寄附金控除
きふきんこうじょ
Deduction for Donations

寄附金控除とは
寄附金控除は、国・地方公共団体や一定の公益法人、認定NPO法人などに対象となる寄付をしたとき、所定の金額を所得から差し引く制度です。一般に「寄付金控除」とも書きます。寄付額そのものが税金から全額引かれる制度ではありません。
基本は所得控除ですが、認定NPO法人等への一定の寄付などでは、計算後の所得税から引く税額控除を選べる場合があります。寄付先、対象事業、寄付した日、証明書類を確認してから計算します。
日本の個人の所得税について、2026年10月30日に確認した制度。国税庁の2026年4月1日現在の案内に基づきます。法人の損金算入、相続税の扱いは別制度です。
募金なら何でも対象になる?寄付先と使い道を確認
対象は税法上の「特定寄附金」に当たるものです。善意の寄付であること、領収書があることだけでは、控除対象とは決まりません。また、同じ団体でも対象事業や指定された寄付の条件が異なることがあります。
| 寄付先・内容 | 所得税で確認すること | 間違えやすい点 |
|---|---|---|
| 国・地方公共団体 | 特定寄附金としての要件。自治体へのふるさと納税には別途、住民税の特例がある | 民間への寄付にも同じ特例が使えるわけではない |
| 公益財団法人・社会福祉法人など | 法人の主たる目的である業務との関係など。税額控除には、さらに団体側の証明等の要件がある | 所得控除対象でも税額控除を選べるとは限らない |
| 認定NPO法人等 | 認定等の有効期間内の、対象事業に関する一定の寄付 | 「NPO法人」という名称だけでは足りない |
| その他の団体・個人への募金 | 指定寄附金などの対象要件に該当するかを確認する | 非営利、教育支援、国内支援というだけで自動的に対象にはならない |
学校への寄付でも、入学に関して支払うものは対象外です。寄付した本人に特別な利益が及ぶものなども対象になりません。
例えば、あしなが育英会は、個人から同会への寄付は所得控除・税額控除の対象にならないと案内しています(2026年10月30日確認)。支援先を選ぶときは、希望する事業に使われるかと、税の控除対象かをそれぞれ確認します。国内支援を指定したことだけで、所得税の対象へ変わるわけではありません。
所得控除額は「対象寄付の年合計と上限の小さい方−2,000円」
寄附金控除額 = 「その年の特定寄附金の合計額」と「総所得金額等の40%」の小さい方 − 2,000円
控除額は0円が下限です。総所得金額等は年収そのものではありません。2,000円は対象となる寄付の年合計に対する差引額で、寄付先ごと、支払回数ごとに差し引くものではありません。
対象寄付が年5万円で所得による上限にかからなければ、所得控除額は5万円 − 2,000円 = 4万8,000円です。対象寄付が10万円あっても総所得金額等が20万円なら、40%の上限は8万円なので、所得控除額は7万8,000円になります。実際に税金が減るか、いくら減るかは、課税所得や適用税率でも変わります。
5万円の寄付でいくら減税?所得控除と税額控除の比較
認定NPO法人等への一定の寄付は、所得控除か税額控除のどちらかを選択できます。同じ寄付に両方を適用することはできません。公益社団法人等への寄付も、一定の要件を満たす場合には選択できます。
所得控除を選ぶ
所得から差し引く額
50,000 − 2,000 = 48,000円
この48,000円全体に適用される所得税率を20%とすると
所得税の軽減額9,600円48,000円 × 20%
税額控除を選ぶ
税額から差し引く額
(50,000 − 2,000)× 40%
所得税額の25%の限度などにかからなければ
所得税の軽減額19,200円48,000円 × 40%
認定NPO法人等への寄付の税額控除は、基本的に対象寄付から2,000円を引いた額の40%です。対象寄付額には総所得金額等の40%という限度があり、税額控除額にも所得税額の25%という限度があります。公益社団法人等寄附金特別控除との合算調整、他の寄付との2,000円の調整、100円未満の端数切捨てもあります。
別の条件で、限度の計算に用いる所得税額が4万円なら、その25%は1万円です。ほかの調整がなければ税額控除は1万円までとなり、1万9,200円の全額を引くことはできません。所得税が発生しない場合、寄付をしたことだけで同額の給付が受けられる仕組みではありません。
受領証をそろえて確定申告する
- 対象と日付を確認する:寄付先の正式名称、寄付した日、対象事業、認定等の有効期間を確認します。団体の案内で、所得控除と税額控除のどちらに対応するかも確かめます。
- 受領証と証明書を集める:氏名・住所、金額、受領日、寄付先などの記載を確認します。寄付の種類により、法人の証明書の写しや税額控除の計算明細書等も必要です。匿名の募金で受領証がない場合、寄付した金額を自分で申告するだけでは足りません。
- 年合計と控除方法を計算する:複数の寄付をまとめ、上限、2,000円の調整、税額控除との選択を確認します。受領証に記載された対象額を使います。
- 確定申告書へ記載して提出する:通常、勤務先の年末調整では寄附金控除を受けられません。国税庁の確定申告書等作成コーナーなどで手続きします。e-Taxでは必要事項の送信により受領証などの提出を省略できる場合もありますが、税務署から確認を求められる期間に備えて保管します。
ふるさと納税のワンストップ特例を申し込んでいても、別の寄付の控除などのために確定申告をすると特例は無効になります。その年のふるさと納税分も、申告へすべて含める必要があります。
一般の民間寄付では、ふるさと納税と同様に「2,000円以外はすべて戻る」とは限りません。住民税の寄附金税額控除は対象団体や自治体の指定などを別途確認します。
寄附金控除についてよくある疑問
- 領収書をもらえば、どの募金でも控除できますか?
- できません。税法上の対象となる寄付であることが必要です。領収書は支払いの証明であり、その存在だけで控除対象とは決まりません。対象事業や団体の認定期間も確認します。
- 複数の団体へ寄付したら、2,000円を毎回引きますか?
- 所得控除だけを使う場合、対象となるその年の寄付を合計して計算し、2,000円を差し引きます。寄付先ごとに2,000円ではありません。税額控除を併用する場合も、制度間で差引額や上限の調整があります。
- 5万円の寄付なら、所得税が4万8,000円減りますか?
- 所得控除の4万8,000円は、税率を掛ける前の所得から差し引く額です。全額に20%の税率が適用される条件なら所得税本体の軽減は9,600円です。税額控除を選べる寄付では、別の計算と限度を使います。
- 国内向けの寄付を指定すれば控除対象になりますか?
- 使い道の指定だけでは決まりません。税法上の寄付先・事業・認定などの条件を確認します。寄付先が示す使途の説明と、控除に関する案内の両方を読むことが必要です。