャルコスト。例えばある設備を導入した際の電気代や消耗する部品のメンテナンス費用などが代表的。資産運用で考えた場合には、投資信託の信託報酬、アパート経営・マンション投資にかかる管理会社への報酬などがランニングコストとなる。

どちらかといえば、ビジネス用語として使われることが多い。

両建て

両建て(りょうだて)とは、同じ投資対象に対して「買い(ロング)」のポジションと「売り(ショート)」のポジションの両方を持つことを指す。例えば、ある株式Aを100株購入した上で、同じ株を100株空売りしている場合、銘柄Aを両建てしていると呼ぶ。(必ずしも同数量である必要はない)

両建てをすることで、株価(価格)が上下しても、買い(ロングポジション)または売り(ショートポジション)のどちらかで利益と損失を相殺しあうことになる(マーケットニュートラル)。ちなみに、買いをもっている状態から、両建てにするためにショートポジションを持つことを「つなぎ売り」と呼ぶ。

2010年1月27日

金利リスク

金利リスク(きんりりすく)とは、市場金利が変動することにより投資元本の変動や受け取り利息、支払い利息等が変動するリスクのことを指す。金融・投資の分野では債券価格の変動、住宅ローンにおける返済額の変動などで解説されることが多い。

通常債券は、クーポン(金利)が固定されている。仮に満期が1年の全く同じ債券があり、債券Aの金利が5%、債券Bの金利が2%であった場合、市場では債券B売り、債券A買いの行動が起こる。この場合、債券Aの価格が上昇し、債券Bの価格が下落する事で、両者の利回りが等しい水準になる。
このように、市場金利が変動することにより、債券などの固定金利の投資商品は債券価格が上昇することになる。(変動金利の商品の場合はこのリスクはない)

一方で住宅ローンの場合、固定金利のローンでは将来の支払い利息に変化はないが、変動金利のローンの場合、将来の金利変動により支払う利息が変動するため金利リスクが生じることになる。

2010年1月28日

株主名簿

株主名簿(かぶぬしめいぼ)とは、その会社の株主を記載している名簿のこと。株主名簿に名前・株数が記載されることにより、はじめて株主としての権利が生まれることになる。仮に名義の書き換えを行わなかった場合、株主としての権利が失効する場合がある。

なお、本項では、公開会社(上場企業)の株主名簿について解説する。
株式公開を行っている会社は証券取引所により信託銀行等を株主名簿管理人として、これらの業務を委託しなければならない。平成21年(2009年)1月からは株券の電子化に移行され、上場企業の株券は全て無効となり、現在は電子的な方法により証券保管振替機構を通じて株主名簿管理がされている。

IR(インベスターリレーションズ)

インベスターリレーションズ(Investor Relations)とは、IRとも略される。日本語にすると「投資家向けの広報」となるが、最近ではIRと略されて利用されるケースの方が多い。日本では1990年代ごろから利用されるようになった。

IR活動は企業が投資家に対して情報を発信することであり、法律により定められているディスクロージャー(情報開示)と異なりどんな情報でも配信することができる。一般には、その会社が取り組んでいることや、株主に対するメッセージなどがある。近年では企業の社会的責任(CSR)との絡みで、社会貢献活動などもアピールしている。

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